como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

風林火山 第18話「生か死か」

2007-05-07 22:52:05 | 過去作倉庫07~10
Story 寅王丸を陣頭に立てた戦に勝利した晴信は、諏訪家旧臣の心をつかみ、諏訪全土を事実上支配する事になった。甲斐に送られた由布姫を晴信は側室に望むが、家臣たちはこぞって猛反対。勘助はひとり晴信に賛成し、諏訪家の嫡流である由布姫が晴信の子を産めば諏訪との絆はも磐石と、この縁組を強く推奨する。が、勘助の再三の説得にも由布姫は頑なに拒否。その冬、禰々が晴信を怨みながら世を去り、三条夫人の産んだ三男も生後まもなく死亡し、武田家に暗い空気が立ちこめる。晴信の側室問題にあくまで反対の甘利虎泰は、刺し違える覚悟で由布姫を訪ね、自害を強く促す。勘助は、恨みを重ねるより晴信の子を産んで、その子を好きなように育てればよいと、由布姫を説得するのだった。

庵主のCheck!

さて、怒涛の展開で多くの運命が翻弄された前回および前々回とうってかわって、今週の風林火山はグッとスタティックな45分でした。今週の主なテーマは「晴信様の側室問題」です。この微妙なテーマがどのような展開を見せたか、見てまいりましょう。

「人の世は地獄じゃ」と嘆きながら、由布姫は甲府に護送されてきました。「父が自害した東光寺にでも幽閉してください」とネガティブな由布姫を、諏訪からついてきた侍女たちが「諏訪家は敗れたのではなく甲斐と同盟したのです。ご自分を卑下してはいけません」と慰めます。
 まあ、どんなふうに言ったって弱い立場には違いなく、権力者のセクハラ・パワハラなどは覚悟してしかるべきなのですが、姫的にはそれは絶対イヤ、「身の毛もよだつ!」というわけですね。
とにかく、由布姫の存在は板の間重臣会議のおじ様たちを心底困惑させています。諏訪占領の段取りの中で姫の自害は織り込み済みになっていたようで、生き残ってしまったらいろいろ不都合が出てきて、それも頭を悩ませるところですが、そんなことより、
「由布姫を側室にするぞ!」と晴信さまがやる気まんまんで宣言したのには、、おじ様たち、びっくらこいて反対の大合唱です。
 まずいでしょうそれは。例えば、強引に乗っ取ったライバル会社の自殺した社長の令嬢を、うちの若社長が愛人にして面倒見る、てな話ですからね。お嬢様が納得するわけないですし、なにより「もしベッドで暴れて若社長が怪我でもしたら…」という心配もある。
 ベッド。閨です。ネヤと読みます。「ねねねねネヤで何かあったら!」と、いつも間の悪い諸角のじい様が突っ込んで、そこから話が微妙に桃色になっていきます。
 妙齢の娘のこと、誰かとデキて子供を産んだらその子は諏訪の嫡流になって、ゆくゆく問題がでてくるぞ。では寺に入れたら? いやいや若い美人のことだ、尼になったって間違いがないとはいえない…と、おじさんたちの想像は次第にエスカレート。
 そこへ、例の如く名回答を出したのが勘助でした。どうせ誰かと子ができて問題になるなら、いっそ御屋形様の子を産ませちゃえ!というわけです。その子が諏訪家を再興することになれば、家臣たちも喜ぶし、甲斐と諏訪の絆は後々まで磐石、一石二鳥!
 しかし肝心の姫がそんなこと受け入れるか?とは当然の懸念ですが、「いやあ、案外姫が御屋形様の魅力に転んでしまうかも」と、こういう話大好きな小山田さんがすかさず乗ります。ま、それも御屋形様のお手並みしだいですけどね、ふっふふふ…と、家中一の色男に含み笑いされては、晴信も男を見せぬわけにはいきません。「なんだか妙な話になって参ったの~」とか言ってアゴを撫でながら、こころなしか鼻の下が伸びてます。

提案した責任上、勘助は由布姫のもとへ日参して説得です。姫様、御屋形様の側室になりませんか…なんて、うら若い美少女にそんなことを毎日言いに行くって大変な仕事。しかも「御屋形様の子を産んでください!」なんて露骨なことを面と向かっていわれたら、仮に勘助に恨みがなくても「イヤ!」としかいえませんわね。
 そんな勘助の苦闘を、晴信も、板垣信方も面白がって眺めているわけです。「流石の勘助も女人相手には勝手が違うようだのう~」とか言って。女を口説くにはこうすんだよ、と晴信は、短冊ひとつを勘助に託しますが、それは自作の和歌、要するにラブレターですね。
「由布ちゃん。きみがこのド田舎で辛い思いをしていると思うとボクもとっても辛いけど、こころを開いて笑ってくれるのを待っているからね。フォーユー。晴信」
…こんな内容ですかね。あまりに直球。由布姫はそれを見て大爆笑。ねー、これここの床の間に貼り出して笑ってやりましょうよキャー!なんて大盛り上がりするところなんかは、ほんとそこらのコムスメと替わりません。
 晴信も晴信で、昔ギャルを集めて和歌の会なんかにうつつを抜かしていたこともあり、歌はけっこう上手いはずなのに、こういうベタな和歌を詠み、笑いをとって姫の心を解かせるわけですよ。「御屋形様の子を産んでください!」と体当たり直訴する勘助とは、女あしらいの腕前が、もうまったく違うのです。

と、姫と晴信と勘助が、こんなすったもんだをやってる間に、不幸のどん底で暮らしていた禰々が、かわいそうに死んでしまいました。最後まで晴信を怨みぬいての死で、それはそれは後味が悪いのです。
 悪いことは続くもので、三条夫人が三男を出産するのですが、生後まもなくこれも死んでしまいます。「の、呪い…?」というイヤ~な空気が家中に立ちこめ、しかも雨なんか降り続いて、陰気で陰気でたまりません。
 由布姫の一件に反対していた板垣信方が、諏訪に飛ばされることになりました。それでも、どこからどこまでも反対なのは甘利ゴリさん虎泰。提案した勘助も大嫌い。板垣殿も飛ばされ、ああ面白くない…と鬱々とした挙句、ついに意を決し、由布姫を訪ねるのですね。
 姫と対面したゴリさんは、そこでセクハラ発言の限りを尽くします。屈辱に震える姫様に、短刀一振りを渡して、さあ、自害してみせなさいよと今度はパワハラ。結局、駆けつけた勘助が姫の窮地を救うのですが、この由布姫は、助けられてヨヨヨと力なく勘助の腕に身を投げ出す、みたいな、南野陽子ふうの芸風ではありません。
 板垣に刀を返したあと、「あの方はわたくしを討ちに来たのではありません。討たれに来たのです」と言います。姫に討たれてでも晴信から遠ざけようとした、捨て身の真意を姫に汲まれたゴリさんは、「聡明な姫じゃ…」と呟いて、由布姫のことを認めるのですね。
この一連は良かった。由布姫、凛々しくておみごとでしたし、ゴリさんも初めてよかったね。

そしてそこへ三条夫人が見舞いにやってくるのですが、夫人、勘助のことを横目でチラッと見るのですが思いっきり無視するわけですよね。
 で、由布姫に「さぞ嘆いていることでしょうね」と優しいことばをかけるのですが、さっきゴリさんとの大立ち回りをやったばかりの由布姫は、凛々しいモードで「いえ、嘆いてはおりません。これもさだめでございますから」とハキハキ言っちゃうわけです。
 これでちょっと弱って涙目モードだったりしたら、夫人も優しいままでいたのでしょうけど、こんなに堂々とされたらカチンとくるもの。しかも床の間を見れば、あの晴信のラブレターが貼ってあったりするのですよ(3ヶ月ほど貼ってあったのね…)。「恥じらいまで失くすとは…国は滅びたくないもの」と、夫人らしくないイヤミをぶっつけて立ち去ります。
 聡明な由布姫は、こんなことを言った夫人が帰り道で落ち込んで泣いていることまで察しているわけです。なんだかいろんな人が傷ついているみたいで、「私だけ無傷ではいられませんね…」と観念し、運命を受け入れて、晴信の側室になる決心をするのでした。

 さて、そういうわけで姫は晴信のネヤに一歩前進したわけですが、次週、いよいよ呪いのイシイシ…じゃなくて今回は笛のようですね。女の対決に、三条夫人から由布姫に笛が贈られてくるようです!
なんか、いろいろ楽しみですね。また来週!


コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。