自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

2014年04月01日 | Weblog

 僕は桜の花がそれ程好きではない。正確に言うと桜並木や桜山など、桜の花が大きな群れをなして咲いている光景を僕はあまり好きではない。何か圧倒される気分になってしまう。
 しかし、ぽつんと一、二本咲いている桜は好きだ。なぜかと問われても理由をきちんと明らかにすることは出来ない。
 一般に人は桜をなぜこれ程まで愛でるのであろうか?この問いにも明確に応えることが出来ないであろう。事実でもって応える他はないだろう。桜の花の移ろいは様々に表現されてきた。
 
 つぼみの頃の「待つ花」に始まって、「初花」、「盛りの花」、「花明かり」、「花おぼろ」、「花の雲」、「花の幕」、「朝桜」、夜桜」、「桜月夜」、そして「花散る」、「花吹雪」、「落花」、流れに浮かぶ花は「花いかだ」、「名残の花」があって、ゆく春を告げる「遅桜」、「葉桜」。
 
 或る花の移ろいを、これほどまでに克明な表現で染め上げた例は他にはないのではないだろうか。多くの人が桜を心おきなく愛でる理由は、このような詳細な言の葉で表現されているところから自ずと理解できる。
 桜を愛でる人の心情には融通無碍の柔軟さがあるように思われる。よくは分からないが、或る花に寄せるこれ程までの融通無碍の柔軟な心情は日本人に特有のものかも知れない。こういう心情はいつまでも残って欲しいと思う。
(写真は午後7時の枝垂桜。近所で。)