一緒に世界の将来について考えよう

世界の将来について、一緒に考えていくブログ
-2006年から大恐慌の到来を予想
-6年半ぶりに投稿

今日のニュースから

2005-01-25 23:06:40 | 中東問題


イラク関連

イラクのクルド2大政党、自治死守へ布石着々
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20050125id01.htm
 【カイロ=柳沢亨之】30日のイラク国民議会選を前にクルド人2大政党、クルド民主党(KDP)とクルド愛国同盟(PUK)が、同国北部のクルド人自治死守のため、「選挙後」に向けた布石を着々と打っている。

 クルド政党筋が本紙に明らかにしたところによると、両党は、KDP議長が自治政府を率い、PUK議長がバグダッドの中央政府の要職を狙うことでこのほど合意した。

 長年対立してきた両党が連携を深めている背景には、多党乱立による他勢力の分裂状況を利用しようとの政治的思惑と、自治に批判的な他民族への根強い疑心がある。

 北部3県を領域とするクルド人自治区は1990年代から、PUK支配域の東側(スレイマニヤ県)と、KDP主導の西側(アルビル、ドホーク両県)に分かれている。社会主義的なPUKと部族主義的色彩の残るKDPの対立は、旧フセイン政権下の94―98年に戦闘に発展するなど根深い。

 だが同筋によると、両党は既に、今選挙後の自治政府統合に合意。今春には誕生する見通しの単一の自治政府の議長には、マスード・バルザニKDP議長が、同首相にもKDP関係者が就任。

 これと引き換えにPUK幹部が「民族議会」(自治政府の議会)議長に、さらにジャラル・タラバニPUK議長が「クルド人の代表者」として中央政府に送り込まれることで合意に達した。タラバニ氏は、首相、大統領の両中枢ポストをも狙っているとみられる。

 実際、両党が選挙後の政局を左右できる議席数を獲得する、と見る向きは多い。イスラム教スンニ派(人口比約2割)勢力がボイコットしている上、同シーア派(同約6割)も、ダアワ党など宗教勢力率いる「統一イラク同盟」と、アラウィ首相率いる世俗勢力「イラクリスト」に分裂しているからだ。

 一方、KDPとPUKは政党連合(候補者165人)を結成、北部3県以外の各県を含めイラク人口の約2割とされるクルド人票の大半を獲得する見通しだ。自治区は治安が比較的良好な上、都市部では地区単位ごとの組織的な投票運動が展開され、「90%以上」(同筋)の高投票率が予測されていることから、クルド人勢力は単純人口比以上の議席数獲得も十分可能だ。

http://www..nikkei.co.jp/news/main/20050125AT2M2500C25012005.html
米戦費、800億ドル追加へ・イラク負担一段と鮮明に
 【ワシントン=森安健】ブッシュ米大統領は早ければ25日にも、イラク・アフガニスタン両国での軍事展開を維持するため800億ドル(約8兆2000億円)規模の補正予算を連邦議会に要求する。一方、米陸軍幹部は24日、イラク駐留米軍の大部分を占める陸軍を今後2年間は現行の12万人から縮小しない見通しを明らかにした。イラクの負担が資金、人材両面で改めて鮮明になった。

 議会は既に2005会計年度(2004年10月―2005年9月)分の戦費として250億ドルを前倒し承認しており、800億ドルが認められれば、今年度分だけで戦費は1000億ドルを超える。ホワイトハウスは当初、補正予算の規模は500億―600億ドルと想定していた。駐留規模が13万8000人から15万人に拡大したことや原油高による燃料費の増額、軍用車の装甲強化などの費用のため800億ドル規模になる。一方、米陸軍のラブレス副参謀長は米メディアに対し、イラク駐留陸軍を今後2年間は12万人に維持すると述べた。ロイター通信によると、同氏は「最も可能性が高いケースを想定しており、最悪の事態ではさらに兵が必要になる」と語った。 (16:20)

アメリカの世界戦略について その4

2005-01-24 20:04:03 | 中東問題
まずは今日の2つの記事から。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20050122i114.htm
ブッシュ米大統領は22日放送のラジオ演説で、20日の就任演説で提唱した「自由を拡大し、圧政を終わらせる」構想の主な対象が「拡大中東地域」であることを明らかにした。
大統領はラジオ演説で、米国の安全保障が海外の国々での自由実現にかかっているとの認識を改めて示した上で、「拡大中東地域で自由と希望、民主主義を促進し、テロの素地となる絶望や無力感、怒りを打ち砕こう」と述べた。
就任演説では、人々の自由を阻害している「圧政」がどの国・地域を指すのか、具体的な言及はなかった。この日のラジオ演説は、ブッシュ政権が、30日に国民議会選挙の行われるイラクを含む中東地域での自由・民主化実現を、優先課題にすえていることを示した形だ。(読売)

やはり、石油支配による覇権を考えているブッシュの頭の中にあるのは、中東ということだろう。


http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M2300A%2023012005&g=G1&d=20050123
【バーレーン=加賀谷和樹】イラン外務省のアセフィ報道官は23日、2期目が始動した米ブッシュ政権のイラン敵視姿勢に関し「米国の軍事攻撃の可能性は低いと思うが、仮に攻撃されても、我が国には十分な備えがあり怖くはない」と述べ、核開発問題などで米国に譲歩する考えのないことを明らかにした。

 テヘランでの記者会見で語った。20日のブッシュ米大統領就任式後にイラン政府高官が対米問題で公式に声明を出したのは初めて。

 報道官は仮想敵国イスラエルの働きかけで米国が軍事攻撃に踏み切る公算を排除せず、「国際機関がもっと関心を払うべきだ」と、国連などに米国の制御を求めた。

 米国はライス次期国務長官が18日の議会公聴会でイランなど6カ国を「専制の前線」と非難。チェイニー副大統領も20日の米テレビでイランを「潜在的な問題地域のトップ」と指摘した。ブッシュ大統領も20日の就任演説で「世界の専制政治の終えんが目標」と強調した。 (20:00) (日経)

今後、イランを巡る情勢は、緊迫感を高めていくことだろう。

本題に戻って、一方、アメリカにとっても、一旦、力で問題解決する方法を選んでしまった以上、それをひたすら続けるしかなく、結果としてアメリカの国力にネガティブなインパクトを与える可能性がある。

戦争が経済にもたらす影響は色々な側面があるだろう。戦争に伴う膨大な軍事費支出は、軍事物資の発注を通して、国内経済の発展のけん引役となるため、アメリカが高成長を続けていることは、驚くには当たらない。その副作用は膨大な財政赤字であり、戦争による戦利品で、国家財政を立て直せない限り、サステイナブルな経済促進策にはなりえない。戦争による戦利品とはいうまでもなく、中東の石油による利権であり、これをいかにアメリカにもたらすかが、イラク戦争の最大の狙いであったといえるだろう。

戦後復興という名目で、イラクの石油から上がる収入を米国企業をはじめとして、占領政策に加担した日本などの同盟国の企業に分け与えることで、経済の発展に促進剤とするというブッシュの狙いは一面では当たっているだろう。ただ一方で、直接米国の国家の予算にイラクの石油収入を計上することは困難であり(在イラク米軍の経費負担などで間接的には出来ても)、非常に大きな規模に達している米国の双子の赤字への懸念が高まる中で、今のアメリカ流の新植民地主義がサステイナブルであるかどうかの、まさに瀬戸際に立っているといえる。

そういう意味で、ブッシュのイラク政策は、父親が果たせなかった(果たさなかった)フセイン失権という点だけでなく、アメリカにとって父親とでもいうべきイギリスがかつて世界的な規模で展開し、最終的に国家としての没落を招いた植民地主義についても、新しい形で挑戦しているという点で、二重の意味で父親の肩を追い越そうとしているとも言える。

アメリカの世界戦略について その3

2005-01-24 00:00:00 | 中東問題
ただ、チェイニー米副大統領が言うように、アメリカが次の標的をイランに定めた場合には、中東により複雑なパワーバランスがもたらされる。ブッシュは、フセインとその支持者たちを排除するために、結果的にイラクではシーア派と組むことになった。私は詳細は知らないが、イラクの選挙のために、100万人単位でシーア派の人間をイラクに送り込んだと言われるシーア派イランは、おそらくイラクのシーア派と非常に密接な協力関係にあると思われる(イスラム教の中で非主流の少数勢力であるシーア派同士で、分裂している余裕はないだろう)。また、シーア派内には、反米で自らの命を絶ってまで米国と戦おうとしたサドル師などの反米強硬派もおり、米国が鉾先をイランに向けた時に、30日の選挙後に成立するであろうシーア派イラク政権の動きは大変注目される。アメリカから見れば、シーア派イラク政権はアメリカの力によって、その地位を得る事が出来た、自らの傀儡政権であり、どうとでも操れる飼い犬という意識でいるかもしれないが、仇敵であるスンニ派でなく、自らの身内であるイランのシーア派を米国が攻撃しようとする時に、米国に協力姿勢をとるのか、大変厳しい選択となるだろう。

アメリカの世界戦略について その2

2005-01-22 21:45:18 | 中東問題
新聞によると、旧ソ連ベラルーシのルカシェンコ大統領は21日、安全保障会議を開き、米ブッシュ大統領の就任演説に対して「石油のにおいがする血まみれた自由は誰にも必要ない」と語り厳しく反発した。同国はライス米新国務長官が18日の議会証言で「専制の前線」の一国と名指ししたばかりで、北朝鮮やイランなどとともに米国の介入対象になったことを懸念し「国益を守るため効率的な対応策を練る」と強調したという。ブッシュの一国覇権主義は今後更に大きな軋轢を生んでいくだろう。

イラク問題に関して言えば、状況はイスラム教シーア派、スンニ派、クルド人間の民族紛争に向かいかねない状況になっており、アメリカの強大な軍事力によって抑えこまなければ、いつ内戦に突入してもおかしくないと思う。内戦というよりは、イランに代表されるシーア派、シリアなどイスラム教の主流派であるスンニ派、イラン・トルコなどにも存在するクルド人などによって、国境を越えた民族再編にまで発展しかねない。事実、もし自分がイスラム教徒であれば、今のイスラム世界に欠けているのは、50の州を束ねたアメリカ合衆国、大きなまとまりになろうと模索するEUの様に、より統一されたイスラム国家だと考えると思う。現状の、欧米による植民地支配の後で、欧米に都合がいい形で細かく分断されたイスラム社会は、欧米、特にアメリカにとっては、都合がいい。昔のオスマントルコの様に、大イスラム国家を作ろうという動きは、今後でてきはしないのか。現在、各国の支配階層(王族を中心に)は、多大なる既得権益をもっており、このような動きには基本的に否定的であろうが、逆に勢力が分散されているために、イラクで起こったように個別にアメリカの実質的な植民地になるリスクが目に見えている以上、そうとばかりはいってられないだろう。中東民主化を唱え、中東の石油の支配をより完全なものにしたいアメリカの鉾先は、当面の標的であるイランが片付いた後は、サウジアラビアの王族など、今はアメリカを味方と思っている特権階級に対しても、向けられる可能性は多分にあると思う。

アメリカの世界戦略について その1

2005-01-22 00:24:37 | 中東問題


新聞によると、1月20日、ブッシュは米国大統領就任演説で、「我が国の自由を守るには、ますます他国で自由を成功させなければならなくなってきた。平和への最短の道は自由を世界全体に拡大することだ」と述べ、またすべての国に対し「選択は抑圧か自由のどちらかだ」と迫り、第1期と同様、ブッシュ政権の価値観に同調するかで敵味方を色分けする姿勢を貫いたという。一方、チェイニー米副大統領はテレビ番組で「世界の潜在的な問題地域を見回せば、イランがリストのトップにある」と述べ、ブッシュ政権がイラン問題を最重要課題と認識していることを明らかにした、という。

今後の世界情勢を見定める上で、アメリカの世界戦略を理解することは大変重要だと思っているので、私なりの私見を、今日から数回に分けて書いてみたいと思う。

私が最近読んだ本の中で、アメリカの政策に関する日高義樹レポート「アメリカ世界戦略図」と言う本がある。まるで、ブッシュの回し者かと思うくらい滑稽なほどに、プロ・ブッシュの主張で貫かれた本ではあるが、ブッシュの本音の様なものは伺えて中々興味深かった。

「アメリカ世界戦略」によれば、ブッシュの世界戦略とは、圧倒的な軍事面における優位性を背景に、一国覇権主義を達成するというものの様である。いかにもアメリカ中心の一人よがりの戦略に満ちているが、アメリカの自信(傲慢さ)の表れともいえるであろう。ただ、「剣をとるものは剣にて滅ぶ」という格言の通り、短絡的な武力による問題解決を図ろうとするブッシュの政策は、結果的に世界中を制御不能な地域紛争、暴力が荒れ狂う世界にするリスクがあると思っている。具体的な例を次回以降に書きたいと思う。