プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

浪江町の慰謝料「増額」の仲裁案、東電受け入れず

2014-06-29 09:36:47 | 日記
 浪江町の住民約1万5,000人が(精神的な苦痛に対する)慰謝料の増額を申し立てていた件で、仲裁役の原子力損害賠償紛争解決センター(ADR)が出していた、
①75歳までの住民には、過去2年分、慰謝料の月額を5万円増額する
②75歳以上の住民は、過去3年分の慰謝料を8万円増額する
 との(町側は受け入れを表明した)和解案に対し、
一律5万円の積み増しは拒否、75歳以上の住民でけがや病気のある人たちのみに月額を2万円上乗せするとの回答を示したとのことです。

 東電は、(月額10万円の)「指針から乖離し、公平性を損ないかねない」と説明しているとのことですが、その指針は交通事故の自賠責保険の基準を参考にしたものだそうです。自賠責は賠償を最低限度補償するもので、決して十分なものではありません。しかも、浪江町や飯舘村などの住民はは、事故直後から線量が高く、避難すべき場所だったにも拘らず、政府や自治体(浪江町すらも)も情報を隠蔽し、1ヵ月半以上も高度の被曝を強いられています。

 当初は30キロ圏内から避難してくる避難民の支援すらしていた同町の住民にとって、線量が高いという情報が入ってくるにつれて、大きな不安を抱いたはずです。結果、避難指示が出た時は、非常に大きなショックを受け、またそれまでに大量の被曝をしたことへの恐怖感や、今後の健康への影響を案じているはずです。初めから避難した人の精神的負担も、僅か10万円で贖えるものだとは思いませんが、浪江町の住民は、少なくともそれ以上の負担を強いられたと認定すべきだと思います。

 馬場波江町長は、和解案受け入れを東電に求める上申書を同センター(原発ADR)に提出、東電が再建計画で「原発ADRの和解案を尊重する」とした「誓いを自ら破るもの」として批判しています。また、浪江町を含む双葉郡8町村で作る「双葉地方町村会」も、国と東電に対して、(仲裁案)同様の一律の賠償の増額と、原子力損害賠償紛争審査会の「指針」の改訂(慰謝料の増額)を求めています。

 こうした東電の対応に対しては、「誠意を持ってやってほしい」(大熊町町長)、「和解案の尊重を常々求めてきた。今回の姿勢は遺憾」(福島県原子力損害対策課)との声が挙がっていますが、賠償における、不誠実で傲慢な東電の姿勢は今回だけではありません。そもそも損害賠償は最終的に電気料金から徴収されるもので、(東電を生き残らせるために)多くの電気利用者が、被害者に対して広く薄く支援をしている構図になっているのです。東電の「腹」は少しも痛まないのです。このような対応には、憤りを禁じ得ません・・・

P.S. 今後、ADRが東電を説得し、仲裁案を東電が受け入れない場合は、協議は打ち切られ、裁判を提起するしかありません。東京都に避難している女性(79歳)は、「裁判になったら10年は掛かるのでは。結論が出たときに自分は生きているだろうか」と吐露されています。女性は現在、借り上げ住宅に旦那さん(86歳)と暮らしていますが、(以前のような活動ができないからでしょう)夫の認知症が進み、ご自身も衰えを感じるようになってきたとのことです。事故前なら、野菜を貰ったり、お米も安く買えていたものが、都会では生活費が嵩み、増額を望んでいたということでした。女性は東電の対応に、「薄情すぎる」そう仰っています・・・

P.S.2 福島県本宮市に避難している男性(66歳)は、「被害者の身になっていない。都合が悪いことは切り捨てる」と話されています。同男性は、東電が増額に応じることが事故の責任を認めることになると考えておられます。しかし東電は、(少なくとも今までの対応を見ると)自らが「加害者」とは思っていないように感じます。「加害者」ですらないのですから、「被害者」のことを考えることもない、というのが本当のところでしょう。寧ろ逆に、(利権にどっぷり浸かって、美味い「ご飯」を沢山食べてきたのでしょうが)国に原発を背負わされて、過酷事故の対応、汚染水対策も押し付けられて、廃炉や賠償業務までやらなければいけない「被害者」と感じているのではないでしょうか?・・・

P.S.3 愛媛県の伊予市議会(私の町の隣にあります)では、市民の提出した陳情、「現実的な避難計画が策定されるまで、伊方原発の再稼動を認めないよう国に意見書を提出すること」、に対して、「意見書」は出さないけれど、議会として陳情の趣旨に理解や賛同ができるとして、同陳情の
趣旨採決」を行ないました。同市は、市の一部が30キロ圏内に入ります。また同時に提出された大阪市の市民団体から出された陳情、「避難計画が策定され、住民の安全が保障されるまで伊方原発3号機の再稼動に同意しないことを求める意見書をていしゅつすること」も、同様に趣旨採択されています。至極道理なことと思うのですが・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月29日)