プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

「グローバル・ギセイシャ」

2014-03-06 10:53:17 | 日記
 「グローバル・ヒバクシャ」という概念があるそうです。マーシャル諸島の被曝者を調査した明星大学の竹峰准教授らが提唱したもので、核の被害を広島や長崎の被爆者(被曝者)に限定せず、核実験場の周辺住民、ウラン鉱山の採掘作業員、核実験に携わった兵士、商業用の原発事故の被災者らを含めて考えるというものだそうです。その他にも、原発作業員や(アフガニスタンやイラクでの)劣化ウラン弾による被曝者も含まれると思います。核の「戦争」利用も「平和」利用も、多くの被曝者を生み出してきたのです。

 広島平和研究所のジェイコブズ准教授によると、こうした核による「被害地域は、政治(的)・経済的に力が弱い場所にあり、最低限の補償も得られずに孤立する共通点がある」と指摘しています。原発で言えば、過疎地や主な産業のない地域、そして被差別など、経済的にも政治的にも弱い立場の地域と人々に、危険や痛み、そして(健康)被害が押し付けられてきました。また、原発や核実験場だけでなく、基地や処分場も同様の地域に造られてきました。そうした世界的な「構造」があるということだと思います。

 ウラン採掘場だけでなく、あらゆる鉱物の採掘場やその下流地域の汚染による被害が出ています。木材伐採に伴う環境破壊と生活破壊で被害を受けている人々もいます。経済発展に伴う「公害」による被害も世界中の至るところで「犠牲者」がいます。(余りに犠牲者が多いのが)自動車事故による「犠牲者」です。(ツチ族とフツ族の抗争で)かつて100人の村が全滅したニュースに胸を痛めた方は多いと思いますが、年間100万人といえば、この100人村が10,000も毎年全滅していることになります。しかも、(同時に)100万人の利用者(運転者)が加害者(殺人者)となっているのです。私にとっては、この加害者も(同様に)「犠牲者」であると思います。

 こうした「グローバル・ギセイシャ」を生み出す政治的、軍事的、経済的「構造」が世界にはあって、その中で私たちは生きているということです。木材のみならず鉱物資源の世界有数の輸入国である日本は、当然ながらその「加害者」であり、同時に(アスベスト被害を見ても)世界で有数の「犠牲者」でもあります。犠牲者にも加害者にもなりたくありませんが、(この世界に生きている以上)それを免れる術がないのです。知らぬ間に「犠牲者」となり、或いは気づかぬうちに「加害者」となる社会(世界)の「構造」があるのです・・・

P.S. (上記の)ジェイコブズ准教授は、「繋がることが歴史を動かす力になる」、(被曝をはじめ様々な)被害の実態を若い世代が口述記録で収集し、共有することで、世界的な視点で課題と向き合う手がかりとなる、と述べられています。若い学生には、「まずは友達になることから始めてください」と。(私などは直ぐに悲観的な気持ちに陥ってしまうのですが)こうした取り組みがあるから、世界の「底」が辛うじて抜けずに済んでいるのだと思います。そうした「思い」があるから、何とか過酷なこの世界でも生きていけるかも知れません。(信じることが苦手な私ですが)そのような「絆」を(これからは)信じてみようと思います・・・

P.S.2 気になった被災者の方々の「声」です。
「除染でどこまで下がるのか・・・。遣り切れない。でもちゃんとやって欲しい。帰る気でいますから」
「新居を待ちながら亡くなった人もいる。だから工事が遅れているという話には耳を塞ぎたくなる」
「津波で全部流されて失ったものは大きいけれど、人との出会いや支援といった、目に見えない大きなものを頂いた。それが財産です」
「災害復興住宅は津波被害の場所に建つので入らない。除染も信用していない」
「除染作業が計画よりも遅れていて、帰る見通しが立たない。・・・原発がなければな、と思う。もういらないよ」
「大事に育てた牛はみんな手放したし、飯舘に戻っても何も出来ない。もう戻らない。『頑張れ』と言われてももう限界だけど、前向きにやっていくしかねえのかな」
「地域の繋がりが全部なくなってしまったことが寂しい」
「仮設の部屋は狭くて、家族の喧嘩も増えました」
「双葉の人間は殆どが農業をしていた。仮設には庭も何もない。・・・もう我慢できない。・・・帰りたいけど、帰れるなんて思っていない」
「部屋が狭くて、自分で体を動かさないと足腰が弱ってしまう。・・・早く帰れるなら帰りたい。でも、見通しが立たない」
「住宅兼診療所を建てているが、資材や人手が不足し、いつになるのやら。山間部での仮設暮らしが長引いて生活不活発病が増え、介護認定の申請も増えている」
「出産直後は助けてもらうばかりで『自分ってなんだろう』とふさぎ込みがちになり、体調を崩した。でも・・・今があるのは家族、地域の人、全国の人のお陰だと思うし、子どもにも伝えていきたい」

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成26年3月6日)

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