上海で日本語を話している中国の若者達

中国人に囲まれて日本語で通していく日常の出来事を書き綴っています。

職業の選択

2007年01月22日 | 趣味
出張前に携帯で撮った写真を眺めていたら、これを見つけた。

ブレブレに写っているのは「流しのギター弾き」。
(暴走バスの中で携帯電話で撮ったので許してね。)

昔、歌舞伎町で遭遇したことはあったが、まさか上海のバスで出会うとは思わなかった。
中国社会は、何故か芸人にはおおらかだと思う。
普段、物乞いにはそっぽを向いていそうな乗客たちが強制参加のライブに、お金を出している。
映画学校時代、「芸人、活動写真屋は河原乞食だ。(注)」と、教えられたが、この街では、きちんと職業として受け居れられている。
彼の歌声は中々の物だったが、「流し」を生活の礎にして中国で生きるのは楽ではないだろう。
この国で学生を面接する度に、職業選択の自由度が日本に比べて極めて狭いことを再認識しているが、流しの彼は、思い切った選択をしたと思う。
同世代人口の5%しかいない大学生の彼らでさえ就職先探しに奔走する中で、全人口の70%を占める農村籍の若者が上海で生活の糧を得る事は超難関であるにも拘らず、自分の好きな道を選ぶ勇気には感服する。

いつまでも彼の観客からのオヒネリが尽きないことを切に願ってやまない。

(注:元々日本では、役者小屋は洛中に入れず、河原で芝居を打っていた。
映画の黎明期には、こうした芝居興行師が映画を作り全国を巡った。
曰く、役者と乞食は3日やったら辞められない等、芸人=乞食の被差別職種だった。)