一緒に世界の将来について考えよう

世界の将来について、一緒に考えていくブログ
-2006年から大恐慌の到来を予想
-6年半ぶりに投稿

(大)不況!? その59 米住宅の空室率は過去最高

2007-01-30 09:42:37 | 世界経済

米国の2006年10~12月の住宅空室率は2.7%で、1960年代以降過去最高を更新したと言う。過去数年の建て過ぎと潜在的な在庫の多さを示したもので、表面的な指標の改善で米住宅市場の底入れを言えるような状況でないことの一つの証左であろう。

Empty homes everywhere

 

http://calculatedrisk.blogspot.com/2007/01/record-homeowner-vacancy-rate.html

http://interestrateroundup.blogspot.com/2007/01/empty-homes-everywhere.html

 


(大)不況!? その58 米住宅減速の景気への重しはこれから

2007-01-29 12:56:04 | 世界経済

このブログで主張し続けてきている米住宅減速の景気への影響の遅行性について、大変分かり易く書かれたインタビュー記事が日経に載っていたので、紹介したい。結論としては、軟着陸が70%と見ているようだが、要素の分析はCaliculated riskさんの分析とも良く一致している。

2007年1月29日日経朝刊p.3

米大手債券運用会社ピムコの最高投資責任者ビル・グロス氏(運用資産は6,000億ドル超。カリスマ性から「債券王」の異名も。62歳)

「より重要なのは完工件数だ。建設部門の雇用削減は完工後に始まるからだ。約9ヶ月前に着工した住宅が今完成している。着工件数は昨春から減っており、完工件数に影響が出るのはむしろこれからだろう。住宅ブームに慣れた市場関係者はこの点を甘く見ている」

「当社の調査では、中古住宅の販売が全米で落ち込んでいるのはもちろん、価格も年間4~5%というかつてないピッチで下げている。・・・など投機で上昇した地域の下げが大きく、もっと下がるだろう。」

米景気全体への波及は、

「建設部門の失業が増え、消費が減る影響が一つ。もう一つは住宅の値上がり部分を担保に借り入れた資金を元手とする消費が減る点。今年は昨年に比べて元手が4,000億ドル分減る恐れがある。未経験の現象で見極める必要があるが、個人消費全体の伸びは今年、2%以下にとどまるだろう。」

「消費が減速すれば影響は雇用にも広がる。非農業部門の雇用者数は昨年の月平均15万人から5~10万人に減るシナリオに向かっている。軟着陸の範囲内だが、GDPの伸びは今年、年率約2%に減速するだろう。」

「FRBは月間雇用者数が5~7.5万人になるか、失業率が3、4ヶ月間上昇すれば利下げに転じるだろう。その時期は5月か6月で、現在5.25%の政策金利を年末までに4.25%に引き下げると見ている」

「シナリオは米景気の軟着陸を想定したもので、確率は70%。米国の人々が住宅を持つ意欲を一段と落して価格が年1割下がるようならハードランディングとなり、日本など海外への影響もより大きい。その確率は20%と見る」

 


(大)不況!? その57 米住宅動向アップデート

2007-01-28 00:50:04 | 世界経済

最近の住宅及び雇用関連の指標。12月は、住宅市場の持ち直しが目立ったが、1月の直近2週間は、ローン申請指数が急落しており、金利上昇の影響が今後の市場にどのような影響を与えるか注目。

 

◎新築戸建て(12月)

http://calculatedrisk.blogspot.com/2007/01/december-new-home-sales-112-million.html

http://calculatedrisk.blogspot.com/2007/01/more-on-december-new-home-sales.html


4.8%増で持ち直し。

 

 

 

 

 

 


価格は低下あるいは底ばっている。

 

 

 

 

 

 

在庫は5.9ヶ月分と落ち着きつつある。

Click on graph for larger image.

新築販売数は景気の重要な先行指数の一つであり、過去のRecessionの前の多くの場合に、新築販売数は下落。

 

 

 

◎中古販売数(12月)

http://calculatedrisk.blogspot.com/2007/01/december-existing-home-sales-ease.html


Click on graph for larger

 

 

 

 

 

 



在庫は6.8か月分。若干減少。

 

 

 

 

 

 


2006年の中古販売数は過去3番目で、在庫は実数、使用されている住宅比とも過去最高。

 

 

 

 

◎週間住宅ローン申請数(1/20までの週)

http://calculatedrisk.blogspot.com/2007/01/mba-mortgage-applications-decrease.html 


2週続けて下落。新規住宅向けローンは、8.4%減。

 

 

 

 

 

◎週間失業申請件数(1/20までの週)

http://calculatedrisk.blogspot.com/2007/01/unemployment-insurance-weekly-claims.html

今現在は安定的。
 


米大手企業経営者、温暖化ガス削減義務化を提言

2007-01-23 13:08:41 | 環境問題

地球温暖化について、力強い続報。とうとう、米企業も動き出した様だ。

◎米大手企業経営者、温暖化ガス削減義務化を提言

http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070123AT2M2301023012007.html

 ゼネラル・エレクトリック(GE)など米大手企業10社の経営者は22日、環境政策のシンクタンクなどと共同で、温暖化ガスの削減を義務化する立法を促す提言をまとめた。今後10年間で二酸化炭素(CO2)などの温暖化ガスを最大10%削減するよう求めている。議会でも超党派で義務化を支持する動きが出ており、削減目標設定に消極的なブッシュ政権に温暖化対策を促す圧力が一段と高まってきた。

 提言をまとめたのは、GEのほか、アルミのアルコア、建機のキャタピラー、化学のデュポン、金融のリーマン・ブラザーズなど米国を代表する大手企業と「エンバイロメンタル・ディフェンス」など環境保護団体。ワシントンで同日開いた記者会見で各社は「地球温暖化に対応するための法律をできるだけ早期に通す必要がある」と口々に訴えた。


「不都合な真実」の衝撃

2007-01-23 02:15:24 | 環境問題

米住宅不況についても色々な情報を紹介頂いたCheeさんが紹介されていた地球温暖化に関するドキュメンタリー映画「不都合な真実」を、封切り初日の土曜日(1月20日)に、六本木ヒルズで見てきた。

この映画は、色々な意味で私には衝撃的であった。

豊富な映像、データを使い、地球温暖化の現状を浮き彫りにしているドキュメンタリーで、やや理屈的な内容も多く、そのまま万人受けするわけではないが、一方でアル・ゴア氏の個人的な生い立ち、問題意識なども交えつつ、全体としてのストーリーが練られた構成であった。地球温暖化を取り扱った作品としては、メッセージ性が強く、分かりやすい内容となっていると感じた。作られた映画の派手なエンディングは無いが、見ている人一人一人の地球温暖化への取り組みを促すシンプルなエンディングがむしろ印象的であり、多くの観客がエンディングの音楽の間も席を立たなかった。 

私自身は、地球温暖化の問題の深刻さについては、5年以上前から深い懸念を持ち、日米の穏健な環境関連のNGOの手伝いなどをしてきたが、常に一部の善意ある人たちの活動から抜け出ず、多くの人の心に訴えかける強いメッセージ性が足りないことにもどかしさを感じていた。地球温暖化を示すデータは日々増え、それを示す様な現象は年々顕著となり、残された時間は刻々と短くなっているのに、それに対抗する動きは依然として緩慢なままであった。

緩慢な対策をもたらしてきた最大の要因は、最大の汚染国であるアメリカの非協力的な態度であった。京都議定書を否定し、石油業界との強いパイプで反環境的な方針を貫くブッシュの2004年の再選は、正に暗澹たる気持ちで見ていた。

環境問題の難しさは、その抜本的な対策のためには、一部の善意ある人たちのボランティア精神では足りず、社会全体の一丸となった取り組みが不可欠なことである。これまで、環境問題への取り組みには、一部の熱狂的な人々の取り組みは感じられても、多くの人にそのメッセージが届くことは無かった。クリティカルマスに達しない取り組みは、いつまで経っても、一部の人の自己満足の様にすら感じられた。

そうした思いを抱き続けてきただけに、この様な映画が作られ、広く配信されていること自体が、私には大きな驚きであった。アメリカでは、一部のマイナーな映画館での上映が中心であったようで、日本でも上映している映画館こそ少ないものの、東京でも六本木ヒルズや有楽町などのメジャーな場所でも上映されている。

もちろん、「科学的証明ができないことや企業が商売にしようとして いるんじゃないか、とかいう指摘」などの批判は、あるだろうし、民主党による選挙キャンペーンの一環との見方も当然あるだろう。ただ、この映画を通じて訴えている「不都合な真実」が本当に真実である限り、それぞれの立場に立脚した断片的な批判を気にする必要は余り無いと思う。

カタリーナの悲劇、絶えることの無い異常気象のニュースなど、待ったなしの状況の中で、遅まきながら、色々な風向きの変化が目に見えてきている。米国においては、これまで州レベルでは色々な試みがなされていたが、連邦レベルでも、昨年の中間選挙で民主党が勝利したことによって風向きが変わることが期待される。

また、環境への取り組みが、企業にとっての競争力の源泉となる状況が顕在化してきている(映画にもとりあげられていたが、直近の自動車業界における日本メーカの躍進と米国メーカの不振は最も良い例)。

地球温暖化の問題の解決に当っては、一人一人の市民は、自分に出来る環境に良いことを取り組む、というのが第一歩だということは間違いないが、目標の高さを考えると、恐らくそれだけでは足りないと思う。おそらく、環境への取り組みが、一人一人の良心によるだけではなく、今の人類の多くのモチベーションの源泉となっているマーケットの原理に取り込まれ、環境問題の解決に向けた色々なイノベーションが多くの人々に受け入れられ、環境に強いことが富と競争力の源泉になり、トレンドの最先端になっていくことが必要不可欠な様に感じられる。

そういう意味で、我々一人一人が、個人のレベルで意識を改めること、そしてそれを一人でも多くの他人に伝え、大きな消費者の波を起こしていくことが重要だろう。消費者は、現代消費社会におけるキングであるが、消費者とはとりもなおさず、我々一人一人の集合体であろう。また、私はネット社会の発展が、この大きな変化を助ける重要なインフラとなることも期待している。

前置きが長くなったが、是非「不都合な真実」を見ることをお勧めします。そして、出来ることから始めることを。

http://www.futsugou.jp/

Cheeさんのページは以下の通り。

http://blogs.yahoo.co.jp/giantchee2/26718871.html