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スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

冬至の北欧

2005-01-06 09:12:41 | コラム


日本の友人からよく聞かれる質問:スウェーデンって冬の間は太陽が昇らず、ずっと真っ暗なの? これは、正しくもあり間違いでもある。というのも、スウェーデンは南北に長い国だから、住む場所によって事情が変わってくる。スウェーデンの北部は何週間か太陽の昇らない日が続くし、南のほうでは、ちゃんと冬でも太陽が照っている。ただ、少なくとも言えることは、冬の間の日照時間は極端に短いことだ。



上の写真は冬至の日、12/21の新聞の天気予報欄から。”Solen”というのは「太陽」、”I dag”は「今日」、”I morgon”は「明日」。首都ストックホルムでは、朝8:46まで太陽が昇らず、昼は職場のコーヒー休憩が終わる頃、14:48にはもう太陽が地平線の彼方へ沈んでしまうのだ。日照時間は6時間02分。ただ、日本と比べたら、太陽の沈む角度が緩やかなので、太陽が沈んだ後も1時間から1時間半は黄昏(たそがれ)が続くのだ。朝も同じで、日の出の1時間ほど前から南東の空が明るくなり始める。

(京都へ交換留学に来て、僕がウプサラ大学に来るきっかけとなったスウェーデン人の友人は、日本の日の入りを見て「日本じゃ、太陽が沈んだとたん、真っ暗になってしまう」と驚いていたが、その時は何のことをいっているのか分からなかったのを思い出す。)

さっきの切り抜きで他の町も見てみよう。マルメ(Malmö)というのは、スウェーデン南端にあるスウェーデン第三の町だが、ここでは日照時間が1時間以上長い。ヨーテボリ、ストックホルム、ルレオと北に上がるにつれて短くなっていき、最上段のキルナ(Kiruna)はなんと太陽が昇らない。(ちなみに、観光で有名なアイスホテルはこの町の近くにある)

余談になるが、さっきの切り抜きの写真をクリックすると、天気予報欄の一部が拡大される。日の出・日の入り時間の横に、”UV-strålning”、つまり「紫外線情報」というのがあるのは、いかにも北欧的かもしれない。





さて、キルナはこの時期、暗黒の世界が続くのか。同じ日の新聞はキルナからさらに北へ上ったスウェーデン最北端の村、Keinovuopioの生活ルポを伝えている。ここでは、一年のうち6週間は太陽が昇らないそうだ。「太陽は今日も地平線上に顔を出す力がないようだが、それでも明るさはある。毎日3時間ほどは空が明るいのだ。彼方の山々が暗闇の中からほんのりと白くあぶり出されていき、それにつれて空は美しい群青色に染まっていく。まるで、のど飴の青さ。しかし、それも見とれているうちに、さくらんぼ色の夕映えに変わっていき、再び夜がおとずれる…。あの彼方の地平線の向こうに、太陽は隠れている。そして、山々に遮られなければ、1月11日に再び村人たちに顔を見せるようになる…。」なんだか、夢のような世界だが、実際にそこで暮らす人にとっては大変そうだ。(ここのあたりは、ノルウェーとフィンランドに接しており、しかも少数民族のサーメ人がいることから、4カ国語を話す人が多い。)


このような環境で生まれ育った人には、太陽が顔を出さないことは、もう慣れきったことのようだ。「暗い暗い、といっても、外には雪があり、星があり、月があり、そしてオーロラがある。みんなが想像するくらい、暗黒ではないんだよ。山仕事をするし、氷に穴を開けて魚釣りができるし、暗い中を散歩するのもなかなか面白いものだよ。」 その一方で、他の地域から移ってきた人には、辛い時期である。「ボーとしてやる気がしない。夜は夜で、なかなか寝付けない。日中は日中で眠たくて、一時半にやっと起きることもある。」大自然に囲まれたこんな生活、一週間でもいいから体験してみたいものだ。

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