自 遊 想

ジャンルを特定しないで、その日その日に思ったことを徒然なるままに記しています。

ヤマアラシ・ディレンマ

2014年04月25日 | Weblog

 人間関係をうまく続けていこうとするとき、場合によっては様々な軋轢が立ちはだかる。そんな時どうすればいいのか。
 二匹のヤマアラシが寒さのなかで、身を寄せ合って温めあおうとしていた。ところが、ヤマアラシは背中から尻尾にかけて鋭い長いトゲが生えているので、密着しすぎると傷つけあってしまう。しかし、痛いからといって離れてしまうと寒くて凍えてしまう。そこで、くっついたり離れたりしているうちに、あまりひどく傷つけず、適度に温めあう、程よい距離を発見した。
 これは心理学者がよく用いる逸話で、元は19世紀の哲学者ショーペンハウエルが書いた寓話に出て来るそうだ。
 精神医学者フロイトが、この寓話からヒントを得て、人と人が親密さを維持するための距離の取り方の難しさを表すキーワードとして、ヤマアラシ・ディレンマという用語を作った。
 近すぎると傷つけあい、離れすぎると凍えてしまう。では、どうすればいいのか、ということでディレンマと言ったのだろう。
 何らかの問題を抱えながらも、何とか二人でやっていこうという暗黙の前提が人間関係にはある。この前提を言い換えたのがヤマアラシ・ディレンマという用語に過ぎないのだが、この表現が面白い。
 しかし、面白いと言ってばかりでは収まらない人間関係もあるのかも知れない。場合に応じて変身の術を器用に使う輩がいる。政界や財界にのみならず、自称他称・学者の間にも。