歴史を客観的に記述するという事には恐ろしい程の困難が伴うのであろう。高校生向けの日本史や世界史の教科書に関しては、日本国内でも毎年と言っていい程、問題が出される。また近隣諸国から問題提起される。
一昨年(註:2005年)6月18日の朝刊(ボクが切り抜いたもの)に、「歴史教科書 戦争の記述は」というタイトルで、中国、韓国、台湾、フィリピン、ドイツ、ロシア、米国などの事情が載っていた。その中でシンガポールの事情に個人的に注目させられた。以下は新聞からの転記。
●なぜ日本は東南アジアを攻撃したのか?
日本軍は、中国駐留軍に石油や鉄などの重要な原材料を供給するために、資源が豊富な東南アジアに侵攻することに決めた。また、原材料を支障なく日本軍に送るため、この地域の重要な海路を確保したかった。
●粛清
英国軍が降伏して3日後、日本軍は18歳から50歳までの中国系男性すべてに、検問所に出頭するよう命じた。兵士は家から家を回り、銃剣を突きつけて中国系居住者を追い出した。女性や子ども、老人を捕らえることもあった。不運な人々の大半は、まとめて縄で縛られ、船で沖に連れ出され海に投げ込まれるか、海岸に連行され、機銃掃射で処刑された。
●日本軍占領時代
捕虜の多くは、泰緬鉄道建設に送り込まれた。建設地の生活環境はひどく、送り込まれた捕虜のうち、約3分の2が亡くなったと言われている。
「ダークイヤー(暗黒時代)」という単独の教科書もあるそうで、約80ページの大半は日本による占領下の細かな記述になっているという。
このような類の歴史教科書がアジア諸国において、いつまで作り続けられるのであろうか。終戦後62年経つ今年(註:2007年)、そして今後も日本の戦争責任は問い続けられるのであろう。
近頃の高校生は、日本がかつて犯したとてつもない蛮行に関して、どのように理解しているのだろうか? 日本の高校の日本史の教科書には、その終わり近くで戦争についての記述があり、学年が押し詰まったところで殆ど目を通すだけだ。そうこうしている間に若者の多くは無理解のまま大人になり、企業戦士になるのかもしれない。かく言うボクも近頃の若者と大差なく生きてきたような気がする。ただ、歳をとっている分、ドキュメンタリ番組や大岡昇平の『レイテ戦記』などを通してボクなりの戦争史観をもっているつもりでいる。そう、つもりなんです。