プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

ALPSトラブルで停止

2014-03-19 09:34:55 | 日記
 東京電力は18日、ALPSの3系統ある処理系等の内、B系統で(理由はわかっていませんが)処理ができなくなっていたと公表しました。(参照・引用は『朝日新聞』)14日には異常がなかったとのことですが、17日にB系統の処理後の汚染水を調べた結果、通常は(1ℓ当たり)数百ベクレルのベータ線を出す放射性物質が(1ℓ当たり)1,000程度残っていたとのことです。(某報道では数千ベクレル残っており、殆ど処理できていない数値だそうです)

 3系統で処理された汚染水は、1つに集めてからタンクに移送していたということで、他の2系統も停止した(現在処理能力を確認中)とのことです。3系統同時の運転は、先月の12日に開始したそうですが、ポンプの故障などトラブルが相次いでいます。(原因も分かっていませんが)B系統が処理できなくなった日時も(15日なのか、16日なのか、17日なのか)分かっていません。

 ALPSは1系統で1日250トン処理でき、3系統で(1日)750トンです、2日で1,500トン、3日間なら2,250トン、これだと少なくとも3基のタンクに高濃度汚染水が混じった放射能汚染水が入ってしまっています。疑問なのは、何故、3系統の処理後の汚染水を1つにまとめて移送するのかということです。1つの系統が(フィルターの目詰まりなどで)処理できなくなると、他の(せっかく)正常に処理できた500トンの汚染水にも高濃度の汚染水に汚染されてしまいます。一緒にしなければ、少なくとも1日500トンは処理できるのですし、(他の2つの系統を)止める必要もありません。

 もう1つ疑問なのは、処理不能の状態に3日間気づかなかったのは、3日に1度しか放射性物質の濃度を測っていなかったということです。1日1系統想定し、3日で一巡するということなのかもしれません。この体制だと、3日分処理したものが(再び)全て汚染されてしまいます。(もったいないと思います)毎日測定し、それぞれの系統ごとに移送すれば、こうしたリスクを9分の1に減らすことができます。ALPSの運転、運用に問題があるように思うのです・・・

P.S. 大阪大学の神里准教授は、「日本で原発を動かすうえで問題なのは、セカンドオピニオンが得られないこと」だと指摘します。「米国では民間とは別に、軍が原子力の技術を持って」おり、「民間で事故が起きると、軍の専門家が検証する」、「複数の原子力村の間に緊張感がある」と言われます。「原子力産業からお金を貰っていない人、しがらみのない人、そういう(専門家の)組織が議会に常駐するだけでも、国会質問は本質的なものになり、行政に対する牽制にな」る、こうした「市民のための専門家」集団が国会でテクノロジー・アセスメント(技術評価)を行なう流れが、欧州では顕著になってきており、「テクノロジー・アセスメント(技術評価)機関を議会に置く」ように提言されています。やはり、複数の検証機関がなければ、「神話」が構築されてしまします。日本も原発を続けていくというのならば、こうした制度、体制は(最低限)不可欠なものだと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年3月19日)

国による実効性のある避難計画を!

2014-03-18 11:01:32 | 日記
来日している元米国原子力規制委員会委員長のヤツコ氏は、新潟県泉田知事と会見し、「地元の避難計画はできているのか」と質問、それに対して知事は、「機能しない計画は作れるが、実効性が伴わない」、(労働者の被曝線量が法令で厳しく定められているので)「住民(の)輸送に必要なバスの運転手に、避難区域に入る指示を出すのは困難」、「民間人の(被曝)線量基準を緩めるか、救助してくれる部隊をつくるか、この合意なしに自治体に避難計画を作らせるのは無理」だと指摘しました。

 この回答にヤツコ氏は、「避難計画が不十分なら、米国では原子力規制委員会が原発停止を指示する」と返しています。世界でもっとも厳しい規制基準だと胸を張る安倍首相ですが、米国では実効性のある避難計画がなければ原発を稼働することすらできないということをご存じないのでしょう。世界有数の地震大国に、世界で最も原発が密集し、しかも原発周辺住民が世界で最も多く、コアキャッチャーすらない古い原発ばかりで、(原発推進組織の)IAEAですら求めている「住民の避難計画」は(泉田知事が言うように)「形だけで実施には機能しない」ものなのです。

 これで再稼動しようなどというのは「事故の教訓」を全く得ていないと言わざるを得ません。再稼動一番乗りが懸念される川内原発の30キロ圏内の9市町では、全て避難計画を作っているそうですが、殆どの首長が、「要援護者の避難支援」や「地震、津波など複合災害時の対策」、「避難時の渋滞対策」、「安定ヨウ素剤の配布」などが課題だとしています。やはり、現実に有効な計画を立てるには、自治体だけでは困難で、周辺自治体と共に、国が避難計画を策定し、原子力規制委員会がその実効性を審査するべきだと思うのです・・・

P.S. 朝日新聞による世論調査では、原発の再稼動について「賛成」は28%、反対派59%で倍以上の方が反対しています。また将来はやめる「脱原発」については「賛成」が77%で「反対」の14%の5倍以上の方が「脱原発」を支持しています。(言葉は違いますが)NNNの世論調査でも、「規制基準を満たした原発の再稼動を「支持する」は32%に対して「支持しない」が約58%と倍近く、安全確保を前提にした将来にわたっても一定程度原発を続けていくを「支持する」が37%に対して、「支持しない」(「脱原発」)が約52%と大きく上回っています。これが「民意」の大勢だと思います・・・

P.S.2 (同じく『朝日新聞』の調査では)福島第1原発以外で大事故が起きる不安について、「多いに感じる」36%、「ある程度感じる」50%と86%もの人が不安を感じています。原発再稼動に酸性の人でも、69%の人が不安を感じていると答えています。さらに高レベル放射性廃棄物の最終処分場がないことについては、「大いに問題」が76%、「ある程度問題」が19%と95%の人が問題だと考えており、再稼動に賛成の人でも「大いに問題」が56%、「ある程度問題」が34%と90%の人が問題だと思っているます。逆に問題だと思わない人の「道理」が(私には)理解できません・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年3月18日)

児童養護施設での虐待

2014-03-17 10:13:35 | 日記
 厚生労働省の調査で、虐待や死別などの理由で児童養護施設に入ったり、里親に育てられている子どもたちへの、(本来なら保護するべき立場の)施設職員や里親から虐待を受けている子どもたちが、2012年度71件確認され、被害にあった子どもも173人に上るそうです。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)調査を始めた2009年度以降の最多で、「施設職員や子どもに虐待の問題が知らせるようになり、通報が増えたのではないか」と厚労省は見ているそうですが、調査で分かったものは、(私は「暴力」だと思っていますが)虐待のほんの一部に過ぎないと思います。

 虐待(暴力)で最も多いのが「身体的虐待(暴力)」の45件、「性的虐待(暴力)」が13件、暴言などの「心理的虐待(暴力)」が10件、世話の放棄などの「ネグレクト」が3件などとなっています。被害にあった子どもの男子が106人、女子が67人、施設別では児童養護施設が51件で最多、里親・ファミリーホームが7件です。虐待(暴力)から保護されるべき子どもが、その施設で虐待(暴力)を受けるという非常に過酷な現実があります。

 (私は観ていないので内容も描き方も分からないのですが)「明日、ママがいない」に関して、「全国児童養護施設協議会」が、「偏見を生む」として抗議をしたそうですが、施設にいる子どもたちや真面目に職務に取り組んでおられる職員に「偏見」の目が向けられるのは問題ですが、「同協議会」の副会長が言われるように、「虐待の問題への意識は施設ごとで差がある。こうした事実があることを受け止め、全体で改善しないといけない」と思います。

 ただ、「特に性的虐待(暴力)は発覚しにくく、実態をつかむのは難しい」との専門家の指摘があるように、本当のところは闇の中だと思います。以前、全米でカトリックの(確か数百人もの)神父による性的虐待(暴力)が問題になりましたが、(家庭も学校などもそうですが)密室に近い状況で、身体的にも心理的にも経済的にも強者の立場にある親や大人たちから、子どもたちに向けられる虐待(暴力)から、身体的にも心理的にも経済的にも圧倒的に劣る弱者の立場の子どもたちが逃れる術は殆どありません。とても深刻な問題だと思います・・・

P.S. (いじめもそうですが)虐待(暴力)の問題で一番大事なのは虐待(暴力)を受けている子どもたちを救い出すことと、その心理的身体的なケアだと思います。一方、虐待(暴力)を絶つのに一番大事なのは、虐待(暴力)を行なっている側(大人でも子どもでも)のケアだと思います。子供同士いじめを行なっている子どもの場合、その子ども自体が家で)虐待(暴力)を受けている可能性は高いと思います。また子どもを虐待して(暴力を振るって)いる親も、子ども時代に)虐待(暴力)を受けている確率が高いと思っています。)虐待(暴力)には連鎖があるのです。そのループを絶たない限り、問題の「解決」にはならないと思うのです・・・

P.S.2 福島第1原発で1~5号機に使われている「マークⅠ型」と呼ばれる原子炉格納容器の改良を担当していた(当時GEの技術者だった)ブライデンボー氏は、1976年2月、「マークⅠ型」の欠陥を「問題はとても重大で、その結果は受け容れ難いもの」と米国議会で証言しています。その問題点について同氏は、「GE(ジェネラル・エレクトリック)の沸騰水型の原子炉は、、炉心の圧力容器から水蒸気が放出されてきた場合、格納容器の下部(サプレッション・ルーム)の水中にそれを導き、水で冷やして液体に凝縮させ、圧力を下げる仕組みになっていいる」、「その際、プール内部に、局所的に高い水圧と強い衝撃が加わる。それがプールにダメージを与える恐れがあった」と指摘しています。正しく「マークⅠ型」は「欠陥商品」だったということのようです・・・。

P.S.3 ブライデンボー氏は76年1月には、「速やかな是正策が約束されない限り、マークⅠ型の原発の運転に賛成はできないと・・・電力会社に言うべきだと(上司に)上申」していますが、「そんなことをしたらGEの原子力ビジネスは終了だ」と拒否されています。当時国内では売れなくなっていた「欠陥商品」のマークⅠ型を日本は米国から「プレゼント」されたわけです。GE(と日立)のビジネスのために、5基も福島第1原発は買ったわけですが、福島第1原発の事故時に、2号機のサプレッション・ルームで爆発音が聞こえています。未だ原因は特定されていませんが、同氏の言われるように。高温高圧の放射性物質を含んだ水蒸気が、サプレッション・ルームに損傷を与えたのかもしれません。「欠陥商品」ゆえの「事故」だったのでしょうか・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年3月17日)

原発事故と心の対立

2014-03-15 10:26:11 | 日記
 原発事故によって、様々に避難住民同士や避難先との住民などの間で対立が生じ、心がすれ違う状況があるようです。(以下、参照・引用は)賠償金をめぐる心の対立は以前から言われていますが、福島県いわき市のある仮設住宅には監視カメラが設置されたそうです。高級車ばかりが7台、フロントガラスが割られ、ペンキが掛けられる事件が起こったからです。賠償金が少ない、或いは貰っていない人の妬みが起こした事件かもしれません。

 また、いわき市役所に、「被災者帰れ」という文字がスプレーで書かれていたとのことです。同市には、津波の被害を受けても殆ど賠償を得られなかった地元住民がいるとのことで、東電から賠償のある原発避難者に対する津波被災者の感情的な対立が背景にあるとのことです。さらに同じ原発避難者の間でも、賠償額に差があり、賠償金でパチンコに入り浸る一部の避難者もいるそうで、そうした住民同士の間でも感情的な対立が生じているそうです。

 また、「子どもが高校を卒業するまでは」と福島市に家を買ったある避難者のお母さんは、地元の集落の人々に「村を捨てるのか」、「墓はどうするのだ」と言われたそうです。今後帰還するかどうか、子どもが小さい間は避難先で暮らそうと思っても、そうした感情的なすれ違いが生じています。また、(昨日も、これまでも書きましたが)妻子が自主避難していることを職場で話せない方もおられるそうです。仲間はずれにされたくないとのお気持ちだそうで、自主避難した人としないで住んでいる住民との気持ちにも「対立」が生じています。

 また自主避難せずに住み続けている方は、「この線量なら、家族一緒に今までどおり暮らす方が子どもも幸せ」と仰っています。それも道理だと思います。でも、それでも被曝や健康被害への不安や恐れを抱かれておられるのだろうなと思うと、非常に胸が痛みます。これらの対立は、原発事故を起こした東電、原発を推進してきた国、そして誤った避難指示を出した当時の政権に大きな責任があるかと思います。またそうした国や電力会社の言うがままに生きてきた私たちの愚かさにも原因があるのかもしれません。いずれにしても、不幸な対立だと思うのです・・・

P.S. 山形県米沢市では、沿岸部からの強制避難された方と内陸から自主避難してきた方々が、地元の自治会に一緒に入って支え合っているそうです。「補償額などの違いはあるが、放射能から家族を守りたいのは同じ。自主(避難)とか強制(避難)とか区別するのは無意味だ」と言われています。本当にその通りだと思います。上記の家を買ったお母さんは、「誰も間違ってはいない」と心を吹っ切ったそうです。誰も間違ってはいないのだから、それぞれの判断を認め合う、立場は違っても支え合う、そうなればと思います・・・

P.S.2 「震災関連自殺」者と判断された方は、2011年(6月から12月までの半年で)55人、12年は24人、そして昨年は38人と増加に転じたそうです。被災3県別で見ると、福島県が10人増加して23人、宮城県は7人増の10人、岩手県は4人減って4人です。(やはり原発事故の影響でしょうか)年代別でみると、40代が3人増の6人、50代が8人増の13人、80歳以上が4人増の7人と中高年の方の自殺が増えています。原因・動機別でみると、「鬱病」が5人増の13人、「身体の病気」が6人増の8人、「経済・生活問題」が4人増の9人とのことです。精神的・身体的な病気や経済的な負担が避難生活を強いられている方々を追い詰めている現状ああるのだと思います・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年3月15日)

「自主避難者」による損害賠償訴訟

2014-03-14 10:27:13 | 日記
 福島県から松山(愛媛県)に避難している6世帯12人の避難者の方々が、東電と国を相手取って(1人当たり550万円の)損害賠償訴訟を松山地裁に提起しました。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)12人のうち、5世帯8人が自主避難されてきています。野垣弁護団長は、「日本の避難基準はチェルノブイリ原発事故の時より危険。当然の避難なのに、自主避難に対する国の補償が少ないのはおかしい」としています。実際(間違っていたら済みません)、「原賠審」の指針では、子ども1人に対して40万円だけの支給です。自主避難で原告の渡部寛(ひろし)さんは、「自主避難者にも、避難の権利を認めるよう、国の政策転換」求めています。「支援法」はできましたが、実質的に「自主避難者」への支援は殆どないのが現実です。

 避難者の方々を全面的にバックアップされている、石手寺の加藤ご住職は、自主避難された方々の思いを綴って冊子を作られています。「訴訟は被害の回復だけでなく、事故原因を明らかにするため」と話されている(上記、自主避難で、福島同様に農業を継続されている)渡部さんは、「政府が・・・適格な支援策を講じなければ、個々人が独力によって自らの展望を見出すのは難しいこと」だと(冊子の中で)述べておられます。実際、専業農家として再出発するのに、2011年だけでも200万の支出をされています。

 また福島県いわき市から(娘さん2人をつれて)自主避難されているお母さんは、「自主避難の為東京電力の仮払いは受けておらず、引っ越し費用約40万円や、借りたアパートの保証金なども自前」、「愛媛県には・・・民間賃貸住宅の借り上げ制度もないため、家賃5万8,000円も全額負担する必要がある」と述べられています。殆どの支援のない中、経済的な負担が重く「自主避難者」の方々に圧し掛かっています。

 経済的な負担だけでなく、精神的な負担が「自主避難者」の方々にはあります。(皆さんの声を綴ると)「自主避難という立場は、同じ被災した仲間を捨ててきた罪悪感が常に付いて」くる、「自主雛なので、故郷の役所は『勝手に行ったんだろ』と、態度は勿論、女性の職員には口でも言われた」、「国が福島市や群山市を危険と認めてくれないので、夫婦間も意見が合わず関係に溝ができてしまった」、「精神的被害を受けたのは避難区域だけじゃない。原発事故で線量が何十倍になった地域にも損害金(慰謝料)を支払うべき」「福島市も決して低い放射能の数値ではない。住み続ければ、必ず危険なはずなのに、群山も(福島市も)、福島の人はたちは見捨てられた感じ」、(茨城県から自主避難したお母さんは)「地元に残った人が普通で、私は、おかしい、んです」と述べられています。

 「自主避難」をされた方々が、経済的にも精神的にも非常に追い詰められているという現実があります。さらに訴訟となると、大変な負担となると思います。石手寺での交流会を通じて結成された「自主避難の会」では、「(自主)避難を正当と認め、移転費用などの支援を受けられる『避難権利区域』を広く設定するよう求めて」います。「支援法」の基本計画は未だ作られず、明確な汚染区域の設定はありません。「ウクライナ法」同様、年間被曝1mSvを超える地域を、「移住の権利ゾーン」として設定し、移転費用や住居への支援、また雇用支援を行うべきだと思うのです・・・

P.S. 福島県から自主避難されている方は5万人以上おられるそうで、(上記の茨城から避難している方など)それ以外の汚染地域から自主避難されている方々を含めるともっと沢山おられるのだと思います。(避難指示が出た原発避難者の半数ぐらいに上るのではないでしょうか)そして、避難解除される田村市都路地区の、帰還しない方々は、今後その(1年間はありますが)賠償のない「自主避難者」となります。「自主避難者」が増えていくということになり、益々その方々の支援が必要な状況になってくるように思うのです・・・

P.S.2 (自主避難者、避難指示のある方も含めてた)訴訟が全国的に起きています。岡山地裁では、34世帯96人が、「原発事故で平穏な生活が奪われたとして」、1人当たり1,100万円の損害賠償を求める訴訟が、東京地裁には、福島、栃木の住民や首都圏への避難者など278人の方々が集団損害賠償請求訴訟を起こしてます。本来あるべき補償があれば、大変な負担を抱えながら裁判など起こす必要などないのですが・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年3月14日)

原発作業員被曝量の増加

2014-03-13 10:28:32 | 日記
 (某報道によると)9日、放射能汚染した冷却水から塩分を取り除く装置の近くの水溜りから、ストロンチウムなどのベータ線が1ℓ当たり2,300万ベクレルが検出された問題ですが、配管等からの汚染水漏れはなく、以前漏れた際に放射性物質が残存していたとのことです。2,300万ベクレルというのは、溶けた燃料を冷やした直後の汚染水と同程度で、非常に高いレベルです。前回漏れた際の除染がきちんとできていなかったと思われ、作業員の被曝が懸念されます。

 福島第1原発の作業員の被曝量が昨年の7月以降増加しているそうです。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)遮水壁工事の開始や、タンクからの汚染水漏れや見回り人員の増員などで、1ヶ月で5mSv以上被曝した作業因数が、6月には98人だったものが、7月は117人、8月186人、9月312人、10月には398人に増加しています。タンク周辺で作業する作業員の方々の被曝を心配していましたが、やはり被曝量は増えているようです。

 これまで福島第1原発で事故後に作業した3万2,034人のうち、累積被曝量が100mSvを超えたのは173人、50mSv超えは1,751人、5mSvを超えたのは1万5,363人で、作業員の半数近くに上ります。被曝量5mSvというのは白血病労災認定基準(年間)を満たす基準で、また放射線管理区域を設定しなければいけない値です。ちなみに、(年間被曝)25mSvが悪性リンパ腫の労災認定基準で、(累積)100mSvは胃癌、食道癌、結腸癌の認定基準です。

 こうした作業員の大量の被曝は、東電の被曝管理が杜撰であることを証明しています。事故当初は、線量計すらつけずにどのくらい被曝したのかすら分からない状態でしたし、「線量隠し」も横行していました。作業員の方々の本当の累積被曝は分かりません。癌や白血病などの認定に影響が出てくる恐れもあります。厚労省は昨年11月、12月に立ち入り調査を実施し、放射線遮蔽板の設置などの指導を行ったそうですが、作業員の被曝を防ぐには(最早)東電だけでは不可能で、被曝の原因であるガレキの撤去や放射性物質の徹底した除染など、国が特別チーム(部隊)を組織して投入するぐらい「全面」に出るべきだと思うのです・・・

P.S.  タンクから高濃度汚染水が100トンも流出した事故ですが、漏れ出ていたのは10数時間に及んでいたのだそうです。ではその間、ずっと警報は鳴り続けていたということになります。・・・。その後東電は、作業員を10倍の(確か)90人体制にしましたが、そのぐらいの人員がいなければ見回れない広さなのだと思います。それだけ作業員に負担が掛かっていたと思われます。ちなみに、漏れた汚染水はベータ線で(1ℓ当たり)2億4千万ベクレルでしたが、これは300トンが漏れた時より約3倍に濃縮されており、(量自体は3分の1ですが)流出した放射性物質の総量は前回と同程度で、前回と同じ重大な漏出事故だったと言えます。いずれにしても、こうしたトラブルを「コントロ-ル」できる状態ではなく、作業員の被曝は益々増加するのではないかと思うのです・・・

P.S.2 原発事故による避難で子供数が減少し、閉校や休校になる小中学校が7校あるそうです。原発から北西60キロにある大波小では、11年度の30人から13年度には1人となり休校となります。同小学校は、事故後の11年6月には校庭の放射線量が年16,3mSvあり、福島市が1mSv以下まで除染しましたが(本当でしょうか?)児童数は(当然だと思いますが)激減したとのことです。現在、区域外の仮設校舎に避難している38の公立小中学校の児童・生徒数は1万2,648人で、11年度の1万3,286人から僅か638人しか変わっておらず、依然、避難、仮設校舎での生活が続いているということです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年3月13日)

避難計画を再稼動の規制条件に!

2014-03-12 11:02:56 | 日記
 原発事故による防災計画を義務付けられた135市町村のうち、未だ4割の自治体が未整備で、辛うじて体裁を整えた自治体は5割に満たないそうです。(以下、参照・引用は『朝日新聞』)その一応立てた避難計画には、福島課第1原発事故で起きた避難時の大渋滞に関して殆どの自治体がシミュレーションすら行なっていません。また、避難期間を盛り込んだ自治体は、計画を策定済みか今年度内にまとめる81の市町村の内たったの8市町村だそうです。

 しかも、避難期間を一番長く設定しているのが松江町の半年だそうです。原発事故による避難は3年たっても(確か)未だに12万人の仮設暮らしの方々がおられます。(大渋滞したという)過去の「事実」も、未だに避難生活がいつまで続くか分からないという「現実」も無視されているのです。それどころか、「大震災の試練から我々が得た貴重な教訓を胸に刻み、災害に強い強靭な国づくりを勧めていく」との総理の言動をみれと、原発事故をなきものとして原発を再稼動し、復興の名の下に巨額の税金を公共事業につぎ込むために利用しているとしか思えないのです。ましてや避難住民への思いは露、感じられません。

 (少し話がずれましたが)避難計画の殆どで、(過日の愛媛県のシミュレーションもそうだと思いますが)夜間の場合や降雪、渋滞時などの対応が示せていません。(かつて)2009年に東海第2原発がある茨城県が、全国初の自家用車による避難訓練をした際に、原発周辺の道路は大渋滞したそうです。同県が昨年の夏に行なったシミュレーションでは、(原発から)5キロ圏の9割の住民が(30キロ)圏外に出るだけで15時間掛かると試算しています。(実際はもっと掛かるでしょう)また、「環境経済研究所」の試算では、高速道路が使えるという前提でも、大飯原発(福井県)が8時間、浜岡原発(静岡県)では63時間(6日間)掛かるとなっています。高速道路が使えなかったり、事故が起きれば、さらなる(道路の分断や大雪など)悪条件が重なれば、避難そのものが不可能になります。また、(避難経路や受け入れ先の)「自治体間の調節が進まない限り、避難計画を作っても絵空事」だと話す自治体の担当者もいます。

 (ご存知のように、米国とは違って)避難計画の有無とその実現性の可否は、再稼動の規制基準の審査対象にはなっていません。これは非常に重大で由々しき問題です。本来は米国のNRC同様に、規制委員会が審査し、避難が計画通りにできるのか、きちんとチェックすべきものです。事故が起きても、このままでは避難住民がバラバラに逃げ惑い、大渋滞や事故が誘発されることは避けられないと思います。避難時に沢山の方がなくなった入院患者や高齢者など要援護者の避難はさらに困難を極めます。そうした事態をどう解消するのか、そうした課題をクリアーできない限り、(電力会社の経営ばかりを優先し)原発の再稼動を行なうべきではないと思うのです・・・

P.S. 震災に関する報道が、新聞やテレビで1週間近く続き、(私もできるだけ観るようにしていたのですが)とうとうこの2日ほどは(量的に多いのもありましたが)観られなく(読めなく)なりました。実際、被災された人々は、こうした報道を観たり読んだりできるのだろうかと思いました。勿論、心打たれる話やシーンも沢山ありましたが、被災をしていない私でさえ、心抉られるような思いや痛みすら感じます。実際に体験し、今尚避難生活の中で痛みや苦しみ不安と直面している方々が、(震災を思い出す)番組や記事を観たり読んだりすることは、苦痛以外の何ものでもないように思います。風化させない、忘れないという意味で特集すうるのは構わないのですが、1週間も続けられると、(私にとってすら)苦痛以外の何ものでもないのです・・・

P.S.2 先日、安倍総理は田村市の都路地区の「帰還宣言」を出しました。しかし(何度も書いていますが)、(帰還されたい方もおられるのでしょうが)帰還政策が本当に良いものかどうかには疑義を感じます。(線量の多少はあっても)放射能被曝を、帰還した住民は避けることはできないからです。当然避難解除によって、賠償も打ち切られます。(切り捨てているようにしか感じられません)これでは、(被曝を受忍してまでは)帰らない方々も賠償されなくなります。その方々の家や土地などの財産は、どうなるのでしょう?きちんとした補償は得られるのでしょうか?帰還しない権利を認めるならば、そこまできちんとするべきだと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年3月12日)

甲状腺検査及び治療の全額負担を!

2014-03-09 10:52:47 | 日記
 福島の子どもたちにこれまで、甲状腺癌が33人、疑いのある子どもが41人出ています。しかし、北海道ガンセンターの西尾院長は、「今見つかるがんは原発事故前にできていた可能性が高い」と言われます。ガンの分裂速度から、「1センチになるには数年かかる」との理由からだそうです。(以下、引用・参照は『朝日新聞』)

実際これまでに、「症状のない子どもを、精度の高い超音波機器で網羅的に調べたことがなかったため、今見つかっているがんが多いのか少ないのか分からない」ということもあります。チェルノブイリ原発事故では、「甲状腺被曝線量の分かっている住民が子どもを含め31万人近くおり、線量とがん発生率を比較して被曝の影響を確定できた」そうですが、福島第1原発事故では、日本の子供たちの甲状腺被曝量は殆ど調べられなかった為、「がんが増えても被曝の影響だと結論付けられない」(渋谷東大教授)との危惧が出ています。

このままでは、現在がんが発見されている子どもたちは、被曝の影響ではないとされてしまいます。やはり(がんの成長速度から)被曝との因果関係を否定する、福島県立医大の鈴木教授は、「福島県外で大規模な子どもの甲状腺癌検査をするのは難しい。会津地方など県内で比較的被曝線量が低い地方との比較ができないか検討」しているそうですが、国連科学委員会は「外部被曝と甲状腺被曝量には相関性がない」としており、(もう放射性ヨウ素はありませんから)低線量地域の子どもと比べても科学的な証明にはなりません。

 (事故直後の放射性ヨウ素の放出量から、甲状腺の被爆量を一定程度推計はできるとは思いますが)やはり、海外の専門家からも指摘があるように、(時間と労力が、そして子どもの負担が掛かりますが)「被曝していない福島県外の子どもで大規模な調査をして比較すべき」で、疫学調査を行うしか被曝の影響があったか、なかったのかは分かりません。ただ、(甲状腺の県外比較検査を)実施するしないに関わらず、「甲状腺がんは18歳以上の人も発症する可能性がある。医療費を気にせず受診できる環境を国主導でつく」るべき(相馬市立谷市長)だと思うのです・・・

P.S. チェルノブイリ原発事故時に0~14歳だった子どもたち9年後に、15~18歳だった子どもたちは15年後に、19~34歳の青年では15年以降に癌の発症のピークがきています。(現在18歳までの医療費は無料ですが)「検査で見つかった甲状腺がんの治療費は、18歳を超えると家族や本人に負担が生じる」、「全国どこでも無料で検査が受けられるよう、福島で被災したことを聡明する『健康手帳』のようなものを県か国は作るべき」(日本医大清水教授)だと思います。また、19歳以上だった青年にも検査を無料で受けられえるようにして欲しいと思います。また他県でも要望が多いということですから、希望者への無料の検査を実施して戴きたいと思います・・・

P.S.2 (上記の)清水医師は、1999年から毎年ベラルーシを訪れて、甲状腺がんの患者さんを診察されており、「事故の影響はまだ続いている」、「低線量被曝には未解明の部分が多く、福島でどんな影響が出るのかは分からない。福島でも長期にわたり、影響の有無をきちんと調べていく必要がある」と仰っています。「原発事故がなければ必要のなかった甲状腺がん検査を受けた結果、見つかったがんなのだから、国が将来にわたって全額負担していくべき」と述べられています・・・

P.S.3 チェルノブイリ事故後、超音波検査が実施されたのは1990年以降で、それまでは精密な検査は行われていなかったということになります。精度の高い検査になったから、4年後以降のがん発見が急増した可能性もあります。(当時の)避難民の甲状腺被曝線量は、「平均500mSv、避難の必要のなかった旧ソ連の汚染地区住民は約100mSv」、「幼児はその2~4倍被曝した」と見られており、避難した子供たちは1,000~2,000mSv、避難しなかった汚染地区の子供たちも200~400mSv被曝したことになります。私は細胞分裂の盛んな子どもたち、しかも放射性ヨウ素への「感受性」の高い子どもたちの中には、(科学的な証明などできませんが)非常に短い期間でがんが発症していてもおかしくないのではないかと思っています。いずれにしても、(国策で推進してきた)原発事故による影響が完全に否定できない以上は、甲状腺検査及び治療の全額負担を、国は実施して戴きたいと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年3月9日)

 「原発事故関連死」

2014-03-06 10:53:17 | 日記
 東日本大震災後に、(避難時及び)避難生活において体調悪化や自殺など肉体的、精神的な要因で亡くなった方が岩手、宮城、福島の3県で2,973人認定されているそうです。(以下、引用・参照は『朝日新聞』)認定率が最も低い岩手では、審査が終了した730人中認定されたのは434人(認定率59,4%)、宮城では1,163人中879人(75,5%)、福島では2,000人中1,160人(83%)となっています。ちなみに、認定されると、世帯の家計を支えていた関連死亡者には500万円、それ以外の死亡者には250万円の災害弔慰金が支払われるとのことです。

 最も認定死亡者が多かった福島県では、地震や津波などによる死亡者(1、607人)を上回り、原発事故による避難による「原発事故関連死」と呼ばれているそうです。帰還の見通しが立たないストレスなどが、精神的にも肉体的にも大きな影響を及ぼしていると考えられています。また、「関連死」認定に関しては、津波や原発事故を想定した「認定基準」がなく、各自治体の判断に任せられており、「審査方法の違いで認定されるべき関連死が認定されないことや、地域で認定に差が出ること」が(日弁連)指摘されています。

 「原発事故関連死」は、避難生活による疲労や医療事情の悪化による衰弱、そして「生きているうちに今の避難先から出られないかもしれない」という不安によるストレスが専門家によって指摘されています。これ以上「関連死」を出さない為にも、またPTSDの予防、治療のためにも、仮設等で避難生活を強いられている人々への心身のケアが緊急の課題だと思います。実際、震災後には、都道府県などの「こころのケアチーム」が派遣されたそうですが、「活動内容がばらばらで、受け入れ自治体や別の医療チームとの連携不足」が指摘されており、「災害時の専門的な精神医療チームが必要」だとのことです。厚労省は「災害派遣精神医療チーム」の整備を進めているそうですが、一刻も早い対応をお願いしたいと思います・・・

P.S. 高齢者の方は外出が減少すると閉じこもりがちになって、(身体的に)虚弱化を招くそうです。食料品小売店や買い物バス停留所、移動販売までの自宅からの距離が800メートル以上あると、外出が少なくなる傾向が顕著なのだそうです。こうしたインフラやサービスへのアクセスに関しても、もっと細かな対応ができないものでしょうか?(引っ越すまで)坂道を登った先の仮設にほとんど部屋の中で暮らしていた女性(70歳)は、「先のことを考えると、部屋の中で不安な気持ちにな」り、「イライラしてふさぎ込んでしま」い。「精神的に不安定になった」と述懐されています。今はスーパーまで700メートルほどの仮設に移ることが出来、週に2回は買い物に出かけることができるようになったとのことです。(希望者も多いのでしょうが)車のない高齢者への配慮が必要だと思います・・・

P.S.2 やはり仮設に暮らす女性(72歳)は、震災後、持病のリューマチが悪化し着替えやトイレが困難になったそうです。腰も痛め、「ベッドなら楽に寝起きできるが、部屋が狭くて置けない」ので、役場に7度も陳情したけれど、「介護認定を受けるぐらいでないと、ベッドを理由に転居は出来ない」、「一人認めると希望者が殺到する恐れがある」と断られ続けています。彼女は何もわがままを言っているわけではありません。対応できないなら兎も角、対応できるのならば彼女の希望を叶える選択をすべきだと思います。希望者が多いということは、それだけニーズがあるわけですから、きちんと対応すべき事柄だということだと思うのです・・・

P.S.3 心の健康は一般的に、時の経過とともに回復するのだそうですが、被災地では逆に悪化している人が、(調査によると)この1年でやく8%増えたそうです。またこの心の「悪化要因」を見ると、経済的な暮らし向きが苦しい人は、普通の人の約1,8倍、また自分の健康状態が悪いと思っている人は約1,5倍、人との繋がりが薄い人は約1,4倍高いそうです。調査を行った岩手医科大の横山助教は、「所得の低い人は健康が悪化するリスクが高い。失業や離職で今も経済的に困窮している人には、メンタルヘルスの支援が必要」と指摘されています。(雇用情況が好転したとの理由で)「指針」を破り、「減収分」の賠償を来年2月で打ち切る東電の対応は、そうした避難者の生活と精神・肉体に対して、さらなる大きなダメージを与えそうです・・・

P.S. 仮設に暮らす(特に)高齢者の男性の多量飲酒が問題になっているそうです。アルコールによる肝炎で死亡された方もいます。この方も「原発事故関連死」だと(認定されないのでしょうが、私はそう)思います。若い世代や経済力のある人たちは仮設を出て、生活再建ができますが、残された高齢者ではコミュニティーを支えきれず、空洞化が進んでいるとのことです。特に男性は、「茶話会」にも参加しない方が多く、孤立傾向にあるようで、飲酒問題が見えにくくなっているとのことです。14年度から「ふくしま心のケアセンター」では、「特に一人暮らしで、中高年、無職の男性をどう支援してくかが課題」だと話されています。同副センター長は、「今多いのは鬱病の初期症状や疲労感でストレスから来るもの」だそうです。(本当に課題は山積ですが)やはり支援なしでは、「孤独死」という名の「関連死」が益々増え続けていくと思うのです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年3月8日)

「グローバル・ギセイシャ」

2014-03-06 10:53:17 | 日記
 「グローバル・ヒバクシャ」という概念があるそうです。マーシャル諸島の被曝者を調査した明星大学の竹峰准教授らが提唱したもので、核の被害を広島や長崎の被爆者(被曝者)に限定せず、核実験場の周辺住民、ウラン鉱山の採掘作業員、核実験に携わった兵士、商業用の原発事故の被災者らを含めて考えるというものだそうです。その他にも、原発作業員や(アフガニスタンやイラクでの)劣化ウラン弾による被曝者も含まれると思います。核の「戦争」利用も「平和」利用も、多くの被曝者を生み出してきたのです。

 広島平和研究所のジェイコブズ准教授によると、こうした核による「被害地域は、政治(的)・経済的に力が弱い場所にあり、最低限の補償も得られずに孤立する共通点がある」と指摘しています。原発で言えば、過疎地や主な産業のない地域、そして被差別など、経済的にも政治的にも弱い立場の地域と人々に、危険や痛み、そして(健康)被害が押し付けられてきました。また、原発や核実験場だけでなく、基地や処分場も同様の地域に造られてきました。そうした世界的な「構造」があるということだと思います。

 ウラン採掘場だけでなく、あらゆる鉱物の採掘場やその下流地域の汚染による被害が出ています。木材伐採に伴う環境破壊と生活破壊で被害を受けている人々もいます。経済発展に伴う「公害」による被害も世界中の至るところで「犠牲者」がいます。(余りに犠牲者が多いのが)自動車事故による「犠牲者」です。(ツチ族とフツ族の抗争で)かつて100人の村が全滅したニュースに胸を痛めた方は多いと思いますが、年間100万人といえば、この100人村が10,000も毎年全滅していることになります。しかも、(同時に)100万人の利用者(運転者)が加害者(殺人者)となっているのです。私にとっては、この加害者も(同様に)「犠牲者」であると思います。

 こうした「グローバル・ギセイシャ」を生み出す政治的、軍事的、経済的「構造」が世界にはあって、その中で私たちは生きているということです。木材のみならず鉱物資源の世界有数の輸入国である日本は、当然ながらその「加害者」であり、同時に(アスベスト被害を見ても)世界で有数の「犠牲者」でもあります。犠牲者にも加害者にもなりたくありませんが、(この世界に生きている以上)それを免れる術がないのです。知らぬ間に「犠牲者」となり、或いは気づかぬうちに「加害者」となる社会(世界)の「構造」があるのです・・・

P.S. (上記の)ジェイコブズ准教授は、「繋がることが歴史を動かす力になる」、(被曝をはじめ様々な)被害の実態を若い世代が口述記録で収集し、共有することで、世界的な視点で課題と向き合う手がかりとなる、と述べられています。若い学生には、「まずは友達になることから始めてください」と。(私などは直ぐに悲観的な気持ちに陥ってしまうのですが)こうした取り組みがあるから、世界の「底」が辛うじて抜けずに済んでいるのだと思います。そうした「思い」があるから、何とか過酷なこの世界でも生きていけるかも知れません。(信じることが苦手な私ですが)そのような「絆」を(これからは)信じてみようと思います・・・

P.S.2 気になった被災者の方々の「声」です。
「除染でどこまで下がるのか・・・。遣り切れない。でもちゃんとやって欲しい。帰る気でいますから」
「新居を待ちながら亡くなった人もいる。だから工事が遅れているという話には耳を塞ぎたくなる」
「津波で全部流されて失ったものは大きいけれど、人との出会いや支援といった、目に見えない大きなものを頂いた。それが財産です」
「災害復興住宅は津波被害の場所に建つので入らない。除染も信用していない」
「除染作業が計画よりも遅れていて、帰る見通しが立たない。・・・原発がなければな、と思う。もういらないよ」
「大事に育てた牛はみんな手放したし、飯舘に戻っても何も出来ない。もう戻らない。『頑張れ』と言われてももう限界だけど、前向きにやっていくしかねえのかな」
「地域の繋がりが全部なくなってしまったことが寂しい」
「仮設の部屋は狭くて、家族の喧嘩も増えました」
「双葉の人間は殆どが農業をしていた。仮設には庭も何もない。・・・もう我慢できない。・・・帰りたいけど、帰れるなんて思っていない」
「部屋が狭くて、自分で体を動かさないと足腰が弱ってしまう。・・・早く帰れるなら帰りたい。でも、見通しが立たない」
「住宅兼診療所を建てているが、資材や人手が不足し、いつになるのやら。山間部での仮設暮らしが長引いて生活不活発病が増え、介護認定の申請も増えている」
「出産直後は助けてもらうばかりで『自分ってなんだろう』とふさぎ込みがちになり、体調を崩した。でも・・・今があるのは家族、地域の人、全国の人のお陰だと思うし、子どもにも伝えていきたい」

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年3月6日)