一緒に世界の将来について考えよう

世界の将来について、一緒に考えていくブログ
-2006年から大恐慌の到来を予想
-6年半ぶりに投稿

大恐慌!?その277 米失業保険申請数は高水準

2008-06-23 12:42:34 | 世界情勢

すっかりとアップデートのタイミングが遅れているが、重要なものは遅れても書いておきたい。

先週木曜日発表の米失業保険申請数は2週続けて38万台。継続受給者数は若干減少したものの高水準。過去のレセッションと同じような軌道を辿っており、過去の例からすると、今後当面申請数、受給総数とも上昇の圧力が働くと思われる。

Weekly Unemployment Claims

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/06/weekly-unemployment-claims.html


Weekly Unemployment Continued Claims 

The first graph shows the continued claims since 1989

継続受給者数

 

 

 

 

 


Weekly Unemployment Claims The second graph shows the weekly claims and the four week moving average of weekly unemployment claims since 1989.

申請数と4週平均


大恐慌!?その276 米住宅市場は一段縮小の恐れ

2008-06-19 00:14:59 | 世界経済

米住宅市場指数が過去最低更新、住宅許可・着工件数下落、住宅ローン金利急上昇と、米住宅市場はいまだに底なしの状況の様だ。 

NAHB Builder Confidence: Congress needs to act "Urgently"

NAHBのHMI(住宅市場指数)は18と下落し過去最悪を更新。議会の緊急の支援が必要と訴えている。

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/06/nahb-builder-confidence-congress-needs.html

Congress needs to act "urgently". Americans are losing their jobs, losing their homes, losing their home equity. We need help!!!

Residential NAHB Housing Market Index 

 

 

 

 

 

 

 

Housing Starts: Lowest Since 1991

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/06/housing-starts-lowest-since-1991.html

5月の米住宅許可件数は前月比1.3%減、着工件数は3.3%減と下落が続く。

Total Housing Starts and Single Family Housing Starts Click on graph for larger

 

 

 

 

 

 

○米週間住宅ローン申請指数は‐8.7%、借り換え申請が落ち込む=抵当銀行協会

http://jp.reuters.com/article/foreignExchNews/idJPnJT818505420080618

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 30年住宅ローン金利(固定、手数料除く)は6.57%と前週から33ベーシスポイント(bp)上昇し、07年7月以来の高水準となった。

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投資蚊さんにもご紹介頂いた上記記事だが、住宅ローン金利の驚くべき上昇が目を引く。インフレ懸念が既にかちかちになっている住宅市場を隅々まで凍らせようとしている。 

住宅保留件数が6%程度伸びて、今度1~2か月の中古住宅販売数は多少の持ち直しが見られると予想されるが、抵当流れ物件を持っている金融機関が値下げ覚悟で売り始めたという話もある。米住宅市場は、いまだ底なし状態の様だ。

 


大恐慌!?その275 米小売実質マイナス続く+1Qホームエクイティ引出約9兆円減

2008-06-15 22:52:56 | 世界経済

投資蚊さん、継続的なコメントありがとうございます。投稿するのに厳しい日々が続いていますが、今日は久々に復活。以下、小売とホームエクイティ引出について。

Real Retail Sales

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/06/real-retail-sales.html

先週木曜日発表の米5月小売売上高は、前月比+1.0%(予想+0.5%)増と予想を上回る伸びとなり好感された。前年比では、小売で+2.1%増、食糧サービス込で+2.5%増であるが、PCE価格指数で割り戻した実質ベースは、小売▲0.8%減とマイナス成長が続いている。税還付はその半分は5月に終わっているはずであり、その段階で未だマイナスの域を出ないのは大変厳しい情勢と言わざるを得ない。以下のグラフがいかに低い水準かを物語る。 

This graph shows the year-over-year change in nominal and real retail sales since 1993.

Year-over-year change in Retail Sales Click on graph for larger image in new window.

To calculate the real change, the monthly PCE price index from the BEA was used (May PCE prices were estimated based on the increases for the last 3 months).

Although the Census Bureau reported that nominal retail sales increased 2.1% year-over-year (retail and food services increased 2.5%), real retail sales declined 0.8% (on a YoY basis).

 

Q1 2008 Mortgage Equity Withdrawal: $51.2 Billion

http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/06/q1-2008-mortgage-equity-withdrawal-512.html

なぜ消費がここまで弱くなったのか、を説明する最大の要因の一つ、ホームエクイティの引き出し。2008年1Q(1~3月の引き出しは$51.2 billion(約5.5兆円、可処分収入の1.9%)と推定されている。前年同期Kennedy Greenspan Mortgage Equity Withdrawal$135.7 Billionから、何と$84.5 Billion(約9兆円、約60%)も下落していた様だ。税還付はトータル十数兆円であるが、ホームエクイティ引出は1Qだけで約9兆円も下落しており、まだ5兆円下落余地がある。ガソリン高、雇用悪化などの要因も合わせれば、米個人消費は、税還付の効果が尽きると共に、更に低い水準に落ち込む可能性が高いだろう。

 Click on graph for larger image in new window.

For Q1 2008, Dr. Kennedy has calculated Net Equity Extraction as $51.2 billion, or 1.9% of Disposable Personal Income (DPI). Note that net equity extraction for Q4 2007 has been revised upwards to $92.3 billion.

This graph shows the net equity extraction, or mortgage equity withdrawal (MEW), results, both in billions of dollars quarterly (not annual rate), and as a percent of personal disposable income.

MEW declined sharply in Q1 2008, however these numbers are not seasonally adjusted. MEW in Q1 2007 was $135.7 Billion, so MEW has fallen over 60% from Q1 2007.
  


大恐慌!?その274 失業率急騰→ドル安、株安、原油急騰 FRB奇策の限界

2008-06-07 01:08:22 | 世界経済

投資蚊さんにコメント頂いているが、米失業率が5.0%→5.5%に急騰、雇用者数も3月が▲7千人、4月が▲8千人と更に下方修正された上で、5月が▲4.9万人減(※1)。

失業率が異常値だ、ととらえたい方もいらっしゃるだろうが、

大恐慌!? その93 2006年3Qの米民間雇用者数は49.8万→1.9万増に大幅下方修正

でも紹介している通り、今のBLSの速報は新しく出来た会社の雇用増分の反映の仕方が上手くできていないため、好況期は控えめに、不況期は多めに出やすい構造のため、実態は失業数よりも失業率に近い悪化である可能性が高い点に留意。

 

さて、失業率急騰を受け、当然のことながらドル安、米株大幅安となったが、あろうことか、FRBから過去3日間で大量供給された資金は、はけ口を求めて原油市場に殺到し、WTIは現在前日比+$6.4の$134.23となっている。  

失業率急騰→原油急騰、という因果関係はあまりに異常であるが、これもFRBが、本来崩壊せざるを得なかったバブルを温存するために、半永久的に無制限な資金を市場に供給するというFRBの「奇策」がもたらしたモラル・ハザードそのものであろう。

原油高→インフレ懸念→金利上昇圧力、ということで、30年国債の利回りは現時点前日比-0.09%の下落にとどまり、4.65%。金利が下がらないことで、住宅市場の不況が長続きし、評価損増、個人消費減の効果をもたらしている。

投資蚊さんご指摘の以下の記事(※2)の通り、これまでよりも大きな銀行も含めた破たん懸念も出ている様だが、更なる悪化は必至だろう。

なお、これまでのところ、本日は米FRB、3日物レポで32.5億ドル供給 にとどまっている。

いつまでFRBがこの奇策を続けるかであるが、私見では続けられる限り続ける。つまり、いまさら引き返せない。ではいつまで続けられるかといえば、もっとも遅くても、減税策の効果が尽きて、すでに相当弱い米個人消費が急落するタイミングであろう。

ただ、このタイミングまで引き延ばすことのリスクは非常に高く、引き延ばしによって実力以上の原油や資源価格、金利、株価等が温存されるため、

・個人消費が急落し、

・金利高で住宅不況が続き、

・企業のデフォルト率も高まる中で、

温存してきたバブル(特にCDS)をクラッシュさせることになる。と言っても、完全にクラッシュさせることで、世界経済は限りない混乱をもたらすことから、おそらく損失をFRB、ないしは米政府を通じで米国民が背負うことになろう。

大恐慌!?その253 CDS危機の本質-歴史的低水準のデフォルト率を上げられないいびつさでも紹介している通り、CDS市場は過去3年間で10倍近くに拡大し、現在残高60兆ドル(約6,000兆円)ともいわれるバブルの本丸であろうが、これを適正サイズに戻すには何が必要か。 何が適正サイズがわからないが、仮に1/3の20兆ドルが適正とすると、40兆ドルの縮小が必要。そのうちの損失が1%で0.4兆ドル(40兆円)、10%で400兆円。400兆円を3億人弱の米国民で割ると、一人当たり100~150万円程度。

リアルタイム財政赤字カウンタ(http://www.kh-web.org/fin/)によると現在の日本の財政赤字は一人当たり850万円とのことであるが、日本よりもはるかに財政が健全な米政府であれば、全く支えきれない額ではないだろうが、政治的決断に至るプロセスや、それに伴う政府活動の制限など、いろいろな支障が生じよう。

いずれにしても、そこまでいかないと、本質的な解決の出口は見えてこないとの感を強めた次第である。

※頂いたコメントに返事できず、すいません。後で時間を見つけて返事するようにします。

 

※1UPDATE1: 5月米失業率は3年半ぶりの高水準、非農業部門雇用者数は予想を下回る減少幅

http://jp.reuters.com/article/marketEyeNews/idJPnJT818014020080606

米労働省が6日発表した5月の米雇用統計によると、

失業率が5.5%と2004年10月以来の高水準へ上昇し、米経済が依然として景気後退のリスクに直面していることを示す形となった。

 4月の失業率は5%だった。0.5%ポイントの上昇は22年ぶりの大きさ。非農業部門雇用者数は5カ月連続で減少し、4万9000人減となった。

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         5月 4月 4月速報 3月 3月前回   2月  1月

非農業部門雇用者増減   -49 -28 -20 -88 -81 -83 -76

失業率(%)       5.5 5.0 5.0 5.1 5.1 4.8 4.9

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http://calculatedrisk.blogspot.com/2008/06/jobs-unemployment-rate-jumps-to-55.html

 

Employment Measures and Recessions Click on graph for larger image.

Unemployment jumped sharply and the rise in unemployment, from a cycle low of 4.4% to 5.5%, is a strong recession indicator.

雇用者も1年間で23.6万人増にとどまり、ほぼゼロ成長。

 

 

 

※2 http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-32134420080606

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総裁は「従来との比較で、今後はより規模の大きい金融機関が経営破たんに陥る可能性がある」とし、「今日の経済環境における不透明性により、銀行業界も個人も銀行規制当局も、相当に困難な局面に直面し続けるだろう」と述べた。

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大恐慌!?その273 FRB 3日間で18兆円の資金供給!

2008-06-06 12:57:39 | 世界経済

ロイターで過去1週間ほどのFRBの資金供給状況を拾って見た(漏れがあるかもしれないが)。

5/30、6/2と控えめで6/3にFRB議長がドル安警戒、利下げ停止のやや引き締めスタンスのコメントを発した当たりまでは、引き締め路線に軌道修正をしようとした節も見られる。

しかし、下げ止まらない銀行株、ABX指数、CDS指数(※1)を見て、急遽方針を転換したのか、過去3日間で、

・短期資金供給 約750億ドル (+ECB 250億ドル)

・ターム物入札 約1,000億ドル

と計1,750億ドル(約18兆円)もの資金供給を行っている。

これでは、どんなに口先で警告しても投機的な行為に拍車がかかることは避けられず、原油価格の急高騰もうなずける。米フィラデルフィア地区連銀総裁が金融市場への政策介入、モラルハザード高めるリスク(※2)についてコメントしているが、それは既に起こっていることである。

http://jp.reuters.com/investing/news/archive/foreignExchNews

5/30(金) 米FRB、3日物レポで77.5億ドル供給
6/2(月)    米FRB、3日物レポで42.5億ドル供給
6/3(火)  NY外為市場・序盤=ドル上昇、FRB議長のドル安によるインフレ
リスク警告で
米FRBの750億ドルのターム物入札は落札金利2.26%、応札倍率1.28倍(TAF、
期間28日)
      米FRB、2日物レポで185億ドル供給
      ECBがドル資金入札で250億ドル供給
      再送:米FRB、28日物レポで200億ドル供給
6/4(水) 米FRB、2日物レポで70億ドル供給
6/5(木) 米FRB、翌日物レポで42.5億ドル供給(応札額は395億ドル)
      米FRB、7日物レポで200億ドル供給 (応札額は651.5億ドル)
      米FRB、14日物レポで50億ドル供給((応札額は812.5億ドル)
      5日のNY連銀ターム証券貸出入札、応札額269億ドルで札割れ
       31日物

 

※1 CDX.NA.IG 米企業のCDS指数

http://www.markit.com/information/products/category/indices/cdx.html

 

 

※2 金融市場への政策介入、モラルハザード高めるリスク=米フィラデルフィア地区連銀総裁

http://jp.reuters.com/article/foreignExchNews/idJPnJT817885020080605

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ニューヨーク大学で講演した総裁は「金融市場への政策介入にはモラルハザードを高め、効率的な価格発見(price discovery)を阻むリスクがある」と指摘。「混乱を鎮める目的の介入は、モラルハザードを生み出すことにより、実際には、長期的に見て一段と大きな混乱につながる可能性がある」と述べた。

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