TV版「こころの時代 技とこころを伝える」より
刀匠 河内国平氏 65歳が、語ってくれたことを、抜書きしてみる。
*日本刀は、鉄の芸術品・世界に比類なき刀剣
*鑑賞の三つのポイント
1:形・姿: 姿で時代が判る
2.地金・鉄: 刃紋の外の黒い部分で、鉄の産地が判る
3.刃紋: 焼入れ部の模様である。これで作者が判る
岡山には、備前長船に刀剣美術館があり、刀剣の鑑賞の立地には恵まれている。
これらを楽しめるようになるには、何年かかるのだろうか、次の機会に、長船の美術館を覗いてみようという気になった。* 「炭切り三年 向こう槌五年 沸かし一生」と云う。
「炭切り」は、燃料の木炭を適切な大きさに切断する作業。多量に消費するゆえ、大きさのそろった粒に、早く・無駄なく切断できなくてはならない。
「向こう槌」は、師匠の手鎚(てづち)に合わせて大鎚を打つこと。
「沸かす」とは、鉄が赤熱し熔ける少し前の温度の状態、鍛造に丁度よい温度に加熱できるようになることである。
(鉄の種類・産地によって、微妙にその温度が異なるのである)
*刀を作ると、良いものと悪いものが少しと、殆んどは、その刀匠の平均的な出来になる。
この平均のどこに合格基準を引いて、世に出すレベルとするかが、名工といわれるかそうでないかの境目であるという。
*氏が、弟子を採るときの、唯一の条件は、「カラスの頭が白いと言っても、ウンと言えるか?」である。
全てについて、「師匠の言うことに従え」という意味である。
* 職人は、真似から始めればよい、何が何でも師匠の言う通りにせよ、ということである。
しかし、人間は判らんという。才能に恵まれていると思っても駄目になる弟子が多い、どうしようもない弟子が、大きく成長する、どうも判らんと云う。
*「辛抱と努力が出来る素質」があれば、それが才能だと云う。
「三日 三月 三年」が、辛抱の節目であると言う、まさにその通りであろう。
小生も「三づくし」を信じている人間である、この点が、最も共感できた。