スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

ヨーテボリでディスコダンスを踊る17世紀前半の国王

2014-04-16 21:13:49 | Yoshiの生活 (mitt liv)
講義のためにヨーテボリに行くたびに気になっていたのだけれど、街の中心部に位置するGustaf Adolfs Torg(グスタフ・アドルフ広場)に立つグスタフ2世アドルフの銅像の周りに昨年の秋くらいから足場が組まれ、ビニールシートが掛けられている。修復作業を行っているようだが、そのビニールシートに描かれたイラストが実に面白い。

その話の前に、そもそもこのグスタフ2世アドルフについてだが、彼は1611年から死去する1632年までの間、スウェーデンの国王だった男で、バルト海南部沿岸の領土獲得やドイツ三十年戦争へ介入など、17世紀から18世紀初めにかけてのスウェーデンの強国時代の基礎を作った国王として知られる。

また、スウェーデンの西海岸に位置するヨーテボリの街を現在の場所に築いたのも彼である。そのため、この銅像は彼が右手を斜め下に伸ばして、人差し指で地面を指し、「ここに街を築け」と命じている姿を描いているのである。


しかし、現在、修復作業のために掛けられているビニールシートには、グスタフ2世アドルフが右手を掲げ、人差し指で天を指している姿が描かれているのである。そして、その横に「Staying Alive」と書かれているのだ。


これを最初に見た時に思わず吹き出してしまったが、そう、Bee Gees(ビージーズ)の名曲 Staying Alive (Stayin’ Alive)と、修復作業によって銅像の状態を今後もよく保つこととを掛けて、グスタフ2世アドルフにSaturday Night Feverのディスコ・ダンスを踊らせているのである。こういうユーモアがとてもヨーテボリらしくて(笑)、良いと思う。

ちなみに、この銅像が建てられたのは1848年であり、それから160年以上の年月が経つなかで劣化を目立つようになってきたという。剣の部分に亀裂が入ったり、台座の大理石が青や黄色に変色している。そのため、修復工事が必要とされたのである。台座の変色は、銅像から流れてくる銅イオンを大理石が吸収しているためらしく、炭酸水素アンモニウム(ふくらし粉・膨張剤として食品添加物にも使われる)を使って、銅イオンを抜き取り、本来の色である白色を復元する作業が続けられている。

(このイラストを遠くから見た人が「ハイル・ヒットラー」と勘違いしたという笑い話もあるが、ちゃんと見れば、人差し指を突き出していることが分かる)

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今週火曜日は、ヨーテボリはとても天気がよかった。ヨーテボリ大学の経済学部が入っているHandelsの前に植えられた八重桜もちょうど満開だった。


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