いよいよ薩長同盟。物語的にはメインパートにはいってくるわけです。
今週わたしは、わたしは… 「うわーんゴメンよ~龍馬の中の人~~~!!」、はい、ものすごく反省しました。いままで散々、影が薄いだの透明人間だの、大河ドラマ史上三大ダイコン主役の一角を崩すだの、言いたい放題罵倒したおしたことをです。
そうです、今週は、初めて福山雅治が龍馬に見えたんですよ。違和感なく、龍馬として受け入れられたんですよ!! いや~、ここまでが長かった。もうどうなるのかと思っちゃってたけど、良かったですよ、今週は。ここまで耐えて下積みを積んだのだから、最終回まで安心して、堂々たる龍馬としてストーリーの中心を闊歩してくれると…いいよね信じて?
それにしても、やっぱり大河ドラマの決め手は目力だ。複数の男の群像劇で、爛々と萌えるような、ギンギンの目力を競い、それが終盤にむけて暑苦しくヒートアップしていく…てな感じで、これぞ大河ドラマだわ!!
そんなわけで今週は幸せでした。なんせ、血走ったようなギンギン目とは、ここ2年もご無沙汰だったし。来年も望めそうもないし。これを僥倖として、こころゆくまで男の目力を愛でようではありませんか。
今週は高杉晋作欠番ですが、初登場の中岡慎太郎(上川隆也)、お久しぶりの桂コゴローちゃん(谷原章介)など濃い顔ぶれで、幕末劇の名場面を演じてくれるという幸せな回でございます。なんとか無理にでも出番つくって次郎さんをねじこんでくれたら、さらに幸せだったんだけど、このときは逃亡中で、四国讃岐あたりに潜伏してるから出しようがないか。
第31話「西郷はまだか」
今週は亀山社中の立ち上げから始まります。小曽根乾堂をスポンサーに亀山に社屋を構えた、旧海軍操練所の連中でしたが、初仕事が「薩長同盟」ってスゴイよね…。まあ、ある意味そのための結社なんで、龍馬は陸奥陽之助をつれて、さっそく、大宰府にいる高杉晋作を訪ねるわけです。
が、次郎さんは諸事情から(そのへんの説明は当然スルー)、音信不通になってて、大宰府では会えません。 かわりに居たのが、今週初登場の中岡慎太郎です。
実は、山内一豊やった人が同じ大河ドラマで中岡慎太郎だなんてギャグじゃないのとか思って、さあネタにしたるでと待ち構えていたんだけど、やっぱり中堅実力派・上川さんの演技力は素晴らしいですね。とくにキャラ変えてるわけでもないと思うのに、出てきた瞬間から中岡慎太郎で、暖めていた一豊ネタは思いだしもしませんでした(そういえば一昨年の龍馬=山内一豊の弟、のときもそのネタは思いつかなかったな…。ま、それは演技力と関係ないだろうけど)。
で、先週の池内蔵太とおなじく、慎太郎も「前から居た人扱い」で…。「おおお~慎太郎久しぶりじゃのおーー!!」とか言っちゃって、この手法も定着しつつあるけど…。でも、出し惜しみしないで前半の土佐勤皇党時代から、内蔵太とか慎太郎を出すべきだったと思います。だって、土佐勤皇党とはどういう団体だったのか、今となってはサッパリ意味不明なんですもん。
そういう意味で、前半の「勤皇思想」というものの描き足りなさが、ここへきて物語の展開を苦しいものにしている…という感じはすごくしています。そのあたりを、俳優さんたちの目力と演技力でかなりカバーしているんだけど、それでも残念に感じるなあ。前半、いったい何やってたんだろか。
で、中岡慎太郎とはどういう人なのかというと、土佐を脱藩したあと長州を頼って、外人部隊のようなことをしていたんですね。で、いまは、長州を離れて大宰府に居る三条実美以下の七卿のボディガードみたいなことをしてる、と。
その慎太郎の口から、「武市さんは素晴らしいひとだった、あんな私心ない人は他にいない、ワシはあの人とあって人生が変わった」みたいなことを言って、龍馬の背中がピクッと反応するとこがあるんだけど…いやー、福山サンもついに、背中で演技する術を会得したんじゃないの、と拍手したくなりましたね、ココは。武市さんの安っぽい回想シーンとか挟まずに、きちんと龍馬の心情を背中で表現できるなんてたいしたもんだ。
美少年・陸奥陽之助が色仕掛けで(違…)三条卿をたらしこみ、「坂本龍馬を信じてよし!」というお墨付きをゲットした龍馬は、それをもって下関へ。慎太郎は西郷を迎えに薩摩に向かい、薩長同盟の下準備がうごきだします。
あの…実は海軍操練所のころから、いや土佐勤皇党のじぶんから、思ってたんですが、このドラマ、モブシーンの捌きが妙に下手じゃないですか? なんか狙ってやってんでしょうかね。今週の「下関における長州軍」というモブなんかもね、みんな一斉に「おおお~!!」とか「この野郎~!!」とかいって、これって少年マンガを実写化したドラマのツッパリ高校生たちのモブシーンみたい、って言ったらいいんでしょうか…(意味不明な説明ですんません)。なんか男たちがワラワラいるシーンになると、なぜかガクッと緊迫感がなくなって脱力させられるんです、このドラマ。
そんな脱力系モブシーンのなかで、一人凛々しく光っていたのはお久しぶりの桂コゴちゃん。やっぱしカッコよいです~~。んで、龍馬が「薩摩と手を結んでくれ」って、暴走族の兄ちゃんたちみたいな長州軍の中で言い放つんですが、シチュエーションはマンガですけど、龍馬の目力、受けるコゴちゃんの目力、ともに一歩も引いてなくて、素晴らしかったですね。
このあたりで、「おお~、福山が龍馬に見えるよ」って思って感動したんだけど、桂さんのリアクションも素晴らしかった。ひとりの人間を信じて、一藩を丸投げする賭けに出る、それを自分の裁量でやるという、現代の普通人では考えられない決断力の重さというか…そういうの感じたです、はい。
で、薩摩の慎太郎は、なかなか動かない藩論と、なかなか腰をあげない西郷どんをもてあましてイライライライラしているわけです。西郷のほうも、ある意味藩を出し抜いてバクチを張るわけですからね。
で、やっと許可がおり、西郷どんは船を仕立てて、慎太郎とともに下関へ。が、その船には公儀隠密が乗り込んでいたんですね。船のなかで隠密行動を取り押さえた西郷ドンは、「一人取り逃がした」っつってたけど、船の上でどこへ取り逃がしたの?まさか海へ?…ってまあ、そんなツッコミはともかく、どういうわけかココで予定をガラッと変更し、下関をスルーして京都に向かってしまうんですね。
薩摩飛脚の例えもあるよーに、260年このかた隠密の進入を許さなかった薩摩に、なぜここで隠密が入り込んでいるのか? それは、長崎の芸者・お元がからんでいたんですね。この女が薩長同盟を阻止した。まーなんてドラマチックなんでしょう。
お元は、亀山社中の宴会に出たときに、池内蔵太が口を滑らせて薩長同盟のことを言ったのを、長崎奉行に密告。さっそく手が回った…というしだいのようです。毎回言ってるけど、蒼井優ちゃんて凄いな。去年の長沢まさみとは段違い、格が違うってかんじ。宴席でにこやかに愛想笑いしながら、チラッチラッと真顔や無表情になる瞬間があって、そのあたりの落差に、なんというか、凄みがあります。
で、下関で西郷の到着を待ち続ける龍馬とコゴちゃん。ここでふたりのちょっとした対話があります。
コゴちゃんは、この同盟が出来たら君は薩摩に取り立てられるとか、そういう話なのかと聞きます。そんな打算は一切なく、龍馬は純粋に「桂さんらに日本を守ってもらわんとなりませんき。ワシの望みは日本が開かれて世界と肩を並べるようになることで、そのためには命も要りません」と。
この言葉に驚くコゴちゃん。もちろんコゴちゃんも私心なく、ひたすら長州のため、日本のために命を張ってるわけです。ただ、そういう無私のココロを、長州人以外の人が持ってるとはコゴちゃん思ってなかった。それで驚くわけです。コゴちゃんの気づきですね。
「でもワシには夢がある。それはいつか家族を船にのせて世界一周に旅立つことで、死んじゃったらそれも出来ない。だから命は要る」とアッケラカンという龍馬。このあたりも良かった~。思いつめ過ぎず、どっか外した感じの龍馬のキャラがよく立っていました。
そんなバカ話をしているところに、慎太郎が到着。ボロボロになった慎太郎は、「西郷は来ない。下関をスルーして京都に行っちゃった」と。その理由は分からず、「何故じゃ、何故なんじゃ~~!!」って手足バタバタさせて絶叫する慎太郎…。
さっきまで和んでいたコゴちゃんも鬼の形相になり、「信じたボクがバカじゃった。二度と顔を出すな」と龍馬に言い放って、その場を立ち去ってしまいます。
今週の福山サンは素晴らしく、最後の龍馬の、どうしようもない一筋の涙まで完璧だったと思います。さあ来週はどうなるか!
まあ、薩長同盟の結末とかは日本人なら誰でも知ってることなので、そこをどう予定調和でなく、緊迫して見せられるかがドラマの腕の見せ所ですよね。期待してるので、頑張ってくだされ。
今週わたしは、わたしは… 「うわーんゴメンよ~龍馬の中の人~~~!!」、はい、ものすごく反省しました。いままで散々、影が薄いだの透明人間だの、大河ドラマ史上三大ダイコン主役の一角を崩すだの、言いたい放題罵倒したおしたことをです。
そうです、今週は、初めて福山雅治が龍馬に見えたんですよ。違和感なく、龍馬として受け入れられたんですよ!! いや~、ここまでが長かった。もうどうなるのかと思っちゃってたけど、良かったですよ、今週は。ここまで耐えて下積みを積んだのだから、最終回まで安心して、堂々たる龍馬としてストーリーの中心を闊歩してくれると…いいよね信じて?
それにしても、やっぱり大河ドラマの決め手は目力だ。複数の男の群像劇で、爛々と萌えるような、ギンギンの目力を競い、それが終盤にむけて暑苦しくヒートアップしていく…てな感じで、これぞ大河ドラマだわ!!
そんなわけで今週は幸せでした。なんせ、血走ったようなギンギン目とは、ここ2年もご無沙汰だったし。来年も望めそうもないし。これを僥倖として、こころゆくまで男の目力を愛でようではありませんか。
今週は高杉晋作欠番ですが、初登場の中岡慎太郎(上川隆也)、お久しぶりの桂コゴローちゃん(谷原章介)など濃い顔ぶれで、幕末劇の名場面を演じてくれるという幸せな回でございます。なんとか無理にでも出番つくって次郎さんをねじこんでくれたら、さらに幸せだったんだけど、このときは逃亡中で、四国讃岐あたりに潜伏してるから出しようがないか。
第31話「西郷はまだか」
今週は亀山社中の立ち上げから始まります。小曽根乾堂をスポンサーに亀山に社屋を構えた、旧海軍操練所の連中でしたが、初仕事が「薩長同盟」ってスゴイよね…。まあ、ある意味そのための結社なんで、龍馬は陸奥陽之助をつれて、さっそく、大宰府にいる高杉晋作を訪ねるわけです。
が、次郎さんは諸事情から(そのへんの説明は当然スルー)、音信不通になってて、大宰府では会えません。 かわりに居たのが、今週初登場の中岡慎太郎です。
実は、山内一豊やった人が同じ大河ドラマで中岡慎太郎だなんてギャグじゃないのとか思って、さあネタにしたるでと待ち構えていたんだけど、やっぱり中堅実力派・上川さんの演技力は素晴らしいですね。とくにキャラ変えてるわけでもないと思うのに、出てきた瞬間から中岡慎太郎で、暖めていた一豊ネタは思いだしもしませんでした(そういえば一昨年の龍馬=山内一豊の弟、のときもそのネタは思いつかなかったな…。ま、それは演技力と関係ないだろうけど)。
で、先週の池内蔵太とおなじく、慎太郎も「前から居た人扱い」で…。「おおお~慎太郎久しぶりじゃのおーー!!」とか言っちゃって、この手法も定着しつつあるけど…。でも、出し惜しみしないで前半の土佐勤皇党時代から、内蔵太とか慎太郎を出すべきだったと思います。だって、土佐勤皇党とはどういう団体だったのか、今となってはサッパリ意味不明なんですもん。
そういう意味で、前半の「勤皇思想」というものの描き足りなさが、ここへきて物語の展開を苦しいものにしている…という感じはすごくしています。そのあたりを、俳優さんたちの目力と演技力でかなりカバーしているんだけど、それでも残念に感じるなあ。前半、いったい何やってたんだろか。
で、中岡慎太郎とはどういう人なのかというと、土佐を脱藩したあと長州を頼って、外人部隊のようなことをしていたんですね。で、いまは、長州を離れて大宰府に居る三条実美以下の七卿のボディガードみたいなことをしてる、と。
その慎太郎の口から、「武市さんは素晴らしいひとだった、あんな私心ない人は他にいない、ワシはあの人とあって人生が変わった」みたいなことを言って、龍馬の背中がピクッと反応するとこがあるんだけど…いやー、福山サンもついに、背中で演技する術を会得したんじゃないの、と拍手したくなりましたね、ココは。武市さんの安っぽい回想シーンとか挟まずに、きちんと龍馬の心情を背中で表現できるなんてたいしたもんだ。
美少年・陸奥陽之助が色仕掛けで(違…)三条卿をたらしこみ、「坂本龍馬を信じてよし!」というお墨付きをゲットした龍馬は、それをもって下関へ。慎太郎は西郷を迎えに薩摩に向かい、薩長同盟の下準備がうごきだします。
あの…実は海軍操練所のころから、いや土佐勤皇党のじぶんから、思ってたんですが、このドラマ、モブシーンの捌きが妙に下手じゃないですか? なんか狙ってやってんでしょうかね。今週の「下関における長州軍」というモブなんかもね、みんな一斉に「おおお~!!」とか「この野郎~!!」とかいって、これって少年マンガを実写化したドラマのツッパリ高校生たちのモブシーンみたい、って言ったらいいんでしょうか…(意味不明な説明ですんません)。なんか男たちがワラワラいるシーンになると、なぜかガクッと緊迫感がなくなって脱力させられるんです、このドラマ。
そんな脱力系モブシーンのなかで、一人凛々しく光っていたのはお久しぶりの桂コゴちゃん。やっぱしカッコよいです~~。んで、龍馬が「薩摩と手を結んでくれ」って、暴走族の兄ちゃんたちみたいな長州軍の中で言い放つんですが、シチュエーションはマンガですけど、龍馬の目力、受けるコゴちゃんの目力、ともに一歩も引いてなくて、素晴らしかったですね。
このあたりで、「おお~、福山が龍馬に見えるよ」って思って感動したんだけど、桂さんのリアクションも素晴らしかった。ひとりの人間を信じて、一藩を丸投げする賭けに出る、それを自分の裁量でやるという、現代の普通人では考えられない決断力の重さというか…そういうの感じたです、はい。
で、薩摩の慎太郎は、なかなか動かない藩論と、なかなか腰をあげない西郷どんをもてあましてイライライライラしているわけです。西郷のほうも、ある意味藩を出し抜いてバクチを張るわけですからね。
で、やっと許可がおり、西郷どんは船を仕立てて、慎太郎とともに下関へ。が、その船には公儀隠密が乗り込んでいたんですね。船のなかで隠密行動を取り押さえた西郷ドンは、「一人取り逃がした」っつってたけど、船の上でどこへ取り逃がしたの?まさか海へ?…ってまあ、そんなツッコミはともかく、どういうわけかココで予定をガラッと変更し、下関をスルーして京都に向かってしまうんですね。
薩摩飛脚の例えもあるよーに、260年このかた隠密の進入を許さなかった薩摩に、なぜここで隠密が入り込んでいるのか? それは、長崎の芸者・お元がからんでいたんですね。この女が薩長同盟を阻止した。まーなんてドラマチックなんでしょう。
お元は、亀山社中の宴会に出たときに、池内蔵太が口を滑らせて薩長同盟のことを言ったのを、長崎奉行に密告。さっそく手が回った…というしだいのようです。毎回言ってるけど、蒼井優ちゃんて凄いな。去年の長沢まさみとは段違い、格が違うってかんじ。宴席でにこやかに愛想笑いしながら、チラッチラッと真顔や無表情になる瞬間があって、そのあたりの落差に、なんというか、凄みがあります。
で、下関で西郷の到着を待ち続ける龍馬とコゴちゃん。ここでふたりのちょっとした対話があります。
コゴちゃんは、この同盟が出来たら君は薩摩に取り立てられるとか、そういう話なのかと聞きます。そんな打算は一切なく、龍馬は純粋に「桂さんらに日本を守ってもらわんとなりませんき。ワシの望みは日本が開かれて世界と肩を並べるようになることで、そのためには命も要りません」と。
この言葉に驚くコゴちゃん。もちろんコゴちゃんも私心なく、ひたすら長州のため、日本のために命を張ってるわけです。ただ、そういう無私のココロを、長州人以外の人が持ってるとはコゴちゃん思ってなかった。それで驚くわけです。コゴちゃんの気づきですね。
「でもワシには夢がある。それはいつか家族を船にのせて世界一周に旅立つことで、死んじゃったらそれも出来ない。だから命は要る」とアッケラカンという龍馬。このあたりも良かった~。思いつめ過ぎず、どっか外した感じの龍馬のキャラがよく立っていました。
そんなバカ話をしているところに、慎太郎が到着。ボロボロになった慎太郎は、「西郷は来ない。下関をスルーして京都に行っちゃった」と。その理由は分からず、「何故じゃ、何故なんじゃ~~!!」って手足バタバタさせて絶叫する慎太郎…。
さっきまで和んでいたコゴちゃんも鬼の形相になり、「信じたボクがバカじゃった。二度と顔を出すな」と龍馬に言い放って、その場を立ち去ってしまいます。
今週の福山サンは素晴らしく、最後の龍馬の、どうしようもない一筋の涙まで完璧だったと思います。さあ来週はどうなるか!
まあ、薩長同盟の結末とかは日本人なら誰でも知ってることなので、そこをどう予定調和でなく、緊迫して見せられるかがドラマの腕の見せ所ですよね。期待してるので、頑張ってくだされ。