一緒に世界の将来について考えよう

世界の将来について、一緒に考えていくブログ
-2006年から大恐慌の到来を予想
-6年半ぶりに投稿

大恐慌!?その332 米経済のファンダメンタルズは悪化の一途

2008-11-27 12:59:59 | 世界経済

出張の後工程に追われています。

さて、米経済のファンダメンタルズの急激な悪化を示すデータが次々と出る中、大規模な金融当局の対応や、オバマ次期大統領の迅速かつ適切に思われる経済チームの人選などが株価を下支えしている状況が続いている。ポジティブなニュースは単発なのに対し、ネガティブなファンダメンタルズのニュースは津波の様に押し寄せるので、厳しい状況が続こう。

http://www.asumiru.com/report/economic_indicators/today.html

色々な経済指標について紹介する時間がないが、注目点は、

新規失業保険申請件数の4週間平均は1982年12月以来の高水準

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/11/weekly-initial-unemployment-claims-4.html

・新築住宅については、在庫水準自体は減っているが、販売に対する在庫比率は、前月の10.9ヶ月分から11.1ヶ月分まで上昇しており、全く先が見えない状況が続く。

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/11/october-new-home-sales-lowest-since.html

・更に米ティファニーの状況は、米経済が月を追うごとに急激に悪化している様相を良く示している。

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081127AT2M2701L27112008.html

売れ行きは月を追うごとに悪化し、8月6%減、9月15%減、10月20%減となっている。11月は10月よりも軟調となる見通し。金融危機を受けて高額品の購入を控える動きが広がっており、11月―09年1月期の米国の既存店売上高は「25―35%の減少」を見込む。 
 

・FRB、米政府の大規模救済により、将来的に実質金利が上昇することが懸念されている。

Roubini: Policies will lead to "much higher real interest rates on public debt"

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/11/roubini-policies-will-lead-to-much.html

These policies – however partially necessary – will eventually leads to much higher real interest rates on the public debt and weaken the US dollar once this tsunami of implicit and explicit public liabilities and monetary debt driven by rising twin fiscal and current account deficits will hit a world where the global supply of savings is shrinking – as most countries moves to fiscal deficits thus reducing global savings – and foreign investors start to ponder the long term sustainability of the US domestic and external liabilities.

 


大恐慌!?その331 ソロス氏日本の二の舞+スタグ・デフレーション

2008-11-24 11:34:27 | 世界経済

日経の朝刊にソロス氏のインタビュー記事が載っていた。資産バブルを中央銀行が統制すべき、というのは私もかねてから思っていたことであり、また時価会計の緩和が日本の銀行危機長期化の二の舞をもたらすという私の1週間前の懸念と同じ懸念を抱いている(※1)。

参考 大恐慌!?その329 米国不況の構造化 -不良債権買取断念と時価評価緩和

 

NY大のRoubini教授がスタグデフレーション(不況+デフレ)とデッドデフレーションの恐怖について詳しく論じている(※2)。いずれも日本人には馴染みの世界であるが、とうとう世界も失われた10年間への入り口に来ている。

Good newsはObama新大統領がより抜本的な対策を打つ可能性であるが、既に受けた傷はあまりに深く、回復にはいずれにしても時間を要しよう。

※1 ソロス氏 日経朝刊11/24

「資産バブルを制御するのは当局の責任だ。だがグリーンスパン、パーナンキの両FRB議長はインフレには責任を負うが、資産バブルに対する責任については明確に拒否してきた。金融当局は信用の増減や資産価格の動きに目を配るべきだ」

「日本の銀行危機が10年間も長引いたのは、銀行が不良債権をバランスシート(貸借対照表)に抱え込むことが許されたからだ。今また米国の銀行が保有資産を時価で洗い替えせずに、満期まで保有する事が容認されれば、同じ道をたどる。金融機関は評価損の計上を急ぎ、資本を増強する必要がある」

※2 

(フリートライアルあり)

http://www.rgemonitor.com/roubini-monitor/254515/the_deadly_dirty_d-words__deflation_debt_deflation_and_

defaults__and_how_central_banks_will_

have_to_resort_to_crazy_policies_as_we_

have_reached_such_bermuda_triangle_

of_a_liquidity_trap

スタグ・デフレーション...不況とデフレーションのセット

流動性のワナ...金利を下げても、信用が回復しないため、流動性が確保されず、金利政策の限界(0%)に達し、これ以上金利によって流動性を高めることができなくなる事態

デフレの弊害...以下の様々な悪循環を呼び起こす。

 1.需要減に対応した生産と雇用の減

 2.消費の延期(明日買う方が安い)

 3.実質金利を高める

 4.実質の負債負担が増す(デッドデフレーション)

   例えば、+3%のインフレの時に5%で借りた借金は、実質は5-3=2%の負担だったものが、-2%のデフレとなると、実質金利負担は5-(-2)=7%!となってしまう。さらに、住宅が15%年間下落していると、5+15=20%の負担。

  デットデフレーションが企業・個人の破産をもたらす。

   さらにスプレッドの拡大が実質金利を増やす。


大恐慌!?その330 戻ってきました

2008-11-23 11:37:32 | 世界経済

アメリカ出張から戻ってきた。住宅不況の震源地のカルフォルニアに滞在したが、2泊4日でミーティング続きだったので、ゆっくり町の様子を見ることも出来なかった。短い滞在の感想でいうと、町を見ているだけではまだ不況の様子を実感するには至っていないと感じた。まあ、ニュースを見ると不況の話題ばかりではあったが。仕事のミーティングでは、やはり1930年以来の不況という環境を踏まえた議論が中心となった。まあ、当然ではあるが。

その間、色々とニュースはあるが、取り急ぎ雇用状況の悪化について。新規失業保険申請件数は54万と更に悪化してきた(※1)。

失業率は現在6.5%だが、GSは4QのGDPが5%減とした上で、失業率は2009年4Qで9%に達すると予想。バフェット氏も失業率は8%を超え、新たな高みに達すると予想(※2)。

 

※1

新規失業保険申請件数:54万2,000件

http://www.asumiru.com/data/foreign.html

米労働省発表の11月15日まで1週間の新規失業保険申請件数は、前週比2万7,000件増の54万2,000件となった。市場予測は50万5,000件。

・・・・・・・・・・・・
マーケットでは、雇用環境は一段と悪化していると評価されている。景気減速に伴い企業の人員整理は本格化しており、もう一段階の下振れリスクが払拭できない。自動車メーカーが工場閉鎖の動きも強めるなど、先行き不透明感は強い。

Continued Unemployment Claims Over 4 Million

Weekly Unemployment Claims 

The first graph shows weekly claims. The four moving average is at 506,500.

 

 

 

Continued claims are now at 4.012 million, the highest level since 1982.

Continued Unemployment Claims The second graph shows continued claims since 1989.

 

 

 

 

 

※2

Goldman Slashes GDP forecast

Buffett: Unemployment will hit "New Heights" 

 


大恐慌!?その329 米国不況の構造化 -不良債権買取断念と時価評価緩和

2008-11-17 13:01:22 | 世界経済

定性的な議論となるが、ここのところの米国当局者の動きを見ていると、結果的に米国不況を構造化する方向に進んでいる様に思えてならない。

まず、金融安定化策の当初の目的であった住宅ローン債権買取の断念。おそらく、金融機関、ノンバンクの資金繰り悪化という止血策だけで70兆円が尽きてしまうから、という理由だろうが、外科手術で摘出しようとしていた腫瘍をほうっておいて、手先の止血に追われている感が強い。本来、70兆円で足りない分は追加の枠をとりに行くしかないはずだが、政権末期の限界がここでも出ている。投資蚊さんにコメントいただいている通り、サブプライムローンのCDSであるABX指数が一段と急落しているが、この政府の判断と無関係ではあるまい。

http://www.markit.com/information/products/category/indices/abx.html

となると、金融機関の損失は更に拡大しているはずであるが、時価会計を緩和したため、時価での評価損を反映しない決算を発表している金融機関が増えているという。日本のバブル処理があれだけ長引いたのは、くさいものにふたをして、実態を分からないままに放置したことが、大きな要因だと考えているが、米国(及び全世界)もまさにその方向に向かっている。時価会計の緩和は一時的処置だと強調しているようであるが、事態が改善されるまで時価に戻しようがなく、本当に一時的なものにとどまる見込みは低いと言わざるを得ないだろう。

不況の構造化に向けた動きが進んでいると思われてならない。。。

 


大恐慌!?その328 世界経済が凍りつくクリスマスシーズン到来!

2008-11-16 23:09:59 | 世界経済

来週急遽米国出張が入り、ばたばたとしていてただでさえ、滞りがちの投稿がさらに遅れて申し訳ない。ただ折角なので、米国の実態をしっかりこの目で見てきたいと思う。 

数点是非お伝えしたい点があるので。 

このブログで2年前から言い続けてきた通り、とうとう米個人消費の急落が始まった(まだ始まっただけ)。10月の米小売売上だがの対前月-2.8%がニュースとなっているが、対前年ではさらに悲惨な実態が。※1はfood serviceを除いたretailだけで過去から比較しているが、対前年で名目▲5.0%減、実質▲8.8%減という壮絶なもの。ただ悲劇はこれだけにはとどまらず、これからクリスマスまでのホリデーシーズンは、米経済の大きな比重を占める重要な時期となるが、※2のサーベイによると、消費者のホリデーシーズンの消費予算は対前年50%減!だという。まさに世界経済が凍りつくクリスマスシーズン到来と言えるだろう。

ところで、 GS元会長のWhitehead氏は、今回の恐慌は世界大恐慌よりもひどいと言っている(※3)。米国(政府?)の負債の増加により、世界経済の要となっている米国自体の信用が下落しようとしており、惨事への通り道だと。いよいよ世界大恐慌以上という見方まで出てきたようだ。

 

※1Retail Sales Collapse in October 

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/11/retail-sales-collapse-in-october.html


Year-over-year change in Retail Sales 

To calculate the real change, the monthly PCE price index from the BEA was used (October PCE prices were estimated based on the increases for the last 3 months).

Although the Census Bureau reported that nominal retail sales decreased 5.0% year-over-year (retail and food services decreased 4.1%), real retail sales declined by 8.8% (on a YoY basis). This is the largest YoY decline since the Census Bureau started keeping data.

 

 

※2Survey: Planned Holiday Spending Off Sharply

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/11/survey-planned-holiday-spending-off.html

Year Average Spending Percent Change
2008 $431 -50%
2007 $859 -5%
2006 $907 -4%
2005 $942 -6%
2004 $1,004 +3%
2003 $976 -6%
2002 $1,037 -1%
2001 $1,052 + 9%
2000 $968 + 3%
1999 $939 + 1%
1998 $928 + 34%

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Whitehead: "Worse than the Depression"

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/11/whitehead-worse-than-depression.html

・・・・former Goldman Sachs chairman John Whitehead is quoted as saying the current slump will be worse than the Great Depression!

From Reuters: Whitehead sees slump worse than Depression (hat tip Rex Nutting)

The economy faces a slump deeper than the Great Depression and a growing deficit threatens the credit of the United States itself, former Goldman Sachs chairman John Whitehead ...
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