スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

スウェーデンでも使われる日本語の単語

2006-01-24 07:39:56 | コラム
スウェーデン語でも使われている日本語の単語は、sushiやwasabiだけでない。他にはこんなものもある。

・tsunami(津波)
2004年12月26日未明にスウェーデンに入ってきた、タイでの津波災害のニュースは津波の惨さをスウェーデンに見せつけた。スウェーデンのメディアは、最初のうちは、flodvåg(flod=洪水, våg=波)という言葉で津波を呼んでいたが、外国の英語系メディアがtsunamiを使っているのに倣って、tsunamiとも呼ぶようになった。新聞を読んだり、ニュースを聞いたりしていると、今ではflodvågとtsunamiが半々くらいの割合で使われているようだ。

・kawaii(カワイイ)
前回のブログを参照。

・nashi(梨)
ヨーロッパでは梨といえば、西洋梨のことで、スウェーデンではpäronと呼んでいる。しかし、豊水や二十世紀梨のような日本の梨が珍しいようで、スウェーデンにも輸入されるようになっている。これらの日本の梨は、nashi-päronという名前で店頭に並んでいる。直訳すれば「梨梨」ということ。最初の頃は、日本から輸入されたものが店頭で見られたが、最近注意してみてみると、スペイン産の豊水など、ヨーロッパで作られた日本種が多いようだ。さらには、絶対に日本種じゃないのに、従来の種と違うというだけでnashi-päronの札がついているのも見つけてしまった。

・shiitake(しいたけ)
ここスウェーデンでは、一般的なキノコといえば、なんといってもマッシュルーム。マッシュルームはchampinjon、キノコの総称はsvampとスウェーデン語で言う。日本の椎茸も珍しいのか、スウェーデンの普通のスーパーで手に入るようになった。通称はshiitake-svamp。直訳すれば「椎茸茸」。nashi-päronの「梨梨」と同じ、トンチンカンなネーミングだ。スウェーデンで買える椎茸は、ほとんどがフィンランド産のようだ。ついでに言えば、エノキ茸はenokiという名前で、限られたスーパーに並んでいる。しかし、買う人があまりいないようで、いつも半分腐りかけたようなのしか、見かけたことがない。shiitakeにしてもenokiにしても高い。shiitakeなら普通のマッシュルームの10倍くらいが相場だろうか。

・tofu(豆腐)
健康食ブーム、日本食ブーム、そしてベジタリアンブームのおかげか、豆腐の文字がたまに目に付く。ウプサラに住んでいた頃には、近くのスーパーでデンマーク産の豆腐が買えた。日本のように水に浸かって、パックに入れられて売られていたが、買ってみてビックリ。硬いこと硬いこと。木綿漉しよりもかなり硬くて、モサモサしている。おまけに、“スタンダード”のほかに、“スモーク”版や“唐辛子”版の豆腐もあった。“スモーク”は一目見ると、焼き豆腐みたいだったので、野菜と煮込んだらおいしいかと思ったけれど、スモークはスモーク。味が全然違う。ウプサラで一般の人向けに振舞われたクリスマス料理の席で、隣にいたイギリス系のおじさんが、あの豆腐の生産をデンマークで始めた会社を作ったのは自分と友人だ、と誇らしげに言っていたけれど、味は日本のものと全然違うよ、と苦言を申した覚えがある。
tofuという言葉はむしろ、ベジタリアン向けに、大豆から作られた食品全般を指しても使われているようだ。ついこの間、”tofu”の文字をスーパーで見つけて、心を躍らせたけれど、よく見たら、大豆製の擬似ソーセージとかハンバーグのことだった。こんな言葉の使い方じゃ、本来の意味とかなり違ってしまうのに・・・。