プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

あり得ない集団的自衛権行使の事例

2014-06-16 10:13:05 | 日記
 公明党が「限定容認」に傾いている集団的自衛権行使の事例が、「あり得ない」想定だということのようです。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)

 「避難する日本人を乗せた米艦を自衛隊が守る」、朝鮮半島有事で想定される事例だとして安倍総理が挙げたものです。連立与党を組む公明党も、「この例に絞るなら集団的自衛権を認められる」として調整に入っているとのことですが、この韓国にいる日本人の救出の計画を、米国は断っている経緯があるとのことです。

 日米両国は1997年、78年と「日米防衛協力のための指針」(所謂ガイドライン)を改定する際に、韓国に住む(約3万人の)民間人の「非戦闘員救出作戦」(NEO)で一旦は合意しましたが、98年にガイドラインに基づく「周辺事態法」を作る時に、米国側からの強い意向で、このNEOはメニューから外されたそうです。つまり、米艦船に日本人が救出されるという想定は、まずないということです。

 韓国には約20万人の米国人がおり、その「救出」だけでも容易なことではないと思います。また、98年までの日米交渉において米国は、「米軍による救出・保護作戦での国籍による優先順位」を日本に伝えていますが、当然ながら米国籍を持つ者が最優先で、次いで米国の永住許可証の所有者、そして英国やカナダの国民となっており、日本人は「その他の外国人」で最低ラインの扱いに過ぎません。

 元自衛隊の幹部は、「自国民を避難させるのは、自国の責任でするのが大原則。日本人を乗せた米艦を自衛隊が守るとの想定に説得力は殆どない」と指摘しています。現在の自衛隊法では、派遣先での安全が確認されていないと自衛隊を派遣できませんし、相手国(朝鮮半島有事なら韓国の)同意がなければそもそも自衛隊を派遣することができません。自国民を守る為に自衛隊を派遣すると言うのならば、「自衛隊法」の改正をまず議論すべきです。

 しかしいくら自衛隊法を改正しても、(誠実のセオル号での救助支援すら断られたように)悪化した日韓関係では、韓国側が日本の軍隊を受け入れる「同意」を与えるとは思えません。両国間の関係を冷え切ったものとした安倍総理の外交政策こそ、日本人「救出」を困難なものにしている「元凶」ではないかと思うのです・・・

P.S. この安倍政権の出した想定で、北朝鮮が韓国や米国を攻撃し、日本には攻撃をしない状況を「想定」していますが、北朝鮮にとって、米軍基地を世界一置いている日本は、米国と一体のものであって、軍事的に不可分のものではあり得ません。日本も同時に攻撃対象となり、原発などが狙われるのは火を見るより明らかです。米軍の支援どころか、日本を守ることで手一杯ではないかと思うのです・・・

P.S.2 しかも、自衛隊の支援行動を(韓国領海での活動は韓国の了承が必要)公海上に限っていますが、そこまで(米国は断っていますから)誰が日本人を救出して連れて来てくれるというのでしょうか?限定容認を引き出す為だけの、姑息な「あり得ない」想定だと思います・・・

P.S.3 政策研究大学院の道下教授によると、朝鮮半島で戦争が起きれば、日本は周辺事態法などに基づいて米国を支援することになっており、韓国防衛への協力も「事実上」約束してしまっているのだそうです。ですから、今、集団的自衛権の行使云々の問題ではないわけです。日本全域を射程に入れているノドンを配備し、小型化された核爆弾すら打ち込む可能性すらあるのです。同教授は、「日本の安全保障を考えるには、平時やグレーゾーン事態(準有事)が有事に進展しないよう、リスクを管理し、抑え込んでいくことが重要だ」と指摘されています。北朝鮮、そして韓国、当然ながら米国や中国との良好な関係を構築していく外交努力が今一番求められているのであって、集団的自衛権の行使容認によって日本が得られる「安全保障」など何一つない(米国は大歓迎でしょうが、逆に韓国、中国、北朝鮮との関係悪化をもたらすだけ)だと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年6月16日)