Yoz Art Space

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一日一書 1603 あの町この町 野口雨情

2020-03-31 21:14:16 | 一日一書

 

野口雨情

 

あの町この町

 

半紙

 

爪楊枝

 

 

  あの町この町

 

あの町 この町、

日が暮れる 日が暮れる。

今きたこの道、

かえりゃんせ かえりゃんせ。

 

お家が だんだん、

遠くなる 遠くなる。

今きたこの道、

かえりゃんせ かえりゃんせ。

 

お空に ゆうべの、

星が出る 星が出る。

今きたこの道、

かえりゃんせ かえりゃんせ。

 

 

特に二番の「お家が だんだん、遠くなる 遠くなる」が

なぜかいつまでも身にしみます。

「だんだん遠くなる」のが、年をとるにつれて

いろいろなものに変わっていくようですね。

 

遠くならないように、いつも近くにあるようにするには

いったいどうしたらいいのでしょうか。

 

 

 

 

 

 


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一日一書 1602 菜の花や月は東に日は西に 蕪村

2020-03-30 21:10:16 | 一日一書

 

蕪村

 

菜の花や月は東に日は西に

 

半紙

 

 

これほど「空間」を感じさせる句は珍しいですね。

 

 


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一日一書 1601 海

2020-03-29 20:51:02 | 一日一書

文部省唱歌

 

 

半紙

 

爪楊枝

 

 

松原遠く消ゆるところ

白帆の影は浮ぶ。

干網浜に高くして、

鷗は低く波に飛ぶ。

見よ昼の海。

見よ昼の海。

 

島山闇に著(しる)きあたり、

漁火(いさりび) 光淡し。

寄る波岸に緩くして、

浦風軽(かろ)く沙(いさご)吹く。

見よ夜の海。

見よ夜の海。

 

 

小学生のころ、この1番はまともに歌いませんでしたね。

「松原とおちゃん、消ゆるかあちゃん」って歌って、ゲラゲラ笑ってました。

だから、その後の歌詞はぜんぜん覚えてない。

まして2番なんて。

 

阿久悠はヒットの条件として

替え歌を作りやすいこと、というのを挙げていました。

まあ、この文部省唱歌が、そこを考えていたとは到底考えられませんが。

 

子どもは楽しむ天才です。

 

 

 

 


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一日一書 1600 寂然法門百首 19

2020-03-28 17:22:54 | 一日一書

 

内謂涅槃如石泉水

 

すみはつる心のうちの涼しさを山井(やまい)の清水汲みてこそ知れ
 

半紙

 

 

【題出典】『止観輔行伝弘決』一・三

 

【題意】 内謂涅槃如石泉水

内は涅槃を謂う。石泉水の(中より生ずるが)如し。

内楽は涅槃という。それは泉から湧き出る水のようだ。

 

【歌の通釈】

澄みきった心の中の涼しさ(涅槃の楽)を、山の井の清水を汲んで知るよ。

【考】

内楽(涅槃楽)は、石泉のように自らの心の中から湧き出て、外から汚されることなく澄んでいる。この「石泉」を「山の井の清水」という歌ことばに置き換えて詠んだ。山から湧き出る清らかな水の姿に、澄みきった心に湧き出る涅槃楽のあり様を知る。



「涅槃楽」の意味は難しくてとても説明できませんが、簡単に言えば、悟りの一つの境地でしょう。

こんな清らかな境地に到達できれば幸せですね。「自らの心の中から」湧き出る澄みきった水──それを発見するには、おそらく長い修行が必要なのでしょう。

「涼しさ」が、悟りのキーワードであることは確かなようで、ここにも仏教の独特な世界がありますね。

 


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一日一書 1599 故郷を離るる歌 文部省唱歌

2020-03-28 09:31:23 | 一日一書

文部省唱歌

 

故郷を離るる歌

 

半紙

 

爪楊枝

 

 


園の小百合、撫子、垣根の千草。
今日は汝(なれ)をながむる最終(おわり)の日なり。
おもえば涙、膝をひたす、さらば故郷。
さらば故郷、さらば故郷、故郷さらば。


つくし摘みし岡辺よ、柳の土手よ。
小鮒釣りし小川よ、柳の土手よ。
別るる我を憐(あわ)れと見よ、さらば故郷。
さらば故郷、さらば故郷、故郷さらば。


此処(ここ)に立ちて、さらばと、別(わかれ)を告げん。
山の蔭の故郷、静(しずか)に眠れ。
夕日は落ちて、たそがれたり、さらば故郷。
さらば故郷、さらば故郷、故郷さらば。


 作詞は吉丸一昌。唱歌では「早春賦」や「お玉じゃくし」などが有名ですね。(って、今調べたところですけど。)

 メロディはドイツ民謡ということですが、そのせいか、どこか「骨太」な感じがします。それに比べると歌詞が感傷的で、その落差みたいなのが面白い。

 とくに、最後の「さらば故郷、さらば故郷、故郷さらば。」が子どもの頃歌っていても、なんかカッコいいなあと思ってました。楽譜をみると、pp→p→f ってなっていて、そういえば先生が、このクレッシェンド(でいいのか?)を体全体で示しながら指導していたような記憶があります。

 一番の出だし「そののさゆり」が、「その のさゆり」だと思って歌っていたフシがあり、「のさゆり」って何だ? っていう疑問も心のどこかに根深くあったようですが、「園 の 小百合」だったんですね。ここが、この歌詞の欠点といえば欠点かも。

 

 


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