一緒に世界の将来について考えよう

世界の将来について、一緒に考えていくブログ
-2006年から大恐慌の到来を予想
-6年半ぶりに投稿

ニュースから 2/6

2005-02-06 21:43:26 | 中東問題


今後、もしイラクのテロが沈静化してきた場合に、ブッシュ政権はイラクから撤退する意図はあるのであろうか。「アメリカの世界戦略について その1」で紹介したプロ・ブッシュの主張の塊ともいえる日高レポートでは、米国はイラクに第二のペンタゴンを建設中で、そこを中東の軍事戦略の要にするという。この話が本当であれば、米国(少なくともブッシュ政権)には、イラク撤退の意思は無く、テロ対策を口実としてイラクに大軍を駐留させつつ、国内で撤退論が強くなりすぎる前に、次なる標的イラン憎し、という世論を米国内で(国際世論は全く気にしてないと思われるので)、高めたいというのが、ブッシュ政権の方向性なのだろうか。ニュースの中では、
1.イラク駐留米軍1万5千人削減へ、選挙警備のヤマ越す
2.イラク駐留米軍高官「戦闘終結遠い」・イラク部隊訓練急務
米国は当面撤退する意思の無い事を表明。
3.イラク宗教勢力、多国籍軍の早期撤退要求
イラクの宗教勢力は、早期撤退を求めている。この辺りのせめぎあいが続くのだろう。

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1.イラク駐留米軍1万5千人削減へ、選挙警備のヤマ越す
ウォルフォウィッツ米国防副長官は3日、上院軍事委員会で証言し、イラク駐留米軍の数を現行の15万人規模から3月に約1万5000人削減し、13万5000人体制にすることを明らかにした。
 米軍は、イラク暫定国民議会選挙(1月30日)警備のため、陸軍と海兵隊の一部を駐留延長するなどして一時的に増強しており、今回の1万5000人削減は、選挙終了でイラク警備のヤマ場を越えたと判断して、選挙前の体制に戻すことを意味している。
 その一方で副長官は、イラクの反米武装勢力鎮圧について、「道のりは険しい」とも述べ、年内に駐留米軍の規模をこれ以上縮小する計画はないとの見方を示した。
 ブッシュ米政権は、イラク駐留米軍について、「人為的な撤退期限を設けない」(ブッシュ大統領)とする一方で、イラク軍・警察の訓練を積み上げて、なるべく早い時期に自ら治安維持を担えるようにし、米軍の漸次撤退を考えている。
 しかし、米軍のマイヤーズ統合参謀本部議長は、同日行った記者会見の中で、米軍が訓練したイラク軍兵士約13万6000人のうち、危機対応が可能なのは約4万人にとどまり、全体の3分の1にも満たないことを認めた。
 ウォルフォウィッツ副長官によると、イラク軍部隊の脱走兵は約4割に上るという。

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2.イラク駐留米軍高官「戦闘終結遠い」・イラク部隊訓練急務
イラクの首都バグダッドの治安維持に当たるイラク駐留米軍部隊のハモンド准将は4日、AP通信に、国民議会選挙は成功したが、反政府武装勢力との戦闘は終結からはほど遠い、と述べた。

 ハモンド准将は、米軍は今後、掃討作戦を遂行できるイラク精鋭部隊約4万人をはじめイラク部隊の訓練が重要だとの認識を示した。

 第1騎兵師団の副司令官を務める同准将は「このまま米軍がどんなに掃討作戦を続けても撤退できない。永遠にイラクで戦い続けることになる」と述べ、米軍撤退には任務遂行が可能なイラク人部隊をつくり上げることが急務との考えを示した。

 イラク治安部隊については3日、マイヤーズ統合参謀本部議長が「約4万人がいかなる場所でいかなる脅威にも対処できる」とし、さらに約10万人が警察力などとして治安維持に貢献できるとの認識を示していた。

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3.イラク宗教勢力、多国籍軍の早期撤退要求
イラクでイスラム宗教勢力が相次ぎ、米軍主体の駐留多国籍軍の早期撤退を求め始めた。国民議会選挙の投票が終わり、民主化計画が動き出したことで、イスラム教を基盤とする国造りを進めるため英米の影響力を排除する狙いだ。有権者に棄権を呼びかけたスンニ派の有力組織イスラム聖職者協会のダーリ事務局長は5日、バグダッドでカジ国連事務総長特使と会談。特使は新憲法の草案作りに参加するよう要請した。

 協会の報道担当は会談後、草案作りに加わる条件として多国籍軍の明確な撤退計画の提示をあげた。「(条件の内容を)選挙不参加の政党と擦り合わせる」とも述べ、協会を支持基盤とするイラク・イスラム党などと共闘する姿勢をみせた。

ニュースから 2/4

2005-02-04 20:45:07 | 中東問題


昨日今日のニュースから興味ぶかい記事をいくつか(記事自体は最後につけてます)

1.2/3イラクのシーア派サドル師「多国籍軍の撤退要求を」
  反米のサドル師の存在は今後のシーア派イラクとアメリカの関係にとって、複雑な意味を持ちそう。
2.2/4イラク武装勢力、各地で再び攻勢・29人死亡16人不明
  やはり選挙があっても、テロはやみそうに無いのか。
3.2/4米政府、イラク戦費に来年度も補正要求
  結果として、アメリカの双子の赤字は、やみそうに無い。
4.2/4イランは「忌み嫌う」対象・ライス国務長官
  でも、選挙が終わって、アメリカのもっぱらの関心は、次なる標的イランか。

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1.イラクのシーア派サドル師「多国籍軍の撤退要求を」
イラクのイスラム教シーア派の対米強硬派指導者、ムクタダ・サドル師は2日、「国民議会選挙に参加した宗教、政治指導者は米軍など多国籍軍に撤退か、少なくとも撤退時期の明示を求めるべきだ」との声明を発表した。イラクでは選挙後、米軍などの早期撤退を求める声が相次いでいる。

 声明は暫定政府のアラウィ首相がイラクのあらゆる宗教、民族に「国民対話」への参加を呼びかけたことを評価、「前向きで必要なことだ」とした。シーア派最高権威のシスタニ師が選挙参加を呼びかけるなか、サドル師は外国軍が駐留する中での選挙に反対していた。一方、北部キルクーク付近で同日、石油パイプラインの警備から宿営地に戻る途中のイラク軍部隊が武装集団に襲撃され、イラク兵12人が死亡した。選挙後に起きた襲撃事件では最大の犠牲者となった。


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2.イラク武装勢力、各地で再び攻勢・29人死亡16人不明
イラク各地で米国が支える暫定政府に反発する武装勢力の攻撃が再び活発になり、2日夜から3日にかけ警官ら29人が死亡、16人が行方不明になった。1月30日の国民議会選挙後では最大級のテロ攻撃。独立選挙管理委員会は3日に集計結果の一部を公表、移行政府の発足が近づいたが、治安回復のメドは立っていない。

 首都バグダッド南郊では3日、待ち伏せていた武装集団が警察の車列を襲い、ロイター通信によると警官2人が死亡したほか、14人が負傷、16人が行方不明になった。不明者の多くは警官とみられ、武装集団が拉致した可能性がある。車列は南部からバグダッドに向かう途中だった。

 バグダッド市内と国際空港を結ぶ幹線道路では3日、国軍が護衛する外国人の車列に向け自動車による自爆攻撃があり車両数台を破壊した。国際テロリスト、ザルカウィ容疑者の武装集団「イラクの聖戦アルカイダ組織」が同日、犯行声明を出した。近くでイラク治安部隊の車列も襲われ警官ら5人が死亡した。

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3.米政府、イラク戦費に来年度も補正要求
ウルフォウィッツ米国防副長官は3日の上院軍事委員会での証言で、イラク、アフガニスタン戦費として2006会計年度(05年10月―06年9月)にも「かなりの額」の補正予算を要求することになると述べた。

 米政府は05会計年度の戦費として議会がすでに承認した250億ドルに加え、近く新たに800億ドルの追加補正を要求する方針で、補正予算の総額は1050億ドル(約11兆円)に上る。

 副長官は現在のイラク駐留米軍の規模を06年も維持することになるとの見通しを示し、そのためにはイラクだけで500億ドル以上が必要になると説明した。

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4.イランは「忌み嫌う」対象・ライス国務長官
 米国のライス国務長官は3日夜(日本時間4日早朝)、欧州・中東外遊の最初の訪問地であるロンドンに到着した。ライス氏は当地に向かう機中で同行記者団と懇談し、イラン政府の自国民に対する人権侵害は「忌み嫌うべき対象だ」と語り、異例の強い表現で非難した。イランの核開発問題は欧州各国首脳との主要議題で、会談を前にイランとの対決姿勢を鮮明にした。

 ライス氏はイランの指導部について「選挙で選ばれたわけでもない宗教指導者が政権を運営することは、誰が見ても国民にとって良くない」と指摘。「われわれはイランに対して、彼らの行動が国際社会の望む方向と逆行しているとはっきり伝えている」と述べた。

 イランの核問題を巡っては英仏独の3カ国が外交解決を目指してイランとの交渉を進めている。ブッシュ米大統領は欧州の外交努力を尊重する考えを示しているが、米側の交渉参加は拒否。2日の一般教書演説でイランを「世界第一のテロ支援国家」と表現した。


アメリカの世界戦略について その5

2005-02-01 19:25:25 | 中東問題


イラクの選挙が終わった。新聞によると、『イスラム教シーア派の政党連合「統一イラク同盟」がナジャフで90%、バスラで80%など同派住民の多い南部で圧倒的な得票で、定数275のうち約45%の議席を獲得する見込みという。アラウィ首相率いる世俗シーア派の「イラク・リスト」がこれに続く勢い。また、クルド人政党連合「クルド同盟」の関係者はAP通信に65議席(約24%)を得たと述べた。これら3大会派が議席の大半を占めることが確実だ。』ということのようだ。約45%と約24%を合わせて約70%、もう1つの会派がクルド人政党よりも多い議席とすると、スンニ派の議席はほとんど残らないことになる。いずれにしても、予想された通り、スンニ派が政治プロセスからもれてしまうことになり(形式的には大統領が残るというが、政党政治で弱小勢力では、思うような政治的力は発揮できるはずも無い)、今後も様々な形で不満が鬱積するだろう。周辺のスンニ派諸国のイラク・スンニ派への同情(パレスチナのアラブ人と同じ。テロリストへの支援も含むだろう)と、イスラム(スンニ派対シーア派)のパワーバランスを壊されたことへの反発、イラン・シーア派とイラク・シーア派との関係など、今後も中東情勢は複雑なままであろう。

今後、イラクの選挙を形なりにも終わらせたことで、アメリカは次なる標的イランに対する攻勢を強めていくことだろう。そしてその先には、サウジなどの専制国家の解体による、アメリカ利権の更なる拡大を目指すのであろう。ただ、ジャファリ・イラク副大統領が31日に『米軍などが撤退すれば「内戦が始まる」』と述べている様に、イラクの不安定さに本質的な変更はなく、今後もアメリカの多くの国力がイラクの情勢安定かに削がれると思われる。今後の動きに注目していきたい。

ところで、最近、出張でUAEに行く機会があった。ドバイからアブダビに車で移動する中で、ドバイが取り組もうとしていう壮大な再開発地区を通り過ぎたが、見渡す限り工事現場で、余りのバブルぶりに驚いた。石油高騰によるバブル的な現象であろうが、改めて石油マネーの強大さと、アメリカがイラク、そしてイラン等中東の石油にあれだけの執念を燃やす理由もわかる気がした。

そういう意味では、数週間前に新聞にのっていた、現在の中国の石油消費量でいくと、向こう80年分にあたる石油の埋蔵が確認されたというニュースは、もし本当であるとすれば、中国、アメリカ等の世界の力関係を考える意味では非常に重大なニュースだろう。