ドーナツ畑の風に吹かれて

おかわり自由のコーヒーを飲みながら、廻る季節をながめて、おもったこと。

鳥だった時のきおく

2005-05-16 19:51:56 | 日記
 男の書く文章と女の書く文章はあきらかに違うよね。
 女の文章は基本的にグロい。
 男の人はどんなに暴力的な文章を書いても所詮流れている血は外傷によるもので、それに比べて女は根本的に、月に一度大量出血だもの。と意地悪いことを考える。にしても、それの前の一週間くらいの精神不安定っぷりはどうなのさ自分、とおもう。始まってしまうと、体調は最悪だけど心の方は昨日までの数日がうそのように軽やか。浮き沈みが激しいのだ。男の人は心が安らかでうらやましいし、安心する。文章にもそれが出るとおもう。男の人の文章は安定している。女の身で、男の人のような乾いていてぐらついてない文章が書けないものか、というのが最近の課題で、いろいろ試みるけれども成功したためしがない。それでもぼちぼち小説は書いているんだ、実は。文学界に間に合いさえすれば特攻をかけるのだが。

 今日はそんな、軽やかな心の日だったので、親子三人で六本木ヒルズに行ってきた。うむ、六ヒルの展望室はなかなかいいね。ついでに森美術館にも行ったけど、現代アートは本当にわからない。でも、天井に部屋が張り付いているみたいな展示があって、その部屋には靴を脱いで上がりこんで床に座り込んで天井を見上げるという仕様になっているのだけれど、それはおもしろかったな。その場にいる赤の他人たちが皆一様におずおずと靴を脱ぎ、座り込み、時には寝転がって天井を見つめている図というのは。芸術っていうのはそういう風にあるべきなのかもしれないとおもったりした。
 あと、都市の模型展というのも見た。東京って、ニューヨークなんかと比べると本当に変な街だ。

 心の軽やかがとまらない。今日はとても気分がいい。気候もいいし。こんなに素敵な気分は久しぶりだ。これで、就活のことを考えなくてよく、卒論のことを考えなくてよく、書かねばならないESがなく、ブックオフに「鋼の錬金術師」の続き(昨日二巻まで買った)が売っていたならば、最高だったのになぁ。


 高いところで景色を眺めると、鳥になった気分が少しだけ味わえる。鳥になるって、人間の究極目標だとおもうんだけど。わたしは、ただ飛行能力を獲得するだけでは飽き足らないので、できれば透明で、なんの義務も背負わない無駄な存在になりたい。ただ空に浮かんでいるだけの。夢の中ではいつもそんな存在になれるのに。

つややかな午後

2005-05-16 00:50:45 | 日記
 ブックオフに売るためマンガを担いでいく(某氏が)。どなどな。
 ブックオフはどうも好かないけれど、捨てるよりはいいし、売りやすいし、利用してしまうんだよなぁ。今日は日曜、人がたくさんいた(活字離れ?)。いい商売してるなぁ、まったく。

 読んでた本の「ドーナツをどっさり食べる」描写を見てからずっとドーナツを食べたかったので、朝昼ごはんはドーナツにする。ドーナツ屋さんでもしゃもしゃドーナツを食べていたら、やおら空が暗くなり、雨降り出す。眺めていたらどんどん降る。小雨、大雨、どしゃぶりとみるみる三段活用。あいた口がふさがりませんよ? 店内は、出るに出られなくなったお客さんたちがどよめき。窓から見下ろす駅の出口にも途方にくれる人が幾人か。これはちょっと予想外の展開だった。しかたがないのでしばらく閉じ込められていたら、やがて雨は弱く、雲が切れ、日差しがピッカリ。まぶしいくらいの晴天。をを。一体なんだったんだ? 雨に現れた空気は澄んで、いつもより景色がくっきりしている。視力が両目とも0.3ずつ程度上昇したかのようだ。
 こんな日には、きっと、虹の始まりだって探せば見つかったに違いない。見つけにはいかなかったけれど。

 こんな素敵な日には詩的な言葉がもどってくる。詩的に生きたいなぁ。わたしが目指すのは詩的生活なのかもしれないな。

思いつくかぎり

2005-05-14 17:45:48 | 読書三昧
 ああー、これ以上思い出せない。
 しかし、本より映画のが数が多いっていうのは何事だろう。


「猛スピードで母は」長嶋有
 作者は女だと思ってた。文体もなんかそんな感じだし。うまいなぁ、と思う。

「Bolero 世界でいちばん幸せな屋上」吉田音
 クラフト・エヴィング商会の娘さんが書いた(ほんとか?)話。洒落てるし、いい感じに力が抜けてるし、読んでるうちにほどけてくいろんな仕掛けが楽しい。この人の本にでてくるおじさんたちが、かわいくてわたしはとても好きなの。

「誰が「本」を殺すのか」佐野眞
 業界研究の一環として。ノンフィクションとかあまり読まないのだけど、丹念に事実を掘り下げていく文章は、中身に関わらず、読んでいて頭がすっきりしてよいのだな。と思った。

「熊の敷石」堀江敏幸
 堀江せんせいラブ。芥川賞受賞作。しかしこの文庫、字面がすかすかしてて読みづらいんだよねぇ。

「河岸忘日抄」堀江敏幸
 「ためらい続けることの、なんという贅沢」というコピーが、本文中にあまりにもさらりと登場するのでびっくりした。ああ、素敵。しびれる。

「フィンガーボールの話の続き」吉田篤弘
 クラフト・エヴィング商会吉田パパの本。相変わらず期待を裏切らないねぇ。

「金閣寺」三島由紀夫
 なんかよくわからないけど、文章の力がある人なんだなぁ。ひたすら筆力でごり押ししている感じ。友達が卒論でやるのだけれども、先生に「普通は卒論でこんな難しいのやらないよ」と言われていた。

「針が飛ぶ」吉田篤弘
 この人の書く本たちが細い細い糸でつながっているので、読めば読むほどふふふ。

四月の映画

2005-05-13 23:18:56 | 映画三昧
おお、せめて見た映画のタイトルくらいは記憶しておきたいものだ。それにしても幾ら使ったんだろう。
 記憶の断片小説。


○ローレライ
 日本映画の悪い見本。役者は豪華なので、そこんとこは見飽きない。この人たちで3本は映画作れるなと思いながら見る。綾波ソナー。

○エターナル・サンシャイン
 「マルコビッチの穴」を作った人たちのおかしくってかなしくってって感じはけっこう好きなのだ。でも、わたしは厳密には失恋をしたことがないので、失恋ってこういうものなのっていう肝心なところがよくわからないのだったりする。

○ディープ・ブルー
 そりゃあ確かに海の生き物たちはすごいけど、夜中にたわむれにNHKつけるとこういうドキュメンタリーやってたりするよね。1000円払うべきだったろうか。まあ、大画面の威力とかはあるけれども。こういう映画で一番重要なのは音楽だとおもう。というか、映画において一番重要なのは音楽なのではないかとおもう今日この頃だ。そういう意味でこの映画はちょっと残念だったな。

○Shall we Dance?
 作りがかなり忠実、でもところどころアメリカナイズ。リチャードはなにやったってかっこよくなっちゃうんだよ。バラとか持って様になっちゃうんだから。この映画のアメリカでの評判が気になるなぁ。メガネリチャード激しく萌え。

○コンスタンティン
 ブラック・キアヌがかわいい。天使とか悪魔とかそういう世界観が好きな人はきっと好き。わたしはとても好き。続編作れそうな終り方だったけど、続編できたら嬉しいなぁ。

○真夜中の弥次さん喜多さん
 好き勝手やり放題映画。好き嫌いははっきりキッパリわかれるであろう。わたしは好き。長瀬の男っぷりと七之助の女っぷりは見物。二人の手をつなぐ姿はなんだかおそろしく良くって、男女じゃあこういう恋愛は不可能かもしれないとしみじみ思ったわけだ。こんなにまっすぐ相手のことを想うなんてさ。人前で恥ずかしげもなく大人げもなく号泣するような。
 前半のどうしようもない展開は、後半ちょっとだけイイコトを言うための隠れ蓑というかめくらましだったのではないかとおもう。愛の物語、だよね?

○キッチン・ストーリー
 北欧映画。ある独身男性と、独身男性のキッチンでの動きを研究のために一日中椅子に座って監視しているおじさん。この設定だけで1時間40分ひっぱる。期待通り、観察されてるおじさんと観察しているおじさんとのあいだに友情が芽生えていくわけである。小さく笑えるほのぼの映画。

○舞台よりもステキな生活
 子供嫌いの劇作家が、近所に越してきた子供と触れ合って徐々に心を開いていく。設定を聞いただけでストーリーが最後までわかる系なのに、細部がなかなか凝っていておもしろく見れた。

○阿修羅の瞳(ビデオ)
 素で泣いた。向田邦子は本当にすごい。

○きょうのできごと(ビデオ)
 原作は既読。学生映画、みたいな感じ。特にどこがいいって感じでもなかったけど妻夫木くんと柏原弟が出てたからいいか。

○ヴァイヴレータ(ビデオ)
 学生映画っぽい。というのは、なんか、病んでる感じが。それにしても寺島しのぶ力。なんかすごくすごい。男主人公が本当に優しくて、あんなに優しい男は映画の中ですら始めて見た、とおもう。一度でいいからあんな優しい人と付き合ってみたい。

○コーラス
 筋はどこかで見たような感じ。よく出来てはいたけれど。とにかくあの男の子の歌がすごい。歌だけ歌ってればいいのではないか。