プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

「草むしり」除染

2014-06-13 10:34:45 | 日記
 (先日もお伝えしましたが)宮城県丸森町において町が負担した除染費用を、総務省の震災復興特別交付税で支援するという件ですが、その町が行なった除染というのが「除染」の名前に値しないものであり、国の支援というのも「支援」に値しないものでした。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)

 同町筆甫(ひつぽ)の佐藤さん(70歳)は、100メートルも離れていない隣家(福島県相馬市玉野)を含む玉野地区での除染作業では、重機を使って表土を剥ぎ、(良し悪しは置いておいて)屋根を高圧洗浄する様子を日々見ておられたそうです。そして除染に関する町の説明会が開かれたのが2013年2月、「除草はします。土は取りません」と言われ、「そんな内容ならやってもらわなくていい」と発言、町の職員は「国から予算が出ず、これ以上はできません」と答えています。土を取らなければ、放射性物質は取り除けません。予算の少ない総務省の「震災復興特別交付税」では、草引きしかできないということのようです。

それでも2013年6月下旬、佐藤さんが田んぼで雑草を引いていると、除染の現場監督らしい男性1人と他に男性2人、女性4人、近所の顔見知りが来て、マスクもつけないまま作業が始まったそうです。(田んぼから自宅に帰ると)正味2時間余りの作業が終わっており、黒い袋に半分ほど、むしった草が入っていたとのこと。雨樋の下など、放射性物質が集まっている場所が除染された形跡はなかったそうです。佐藤さんは自宅の草むしりをされているそうですが、これは除染ではなく単なる「草むしり」です。

 「草むしり」の予算は、環境省では付けられないから、(とても)枠の小さい総務省の「震災復興特別交付税」で、形だけ予算を取ったというわけです。復興に全く寄与しない「草むしり」で、除染をやったなどとは、福島県内と同じかそれ以上に放射能汚染されている地域の住民の方々に対して、余りにも馬鹿にした、冷淡な対応ではないかと思います。明らかな「除染差別」です。住民説明会では、「(方便でしょうが、お金を貰って)自分で草刈したほうがまし」との声が上がったそうですが、全くその通りだと思います・・・

P.S. 宮城県丸森町では、全町民が対象で東電から一度だけ賠償金が出たそうです。4万円。(スズメならぬ)「スズメバチ」の涙です。隣接する福島県相馬市も同様に東電から賠償金が全市民に出ています。12万円。スズメバチ3匹分の涙です。「賠償差別」だと思います。佐藤さんは、「お金が欲しいわけではない。同じように放射能を浴びているのに、待遇に差があることにびっくりしました」と話されています・・・

P.S.2 佐藤さんの住む丸森町は、畑や牧草地が広がり、農作業に携る人が多いそうです。原発事故前は、隣接する(福島県相馬市の)玉野地区の住民の方々とも親しく付き合い、キノコやタケノコを一緒に採りに行ったり、イノシシの肉を分けてもらっていたとのことです。自然に恵まれ、助け合いながら生活されてきたのだと思います。(それができなくなった今)さぞ、無念なことだと思います。しかも、仲良くしてきた隣人とは、原発事故による賠償や除染に「差別」が付けられ、どれほど悔しく辛いことかとお察しします。(私には何もできませんが)こうした「現実」があるということを(また他の地域にもあると思いますが)胸に刻み込みたいと思います・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月13日)