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これから台風の季節 県内に大きな影響を及ぼす台風の進路は?

2014-07-05 00:25:33 | インポート

台風8号が発生して、進路予想見ると、よからぬ進路予想となっています。来週早々には南西諸島が影響を受け始め、来週中旬以降に、西日本にかなり接近しそうな予想となっています。不気味ですよね。

今回は、台風というもの、どの台風でも、大雨や強風を伴っています。

その上で、平成になってからの、暴風が顕著と思われた台風の経路と、大雨が顕著と思われた台風の経路を紹介して、台風がどういう経路をたどった場合、暴風に見舞われやすいか、大雨に見舞われやすいか紹介していきます。(引用図内●が午前9時の位置、○が午後9時の位置を示します。)

◆暴風が顕著であった台風

①平成3年台風19号

T9119

この台風は、平成3年9月27日16時過ぎに、中心気圧940hpa 中心付近最大風速50m毎秒で、長崎県佐世保付近に上陸、その後、九州北部から山口県を通過して日本海に入り、次第に速度を上げて(おおむね時速60キロ~80キロ)日本海を北東へ進んで、28日8時前に北海道渡島半島へ再上陸しました。

このため、全国的に暴風が吹き荒れて、最大風速(10分間)が毎秒30m以上を観測した気象官署は4か所 毎秒25m以上を観測した気象官署は20か所となり、戦後では、昭和34年9月の伊勢湾台風(台風15号)に次ぐ記録となりました。

特に、広島では、最大風速36・0m毎秒 瞬間最大風速では58・9m毎秒を観測して、この最大風速の値は、いまだに歴代1位となっております。

この台風では、主に風や高潮による被害が多く、死者・行方不明62人、負傷者1261人、住家全半壊3274棟 浸水家屋16675棟(警察庁調べ)の甚大な被害でした。

②平成16年台風18号

T0418_2

この台風ですが、引用図①の平成3年台風19号とほぼ同様な コース、平成16年9月18日昼前に九州北部に上陸、そのご、山口県を通過して、日本海を、やはり速度を次第にあげて(時速60キロ~70キロ)北東へ進んで、翌9日午前中には、北海道西部沿岸に進んで、その後、温帯低気圧に変わりました。

この台風で、ほぼ、全国的に、瞬間で30m毎秒を超す暴風が吹き荒れて、広島では、観測史上最高となる60・2m毎秒の最大瞬間風速を観測、さらに、勢力を維持しつつ北海道へと進んだため、札幌でも最大瞬間風速50・2m毎秒と、観測史上最高となる記録的な暴風を観測。住家全半壊957棟 一部損壊42183棟 さらに、満潮時に台風が接近して記録的暴風に見舞われた瀬戸内地域では、高潮に見舞われ、瀬戸内地域(兵庫県、岡山県、広島県、山口県、愛媛県、香川県)だけで、住家の床上浸水1487棟、床下浸水5344棟(総務省消防庁調べ)といった、これまた、甚大な被害を引きおこしました。

 

◆大雨が顕著であった台風

③平成23年台風12号

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この台風は、平成23年8月30日から本州南海上をゆっくりと北上、関東以西の太平洋側の各地に暖かく湿った気流を大量にかつ継続的に送り込み、台風自体は9月3日午前中に、中心気圧980hpa 中心付近最大風速30m毎秒と、並の勢力で四国東部に上陸しました。

このため、暴風による被害は目立ったものはありませんでしたが、前記したように、上陸数日前から、関東以西の太平洋側では、台風の進行方向右前側に入り、台風と、太平洋高気圧の外縁を回るようにして入り込む暖湿流の大量に、かつ、継続的に入り込んでしまう結果となり、とりわけ、暖湿流の流れ込んでくる方向に開いた山の斜面にあたる、関東西部~甲信越山間部、東海地方北部や西部、紀伊半島南部から東部、四国山地東部では、総雨量が軒並み500ミリ以上、紀伊半島や四国の一部では、総雨量が 1000ミリを超す、記録的な豪雨に見舞われて、紀伊半島や四国中心に、深層崩壊となる大規模な土砂災害があちこちで発生、3年たった現在でも、鉄道や道路の不通などの影響がでております。

◆さらに、大雨・暴風双方顕著であった台風

④平成25年26号台風

T1326_2

この台風、大陸から進んできた上空の気圧の谷の、いわば、後押し受けや格好となり、雨ですが、周知のとおり、伊豆大島で観測史上最高の、24時間降水量806ミリを観測、伊豆大島内だけでも、死者・行方不明者34人、伊豆大島に多数の土砂災害をもたらしたことは記憶に新しいところですが、この台風の接近で、千葉県内、茨城県内では、軒並み24時間降水量で300ミリを超えて、千葉県内、茨城県内(おもに南部)で、多数の浸水家屋が生じました。

又。風ですが、この台風26号、偏西風の谷の接近に合いまって、台風の進行方向左側にあたる地域でも、かなりの強風に見舞われて、台風が最接近した千葉県内では、軒並み、観測史上最高の暴風を観測し、中心からかなり離れた、中国地方や九州地方においても、瞬間で30m近い暴風が吹き荒れ、高速道路の不通など、交通機関に大きな影響を及ぼしました。

以上、引用図よりいえることですが(他、筆者調べもよりますが)

◇暴風顕著になる場合の台風は、

・・・・・本州付近で、速度を速めて通過する場合や、速い速度で通過する場合※この場合の早い とは、台風の移動速度で、おおむね時速50キロ以上ですね。時速50キロで秒速おおむね10メートル程度、時速60キロで秒速およそ16~17m程度となり、台風で経験する風速というもの、台風自体の渦巻の速度(台風情報などでの中心付近最大風速や暴風域、強風域ですが)に、この台風の移動速度が加わったものとなるからです。

前記した、暴風が顕著になる場合の台風の本州付近での移動速度ですが、おおむね時速60キロ以上※引用図内●や○の間隔が1000キロ以上)となっていますね。

一方

◇雨が顕著になる場合の台風

・・・・・移動速度が比較的遅く(時速30キロ以下)で、本州の広範囲で、台風の進行方向右前側に長時間入っている場合(台風の進行方向右前側ですと、台風が隣接する太平洋高気圧の外縁部を流れる暖湿流を、台風自体の渦で、一層、引き込みやすくなるからですね。)。

◇雨・風双方顕著となる場合

・・・・・台風の北上とともに、偏西風帯の谷が進んできて、台風と相まみえる状態になる場合、台風の進行方向左側では、下降気流が卓越する場となりますので、広範囲で強風が吹きやすく、このようば進路をとる台風は、進行方向前側に前線を伴っている場合多く、こうなりますと、台風の進行方向前側の前線付近を中心にして、相当な大雨に見舞われやすいものです。

山梨県内では、このような台風が接近して、伊豆大島付近から関東東海上に台風が通過する場合、八ヶ岳山系や三つ峠山地などで、山越えの颪風が強まりやすく、平成25年台風26号の事例におきましては、韮崎で最大瞬間風速30・7m毎秒、10分間の最大風速でも17m毎秒を超えて、共に、観測始めて以来、最高の暴風を観測しております。

以上の事柄踏まえて、台風シーズンの折、台風情報などを活用なさってください。ただ、台風の接近・通過前から、雨台風とか風台風とかいう予断を抱くのは極めて禁物!台風というもの、強い雨、強い風双方兼ね備えていることは忘れずに!


上空寒気で大気不安定なため雷発生!他にもこういう外的要因があってこそ発生するもの 山梨県内では北部山

2014-07-02 01:44:41 | インポート

6月は、上空の偏西風が蛇行して、低気圧が停滞気味となったり、上空に寒気が入りやすくなったりして、東京と含めた関東地方や甲信越地方では、とりわけ雷の発生が多かった月でした。

月変わって7月になっても、この傾向は変わらず、1日も、関東地方や甲信越地方、東北地方一部中心に、あちこちで雷や一時的な強い雨に見舞われました。

このように、よく、天気番組などで、「上空に寒気が入って大気が不安定になり雷が発生する恐れがあります・・・」などの言い回しをよく耳にしますが、上空に寒気が流れ込んできて気象条件時、雷発生する箇所には、さらに、以下のような外的要因があります。

まず、引用図①ですが、

東京都心部が一時、時間雨量50ミリ前後の激しい雷雨に見舞われた、6月29日9時の、AXFE578図(上側・・・500hpa※上空5500m付近の渦度と等高度船分布図 下側・・・850hpa※上空1500メートル付近 の風向風速と等温線図と700hpa※上空3000m付近の、斜線部分が上昇流域 白抜き部分が下降流域 を示します。)をご覧ください。

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引用図内、青丸線で、上側を500hpaの顕著な正渦度 を示していますが、 この正渦度、実線で示した等高度線とおおむね交差する位置にあり、こういう位置にありますと、この正渦度の集団、実線の等高度線に沿って移動している状態を示しています。

一方、下側を青丸線で、500hpaの正渦度の移動方向前側(移流に伴う と呼びますが)に分布する、上空3000m付近の顕著な上昇流域をしめしていますが、正渦度の移流とともに、この顕著な上空3000m付近の上昇流域も東へ移動することが考えられます。

この、引用図①の青線部分と、以下に図示する ②6月29日9時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 と ③6月29日15時の日本付近レーダーアメダス解析雨量図 とを比較してみましょう。

201406290900

201406291500

引用図①の青丸線・・・発達した降水域(発達した雷雲の集団ですが)500hpaの正渦度移流域に伴う、帯状に分布する上空3000m 付近の顕著な上昇流域に沿って、帯状になって本州を移動しており、引用図③より、29日15時になると、前記したように、帯状に分布しながらも、関東山地北部や西部あたりで、局地的に降水域が一層強まっている様子がわかります。

雷を引き起こす積乱雲というもの、上空(目安となるのが上空5500m付近となりますが)に寒気が入って、地表付近との気温差が大きくなる状態は、まず、必要条件となりますが、

さらに、外的要因として(以下、筆者調べ)

Ⅰ:上空3000m付近の上昇流域(500hpa※上空5500m付近の正渦度移流域にともなうもの)

Ⅱ:地形的特性や、海陸風の収束箇所、海陸風の変わり目部分に発生する海風前線 などの、地表付近の気流の収束箇所

が加わり、十分条件となって、雷雲を発生。発達せしめるものなのです。

前記、Ⅰ、Ⅱがより顕著になるほど、雷雲はより発達するようになりますね。

ちなみに、山梨県内では、北部山地が、前記した海陸風の収束箇所にあたり、雷雲が発生・発達しやすく、この雷雲は甲府盆地を南から南西方向へ進んで、静岡県方面へと進むパターンが雷雲が発達しやすいコースとなります。

なお、引用図③での、関東にかかる帯状の発達した降水域は、さらに強まりながら東京都心部を、29日16時~17時ごろにかかて通過し、都心部に落雷を伴った激しい降水をもたらし、都心部に、交通機関の混乱や、低地の浸水被害などもたらしました。