明治維新で西洋の文化が日本に入って来ました。ホテルも入って来ました。それは西洋文化の発信基地でした。多くの外国人が日本に来るようになり、ホテルが必要になったのです。
以前の日本には旅館や宿屋といった宿泊施設は存在しておりました。現存する世界最古の宿は西暦705年(飛鳥時代)に創業した、山梨県の慶雲館という旅館でギネスにも認定されているそうです。
私は昔から西洋文化に憧れていました。ですから旅行に行くとホテルに泊ります。いろいろなホテルの思い出があります。そこで今日から連載で「思い出のホテル」をお送りいたします。
第一回の今日は軽井沢の万平ホテルと「ゆとりろ軽井沢ホテル」と三笠ホテルをご紹介致します。何度か行った軽井沢で泊まったり訪問したホテルです。
軽井沢には明治27年創業の万平ホテルがあります。そして明治39年創業の三笠ホテルも現在は廃業していますが、その建物は国の重要文化財として保存、展示されています。
その一方、軽井沢には戦後に創業した新しいホテルも沢山あります。
軽井沢だけでなく日本全国を見回すと、戦前から営業している所謂、クラシックホテルと戦後の新しいホテルが数多くあります。
今日は軽井沢の場合を例にして、クラシックホテルと新しいホテルをご紹介いたします。そしてその長所と短所を比較したいと思います。
万平ホテルと新しい「ゆとりろ軽井沢ホテル」を取り上げます。
クラシックホテルと新しいホテルの大きな違いは、それぞれの文化の違いです。
比較検討の前に、万平ホテルと三笠ホテルの写真を示します。続いて「ゆとりろ軽井沢ホテル」の写真を示します。この7枚の写真は家内が撮ったものです。
1番目の写真は明治27年創業の万平ホテルです。写真の本館は昭和11年頃に作られたままの姿です。
2番目の写真は万平ホテルのテラスレストランです。この軽食用のレストランの内側には広いメインダイニングルームがあります。古い内装で、窓からは昔風の庭が見えます。
3番目の写真は現在は廃業している三笠ホテルです。国の重要文化財として公開、展示されています。中に入ると明治時代の古風な客室が並んでいます。
4番目の写真は新しいホテルの「ゆとりろ軽井沢ホテル」の玄関です。
5番目の写真は「ゆとりろ軽井沢ホテル」の結婚式用のチャペルです。
6番目の写真は「ゆとりろ軽井沢ホテル」のメインダイニングから庭を見た風景です。
7番目の写真は「ゆとりろ軽井沢ホテル」のオードブルの写真です。季節の食材や地元の野菜を使った細やかな一皿です。簡素なフレンチコースで、この他にスープ、オーブンで焼いたチキン、パンとバター、それにデザートとコ-ヒーがついていました。ワインなどは別料金です。
さて、クラシックホテルと新しいホテルの大きな違いは、それぞれの文化の違いです。もっと分かり易く具体的に書きます。
(1)宿泊料金のこと
大雑把に言って、クラシックホテルの宿泊料は新しいホテルより2割から5割高いのです。
私共は高齢者なのでシーズンオフの平日に泊まります。以前、万平ホテルに泊まったときは、朝夕2食付きで1人当たり20000円位でした。
一方、「ゆとりろ軽井沢ホテル」は朝夕2食付きで1人当たり12000円位でした。
クラシックホテルの宿泊料はシーズンオフの平日をインターネットで探し、申し込むと意外に安いのです。上高地の帝国ホテルに格安で泊まったこともあります。
(2)ホテルの施設、設備のこと
クラシックホテルの全ての施設は重厚ですが古色蒼然としています。一方、新しいホテルは軽やかで楽しい内装になっています。
ですから重厚で昔の雰囲気が好きな人にとってクラシックホテルはたまらない魅力なのです。
しかし子供連れの家族にとっては新しいホテルの方が楽しめるのです。
一般的に言えばクラシックホテルの雰囲気は老人に向いています。新しいホテルの雰囲気は若い家族連れに向いています。雰囲気の違いは文化の違いの一例です。
(3)バリアフリーと障害者への配慮について
私は歩くのが困難な後期高齢者です。軽度の障害者です。従ってホテルの施設が障害者に配慮して作ってあるかを敏感に感じます。
室内に段差あるのは駄目です。トイレは車椅子がそのまま入れるように広く作ってあると幸せな気分になります。
その点、万平ホテルは問題です。努力して改造していますがまだまだです。
一方、「ゆとりろ軽井沢ホテル」には感心しました。まず身障者用の駐車場が玄関のすぐ脇に作ってあるのです。そして簡単な歩行器を押しながら庭から結婚式用のチャペルまで歩いていくと段差が完全に無いように小道が出来ているのです。障害者への暖かい気持ちが感じられるのです。
一方、古い有名は旅館やホテルには障害者への暖かい気持ちがあまりありません。一応、段差を無くす努力はしていますが、肝心な所に段差があるのです。気持ちがこもっていないのです。これは日本の新しい文化と古い文化の差のようです。
(4)接客態度やサービスについて
よくクラシックホテルはサービスが洗練されていて非常に良いと言われています。サービスが良いから料金が高いのですと言われています。同感です。
それでは新しいホテルの接客態度やサービスはどうでしょうか?
これこそ玉石混淆なのです。悪い所もあれば非常に良いホテルもあります。
「ゆとりろ軽井沢ホテル」は満点でした。フロントもダイニングでも良かったです。庭を夫婦で散歩していたらダイニングからウエイターの辺見さんが飛び出して来て、夫婦一緒の写真を撮ってくれたのです。夕食・朝食のサーヴスも行き届いていました。
このようにクラシックホテルと新しいホテルの比較をしているともっと書きたいことがありますが、あまり長くなるのでこの辺で止めます。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
====日本最古の宿、山梨県の慶雲館============
慶雲2年(705年)に当地で狩猟を行った藤原真人が、狩猟を行った際に川の岩の間より盛んに噴き出している温泉を発見。険しい山道を切り開き、湯壺を造営して開湯したのが始まりとされている。慶雲年間に造られたことから「慶雲館」と命名され、以降武田信玄や徳川家康の隠し湯としても利用された。
写真は現在の山梨県の慶雲館です。