ここのところ、為替をめぐる各国当局のつばぜり合いが続き、、「切り下げ競争」懸念を惹起する事態となっている。ガイトナー発言も、ドル切り下げを狙ったもの、との見方すら出ている。
米国はガイトナー発言の火消しをしようとしている様だが、景気後退により各国の国民の中に保護主義的な感情が強まるのが通常であることから、いろいろな衝突が起こることが想定されよう。
FRBが米国長期債を購入することも検討の視野に入っている様(市場の期待ほどは速くないが)だが、金利高は抑えられても、ドル安を防ぐことはできないだろう。バッドバンクの議論でまた期待感が高まっている様だが、追加の政府負担による政府の信用問題として、今後悲喜様々な展開を見せていこう。
○一部通貨の急落、「切り下げ競争」招けば世界経済の新たなリスクに
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36081620090126
[ニューヨーク 23日 ロイター] 世界的な金融危機が発生して1年以上経過する中、エコノミストの間で、経済が壊滅的状況に陥るのを防ぐため各国が「通貨切り下げ競争」に走るのではないかとの懸念が高まっている。
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一部のエコノミストは、これについて、かつて世界経済を「リセッション」から「ディプレッション」に陥れた「通貨切り下げ競争」に発展しかねない、と懸念している。
ニューヨークの独立系リサーチ会社、RGQエコノミクスのチーフエコノミスト、ジョン・ライディング氏は「隣国を犠牲にする極めて破壊的な通貨切り下げが行われた1930年代を思い起こさせる」と指摘する。
当時、経済危機の克服を目指した通貨切り下げが他国による関税引き上げなど保護主義的な措置を招き、貿易が停滞。その結果、世界各国は輸出を通じた景気回復が妨げられた。
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一方、オバマ大統領から財務長官に指名されているガイトナー氏は、オバマ大統領は中国が為替相場を「操作」していると認識していると述べ、中国の為替政策をけん制した。「為替操作」という言葉は、ブッシュ政権も使うのを避けてきた表現だ。
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多くの国々は世界的な景気低迷による影響を少しでも和らげるため、自国通貨の下落を望んでいるが、為替市場のボラティリティが過度に高まっているため、緩やかな為替相場の下落が秩序なき急落に姿を変えかねない。政策当局者もそれは避けたいと思っている。
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カンバーランド・アドバイザーズのデビッド・コトク会長は、保護主義がリスクだと強調し、「保護主義の多くは政治的理由が動機になっており、政治家は本来危険な存在だ」と語っている。
○焦点:米国債利回りが年初から上昇、バブル崩壊しつつあるとの見方
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-36078820090126
[ニューヨーク 23日 ロイター] 米国債は過去3週間で売りが膨らみ、30年債利回りは23日までの一週間で大幅に上昇した。利回りの上昇は週間としては2001年の米同時多発テロ直後以降で最大となり、米国債バブルが崩壊しつつあるとの見方が広がっている。
利回りの急上昇は、景気てこ入れのために住宅ローンや消費者ローンの金利を引き下げるという政府取り組みを難しくする可能性がある。
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最近の米国債の売りは、金融機関支援の財源確保で、政府が2009年に2兆ドルの国債を発行する必要があるとの観測が主要因とみられている。国債発行残高は9月末時点で既に5兆5000億ドルに達している。
投資家の資金シフトが進んだ結果、ダウ工業株30種平均が年初から7.5%下落にとどまっているのに対し、30年債は10%超下落している。
他の要因も米国債上昇の歯止めとなっている。ガイトナー財務長官は22日、オバマ大統領は中国が自国通貨を「操作している」ことを認識している、と述べた。同長官の発言を受け、仮にオバマ新政権が人民元の一段の上昇を中国に迫るとしたら、米国債最大保有国である同国が今後購入を控える可能性があるとの懸念が高まり、債券売りが進んだ。
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○永遠には続かぬ米資本の本国回帰、ガイトナー発言で市場に緊張
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPJAPAN-36128420090128
米金融危機でもドルが相対的な強さを保っている背景には、米国資本が在外資産を取り崩し、資金を本国回帰(リパトリエーション)させている現象がある。
この動きは為替市場で外貨売り/ドル買いをとなり、ドルの支援材料だ。しかし、対外純債務国である米国のリパトリはいずれ一巡することが予想され、その後は、円滑な対外借り入れの継続が米国にとって死活問題となる。
他方、ガイトナー新米財務長官は対米債権国である中国の通貨政策を名指しで批判、既に不安定化している外国資本の対米流入をいっそう冷え込ませるリスクを冒しているようだ。
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リスクに敏感な民間資本の対米流入が今後一段と不安定になることが予想される中、米財務長官に指名されたティモシー・ガイトナー氏は、日本と並んで世界最大級の対米債権国である中国の為替政策を批判した。
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この発言について、東海東京証券のチーフエコノミスト・斎藤満氏は「ドル安の進行は海外資本の円滑な流入を阻害するので、債権者にも配慮し『ドル高は国益』という看板を一応は掲げている」ものの、「2兆ドル規模に拡大する見込みの連邦政府の借金の負担を軽くする為に、米国にはインフレ待望論があり、このためにドル切り下げが必要との認識が根底にはある」と分析する。
一方、中国人民銀行(中央銀行)の蘇寧・副総裁は24日、このガイトナー氏発言について、誤解を招く発言だとし「発言は事実に反するだけでなく、金融危機の原因の分析を誤った方向に導く」と反論した。
中国の反論を受け、米国サイドは一転防戦に回った。
ギブズ米大統領報道官は26日、ガイトナー発言について、オバマ大統領が選挙期間中に示した見解を繰り返したのであって、正式な結論ではないとした。
ガイトナー発言を受け、米国が4月に発表する為替報告で、中国を為替操作国に正式認定するのではとの見方が高まっているものの、ギブズ報道官は、オバマ政権がそうするかは依然、議論の余地があることを示唆した。
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しかし、「中国が日本のように漫然と米国債を持ち続けるという思い込みが、全く的外れなことは追々証明されるだろう」(ファンド・マネージャー)との声も聞かれる。
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○FOMC Statement: Will the Fed buy longer-term Treasuries?
・・・The Committee is also evaluating the potential benefits of purchasing longer-term Treasury securities. ・・・