スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

ノーベル賞の授与式

2006-12-11 08:17:59 | スウェーデン・その他の社会
このブログを始めてから、早2年近くが経つが、ノーベル賞授与式について書いたことがないことに気がついた。そう、毎年12月10日ノーベル賞の授与式と晩餐会があるのだ。今年はたまたま日曜日だが、もちろん12月10日が平日になることもある。


授与式と晩餐会の流れは毎年、ほぼ同じであるようだ。そして両方ともスウェーデンのテレビSVT2で生中継される。

<授与式>
ストックホルムの中心街にあるコンサート・ホールで、16:30から開かれる。ステージには一翼に国王・王妃とその子供3人(うち長女が王位継承者)、そして前国王(故)の王妃の6人が並ぶ。もう片翼には7人の受賞者が並ぶ。

その後ろには、スウェーデン王立科学アカデミースウェーデン(文学)アカデミーのメンバーや、以前の受賞者、スウェーデン国内の著名な教授などが並ぶ。たとえば経済学で言えば、今年はスティグリッツ(2001年受賞)やマンデル(1999年受賞)が招かれて座っていたし、スウェーデン人の教授としてはBertil HolmlundやLars Calmforsの顔が見られた。

まずは、ノーベル財団の代表が英語で挨拶。その後に、各賞の授与が行われる。順番はノーベルが遺書の中で挙げた賞の種類の順番だ(物理、化学、医学・生理学、文学)。1960年にスウェーデン中央銀行ノーベル記念賞として新設した経済学賞は一番最後。

各賞の授与に先駆けて、受賞理由やその研究の背景、その発見の意義などが読み上げられるのだが、ここではなんとスウェーデン語なのだ。だから、受賞者やゲストの多くがポカンとした顔をしている(おそらく内容は事前に伝えられているか、式のパンフレットに英訳が載っているのだろうが)。世界での使用人口が1000万人程度しかないスウェーデン語という小国言語だが、毎年この日だけはノーベル賞の由緒正しき正式言語として「晴れ舞台」に登場できるのだ。

経済学賞の授与の際には、Bertil Holmlundがこれを読み上げた。他の分野の受賞研究にも言えることだが、対象研究のほとんどが主に英語によってなされてきたにもかかわらず、その解説をちゃんとスウェーデン語で行えるところに、スウェーデン語そのもののコクの深さがあるような気がする(←スウェーデン語びいき)。経済学賞を受賞したPhelpsは、期待を取り込んだフィリップス曲線(expectation-augmented Phillips curve)をモデル化したのだが、この用語にもちゃんと「den förväntningsutvidgade Phillipskurvan」という訳語が存在する。

授与はスウェーデン国王によって行われる。式典の合間には、クラシック音楽が流れる。ちなみに賞金は1000万クローナ(1.7億円)。文学賞以外は受賞者がすべてアメリカ人だが、ちょうど今、クローナ高ドル安なので、ドルに換算すると多少多くなる。もしかして、アメリカの陰謀でレートを誘導したのか?(いや、そんなことはない)

さらに余談だが、今年の受賞者の数は例年になく少ない。通常、一つの賞を二人や三人が共同受賞することが多く、ある年は総勢13人になったこともある。しかし、今年受賞したのは7人のみ。(文学賞は分割されず一人に授与されることが慣例になっている)ちなみに、平和賞はノルウェー・オスロで授与されるので、ここには含めていない。

晩餐会については明日書きます。


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