張華「励志」より
仁道不遐
徳輶如羽
仁の道は遐(とお)からず
徳の輶(かろ)きこと羽の如し
54×17cm
自作料紙
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【口語訳】
仁の道は遠くにあるわけではなく
徳は羽のように軽くて身につけやすい。
4句8行で、全体は、以下の通りです。
仁道不遐
徳輶如羽
求焉斯至
衆鮮克挙
大猷玄漠
将抽厥緒
先民有作
胎我高矩
仁の道は遐(とお)からず
徳の輶(かろ)きこと羽の如し
焉(これ)を求むれば斯(ここ)に至るも
衆は克(よ)く挙(あ)ぐること鮮(すく)なし
大猷(たいゆう)は玄漠(げんばく)なるも
将(まさ)に厥(そ)の緒(しょ)を抽(ひ)かんとす
先民(せんみん)作(な)すこと有ありて
我に高き矩(のり)を胎(のこ)せり
【口語訳】
仁の道は遠くにあるわけではなく
徳は羽のように軽くて身につけやすい。
求めればすぐに得られるのに、取り上げようとする人は少ない。
大道は奥深くひそやかなものではあるが、まずは糸口を引き出そう。
いにしえの賢者は偉大な事業をなし、我々に立派な教えを残した。
岩波文庫「文選 詩篇(一)」による。
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「仁」というのは、「愛」に近いものとして考えればよいでしょう。
「人徳」というのは、結局、「愛の実践」からくる、「徳」。
そういう「人徳」は、難しい修行を経て獲得されるものではなくて
実は、簡単に身につくものだというのです。
ただ、人々は、それを知らず実践を怠っているだけだ。
まずは、先人の教えに耳を傾け、そこから愛の「端緒」を見出そうというわけ。
そういえば、聖書にも
「求めよ、さらば与えられん。」という言葉がありましたね。