後藤和弘のブログ

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伊豆の文学会の総合文芸誌「岩漿」、通巻第18号のご紹介

2010年03月14日 | 日記・エッセイ・コラム

毎年、弥生の春らしい季節になると、伊豆半島の文学会の木内光夫さんから「岩漿」という文芸誌が送られて来る。読みやすい日本語で書かれてた作品がいろいろ掲載してある。春先の風物詩を待つように心待ちにしている。

その第18号が来た。地方の文学会を18年も続けていて、毎年きちんと作品集を出版していることに感心する。内容はいつものように、小説、短編小説、随筆、短歌、詩などである。世の中はインターネットの時代になっても、昔風の同人誌を出している人々がいるのです。

木内光夫さんの筆名は馬場駿といいます。短編小説、「やさしい姫鼠」を丁寧に読んだ。面白いストーリーの展開なので引き込まれ、一気に読んでしまった。

簡単に言えば、ホテルに長年勤めているある初老の男とウェイトレスのココという可愛い娘との恋物語です。恋物語といっての初老の男の片思いである。ココにはハンサムな青年の恋人が居る。その男の子を身ごもってココは自殺してしまうのです。何故自殺したのか?初老の男はいろいろと考えます。それがこの短編小説の主題です。ココの部屋に棲みついていた野生の姫鼠と男が会話をしながらミステーリーが次第に明らかになって行くのです。

三人の登場人物の人生が風景写真を見るように明快に分かります。人間が描き出されていて、ストーリーが面白いという小説の最低条件をを満たしています。(最近はこの最低条件すら満たしていない小説が多すぎて困ります。)

若い女性のココを悲しい境遇にして描くと、その悲しみが女としての美しさを一層冴えさせる。そんな小説のオーソドックスな手法とは知りながら、ついココの魅力に惹かれる自分が、主人公の初老の男と重なってしまい読み込んでしまいます。そんな出来の良い短編小説です。

その他の作品も読みやすい日本語で書かれ心を打つ内容です。やはり活字の作品集はしみじみとしていて、心が動かされます。

伊豆半島の文学会「岩漿」については、

http://www.gan-sho.book-store.jp (E-mail:asei@vesta.ocn.ne.jp)

をご覧下さい。


3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
藤山さんご無沙汰しています。武川に住むお馴染み... (馬場俊)
2010-03-14 22:58:48
藤山さんご無沙汰しています。武川に住むお馴染み鬼家雅雄の弟です。「岩漿18号」の今回の私の作品「やさしい姫鼠」は、文字通り小説なのですが、載せるときに「よもや・・・」の心配をしていました。実際に勤務している職場がホテルなので、実話と受け取られるのではと。藤山さんのブログで、それが杞憂に過ぎなかったことがわかりました。読む人が読めば、やっぱり正確に理解してもらえるのだと。身に余る読後評をいただき、ありがとうございました。ご紹介いただいたURL岩漿をクリックして私のホームページを訊ね、メールアドレスでお申し込んでくださった方には、「岩漿18号」を郵送で寄贈いたします。藤山さんへのお礼の気持ちをこめて。馬場俊/木内光夫
藤山さんお久し振りです。馬場駿こと木内光夫です... (馬場俊)
2010-03-15 06:02:42
藤山さんお久し振りです。馬場駿こと木内光夫です。さっそくお読み戴いたうえ拙作だけでなく誌全体にエールを送って戴いて、嬉しさ百倍です。お礼になるかどうかは分かりませんが、このブログ経由でホームページ蛙声庵からメールで「岩漿18号送れ」と通信をくださった方に、郵便での寄贈をいたします。同人誌「岩漿」に興味が湧いた方はご連絡ください。藤山さん、ありがとうございました。光。
藤山さんありがとうございました。馬場駿こと木内... (馬場俊)
2010-03-15 06:17:02
藤山さんありがとうございました。馬場駿こと木内光夫です。さっそくお読みいただいたうえご厚意溢れる読後評を頂戴し感激しています。なによりも誌全体を評価していただいたことで、嬉しさが百倍にもなりました。お礼になるかどうか分かりませんが、先生のこのブログ経由で、岩漿のHPのアドレスから、またこの頁のメールアドレスを打ってお申し出いただいた方に、郵便で「岩漿18号」を寄贈させていただきます。同人誌に興味が湧いた方、是非お便りください。光。

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