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世界の将来について、一緒に考えていくブログ
-2006年から大恐慌の到来を予想
-6年半ぶりに投稿

大恐慌!?その355 銀行のバランスシート危機の峠?実体経済悪化が深刻化

2009-01-18 22:56:10 | 世界経済

最近信用危機の指標が落ち着いてきている(たとえば、TEDスプレッドhttp://www.bloomberg.com/apps/quote?ticker=.TEDSP%3AIND)。

不良資産救済プログラム(TARP)資金の残り3500億ドルが活用して不良債権買い取り機関の設立が検討されており(※1)、これまで比較的慎重な見方をしていたPIMCOのグロス氏が銀行のバランスシート危機が峠を超えた可能性について言及している(※2)。

ただ、(大)不況!? その58 米住宅減速の景気への重しはこれから(2007/1/29)にもあるように、過去のグロス氏の見方は楽観的に過ぎたことからしても、実際の動向は予断を許さない。

一方、グロス氏も指摘する様に、これからの焦点は実体経済悪化に伴うジャンク債(高利回り債)はデフォルト(債務不履行)リスクの上昇にあるのかもしれない。12月の米国工業生産高は年率換算11.5%下落し、設備稼働率も2001年12月以来の低水準(73.6%)に落ち込んだ(※3)。グラフが示す様に、もう少し悪化すると82-83年以来の水準まで低下する。これまでドル安による輸出の伸びが米国工業生産の落ちを抑えていたが、世界経済の冷え込みが米国の工業生産を落とすというネガティブスパイラルが、いよいよ完成されつつある。

 

※1 米当局が不良債権買い取り機関の設立検討=FDIC総裁

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-35922220090116

公的資金を用いて金融機関からの不良債権買い取りを行なう「受け皿銀行(aggregator bank)」の設立を協議しているという。CNBCテレビで述べた。

 総裁はこの不良債権買い取り機関について、不良資産救済プログラム(TARP)資金の残り3500億ドルが活用されるとし、1989年に設立された整理信託公社(RTC)に似た仕組みになると説明した。

※2 信用危機、銀行のバランスシート面で峠越えた可能性=PIMCOのグロス氏

http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-35923120090117

米有力債券ファンド運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の最高投資責任者(CIO)であるビル・グロス氏は16日、銀行のバランスシートに及ぼす悪影響という観点で、信用危機は最悪期を脱した可能性があるとの認識を示した。

 同氏はカリフォルニア州ニューポートビーチにあるPIMCO本社からのビデオインタビューで「銀行はすでに巨額の資本注入を受けており、今後も公的資金が投入されるだろう。銀行のバランスシートいう観点では信用危機は最悪期を脱したようだ」と指摘。銀行貸出機能の回復に向けてあらゆる措置を講じ、住宅価格も底を打つ必要がある、と述べた。

 一方、社債市場は回復には程遠いとし、特にジャンク債(高利回り債)はデフォルト(債務不履行)リスクの上昇に直面しているとの認識を示した。・・・・・・・・・・・・

※3 

Capacity Utilization and Industrial Production Cliff Diving

Capacity utilization ... fell to 73.6% from 75.2%. This is the lowest level since December 2001. Industrial output fell at an 11.5% rate in the fourth quarter.
emphasis added

Capacity Utilization Click on graph for larger image in new window.

This is a very sharp decline in industrial output, and industrial production is a key to the depth of the economic slowdown.