como siempre 遊人庵的日常

見たもの聞いたもの、日常の道楽などなどについて、思いつくままつらつら書いていくblogです。

風林火山 第19話「呪いの笛」

2007-05-14 22:04:49 | 過去作倉庫07~10
Story 由布姫は晴信の側室に入ることになった。晴信に旧家臣が心酔している諏訪では、この縁組を歓迎しており、姫は複雑な思いを抱く。三条夫人は由布姫を訪問し、戦国大名家の女性の心得をやさしく説いて、輿入れのとき持参した笛を姫に与える。晴信は由布姫を迎えるにあたり、正式な祝言の形をとって武田と諏訪との結びつきを内外に誇示する。が、姫は寝所で一晩中笛を吹き続け、晴信を寄せ付けようとしない。一方信濃では、武田の諏訪領有に危機感を抱いた小県の大井氏が不穏な動きを見せていた。由布姫への思いを断ち切るため、勘助は志願して信濃へ向かう。その夜、由布姫は寝所で懐剣を抜いて晴信に切りかかるが、晴信に冷静に諭され、ついにその身を任せるのだった。

庵主のCheck!

 はい、今週で由布姫様劇場も4回目となりました。諏訪の敗戦を受け入れ、甲斐送りを受け入れ、側室に入ることを受け入れと、毎週のおわりに一個ずつ得心して受け入れてきた由布姫が、今週は、とうとう最後にのこった操を手放し、晴信に身をまかせて一区切りとなりますキャー!
 ということで、第19回、見ていきましょう

 でも今週の主役は、実は三条夫人@池脇千鶴です。
 先週、由布姫にキツイ捨てゼリフを叩きつけてきた夫人は、一週間ずっとそのことで落ち込んでいたらしいんですね。彼女って本当にいい人なんです。ぐっと心を強く持ち、頑張って由布姫をもう一回訪ねよう、と健気にも出かけるわけなんです。
 が、姫が泊まっている板垣信方邸では、天敵の山本勘助が通せんぼしていました。なにかあからさまに、姫を守ってます!って態度で、昔の紺野美沙子の三条夫人みたいに扱われるのはいい気はしませんよね。しかも、育ちも性格もよい夫人が唯一毛嫌いを隠さない存在が勘助なんです。夫人はもう、すっごい、オニのようなイヤな顔をして言い放ちます。「失せよ」
 いけない、心を強く持つつもりがすごい嫌な顔して、つい本心が顔に出てしまったわ…と夫人は気合を入れなおし、頑張って優しい微笑を浮かべ、由布姫に対面します。
 また由布姫が相変わらず可愛くない態度なんですが、夫人、今回は気持は顔にださず、「御屋形様は見目麗しいとはいえませんが、がっかりしないでね、顔じゃないのよあの人は」とか正室の余裕で言ったりします。
 そして京都から持ってきた笛を姫にプレゼントし、「この笛で御屋形様をお慰めしておくれ。よろしくお願いします」と頭を下げる夫人。この辛い努力はさすがの由布姫にも通じるものがあったよう。
 そばで見守っている侍女の萩乃@浅田美代子はもう、夫人の健気さに胸がいっぱい。それにつけても許せないのはこのおいたわしい夫人を鬼婆扱いした勘助です。帰りがけ、目一杯の憎しみを込めて「そなたは無礼じゃ。無礼者!」と勘助に罵声をぶつけます。

 人に足蹴にされるのは慣れていて、浅田美代子の罵声なんか屁でもない勘助は、そんなことより姫の一大事と、部屋に飛び込んで夫人の笛をチェックです。針とかカミソリが仕込んでないか、毒なんか塗ってないか…くまなく調べる様子を、目をまん丸にして見守っていた由布姫も、だんだん理由がのみこめて、そしたらなんだか萩乃と同じ気持になったらしい。
「恥ずかしいとは思わぬか!」
なんていわれて勘助も散々ですが、原作によりますと、女心がわからぬ鈍さがたたるのは、勘助が死ぬまで付きまとう宿命になるようで。

さて、晴れて…かどうかわかりませんが、由布姫が武田の側室に入る日が来ました。
 側室と言っても愛人や二号さんではなく、この場合は諏訪・武田の合体を象徴するとあって、ちゃんと結婚式を挙げます。三々九度、高砂、万歳三唱とおわったら、ようやく寝所で文字通り合体、という段取りですが、これがそう簡単にはまいりません。
 なにせ諏訪からついてきた老女に「御武運を!」と言われて寝所に送り出された姫です。武運かい…。しかし、その夜は合戦いたすことかなわず(…)姫は三条夫人から贈られた笛を一晩中吹き続けて、晴信に指一本触れさせなかったのでした。

それがまた恐るべき魔性の笛。若い側室との一戦に備えて、寝巻きの帯をグッと締め、丹田に力を入れて臨んだ晴信が、笛を聞いたらコローッと寝てしまい、なにもいたさず朝を迎えてしまったという体たらく。
「何か呪いがかかっているのではあるまいか…」と本気で首をかしげてしまいますが、これが、無念を呑んで死んだ諏訪頼重の呪いだったら洒落ではすみません。勘助と一緒に青くなっているとこに、近習の春日源五郎君が「御方様では?」と天然ボケをかまします。
 それが晴信の笑いのツボを刺激してしまい、「呪い殺されてしまうかもしれん」と大爆笑してチョン。…ですが、三条夫人の心のうちは、とてもそんな笑い事じゃないんですけど…。

 さて、板垣信方が諏訪に飛ばされ、勘助も、姫への思いを断ち切るように自ら志願して、不穏な動きのやまない信濃へ旅立ってしまいました。ちょっと寂しくなった板の間重臣会議は、いつものように議論が紛糾しません。
 信濃の動きが怪しく、戦の気配を見せているというのに、晴信は「勘助の知らせをまつのじゃ」といって早々席を立ってしまうし、勘助の天敵の甘利虎泰まで「御屋形様は勘助の謀を頼もしく思っているのであろう」なんて耳を疑うような発言をして退席してしまいます。
 どうも、会議は前のように盛り上がらないのでした。小山田さんと飯富さんが「美しき諏訪御寮人と夜ごと睦み会えるのじゃからのー」「しかし、夜ごと笛を吹いているだけでは和子もできまいよ」とユルイ下ネタをいって笑って、へらへらと散会。あっちもこっちも、思いっきり緊張感がなくなっています。

 家臣たちが緊張感をなくしている一方で、異様に緊迫しているのは晴信と姫の寝室です。
 いったい何夜目のことでしょうか。ついに毎夜の笛の独奏会にブチ切れた晴信は「もういいっ(=やらせろ)!」と一喝して姫から笛を取り上げてしまいます。が、笛を奪われた姫の手にはいつの間にか抜き身の懐剣が握られていました。
 が、そんなんで簡単にやられるほどダメな晴信ではないので、簡単に姫の手をつかんでねじりあげます。「すまんの、そなたに討たれてやるわけにはいかんのじゃ」
 このカーッコいい!タイミングで、唐紙の向こうからすかさず「御屋形様なにごとがございましたでしょう。御方様が案じておられます」なんて言ってくるのが何ともいえないです。御方様は毎夜、ジトーっと、姫の寝所を案じていたわけなんですよね。なんかこう、シラケ鳥が東の空へ飛んでゆく雰囲気になりかかったところで、晴信は落ち着いて、由布姫に諄々と説きます。
 ひとりの女人になりたい気持ちはよくわかるが、そなたは本当にひとりか。ワシは国を継いだ時ひとりであることを捨てた。ひとりを捨てたらかえってひとりぼっちになってしまったがな。
 んー、殺し文句ですね。君とボクは諏訪と甲斐、お互いひとりの身ではない君とボクなら分かり合える、というわけで由布ちゃん、合体しよう!
…と、このような次第で、その夜(別の夜かな)、三条夫人の笛は寝所のBGMとして、侍女が唐紙の外で吹く事になりました。その音色の違いに、三条夫人だけは気付いたのでした…って、いやもう切ないね。たまらないですね。

そのころ勘助は、戦雲が起りつつある信濃へ向かう旅の空にありました。
 次週からいよいよ信濃戦争編に突入! 真田の殿様も帰ってきます。あの人もこの人も帰ってきますというわけで、佳境にはいっていきます風林火山。また来週!


2 コメント

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「閨」での一言 (レビュ丸)
2007-05-17 13:57:48
「失せよ」
という三条夫人の冷たい言葉に、背筋の寒くなる思いがしました。彼女にしてみれば、勘助は「武田家に凶事をもたらす者・・・」という偏見ばかりが先行し、由布姫が側室に上がることも「凶事のひとつ」と受け取ったことでしょう。三条夫人にとって勘助は、本当に「失せてもらいたい」対象だったと思います。それだけに、不器用ながら無理にでも笑顔を作り、波風を立てぬように振る舞おうとした勘助・・・悲しすぎます。
ですがレビュ丸、今回は勘助よりも三条夫人よりも、何と言ってもあの「閨」での晴信の一言、
「すまんの、そなたに討たれてやるわけにはいかんのじゃ」
に『グッ』ときました。何かこう・・・歌舞伎役者さん特有の言い回しが「これでもか!」というほど炸裂し、「爽快!」としか言いようがありません。この濃さ、どんどん「亀治郎ワールド」にハマってしまいそうです・・・!
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三条夫人も (庵主)
2007-05-19 09:59:20
レビュ丸さんこんにちは。
「すまんの、そなたに…」
あれ、よかったですよね。ワタシもグッときてしまいました。
あのネヤの場面はいろんな怨念(?)が交錯してて見応えありましたが、ワタシ的に一番驚いたのは、笛の音がやんだ途端に三条夫人の侍女が飛んでくる、あそこですね。で、いよいよって夜には代役たてて笛を吹かせる…でもその音の違いに夫人だけは気付いていた、って。怖。今度の三条夫人は、かつての紺野美沙子みたいなわかり易いイジメ役キャラじゃないけど、小川真由美の「八重」みたいな、生霊っぽい暗さも受け持ってるかも…と初めて思いました。怖。
来週から戦場に戻るようなので、なにかホッとする気もしますが(笑)、武田ドラマでこの「女の戦い」はやはり欠かせぬものなのでしょうか。
後半からは御琴姫なんかもでてくるのかな~。楽しみなような、怖いようなです。
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