政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

政権交代阻止を狙う共産党の存在意義

2009-06-24 06:38:52 | 政治
西松献金事件以来の日本共産党の姿勢には奇妙というほかない印象を受けている。

事件発覚ののち、共産党の姿勢はほぼ一貫して小沢批判、民主党批判であった。
金権政治の本家本元たる自民党への批判は形ばかりである。
この共産党の姿勢はどこから来るのか?

共産党からは、この事件に関しては検察批判はまったく聞かれない。
共産党の機関誌というべき赤旗の主張はそのまま産経に転載してもなんの違和感もないものである。

主張 西松献金事件 小沢氏ら政治家の責任免れぬ (2009年6月20日)
準大手ゼネコン「西松建設」による小沢一郎民主党前代表への違法献金事件で政治資金規正法違反などの罪に問われた、同社前社長国沢幹雄被告の初公判が開かれました。注目されるのは、検察側が冒頭陳述で、献金を受け取っていた小沢氏の事務所が東北地方の談合組織に強い影響力を持ち、「天の声」を出していたなどの事実を明らかにしたことです。

 国沢被告は起訴事実を認めています。献金を受け取った小沢氏の公設秘書の裁判は今後始まりますが、一連の事件の裁判を機に、小沢氏ら政治家の責任があらためて問われるのは避けられません。


「小沢氏ら政治家の責任」
”小沢氏ら”というのは、小沢の他に誰を指しているのか?
記事を読むとこの事件でささやかれている自民党代議士二階俊博の名前に触れてはいるものの、攻撃の主眼が小沢その人と言うよりは民主党全体に向けられているのが容易に読み取れる。

言い訳は通用しなくなる
 「西松」は、同社OBが代表を務めるダミーの政治団体を使って、小沢氏や二階俊博経済産業相ら民主、自民の国会議員などに、政治献金やパーティー券の購入などを行ってきました。政治資金規正法は、政治家個人への企業献金を禁止しています。このうち小沢氏には断トツの約2億円が献金されており、国沢被告らが政治資金規正法違反などに問われました。小沢氏の公設秘書も政治資金収支報告書にうそを届け出たなどの疑いで、起訴されています。


「小沢氏には断トツの約2億円が献金されており」
「小沢氏の公設秘書も政治資金収支報告書にうそを届け出たなどの疑い」
客観的な表現を装いながら、小沢の悪辣さを印象づけている。

「国沢被告が起訴事実を認めたことで、政治団体を偽装した献金が「西松」の企業献金を隠すための違法献金であったのはいよいよ明白です」

それに加え、検察側が冒頭陳述で、小沢氏の事務所が東北地方の談合組織に強い影響力を持っており、岩手・秋田両県での公共事業に「天の声」を出していたと指摘して、「西松」の献金が小沢事務所との関係改善のためだったと認めたのは重大です。

民主党もそうした小沢氏の疑惑を追及せず、代表辞任後も筆頭代表代行の重責を任せ、秘書の容疑は「形式犯」だなどと主張する、第三者委員会の報告を公表しました。

しかし、秘書の取り調べでの発言や検察の冒頭陳述どおりなら、小沢氏や民主党の言い訳は、まったく通用しないことになります。とりわけ公共工事での小沢事務所の「天の声」を期待したという検察の冒頭陳述にもとづけば、献金は文字通り見返りを期待したことになり、賄賂(わいろ)性は明白です。小沢氏と民主党がますます重大化する疑惑に正面から答えることは、絶対に免れられない課題です。


検察側の情報と、冒頭陳述に100%寄りかかった内容である。
そして最後に企業団体献金の禁止を申し訳程度に付け加えている。

このような共産党による民主党批判に違和感を覚えるのは、わたしだけではないであろう。

共産党は衆議院9名、参議院7名、計16名の国会議員を擁している。
自民党に対する批判勢力として一定の存在価値が認められてきたのは確かである。
共産党員以外で共産党に投票してきた人たちの多くは、自民党批判の意思表示と考えていたのではないか。
共産主義に共鳴し、共産主義革命を実現可能な目標と考えた人はほとんどいなかったはずだ。
そして今共産党自身も社会主義・共産主義革命を捨て去ったような顔をしている。

中国共産党は中国の資本主義を推進する中心になっている。
日本共産党は何をすればいいのか。
日本の資本主義体制に社会主義的修正を加える、ということくらいしかやるべきことがない。
具体的には、政権批判、金権政治批判しかない。

いま政権交代を目前にして、これまで共産党に投じられた党員以外の票は、その多くが民主党に流れるものと思われる。
批判が批判で終わらなくなる可能性が出てきた以上、自分の票を生かそうと考える人が増えるのは当然である。

これまで自民党批判をすることによって命脈を保ってきた日本共産党にとっては、政権交代は存亡の危機を意味する。
政権交代阻止を狙っているのは、自民・公明両党だけではなく、共産党もそうなのではないか。

「しんぶん赤旗」の記事をもう一本みてみよう。

草の根から“共産党の風”  2009年6月22日(月)
志位委員長、東京駆ける
安心と希望の選択肢を

「自民党政治の古い枠組みの中での『政権選択』では政治は変わりません」―日本共産党は21日、志位和夫委員長が東京都内3カ所で、市田忠義書記局長は大阪府内3カ所、小池晃政策委員長は都内2カ所など幹部を先頭に、精力的に街頭演説を行い、「共産党が躍進してこそ政治が変わり、未来が開けます」と力強く訴え、共感を広げました。全国の党と後援会は草の根から宣伝・対話を行い“共産党の風”を吹かせました。


志位委員長の言葉なのか、記事を書いた記者の言葉なのかよく分からない書き方ではあるが、この冒頭の言葉の意味がまた分からない。

”自民党政治の古い枠組みの中での『政権選択』”?

”自民党政治の古い枠組み”を打ち壊すために政権交代を望んでいる人たちがいるのだ。
そのための政権選択ではないのか。
”自民党政治の古い枠組みの中での『政権選択』”が、具体的に何を言おうとしているのかさっぱり分からない。
まさか自民党内の政権たらい回しを指しているわけではないだろう。
言いたいことは多分、自民党か民主党かという選択では政治は変わらない、ということなのだろう。
しかし今、国民の前にある選択肢は自民党か民主党か、という二つしかないのである。

共産党は、民主党を中心とする連立政権には参加するつもりはない。
単独で政権をとれる見込みもない。
40万人の党員と170万部の赤旗の購読費で党運営は続けられる。
政党助成金も要らないし、企業献金も必要ない。

今や共産党は、ほどほどの党勢を維持すること、そして党を永遠に存続させること以外に目的がないのではないか、とまで思えてしまう。
”存在すること自体が目的化した自己完結型の政党”
共産党の理想的な政治状況というのは、悪逆無道な自民党がのさばっていて、共産党はその自民党に立ち向かう正義の味方という役どころなのではないか。
しかし、政権交代の後では、自民党などやっつけてもだれも拍手してくれない。
かといって、民主党攻撃は自民党相手のようにはいかない。
金権腐敗の度合いは自民党に比べて圧倒的に小さい。

かち佳代子都議らとともに訴えた志位氏は、都政では自公両党だけではなく、民主党も福祉切り捨てなどに賛成してきた「立派な与党だ」と告発。民主党が選挙になって新銀行東京を「都政史上最悪の失策」と宣伝しているが、賛成したのは民主党自身だと訴えると「そうだ」という怒りの声があがりました。

志位氏が「特養ホームの増設こそ必要なときに用地費補助まで削った自公民『オール与党』を許すわけにはいかない」と指摘


志位氏の攻撃は自民党ではなく、もっぱら民主党に向けられているようだ。
民主党政権ができてからでは、共産党の存在感は大幅に小さくなる。
今の内に叩いておこうというのか、責める口調は極めて強い。

東京サバイバル情報  ☆一時避難せよ☆”の卵かけごはん氏が怒っている。
いつから「石原」を利する党になったんだ

東京8区は石原伸晃の選挙区である。
ここに社民党の保坂展人氏が立候補する。
民主党は社民との選挙協力で候補を立てないらしい。
ここに共産党が候補をたてるという。
反自民の票を保坂氏と共産党候補者で分けることになる。
多分反自民・非自民の票が一本化されれば保坂氏の勝利も可能性大である。
共産党が候補者を立てることは、結果的に自民党に有利に働く。

多分各地で同様なことが起こるだろう。
公党である共産党には、どこであろうと候補者を立てる権利はある。
しかし、しかしである。
いまこの国は史上初めて本格的な政権交代を目前にしている。
そのときに当たり、共産党がその障害になるかもしれないのである。
繰り返すが、共産党にはどこであろうと候補者を立てる権利はある。
しかし、共産党が”正当な権利”を行使することが、結果的に自民党を利することになってしまう構図が出来てしまっているのも確かなのである。
「オイラの知ったことじゃない」と言わずに、共産党の存在がこの国の民主主義の進路を妨げることもありうる、ということも自覚した上で行動して欲しいと考えるものである。





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18 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
同感です (日だまり)
2009-06-24 10:40:29
はじめまして。
日だまりと申します。
共感してTBを貼らせていただきました。

今の共産党はやっぱりおかしいですよね。
政権交代と世直しを目指して、
ぼちぼち書き続けますので
これからもよろしくお願いします。
返信する
Unknown (らむちゃのパパ)
2009-06-24 10:44:57
選挙のこと故、フタをあけてみないとわかりませんが、保坂さん、小選挙区でも当選して欲しいですね。石原氏は、私の落選して欲しい議員のうちの10本の指の中にはいってます。日曜のテレビの政治討論で発言していることを聞いていると胸が悪くなってきます。本当は5本の指の中に入れたいくらいですが、自民党には落選して欲しい議員が多すぎて(苦笑)
返信する
Unknown ()
2009-06-24 11:31:33
また国策捜査のようですよ。URL参照。
返信する
官僚と日本共産党 (非既得権益国民)
2009-06-24 12:15:48
 全国労働組合総連合という組織があり、加盟組織の過半は、自治労連、全教、国公労連などの公務員組合で占められており、大手民間企業、特に基幹産業の多数派組合は加盟していません。つまり、徹底した「官僚・公務員」中心の「組合」です。
 そしてこの組織の幹部のほとんどは日本共産党員またはその同調者と見られる者で占められており、日本共産党と共同歩調を取り、投票も含め日本共産党と支持・協力関係にある組織といわれています。
 日本共産党は、自民党は叩くが、つまり事実上「官僚」に支えられている政党です。

 さて、日本共産党がここまで偏向して「民主党」および「小沢一郎」を叩くのかは、もうお分かりでしょう。
 官僚主義が破壊されれば、日本共産党の存続そのものが危ういのです。
返信する
Unknown (「気弱な地上げ屋」)
2009-06-24 18:37:52
yamame様
先日は、コメントを戴き、ありがとうございます。
共産党の「民主叩き」 「小沢叩き」は、ある程度の「選挙戦術」を差引いても節度を越えている感を拒めません。
もう相当以前の話ですが、知人を通じてのお付き合いで、「酒好きの党幹部」と度々会食の機会がありました。
彼は言っていました。
世界中の共産党が「変っても(無くなっても)」日本共産党だけは残るだろう、と。
どういう意味か、問うたところ、「いつまで経っても(体質は)変らない」という事だそうです。
彼は、その後暫くして議員を引退させられました。
この党は、「政策実現」なんて考えていないのではないでしょうか。
「そうか」のように振舞うべきではありませんが、せめて主張する政策を一つでも実現するため、協調し協議すべきではないでしょうか。それは自民党相手でも良いと思います。
それが、支持者への「誠意」だと思います。
反対だけでは、15議席が限度でしょう。
支持者は支持者で、反対だけで、政策を一つも実現できないことは、どう考えているのでしょうか。
もっとも、幹部連中は本部前の鮨屋で「上トロ」食べることが出来れば、満足なのかもしれませんが(笑)。
こんな二重人格のような最高幹部に盲目的に付き従う「末端運動員」は悲劇です。
返信する
日だまり様 (亭主)
2009-06-24 22:47:01
コメントをありがとうございます。
貴ブログ読ませていただきました。

>「しんぶん赤旗」に告ぐ!
「白旗」を挙げて出てきなさい!

まったくその通りです。

今後ともよろしくお願いいたします。
返信する
らむちゃのハパ様 (亭主)
2009-06-24 23:03:24
>石原氏は、私の落選して欲しい議員のうちの10本の指の中にはいってます。

石原伸晃
後藤田正純
ちょっと間をおいて
山本一太
大村秀章
中には好む人もあるようですが
河野太郎
少し年齢が高いところで
町村信孝
菅義偉
外多数

わたしのぜひ落としたい議員です。
返信する
非既得権益国民様 (亭主)
2009-06-24 23:23:10
コメントありがとうございます。

わたしは労働組合と共産党との関係については、ほとんど知識がありません。
公務員も労働者です。
労働者としての公務員の権利を守ることは、共産党にとっては大事なことなのでしょう。
しかし、それが国民全体の利益に反するならば、それは厳しく責められなければならないでしょう。
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記事と関係なくてごめん (グリコ)
2009-06-25 01:08:07
鳩山氏の故人献金問題は生存者も献金してなかったと判明。住所まで違ってた。
虚偽記載問題として本日から火を噴きますよ。
返信する
それなら京都一区で民主が候補者をたててはいけないのですね・・・ (元京都市民)
2009-06-30 21:57:50
>共産党が候補者を立てることは、結果的に自民党に有利に働く。
では京都一区はどう考える?
民主が共産より多くの票がとれるのか?そうではないだろう・・・貴方の説では民主は候補者を立ててはいけないないはずだが・・・

民主ファンなのは分かるが「贔屓の引きだおし」はいかがなものか・・・

あちこちの地方選挙で「自・公・民」連合の多い事、多い事。(そういや横須賀市長選でも「自・公・民」しかも小泉と共同)共産と組むより圧倒的に自民と同一歩調をとってきた民主をいかにも正義はここにありと持ち上げるのは片腹痛い。

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