スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

"kawaii"と"ゴスロリ"

2006-01-21 22:23:45 | コラム
日本語の"カワイイ(kawaii)”が今じゃ、外国でも若い人に使われ始め、tsunami(津波)やwasabi(わさび)のように、英語の仲間入りをしつつあるそうだ。外国でも日本語の“可愛い”と同じような意味で使われていると、日本では思われているかもしれないが、ここスウェーデンを見ると、どうやらそうでもないようだ。

アニメや漫画のブームは現在、ヨーロッパを席巻しつつある。僕も最初は、宮崎駿のような長編がスウェーデンでも見られるようになった程度かと思えば、そうじゃない。ドラゴン・ボールから始まって、数多くの少年・少女漫画が英語訳されて売られている。スウェーデンの子達は最初のうちは英語版を取り寄せたり、インターネットで英語字幕のアニメをダウンロードしたりしていたようだが、ここまで人気が出てくると、今やスウェーデン語訳も出始めている。5年前にドラゴンボールのスウェーデン語版が発売されたのを皮切りに、訳されるシリーズの数が増え続けている。宮崎駿などの大作アニメならスウェーデン語字幕で見られる。

さてさて、そんな漫画やアニメと一緒に入ってきたのが"kawaii"という言葉だ。目が大きくて、クリンクリンなのをkawaiiと言ったりもするけれど、使われ方も次第に進化して、むしろアニメのコスプレに身をまとって仮装した姿を、お互いにkawaiiと呼び合うときに使うのらしい。コスプレとまで行かなくても、髪を真っ黒に染めて、逆に顔を白く塗って、厚底の靴を履いて、原宿に登場するような“ゴスロリ”人気が、ハードロック系の人からも出てきている。

私が週一回うけもっている日本語の教室は、世代を問わず、一般向けに開講しているが半分以上の生徒がなんと高校生だ。彼らの間で人気なのは、「Hellsning」や「ラブひな」などだ。女の子で、授業には必ず“ゴスロリ”衣装でくる子がいる。そんな厚化粧しないほうがむしろいいんじゃないかと思うのだけれど、趣味は人それぞれ、「今日の格好はどう?」と聞かれると「ああ、いいんじゃない」と曖昧な答えをいつもしてしまう。でも、近くでよく見ると、白いお化粧のおかげで、皮膚がカブレているよ・・・。そこまでして、しなくていいのに。

こんな様子を見ていると、“メイド”とか“メイド喫茶”がスウェーデンに到達する日も近し、か!? (いや、これは絶対無いと思うけど)