道端で春の情緒を感じさせてくれるのがタンポポ。あまりに馴染みがあり過ぎて特別に人の気を引くことも少ないかもしれない。
ものの本によると、このキク科の多年草は北海道から九州までと広範囲に分布。日本には約10種が自生している。
これに帰化種のセイヨウタンポポが加わる。こちらの方が繁殖力が旺盛で、在来種にとって替わっている。ことに都市部でその傾向が顕著で、造成地など撹乱された土地でいち早く根付き、舗装道路の隙間からなどにもしっかりと顔を出す。
漢方では蒲公英(ほこうえい)と呼ばれ、ステロールなどによる抗菌消炎作用がある。また、若葉をゆでたり天ぷらにしたり、生のままサラダにしたり、根を煎じると代用コーヒーなど食用としても知られている。今では、こんなふうに用いることは、まずないだろう。こんなことを知らされると、やってみたくなる。セイヨウタンポポの若葉や根でも効能は同じだろうか。
花として観賞する人も、今では少ないだろう。僕もそうで、タンポポよりアザミの方が好きだ。アザミはわざわざ採りにいくこともあるが、タンポポを採りにいくことは、まずない。子供の頃、タンポポの茎を短く切って草笛にしたことを思い出した。