ミャンマー・日本語学校ブログ

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ヤンゴン在住12年の作者がお届けします。

新憲法の日本語訳(15)

2006年01月15日 | ミャンマー新憲法
第6章 司法権
裁判所の構成
293 国家の司法権に関する裁判所を以下の通り設置する。
(ア)連邦最高裁判所、管区裁判所、州裁判所、自治管区裁判所、自治区裁判所、県裁判所、郡区裁判所と法律に従って設置されたその他の裁判所。
(イ)軍事裁判所
(ウ)憲法裁判所
連邦最高裁判所
294 国家において連邦最高裁判所を設置する。軍事裁判所と憲法裁判所の司法権を侵害せず、連邦最高裁判所は国家の最上級の裁判所である。
連邦最高裁判所の基本的な司法権
295 
(ア)連邦最高裁判所のみに以下の基本的な司法権を与える。
(1)連邦国家が締結した条約などに関して起こった事項。
(2)連邦政府と管区政府または州政府の間に起こった紛争(憲法関係の問題は除外)
(3)管区同士、州同士、管区と州、国土と管区または州、などの間に起こった紛争
(憲法関係の問題は除外)
(イ)連邦最高裁判所は国家の最上級の裁判所であることから、控訴上告できる最後の裁判所である。
(ウ)連邦最高裁判所の判決は最終判決であり、控訴できない。
(エ)連邦最高裁判所は憲法の規定は法律の規定に反しない限り、管区裁判所または州裁判所の判決の上告審を行なうことができる権利を有する。
また、その他の裁判所の判決の法律に従い、上告審を行なうことができる権利を有する。
(オ)連邦最高裁判所は法律に従って、修正判決を下すことができる。
296 連邦最高裁判所は
(ア)以下の命令を発令する権利を有する。
(1)進言する命令
(2)権限を与える命令
(3)禁止する命令
(4)関係当局に質問する命令
(5)召還命令
(イ)国内に異常事態が宣言された地域内においては、命令を発令するための申請は停止すること。
司法権に関する予算
297 連邦最高裁判所は司法権に関する歳出、歳入の予算案を憲法の規定に従って、各年度毎に作成する国家の年度予算に繰り入れるために連邦政府に対して提出する。
司法権に関する事項の報告
298 連邦最高裁判所の長官は連邦議会であれ、国民議会であれ、民族議会であれ、国家または国民に関係する重要事項の司法判断の状況について時宜、報告すること。
連邦最高裁判所の長官、連邦最高裁判所の裁判官の任命
299
(ア)連邦最高裁判所の長を連邦最高裁判所の長官と称する。
(イ)連邦最高裁判所において連邦最高裁判所の長官を含む連邦最高裁判所の裁判官の人数は7名から11名まで任命できる。
(ウ)
(1)大統領は連邦最高裁判所の長官として相応しい人物の名簿を連邦議会に提出し承認を得ること。
(2)第300条に定める連邦最高裁判所の長官及び連邦最高裁判所の裁判官になるための資格条件を満たさない明らかな理由がない限り、連邦議会は大統領が連邦最高裁判所の長官として任命するための名簿に記載された人物を拒否することはできない。
(3)大統領は連邦最高裁判所の長官として任命するために連邦議会に提出した人物が承認を得られなかった場合、新名簿を連邦議会に提出できる。
(4)大統領は連邦議会で承認が得られた人物を連邦最高裁判所の長官として任命する。
(エ)
(1)大統領は連邦最高裁判所の長官と協議し、連邦最高裁判所の裁判官として相応しい人物の名簿を連邦議会に提出し承認を得ること。
(2)第300条に定める連邦最高裁判所の長官及び連邦最高裁判所の裁判官になるための資格条件を満たさない明らかな理由がない限り、連邦議会は大統領が連邦最高裁判所の裁判官として任命するための名簿に記載された人物を拒否することはできない。
(3)大統領は連邦最高裁判所の裁判官として任命するために連邦議会に提出した人物が承認を得られなかった場合、新名簿を連邦議会に提出できる。
(4)大統領は連邦議会で承認が得られた人物を連邦最高裁判所の裁判官として任命する。
300
(ア)連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官は政党政治活動に関わってはならない。
(イ)連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官が国家公務員の場合は、連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官として任命された日から現行の公務員制度に関する規則に従って退職したものとみなされる。
連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官の資格条件
301 連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官は以下の資格条件を満たしていること。
(ア)年齢が50歳以上、70歳以下であること。
(イ)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(ウ)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(エ)
(1)管区または州の裁判所の裁判官として最低5年間の職務経験があること。
(2)管区または州レベル以上の司法関係の職務または法律関係の職務を最低10年間の勤務経験があること。
(3)裁判所の弁護士として最低20年間の職務経験があること。
(3)顕著で立派な功績のある法律専門家であると大統領が認めた者。
(オ)国家と国民に対して忠誠心のある者。
(カ)政治政党員でない者。
(キ)議会の代議員でない者。
連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官の弾劾について
302
(ア)大統領または国民議会または民族議会の代議員は連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官に対して以下の事由により弾劾できる。
(1)国家から受ける恩恵や忠誠に背信した者。
(2)この憲法の定める規定に違反した者。
(3)相応しくない品格に欠けた行動をした者。
(4)第301条に掲げてある連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官になるための資格条件を満たさない者。
(5)法律により与えられた職務を果たさない者。
(イ)大統領は弾劾が必要な場合は、
(1)弾劾する内容を連邦議会の総裁に提出すること。
(2)連邦議会の総裁は弾劾調査委員会を設置し、法律に従って調査すること。
(3)調査委員会を設置する場合、国民議会と民族議会から同数の代議員を選出し、その中から相応しい者を調査委員会の議長とする。
(4)調査する内容や仕事量を考慮の上、調査を終了させるまでの期間を設定すること。
(5)大統領は自らであれ、代理人を通してであれ、調査委員会において自身が弾劾する内容を説明することができる。関係する資料や証拠を提出する権利も有する。
(6)弾劾内容を調査しているとき、弾劾を受けた者に対して、自身であれ、代理人を通してであれ、反論する機会を与えること。
(7)弾劾内容に関して、調査委員会が調査結果を報告してきた場合、連邦議会の総裁は連邦議会に提出すること。
(8)連邦議会の代議員の総数の3分の1が弾劾内容は妥当なものとして、弾劾を受けた連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官がその職務を続けることが不適当であると議決した場合、連邦議会の総裁はその議決内容を大統領に報告すること。
(9)そのように報告を受けた場合、大統領は弾劾を受けた連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官を罷免する。
(10)弾劾内容は不当なものとして連邦議会が議決した場合、連邦議会の総裁はその議決内容を大統領に報告すること。
(ウ)国民議会または民族議会の代議員が弾劾する場合、
(1)大統領または副大統領を弾劾することに関する第71条の規定に従って行なうこと。
(2)連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官の誰か一人に対する弾劾内容が正しいものとして、連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官が職務を続けることが不適当であると議決した場合、大統領は弾劾を受けた連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官を罷免する。
(3)弾劾内容は不当なものとして議会が議決した場合、議会の議長はその議決内容を大統領に報告すること。
連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官の任期
303 連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官は以下の事項に該当しなければ、70歳まで職務を続けることができる。
(1)自分自身の意志で退職した場合。
(2)憲法の規定に従って弾劾を受けて罷免された場合。
(3)法律に従って設置された医療チームの健康診断により、健康上または精神上のどちらかに長期的な支障があり、職務を続ける能力がないと判断された場合。
(4)死亡した場合。
304 連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官の職務、職権、権利などは法律に定める。 

新憲法の日本語訳(14)

2006年01月14日 | ミャンマー新憲法
首都ネーピードーの行政権
284 
(ア)ネーピードーにおいて、憲法が発効した日に、ネーピードーの区域内に存在する県、郡区全てを含む。
(イ)大統領はネーピードー内に存在する県、郡区を必要に応じて変更できる。
ネーピードー評議会の設置
285 
(ア)ネーピードー評議会の議長と評議委員は以下の資格条件を満たしていること。
(1)年齢が35歳以上であること。
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)大統領が指定したその他の資格条件を満たしていること。
(イ)大統領は、
(1)ネーピードー評議会を設置する。
(2)上記の(ア)に掲げた資格条件を満たしている人物をネーピードー評議会の議長、委員として任命する。
(3)ネーピードーの治安に関する事項を協同、協議するために、評議委員として任命するために、国軍最高司令官から定められた資格条件を満たしている国軍に属する適当な人物の名簿を入手すること。
(4)ネーピードー評議会の議長、評議委員の構成人数は法律によって必要に応じて定めることができる。
(ウ)ネーピードー評議会の議長は国家の大統領に対して、評議委員は議長に対して、または議長を通して大統領に対して、責任を負う。
(エ)ネーピードー評議会の議長、評議委員が議会の代議員の場合は、ネーピードー評議会の議長、評議委員となった日から代議員の職を辞職したものとみなされる。
(オ)ネーピードー評議会の議長、評議委員が国家公務員の場合は、ネーピードー評議会の議長、評議委員となった日から、現行の公務員制度に関する法律の規定に従い、国家公務員を退職したものとみなされる。
(カ)ネーピードーの治安に関する事項を協同、協議するために任命された国軍に属する評議委員は国軍から辞職、退職する必要はない。
(キ)ネーピードー評議会の議長、評議委員が政治政党に属している場合は、ネーピードー評議会の議長、評議委員となった日から、職務が終了するまでの期間中は政治政党の活動を行なってはならない。

ネーピードー評議会の議長、評議委員の任期、辞職、罷免、空席になったポストの補充
286 
(ア)
(1)ネーピードー評議会の議長、評議委員の任期は通常の場合、大統領の任期と同一である。
(2)ネーピードー評議会の議長、評議委員は任期途中に何らかの理由により、自分の意志により辞職する場合は、辞職願いを大統領に提出して辞職できる。
(3)大統領は、
(アア)与えられた任務を遂行できないネーピードー評議会の議長、評議委員を辞職するように勧告できる。勧告に従わない場合は罷免できる。
(イイ)辞職するかまたは罷免される者が国軍に属する者でネーピードー評議会の評議委員の場合、国軍最高司令官と協議し執り行なうこと。
(4)辞職した場合であれ、罷免された場合であれ、死亡した場合であれ、その他の理由であれ、ネーピードー評議会の議長、評議委員のポストが空席になった場合、大統領は憲法に含まれる規定に従って、ネーピードー評議会の新議長、新評議委員を任命できる。そのように任命されたネーピードー評議会の議長、評議委員の任期は大統領の残りの任期のみである。
(イ)ネーピードー評議会の議長、評議委員の職務と職権と権利については法律により定める。
ネーピードー評議会事務局
287 ネーピードー評議会の総合統括局の長は、職位ではネーピードー評議会の書記として担当する。また、ネーピードー評議会の総合統括局はネーピードー評議会の事務局である。

県と郡区の行政権
288 県と郡区レベルの行政権は国家公務員に対して職権を与えてこれを執行する。

地区または村落の行政権
289 地区または村落の行政権はそれぞれの地区または村落に居住する地位や名誉のある有力者に対して職権を与えてこれを執行する。

国家公務員
290 国家公務員の任官、昇進、退職、規律の維持、規則の設定、処分などは法律に従って行なわれる。

291 国家公務員である国軍に属する者は、その職務の特殊性から、国軍に関する法律に従って扱われる。

292 国家公務員であるミャンマー警察に属する者は、その職務の特殊性から、別途法律により扱われる。

新憲法の日本語訳(13)

2006年01月13日 | ミャンマー新憲法
自治権を得た自治管区と自治権を得た自治区の執行部
275 自治権を得た自治管区と自治権を得た自治区の行政権を行使する執行部を「自治管区執行部または自治区執行部」と称する。

自治管区執行部または自治区執行部を組織すること
276
(ア)自治権を得た自治管区と自治権を得た自治区は同レベルにある。
(イ)自治権を得た自治管区と自治権を得た自治区はそれぞれ、自治管区執行部または自治区執行部を組織する。この執行部は憲法の別表3に掲げてある通り、立法権を委任されている。
(ウ)自治管区執行部または自治区執行部は最低10名で構成すること。
(エ)自治管区執行部または自治区執行部は以下の人物により構成する。
(1)自治管区または自治区にある郡区から選挙された管区または州の議会の代議員。
(2)治安のためであれ、国境政策を行なうためであれ、その職務を与えるために、国軍最高司令官が法律に従って名簿に記載した国軍に属する者。
(3)上記の(1)(2)項の人物が選んだ補充するための人物。
(オ)上記の(エ)項の(1)(2)項に含まれる自治管区または自治区の執行部の委員は自分たちでお互いに協議し、自治管区または自治区にある郡区から選挙された管区または州の議会の代議員の中から相応しい人物を選び、自治管区または自治区の首長として選出する。そのように選出された首長の名簿を関係する管区または州の知事を通して大統領に報告する。
(カ)大統領は提出された名簿に記載された人物に対して、関係する自治管区または自治区の首長として任命する。
(キ)自治管区または自治区の首長は職位上、関係する管区または州の大臣と同レベルである。それゆえ、憲法に定められた管区または州の大臣に関して定めた規定の中で、任命する方法を除いて、その他の規定は自治管区または自治区の首長に対して効力が及ぶ。
(ク)関係する自治管区の首長または自治区の首長と、執行部の委員は、
(1)関係する自治管区または自治区に居住する、自治権を得た民族の他に、勘案するに足る1万人以上の人口があると当局が認めた民族に対して、その民族毎に1名ずつの代表者を執行部の委員として選出すること。そのように選出された者は第169条に掲げてある管区または州の議会の代議員になるために定めた資格条件を満たしていること。
(2)自治管区執行部または自治区執行部の委員が10名に満たない場合は、最低10名になるように関係する自治管区または自治区内に居住する住民の中から、第169条に掲げてある管区または州の議会の代議員になるために定めた資格条件を満たしている者を選出し補充すること。
(ケ)国軍最高司令官は自治管区執行部または自治区執行部の中にその構成人員の4分の1に相当する人物を国軍に属する人物で補充することができる。
(コ)自治管区執行部または自治区執行部の委員として任命するために国軍最高司令官が名簿に記載した国軍に属する者は、管区または州の代議員になるための資格条件を満たしていること。
(サ)
(1)関係する自治管区執行部または自治区執行部は自治管区執行部または自治区執行部の委員の名簿を公表すること。
(2)自治管区執行部または自治区執行部の首長は関係する管区または州の知事に対して、または関係する知事を通して大統領に対して責任を負う。
(3)自治管区執行部または自治区執行部の委員はその首長に対して責任を負う。
(4)自治管区執行部または自治区執行部の首長及び委員については、その任期、処分、辞任、罷免、空席となったポストの補充などについて法律によって定める。
(シ)自治管区執行部または自治区執行部の首長及び委員の職務、職権、権利は法律の規定により定める。

自治管区執行部または自治区執行部の行政権
277 憲法の規定に反しなければ、自治管区執行部または自治区執行部の行政権は以下の事項について効力が及ぶ。
(ア)別表3に掲げてある自治管区執行部または自治区執行部の立法権として認められている事項。
(イ)連邦議会が制定した法律により、自治管区執行部または自治区執行部に認められている事項。
(ウ)関係する管区または州の議会が制定した法律により、自治管区執行部または自治区執行部に認められている事項。
278 自治管区執行部または自治区執行部は、連邦国政府が主導する「国家の安定、国中の平穏、法の支配」のために協力する。
279 自治管区執行部または自治区執行部は
(ア)連邦国政府の基本方針に反しない限り、自分の地域における発展のために、事業計画を策定し、関係する管区政府または州政府と協議すること。
(イ)各年度の予算案を作成し、憲法の規定に基づいて、関係する管区または州の政府と協議し承認を得ること。
(ウ)関係する管区または州の歳入、歳出に関する法律に含まれる許可された予算を財政に関する規則に従って支出する権利を有する。
(エ)年度末前に関係する管区または州の議会が歳入、歳出に関する法律を制定できないために関係する管区または州の政府から予算の執行に関しての許可が定められた期間内に得られない場合は、管区または州の議会が最後に制定した歳入、歳出に関する法律において許可された一般支出の範囲内で支出することが許可される。
280 自治管区執行部または自治区執行部は自分の地域内を担当する地方公務員の組織による執行内容を法律に従って管理、監督、協同、協議することができる。 
281 自治管区執行部または自治区執行部は自分の地域内の状態に関する報告書を連邦国政府と関係する管区または州の政府に提出すること。
282 自治管区執行部または自治区執行部は連邦国政府、管区または州の政府が時宜、定める職務を担当すること。
自治管区執行部または自治区執行部の事務局
283 関係する自治管区または自治区の総合統括局の長は、職位では自治管区執行部または自治区執行部の書記として担当する。また、自治管区または自治区の総合統括局は関係する自治管区または自治区の執行部の事務局でもある。

新憲法の日本語訳(12)

2006年01月12日 | ミャンマー新憲法
249 憲法の規定に含まれる事項に反しない限り、管区または州政府の行政権は管区または州の議会が制定する法律の事項に反映される。
また、連邦の制定した法律により、管区または州政府に対して執行権を与えた事項に関して行政権が反映される。
250 管区または州政府は連邦政府が国家の安定、全地域の平和、法の支配を維持することに協力する責任がある。
251 管区または州政府は連邦政府が定めた基本方針や連邦の法律に反しなければ、管区または州内で実行するべき事業に関しての事業計画を関係する管区または州の議会の承認を得て、企画実行すること。
252 管区または州政府は憲法の規定に従がい、連邦の年度別予算に基づいて、管区または州の予算案を作成するために関係する管区または州の議会に提出する。
253 管区または州政府は自分が提出した管区または州の予算案を予算年度が終了する前に、関係する管区または州の議会が議決できなければ、管区または州の議会が一番最後に議決した管区または州の予算に関する法律において規定された一般支出として許可された金額内で支出する権利がある。
管区政府または州政府が徴収する税金
254 
(ア)管区または州が徴収する税金は別表5に掲げてある税金を法律に従って徴収し、管区または州の予算に繰り入れる。
(イ)管区または州は管区または州の予算を法律に従って支出する権利がある。
255 管区または州政府は憲法の規定に基づいて別表2に掲げてある管区または州が制定できる法律の事項に関して、必要な法律案を管区または州の議会に提出できる。
256 管区または州政府は、
(ア)管区または州の省庁とその傘下になる局、政府機関の行政活動を、憲法の規定に従わせたり、法律の規定に従わせるように、管理、指導、監督、検査などを行なう。
(イ)管区または州内で職務を執行している地方公務員の組織の行政活動を法律に従い、監督、検査、協議などを行なうことができる。
257 管区または州政府は国家公務員に関する連邦の法律に基づき、または連邦政府との事前協議に基づき、それぞれの管区または州が実行するべき事業を行なうために、
(ア)管区または州の地方公務員の組織を設置できる。
(イ)必要な地方公務員を任命できる。
258 管区または州政府は
(ア)関係する管区または州の議会が適宜、制定した行政権に関わる決定事項を実行すること。管区または州政府が行なった事項は管区または州の議会で報告すること。
 (イ)それぞれの管区または州の状況についての報告書を連邦政府と関係する管区または州の議会に提出すること。
259 管区または州政府は、連邦政府から適宜与えられた課題を果たすこと。
管区政府庁舎または州政府庁舎
260 管区または州の総務関係の長の職位は、関係する管区または州政府の書記である。
また、管区または州の総務関係統括局は関係する管区または州の政府庁舎である。

管区または州の知事
管区または州の知事を任命すること
261 
(ア)管区または州の知事は以下の資格条件を満たすこと。
(1)年齢が35歳以上であること。
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)国家と国民に対して忠誠心がある者。
(イ)大統領は管区または州の知事を任命するために、
(1)関係する管区または州の議会の代議員の中から定められた資格条件を満たす適当な代議員を1名選定する。
(2)選定した代議員の名前を関係する管区または州の議会に提出し、承認を得る。
(ウ)大統領は管区または州の議会の承認が得られた代議員に対して、関係する管区または州の知事として任命する。
(エ)管区または州の知事になるための資格条件を明らかに満たしていないという十分な理由がなければ管区または州の議会は大統領が管区または州の知事として名簿に記載した者を拒否することはできない。
(オ)大統領が管区または州の知事として指名した者が管区または州の議会で承認を得られない場合は、それに代わる者を名簿に記載して管区または州の議会に再提出することができる。
管区または州の大臣の任命
262
(ア)管区または州の知事は、
(1)関係する管区または州の議会の代議員の中からであれ、代議員ではない者からであれ、第261条(ア)項に掲げてある資格条件を満たす適当な人物を選定する。
(2)治安と国境政策を担当するために国軍最高司令官から得られた国軍に属する適当な人物の名簿を承認すること。
(3)関係する管区または州内に存在する自治管区または自治区の執行部から、それらの首長の名簿を入手すること。
(4)関係する管区または州内に居住する少数民族の政策を行なうために選出された代議員の名簿を関係する選挙管理委員会から入手すること。
(イ)管区または州の知事は自分自身により選定した人物と国軍最高司令官から入手した国軍に属する者の名簿をまとめて、関係する管区または州の議会に提出して議会の承認を得ること。 
(ウ)管区または州の大臣になるための資格条件を明らかに満たしていないという十分な理由がなければ管区または州の議会は管区または州の知事が管区または州の大臣として名簿に記載した者を拒否することはできない。
(エ)管区または州の知事が管区または州の大臣として指名した者が管区または州の議会で承認を得られない場合は、それに代わる者を名簿に記載して管区または州の議会に再提出することができる。
(オ)管区または州の知事は管区または州の議会の承認を得た人物であれ、自治権を得た管区の首長または自治権を得た地区の首長の名簿と、少数民族の政策を行なう   ために選ばれた議会の代議員の名簿に含まれる人物であれ、管区または州の大臣として任命するために大統領に提出する。
(カ)大統領は管区または州の知事が提出した人物に対して、関係する管区または州の大臣として任命する。任命するに際して、管区または州の大臣になる各人に対して、担当する省庁を関係する知事と協議して指定する。
(キ)大統領は、
(1)管区または州の大臣である自治権を得た管区の首長と自治権を得た地区の首長に対して、自治権を得た管区または自治権を得た地区の政策を行なう職務を与える。
(2)管区または州の大臣である、少数民族の政策を行なうために選ばれた議会の代議員に対して、関係する少数民族の政策を行なう職務を与える。
(ク)関係する自治権を得た管区の首長または自治権を得た地区の首長に対してであれ、
関係する管区または州に居住する少数民族の政策を行なうために選ばれた議会の代議員に対してであれ、管区または州の大臣として任命した場合、大統領は憲法の規定された年齢制限を緩和し考慮する。
(ケ)大統領は知事と協議し、自治権を得た管区または自治権を得た地区に関する大臣であれ、少数民族の政策を実行するために選ばれた大臣であれ、その他の省庁の大臣として職務を兼務させることができる。
(コ)管区または州の知事は治安や国境に関わる政策以外のその他の職務のために、国軍に属する人物の中から管区または州の大臣として任命したい場合は、国軍最高司令官に名簿を要請し、その名簿を関係する管区または州の議会の承認を得て大統領に提出する。
(サ)大統領は管区または州の知事や、管区または州の大臣の任命に関して、関係する管区または州の議会と連邦議会に報告する。
(シ)
(1)管区または州の知事は大統領に対して責任を負う。
(2)管区または州の大臣は関係する管区または州の知事に対して、また、知事を通して大統領に対して責任を負う。
(ス)管区または州の知事の任期は通常、大統領の任期と同一である。
(セ)
(1)管区または州の大臣が国家公務員の場合は、管区または州の大臣として任命された日から現行の公務員制度に関する法律に従い、国家公務員を退職したものとみなされる。
(2)管区または州政府の治安および国境に関する政策を担当する省庁において、管区または州の大臣に任命された国軍に属する者は国軍から退職することや辞職する必要はない。
263
(ア)管区または州の知事または大臣に対して以下の事由により弾劾できる。
(1)国家から受ける恩恵や忠誠に背信した者。
(2)この憲法の定める規定に違反した者。
(3)相応しくない品格に欠けた行動をした者。
(4)この憲法に定める管区または州の知事または大臣の資格条件に欠ける者。
(5)法律により与えられた職務を果たさない者。
(イ)管区または州の知事、または管区または州の大臣を上記に掲げた事由により弾劾する場合は、関係する管区または州の議会の総議員数の4分の1以上の署名を得て、弾劾理由を関係する議会の議長に提出する。
(ウ)関係する議会の議長は調査委員会を設置し、弾劾理由を調査させる。議長は調査する内容、調査規模によって調査を終了させるまでの期間を定める。
(エ)弾劾理由を調査している間、弾劾された管区または州の知事、または大臣に対して、自身であれ、代理人であれ、反論する機会を与える。
(オ)
(1)管区または州の知事、または大臣に対して関係する管区の議会または州の議会が弾劾することに関して、調査委員会が調査結果を報告してきた場合、議会の議長は関係する管区の議会または州の議会にその調査結果を報告する。関係する議会 の総議員数の3分の2以上が弾劾理由は正当なものとして、弾劾された者は管区ま たは州の知事、大臣の職務を引き続き遂行することが不適当であると議決した場 合、議会の議長はその議決を大統領に報告する。
(2)大統領は報告を受けた場合、弾劾を受けた管区または州の知事、大臣を罷免する。
(3)弾劾理由が不当なものとして関係する議会が否決した場合、議会の議長は大統領に対してその否決内容を報告する。

管区または州の知事、大臣の辞職、罷免、空席のポストを補充すること
264
(ア)管区または州の知事、大臣が任期途中で何らかの理由により自分の意志により辞職する場合は、辞職願いを大統領に提出して辞職できる。
(イ)大統領は、
(1)与えられた任務を遂行できない管区または州の知事、大臣を辞職するように勧告できる。勧告に従わない場合は罷免できる。
  (2)辞職するかまたは罷免される者が国軍に属する者で管区または州の大臣の場合、国軍最高司令官と協議し執り行なうこと。
(ウ)辞職した場合であれ、罷免された場合であれ、死亡した場合であれ、その他の理由であれ、管区または州の知事、大臣のポストが空席になった場合、大統領は憲法に含まれる管区または州の知事、大臣の任命に関する規定に従って、管区ま たは州の新知事、新大臣を任命できる。そのように任命された新知事または新大 臣の任期は大統領の残りの任期のみである。
(エ)管区または州の知事、大臣の職務と職権と権利については法律により定める。

管区法制局長、州法制局長
265 管区または州の法律の専門家を管区法制局長または州法制局長と呼ぶ。

管区法制局長、州法制局長の任命
266 
(ア)管区または州の知事は法律的な助言を得るため、また法律に関する職務を与えるために議会の代議員からであれ、代議員ではない者からであれ、以下に掲げる資格条件を満たす者を関係する議会の同意を得て管区法制局長、州法制局長として任命する管区または州の議会に提出し、大統領に報告する。
(1)年齢が40歳以上であること。
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)
(アア)管区または州レベル以上の裁判関係または法律関係の職務を5年以上の  勤務経験のある者。
または、県レベル以上の裁判関係または法律関係の職務を10年以上の勤務経験のある者。
(イイ)裁判所の弁護士として15年以上の勤務経験のある者。
(5)国家や国民に対して忠誠心のある者。
(イ)大統領は管区または州の法制局長として任命するために、管区または州の知事が関係する議会の承認を得て指名した人物を、管区または州の法制局長として任命する。
(ウ)管区法制局長、州法制局長になるための資格条件を明らかに満たしていないという十分な理由がなければ管区または州の議会は管区または州の知事が管区法制局長、州法制局長として名簿に記載した者を拒否することはできない。
(ウ)管区または州の知事が管区法制局長、州法制局長として指名した者が関係する管区または州の議会で承認を得られない場合は、それに代わる者を名簿に記載して管区または州の議会に再提出することができる。
(エ)管区法制局長、州法制局長は管区政府または州政府の執行部の一員である。
(オ)管区法制局長、州法制局長は、
(1)関係する管区または州の知事を通して、大統領に対して責任を負う。
(2)連邦国の法制局長に対して、また、関係する管区または州の知事に対して責任を負う。
管区法制局長、州法制局長を弾劾すること
267 管区法制局長、州法制局長を弾劾する場合は、管区または州の知事、大臣を弾劾することを定めた第263条の規定に従って行なうこと。

管区法制局長、州法制局長の任期、辞任、罷免、空席のポストを補充すること
268 辞任、罷免、空席のポストを補充すること、国家公務員の場合は退職したものとみなすこと、などに関して、管区または州の知事、または大臣のために規定した第262条(セ)項と第264条の規定は管区法制局長、州法制局長にも効力が及ぶ。
269 管区法制局長、州法制局長の職務、職権、権利などは法律に定める。

管区会計監査局長または州会計監査局長の任命
270 管区または州の会計を監査する長を「管区会計監査局長」または「州会計監査局長」と称する。
管区会計監査局長または州会計監査局長の任命
271
(ア)管区または州の知事は管区または州の歳入、歳出を監査し、管区または州の議会に提出するために議会の代議員からであれ、代議員ではない者からであれ、以下の資格条件を満たす人物を管区会計監査局長または州会計監査局長として任命するために関係する管区または州の議会に提出し承認を得て、大統領に提出する。
(1)年齢が45歳以上の者。
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)
(アア)管区または州レベル以上の会計関係の職務を5年以上勤務経験のある者。
または、県レベル以上の会計関係の職務を10年以上の勤務経験のある者。
(イイ)登録された会計士または免許がある民間の会計士として15年以上の勤務 経験のある者。
(5)国家や国民に対して忠誠心のある者。
(イ)大統領は管区会計監査局長または州会計監査局長として任命するために、管区または州の知事が関係する議会の承認を得て指名した人物を、管区または州の管区会計監査局長または州会計監査局長として任命する。
(ウ)管区会計監査局長または州会計監査局長になるための資格条件を明らかに満たしていないという十分な理由がなければ管区または州の議会は管区または州の知事が管区会計監査局長または州会計監査局長として名簿に記載した者を拒否することはできない。
(エ)管区または州の知事が管区会計監査局長または州会計監査局長として指名した者が関係する管区または州の議会で承認を得られない場合は、それに代わる者を名簿に記載して管区または州の議会に再提出することができる。
(オ)管区会計監査局長または州会計監査局長は、
(1)関係する管区または州の知事を通して、大統領に対して責任を負う。
(2)連邦国の会計監査局長に対して、また、関係する管区または州の知事に対して責任を負う。
管区会計監査局長または州会計監査局長を弾劾すること
272 管区会計監査局長または州会計監査局長を弾劾する場合は、管区または州の知事、大臣を弾劾することを定めた第263条の規定に従って行なうこと。

管区会計監査局長または州会計監査局長の任期、辞任、罷免、空席のポストを補充すること
273 辞任、罷免、空席のポストを補充すること、国家公務員の場合は退職したものとみなすこと、などに関して、管区または州の知事、または大臣のために規定した第264条(セ)の規定は管区会計監査局長または州会計監査局長にも効力が及ぶ。
274 管区会計監査局長または州会計監査局長の職務、職権、権利などは法律に定める。


新憲法の日本語訳(11)

2006年01月11日 | ミャンマー新憲法
連邦国政府の大臣と副大臣
連邦国政府の大臣の任命
232
(ア)大統領は以下の資格条件を満たす人物を連邦国政府の大臣として任命する。
(1)年齢が40歳以上の者
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)国家と国民に対して忠誠心のある者。
(イ)大統領は連邦国政府の大臣として任命するために、
(1)議会の代議員からであれ、議会の代議員ではない者であれ、(ア)項に掲げた資格条件を満たす適当な人物を選定すること。
(2)防衛省、内務省、国境担当省については、国軍最高司令官から適当な国軍に属する人物のリストを入手すること。
(3)防衛省、内務省、国境担当省の他の省庁にも国軍に属する人物を大臣に任命する希望があれば、国軍最高司令官と協議し執り行なうこと。
(ウ)大統領は自分が選定した人物のリストと国軍最高司令官から入手した国軍に属する人物のリストをまとめて、連邦議会に提出し承認を得ること。
(エ)連邦国の大臣として必要な資格条件を明らかに満たしていないと認められなければ、連邦議会に大統領が提出した人物を拒否する権限を与えない。
(オ)大統領が連邦国の大臣として任命した人物が連邦議会の承認を得られなかった場合、その人物の代わりに新しい名簿を再提出することができる。
(カ)大統領は連邦議会が承認した人物に対して、連邦国の大臣として任命する。そのように大統領が任命する際に、各大臣に担当する省庁を指定する。
(キ)大統領は大臣を任命する毎に、連邦議会に報告すること。
(ク)連邦国の大臣は大統領に対して責任を負う。
(ケ)連邦国の大臣が議会の代議員の場合は、連邦国の大臣となった日から議会の代議員を辞職したものとみなされる。
(コ)
(1)連邦国の大臣が公務員の場合は、連邦国の大臣となった日から現行の公務員制度に関する法律の規定に従い公務員を退職したとみなされる。
(2)防衛省、内務省、国境担当省の大臣として任命された国軍に属する者は、国軍から退職したり、辞職する必要はない。
(サ)連邦国の大臣が政治政党に属する者の場合は、連邦国の大臣となった日から任期が終了するまで政治政党の活動を中止すること。
連邦国の大臣に対して弾劾すること
233
(ア)連邦国の大臣に対して以下の事由により弾劾できる。
(1)国家から受ける恩恵や忠誠に背信した者。
(2)この憲法の定める規定に違反した者。
(3)相応しくない品格に欠けた行動をした者。
(4)この憲法に定める連邦国の大臣の資格条件に欠ける者。
(5)法律により与えられた職務を果たさない者。
(イ)連邦国の大臣をを弾劾したい場合は、大統領または副大統領の弾劾に関する第71条の規定に従って執り行なう。
(ウ)連邦国の大臣に対する弾劾内容が真実であり、弾劾される者が連邦国の大臣として引き続き職務を行なうことが不適当であると調査した議会が決定した場合、大統領は弾劾された連邦国の大臣を罷免する。
(エ)弾劾内容が真実ではないと調査した議会が決定した場合は、その決定を大統領に報告すること。
副大臣の任命
234 
(ア)大統領は連邦国の大臣を補佐するために、議会の代議員からであれ、代議員でない者であれ、以下に掲げる資格条件を満たす者を副大臣として任命できる。
(1)年齢が35歳以上の者
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)国家と国民に対して忠誠心のある者。
(イ)大統領が副大臣を任命するに際して、防衛省、内務省、国境担当省については、国軍最高司令官から適当な国軍に属する人物のリストを入手すること。
(ウ)大統領が防衛省、内務省、国境担当省の他の省庁にも国軍に属する人物を大臣に任命する希望があれば、国軍最高司令官と協議し執り行なうこと。
(エ)大統領が副大臣を任命するとき担当する省庁を指定すること。
(オ)副大臣は関係する連邦国の大臣に対してであれ、関係する大臣を通して大統領に責任を負う。
(カ)副大臣として任命された者は議会の代議員であれ、国家公務員であれ、国軍に属する者であれ、政治政党に属する者であれ、第232条の(ケ)(コ)(サ)項の規定に従う。
連邦国の大臣と副大臣の任期、辞職、罷免と空席になったポストの補充
235
(ア)連邦国の大臣と副大臣の任期は通常の場合、大統領の任期と同一である。
(イ)連邦国の大臣または副大臣が任期途中で何らかの理由により自分の意志により辞職する場合は、辞職願いを大統領に提出して辞職できる。
(ウ)大統領は、
(1)与えられた任務を遂行できない大臣または副大臣を辞職するように勧告できる。勧告に従わない場合は罷免できる。
(2)辞職するかまたは罷免される者が国軍に属する大臣または副大臣の場合、国軍最高司令官と協議し執り行なうこと。
(エ)辞職した場合であれ、罷免された場合であれ、死亡した場合であれ、その他の理由であれ、大臣または副大臣のポストが空席になった場合、大統領は憲法に含まれる大臣または副大臣の任命に関する規定に従って、新大臣または新副大臣を任命できる。そのように任命された大臣または副大臣の任期は大統領の残りの任期のみである。
(オ)
(1)大臣または副大臣を任命した大統領が任期の途中で辞職した場合であれ、死亡した場合であれ、その他の理由で大統領のポストが空席になった場合は、新大統領が新大臣、新副大臣を任命するまでの期間、大臣と副大臣の職務を継続して行なう。
(2)新たに任命された大臣と副大臣の任期は新大統領の残りの任期と同一である。
(カ)連邦国の大臣と副大臣の職務と職権と権利については法律により定める。
連邦政府法制局長と副局長
236 連邦国の法的弁護士を「連邦政府法制局長」と呼ぶ。
連邦政府法制局長の任命
237 
(ア)大統領は法律的な助言を得るため、また法律に関する職務を与えるために議会の 代議員からであれ、代議員ではない者からであれ、以下に掲げる資格条件を満たす者を連邦議会の同意を得て連邦政府法制局長として任命する。
(1)年齢が45歳以上であること。
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)
(アア)管区または州の裁判所で裁判官として5年以上の勤務経験がある者。
(イイ)管区または州レベル以上の裁判関係または法律関係の職務を10年以上の勤務経験のある者。
(ウウ)裁判所の弁護士として20年以上の勤務経験のある者。
(エエ)顕著で立派な功績のある法律専門家であると大統領が認めた者。
(イ)連邦政府法制局長になるための資格条件を明らかに満たしていないという十分な理由がなければ連邦議会は大統領が連邦政府法制局長として名簿に記載した者を拒否することはできない。
(ウ)大統領が連邦政府法制局長として指名した者が連邦議会で承認を得られない場合は、それに代わる者を名簿に記載して連邦議会に再提出することができる。
(エ)連邦政府法制局長は連邦政府の内閣の一員である。
(オ)連邦政府法制局長は大統領に対して責任を負う。 
(カ)連邦政府法制局長が議会の代議員の場合は、法制局長となった日から代議員の職を辞職したものとみなされる。
(キ)連邦政府法制局長が国家公務員の場合は、法制局長となった日から、現行の公務員制度に関する法律の規定に従い、国家公務員を退職したものとみなされる。
(ク)連邦政府法制局長が政治政党に属している場合は、法制局長となった日から、職務が終了するまでの期間中は政治政党の活動を行なってはならない。
連邦政府法制局長を弾劾すること
238 連邦政府法制局長を弾劾する場合は、連邦政府の大臣を弾劾することを定めた第233条の規定に従って行なうこと。
連邦政府法制副局長の任命
239
(ア)大統領は連邦政府法制局長を補佐するために議会の代議員の中からであれ、代議員ではない者からであれ、以下に掲げる条件を満たす人物を大統領の意向に従って副局長として任命することができる。
(1)年齢が45歳以上の者
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)
(アア)管区または州の裁判所で裁判官として5年以上の勤務経験がある者。
(イイ)管区または州レベル以上の裁判関係または法律関係の職務を10年以上の勤務経験のある者。
(ウウ)裁判所の弁護士として15年以上の勤務経験のある者。
(エエ)顕著で立派な功績のある法律専門家であると大統領が認めた者。
(5)国家や国民に対して忠誠心のある者。
(イ)法制副局長は法制局長に対してまた、法制局長を通して大統領に対して責任を負う。
(ウ)法制副局長が議会の代議員であれ、国家公務員であれ、政治政党員であれ、その場合は第237条の(カ)(キ)(ク)項の規定に従う。

連邦政府法制局長と副局長の任期、辞職、罷免、補充
240 
(ア)連邦政府法制局長と副局長の任期は通常の場合、大統領の任期と同一である。
(イ)連邦政府法制局長または副局長が何らかの理由により自分の意志で辞職したい場合は、辞職願いを大統領に提出し辞職することができる。
(ウ)大統領は与えられた職務を遂行できない連邦政府法制局長または法制副局長を辞職するように勧告することができる。勧告に従わない場合は罷免する。
(エ)辞職した場合であれ、罷免された場合であれ、死亡した場合であれ、その他の理由であれ、連邦政府法制局長と副局長のポストが空席になった場合、大統領は憲法に含まれる連邦政府法制局長と副局長の任命に関する規定に従って、連邦政府法制局長と副局長を任命できる。そのように任命された連邦政府法制局長と副局長の任期は大統領の残りの任期のみである。
(オ)
(1)連邦政府法制局長と副局長を任命した大統領が任期の途中で辞職した場合であれ、死亡した場合であれ、その他の理由で大統領のポストが空席になった場合は、新大統領が連邦政府法制局長と副局長を任命するまでの期間、連邦政府法制局長と副局長の職務を継続して行なう。
(2)新たに任命された連邦政府法制局長と副局長の任期は新大統領の残りの任期と同一である。
(カ)連邦政府法制局長と副局長の職務と職権と権利については法律により定める。

連邦政府会計監査局長と副局長
241 連邦政府の会計を監査する長を「連邦政府会計監査局長」と称する。
連邦政府会計監査局長の任命
242
(ア)大統領は国家の歳入、歳出を監査し、連邦議会に提出するために議会の代議員からであれ、代議員ではない者からであれ、以下の資格条件を満たす人物を連邦議会の承認を得て連邦政府会計監査局長として任命できる。 
(1)年齢が45歳以上の者。
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)
(アア)管区または州レベル以上の会計監査担当の公務員として10年以上の勤務経験があること。
(イイ)登録を受けた会計監査員または免許を得た民間の会計監査員として20年以上の職務経験があること。
(ウウ)顕著で立派な功績のある会計専門家または経済学者であると大統領が認めた者。
(5)国家と国民に対して忠誠心がある者。
(イ)連邦政府会計監査局長になるための資格条件を明らかに満たしていないという十分な理由がなければ連邦議会は大統領が連邦政府会計監査局長として名簿に記載した者を拒否することはできない。
(ウ)大統領が連邦政府会計監査局長として指名した者が連邦議会で承認を得られない場合は、それに代わる者を名簿に記載して連邦議会に再提出することができる。
(エ)連邦政府法制局長は大統領に対して責任を負う。 
(オ)連邦政府法制局長が議会の代議員の場合は、連邦政府会計監査局長となった日から代議員の職を辞職したものとみなされる。
(カ)連邦政府会計監査局長が国家公務員の場合は、連邦政府会計監査局長となった日から、現行の公務員制度に関する法律の規定に従い、国家公務員を退職したものとみなされる。
(キ)連邦政府会計監査局長が政治政党に属している場合は、連邦政府会計監査局長となった日から、職務が終了するまでの期間中は政治政党の活動を行なってはならない。
連邦政府会計監査局長を弾劾すること
243 連邦政府法制局長を弾劾する場合は、連邦政府の大臣を弾劾することを定めた第233条の規定に従って行なうこと。
連邦政府会計監査副局長の任命
244
(ア)大統領は連邦政府会計監査局長を補佐するために議会の代議員の中からであれ、代議員ではない者からであれ、以下に掲げる条件を満たす人物を大統領の意向に従って連邦政府会計監査副局長として任命することができる。
(1)年齢が40歳以上の者。
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件   を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)
(アア)管区または州レベル以上の会計監査担当の公務員として10年以上の勤務経験があること。
(イイ)登録を受けた会計監査員または免許を得た民間の会計監査員として15年以上の職務経験があること。
(ウウ)顕著で立派な功績のある会計専門家または経済学者であると大統領が認めた者。
(5)国家と国民に対して忠誠心がある者。
(イ)連邦政府会計監査副局長は連邦政府会計監査局長に対してまた、連邦政府会計監査局長を通して大統領に対して責任を負う。
(ウ)連邦政府会計監査副局長が議会の代議員であれ、国家公務員であれ、政治政党員であれ、その場合は第242条の(オ)(カ)(キ)項の規定に従う。
連邦政府会計監査局長と副局長の任期、辞職、罷免、補充
245 
(ア)連邦政府会計監査局長と副局長の任期は通常の場合、大統領の任期と同一である。
(イ)連邦政府会計監査局長または副局長が何らかの理由により自分の意志で辞職したい場合は、辞職願いを大統領に提出し辞職することができる。
(ウ)大統領は与えられた職務を遂行できない連邦政府会計監査局長または副局長を辞職するように勧告することができる。勧告に従わない場合は罷免する。
(エ)辞職した場合であれ、罷免された場合であれ、死亡した場合であれ、その他の理由であれ、連邦政府会計監査局長と副局長のポストが空席になった場合、大統領は憲法に含まれる連邦政府会計監査局長と副局長の任命に関する規定に従って、連邦政府会計監査局長と副局長を任命できる。そのように任命された連邦政府会計監査局長と副局長の任期は大統領の残りの任期のみである。
(オ)
(1)連邦政府会計監査局長と副局長を任命した大統領が任期の途中で辞職した場合であれ、死亡した場合であれ、その他の理由で大統領のポストが空席になった場合は、新大統領が連邦政府会計監査局長と副局長を任命するまでの期間、連邦政府会計監査局長と副局長の職務を継続して行なう。
(2)新たに任命された連邦政府会計監査局長と副局長の任期は新大統領の残りの任期と同一である。
(カ)連邦政府会計監査局長と副局長の職務と職権と権利については法律により定める。

連邦政府人事局長
246
(ア)大統領は国家公務員の選定、国家公務員の教育、国家公務員の規則の制定などの職務を行なうために連邦政府人事局を設置する。
(イ)大統領は以下の資格条件を満たす人物を人事局長と委員として任命できる。
(1)年齢が50歳以上の者。
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)職務経験が豊富な学識経験者。
(5)国家と国民に対して忠誠心のある者。
(6)政治政党に属していない者。
(7)議会の代議員ではない者。
(ウ)連邦政府人事局長が国家公務員の場合は、連邦政府人事局長となった日から、現行の公務員制度に関する法律の規定に従い、国家公務員を退職したものとみなされる。
(エ)連邦政府人事局長は大統領に対して、委員は連邦政府人事局長と連邦政府人事局長を通して大統領に対して責任を負う。
(オ)連邦政府人事局長と委員の任期は通常、大統領の任期と同一である。
(カ)連邦政府人事局の設置、局長と委員の職務、職権、権利、辞職、罷免などは法律に定める。
管区政府または州政府
247
(ア)管区または州の行政権の長を管区または州の知事と呼ぶ。
(イ)管区または州の行政府の委員を管区大臣または州大臣と呼ぶ。
管区政府または州政府の構成
248
(ア)管区においては管区政府、州においては州政府を置く。
(イ)管区政府または州政府は以下の人物により構成する。
(1)管区または州の知事。
(2)管区または州の大臣。
(3)管区または州の法制局長。
(ウ)大統領は関係する管区または州の議会の承認を得て、
(1)管区または州政府の省庁を必要に応じて設定できる。また、設定した省庁を変更、補充できる。
(2)管区または州政府の大臣の人数を必要に応じて設定できる。また、設定した人数を増減できる。


新憲法の日本語訳(10)

2006年01月10日 | ミャンマー新憲法
第5章
行政権
連邦政府内閣
199
(ア)国家の行政権の長は大統領である。
(イ)
(1)国家の行政権を連邦および管区と州に分割委任する。
(2)自治権を得た管区や州に対して、自治権を憲法に基づいて分割委任する。
連邦政府内閣
200 国家において連邦政府内閣を以下の人物により構成する。
(ア)大統領 (イ)副大統領 (ウ)連邦政府大臣 (エ)連邦政府法制局長
防衛と治安に関する委員会の設置
201 憲法の規定に基づいてであれ、法律の規定に基づいてであれ、職務を遂行するために大統領を長とする防衛と治安に関する委員会を以下の人物により構成する。
(ア)大統領
(イ)副大統領
(ウ)副大統領
(エ)国民議会の議長
(オ)民族議会の議長
(カ)国軍最高司令官
(キ)国軍最高副司令官
(ク)防衛省大臣
(ケ)外務大臣
(コ)内務省大臣
(サ)国境省大臣
大統領の職務と職権
202 大統領は連邦議会の承認を得て、
(ア)連邦政府の省庁を必要に応じて設置できる。また省庁の組織変更や補足などを行なうことができる。
(イ)連邦政府の大臣の人数を必要に応じて決めることができる。また、決めた人数の増減を行なうことができる。
203 大統領は連邦議会に対して責任を負う。副大臣は大統領に対して、または大統領を通して連邦議会に対して責任を負う。
204 大統領は、
(ア)恩赦を与える権限を有する。
(イ)防衛と治安に関する委員会の推薦に基づき、特赦を与える権限を有する。
205 大統領は法律に基づいて
(ア)褒章、勲章を授与する。
(イ)授与された褒章、勲章を没収することができる。
206 大統領は連邦議会の同意を得て、外国政府との外交関係を結んだり、断絶したりすることができる。しかし、緊急に執り行う必要があれば、大統領は防衛と治安に関する委員会で協議し、外国政府との外交関係を断絶することができる。大統領は自らの行為に関して連邦議会の承認を得る必要がある。
207 大統領は法律に基づいて、
(ア)自国の外交使節員を任命したり、召還することができる。
(イ)外国の外交使節員を承認したり、外国の外交使節員に対して召還することを通知 する。
(ウ)外国の外交使節員の信任状を受け取ること。
208 大統領は法律に基づいて上級公務員を任命したり、免職したりすることができる。
209 大統領は法律に基づいて、
(ア)連邦議会の同意を得て、国際的な条約、地域間または2カ国間の条約を締結し、施行すること、破棄すること、条約から脱退することなどを行なう。
(イ)連邦議会の同意を得ないで、国際的な条約、地域間または2カ国間の条約を締結し、施行すること、破棄すること、条約から脱退することなどを行なう。
210 大統領は国家の基本原則と国家の情勢を連邦議会の会議であれ、国民議会または民族議会の会議であれ、国内全域に対してであれ、適宜演説を行なったり、書簡を送る権利を有する。
211 大統領は必要であれば、連邦議会の緊急会議または特別会議を招集するように連邦議会の総裁に要請することができる。
212 
(ア)大統領は連邦議会の閉会中に、国家の予算に関する事項以外の事項について、緊急に対処するべき行政に関する事項について、法律に準ずる命令を発することができる。
(イ)大統領は上記の(ア)項に基づいて発した法律に準ずる命令を撤回しなければ、その命令を発した日から60日以内に開催する連邦議会の会議に提出して、議会の承認を得ること。60日以内に会議を開催することがない場合は、連邦議会の特別会議を開催するように招集して承認を得ること。
(ウ)連邦議会の承認を得られなかった命令は、承認を得られなかった日から効力を失う。
(エ)大統領は連邦議会の承認を得て、その法律に準ずる命令を必要な期間延長し効力を維持することがでいる。
(オ)法律に準ずる命令を発した日から60日以内に撤回した場合でも、その法律に準ずる命令は一番早く開催する連邦議会の会議において提出すること。
(カ)法律に準ずる命令において、憲法の規定により連邦議会が議決することができない事項が含まれていれば、その事項は無効となる。
213 大統領は、
(ア)国家に対して他国からの侵略があった場合は、憲法の規定に基づいて設置した防衛と治安に関する委員会に諮り、軍事的に必要な行動を取る権利を有する。
(イ)上記の行動に関して、連邦議会の会議が開催中であれば、その会議に提出して、承認を得ること。連邦議会の会議が開催中ではない場合は、緊急会議を招集して、提出し承認を得ること。
(ウ)連邦議会の承認を得てのみ、戦争を宣言したり、終戦を宣言できる。
214 大統領は連邦議会が可決成立した法律を憲法の規定に基づいて署名する。その署名した法律は国家の官報に記載すること。
215 大統領は憲法に基づいてであれ、法律に基づいてであれ、委任された職務や職権を行使することについて、いかなる議会、いかなる裁判所に対しても責任を負うことはない。しかし、憲法の規定にある大統領の弾劾規定とは関係ない。
連邦政府の行政権
216 憲法の規定に反しなければ、連邦政府の行政権は、連邦議会が制定する行政に関する法律の事項にも影響を与える。
217 憲法の規定に反しない限り連邦の行政権を統括するのは大統領である。この文言により連邦議会が一定の権限を与えた組織や個人の職務や職権が失われることを意味するのではない。また、この文言により、現行の法律によって一定の権限を与えられた組織や個人の職務や職権を大統領に委任することを意味するのではない。
218
(ア)連邦政府の行政権に関して執行する事項は全て大統領の名において執行する。
(イ)大統領は自分の意志で行なうことが憲法に規定されている場合を除いて、連邦政府が執り行なうことができる事項のためにであれ、上記の事項を連邦政府の各大臣に職務を割り当てるためにであれ、法律の執行のために担当する者に職務を与えるためにであれ、大統領は手続き法を制定する権利を有する。
(ウ)大統領の名で発布した命令や締結した条約は大統領が制定した手続き法に示された方法に従うこと。そのような命令や条約は大統領の命令や条約でなく根拠がないと否定する権利を有しない。
(エ)大統領は(ア)(イ)項及び(ウ)項に掲げた規定の一般的意味を損なわない限り、大統領の職務を各地方別であれ、各省庁の事業別であれ、委任することができる。
219 連邦政府は国家の安定、国中の平穏、平和と、法の支配を維持することに努力する。
220 連邦政府は憲法の規定に基づき、連邦政府の基本的原則を定める。その基本的原則に基づいて必要な国家計画を策定し、連邦議会の承認を得て、具体的に実現させる。
221 連邦政府は政府財政委員会と協議し作成した連邦政府の年度毎の予算案を策定し、その予算案に基づいて予算案に関する法律を策定し、憲法の規定に従って、連邦議会に提出し承認を得ること。
222 連邦政府が自ら提出した連邦政府の予算案に関する法律案を会計年度末までに連邦議会が可決成立できない場合は、連邦議会が直近に可決成立した連邦政府の予算案に関する法律のうち、その一般会計予算の枠内でのみ支出する権限が与えられる。
223 連邦政府は憲法の規定に基づいて、連邦議会が法律を作成ことができる事項に関して、必要な法律案を連邦議会に提出できる。
224 連邦政府内閣の省庁はその傘下にある政府部局、政府組織などが職務を遂行するとき、憲法の規定に従わせるためであれ、現行の法律の規定に従わせるためであれ、それらを指揮監督及び検査すること。
225 連邦政府は管区政府、州政府、自治権を得た管区の行政執行部、自治権を得た地域の行政執行部などと行政計画の円滑な推進のために合同で協議する。
226 連邦政府は憲法の規定に関する紛争、境界線の設定に関する紛争以外の、
(ア)管区と州、管区同士、州同士、管区または州と自治区、自治区同士、などの間に起こった行政権に関わる紛争について、合同で協議し、必要であれば解決する。
(イ)管区または州と連邦間、自治区と連邦間に起こった行政権に関わる紛争について、合同で協議し、必要であれば解決する。
227 連邦政府は法律に基づいて、
(ア)連邦レベルの公務員による組織を設置することができる。その設置にあたっては、職務と職権を定める。
(イ)必要な公務員のスタッフを任命する。
228 連邦政府は
(ア)連邦議会が適宜策定した行政権に関わる決定事項を実際に具体化し行なうこと。連邦政府が行なった行動については、連邦議会に報告すること。
(イ)国家を取り巻く情勢、状態について連邦議会に適宜報告すること。
政府財政委員会の設置
229
(ア)政府財政委員会は以下のメンバーにより構成される。
(1)大統領 (議長) (2)副大統領 (副議長)
(3)連邦政府法制局長 (委員) (4)連邦政府会計局長 (委員)
(5)管区、州の知事 (委員) (6)ネーピードー評議会議長 (委員)
(7)連邦政府財務大臣 (書記)
(イ)
(1)政府財政委員会を設置する際、何らかの事情により委員の空席がある場合は、大統領はその空席を適当な人物により補充することができる。
(2)政府財政委員会を設置したことを大統領が宣言すること。また、政府財政委員会のために必要な命令、指導などを大統領または大統領が委任した人物が発布することができる。
政府財政委員会の職務と職権
230
(ア)連邦政府の各省庁の予算案と連邦レベルの各組織の予算案を大統領が職務を委任した副大統領が主導して審査し、連邦政府の各省庁、連邦レベルの各組織の予算案を政府財政委員会に提出する。
(イ)各管区と各州の予算案を大統領が職務を委任した、もう一人の副大臣が主導して審査し、各管区と各州の予算案を政府財政委員会に提出する。
(ウ)政府財政委員会は、
(1)連邦国内の支出を含む連邦国の予算、管区または州のために、連邦国の国庫から資金を適正に配分すること。特別な補助金を交付すること、貸付金の許可を与えることなどを含む、連邦国の予算案または予算の配分に関する法律を連邦議会に提出すること。
(2)金融政策について行なうべき事項を実施すること。
(3)強固な金融制度が確立するように、連邦議会が法律を制定して職務を委任した事項について実施すること。
(エ)政府財政委員会は連邦国の予算、管区または州に対する連邦国の国庫から資金を配分すること、特別な補助金を交付すること、貸付金を出すことなどを含む連邦国の予算案を連邦議会に提出できるように、大統領に提出する。
(オ)政府財政委員会は必要であれば金融専門家の助言を得ることができる。
連邦国の国庫に収めるべき税金の種類
231 
(ア)連邦国は管区または州が独自に徴収する別表5に掲げる税金の以外のその他の税金を法律に従って徴収し、連邦国の国庫に収める。
(イ)管区または州が徴収すると規定してある税金の種類を、連邦国のために徴収する場合は、連邦国が法律に従って徴収し、連邦国の国庫に収める。
(ウ)連邦国は連邦国の国庫にある資金を法律に従って使用することができる。

新憲法の日本語訳(9)

2006年01月10日 | ミャンマー新憲法
(第4章の続き)
管区議会または州議会
管区議会または州議会の構成
161 管区または州議会を以下の通り構成する。
(ア)各管区または各州において各郡区から2人ずつ選出された管区または州を代表する代議員。
(イ)各管区において自治権を得られた管区や自治区以外の少数民族について、国家の総人口のうち勘案するべき人口割合である0.1%以上の人口があると当局が認めた少数民族に関しては、その民族毎に1人ずつ選出された管区代議員。
(ウ)各州において自治権を得られた州や自治区以外の少数民族について、国家の総人口のうち勘案するべき人口割合である0.1%以上の人口があると当局が認めた少数民族に関しては、その民族毎に1人ずつ選出された州代議員。
(エ)上記の(ア)(イ)項または(ア)(ウ)項により、選出された総代議員数の3分の1に相当する国軍最高司令官が法律に従って提出した名簿による国軍を代表する管区または州の代議員。

管区議会または州議会の議事進行役(ダバーパティー)の選出
162 管区議会または州議会の議事進行役の選出については第110条の国民議会の議事進行役の選出に関する規定の通りである。

管区議会または州議会の議長と副議長の選出
163 管区議会または州議会の議長と副議長の選出は第111条の国民議会の議長と副議長の選出に関する規定の通りである。

管区議会または州議会の議長の職務
164 管区または州議会の議長は
(ア)管区議会または州議会の会議を管理、運営する。
(イ)管区議会または州議会の会議に大統領が出席して演説を行ないたいと要請があった場合は大統領を招待すること。
(ウ)管区議会または州議会の知事が演説を行ないたいと要請があった場合は必要に応じて手配し執り行なうこと。
(エ)管区議会または州議会の会議において審議中に、ある事項について必要であれば、憲法に従って組織された管区または州レベルの組織を代表する委員または個人を管区議会または州議会に出席するように召喚することができる。
(オ)憲法により、または法律の規定により、指定されたその他の職務を遂行する権利を有する。
管区議会または州議会の議長と副議長の就任と任務の終了
165 管区議会または州議会の議長の就任と任務の終了は第113条の国民議会の議長と副議長の就任と任務の終了の規定の通りに従う。
166 管区議会または州議会の議長と副議長の職務と職権、権利については法律に規定する。 
管区議会または州議会の委員会と組織を設置すること
167
(ア)管区議会または州議会は憲法に基づいて、委任された立法権、民族の事項を調査、発表する必要があれば、委員会や組織を管区議会または州議会の代議員で設置することができる。
(イ)管区議会または州議会は上記の委員会や組織の中に適当な国民を参加させることができる。
(ウ)管区議会または州議会は委員会や組織を設置するとき、その委員会や組織の定員、職務、職権、権利、任期を定めること。
管区議会または州議会の任期
168 管区議会または州議会の任期は国民議会の任期と同じである。国民議会の任期が終了したときは管区議会または州議会の任期も終了する。
管区議会または州議会の代議員になるための資格条件
169 管区議会または州議会の代議員の資格条件は
(ア)第120条に掲げた国民議会の代議員として選出される資格条件を満たすこと。
(イ)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される資格を持たない者の規定にも従う。
国軍代表者が管区議会または州議会の代議員になるための資格条件
170 国軍代表の管区議会または州議会の代議員になるためには、国軍最高司令官が法律に従って、名簿に登録された者で管区議会または州議会の代議員として規定された資格条件を満たしていること。
管区議会または州議会の会議を開催すること
171
(ア)管区議会または州議会の任期の開始日は国民議会の任期が開始する日である。
(イ)管区議会または州議会の第1回目の通常会議は上記の任期開始日から15日以内に開催すること。
172
(ア)憲法が発効した後の管区議会または州議会の第1回目の通常会議は国家平和開発委員会が招集する。
(イ)管区議会または州議会の残りの任期中、第1回目の通常会議を憲法の規定の通り、職務を引き続き担当する管区議会または州議会の議長が招集し開催する。
173
(ア)第1回目の管区議会または州議会の通常会議において管区議会または州議会の代議員は管区議会または州議会の議事進行役の目前において別表4に掲げてある通り宣誓する。
(イ)宣誓を行なっていない管区議会または州議会の代議員は最初に出席する管区議会または州議会の会議において議長の目前において宣誓する。
174 管区議会または州議会の通常会議は管区議会または州議会の議長が最低1年に1回招集し開催する。閉会期間は12ヶ月を超えてはならない。
175 管区議会または州議会の会議においては、以下の事項について執り行なう。
(ア)大統領が演説した内容を記録する。
(イ)大統領が送ってきた書簡、議長が許可したその他の書簡を発表し記録すること。
(ウ)管区または州の知事が演説した内容を記録すること。
(エ)法律案を提出すること。協議すること。議決すること。
(オ)憲法の規定に従ってであれ、現行の法律の規定に従ってであれ、管区議会または州議会が執り行なうべき事項に関して審議し、議決すること。
(カ)管区議会または州議会に提出された報告書について協議し議決すること。
(キ)動議を提出し審議し、議決すること。
(ク)質疑、応答すること。
(ケ)管区議会または州議会が許可した事項に関して執り行なうこと。
176 管区議会または州議会の議決を得るべき事項、同意するべき事項、確定するべき事項を以下の通り執り行なうこと。
(ア)管区議会または州議会の会議が開催中の場合は、その会議において協議し議決すること。
(イ)管区議会または州議会の会議が開催中ではない場合、最初に開催される管区議会または州議会の会議において協議し議決すること。
(ウ)市民の利益のために、早急に行なうべき事項については、特別会議または緊急会議を招集し審議し、議決すること。
177 管区議会または州議会において特別会議または緊急会議の開催が必要な場合は、関係する管区議会または州議会の議長が招集し開催する。
178 管区議会または州議会の会議を招集し開催するように管区または州の知事から要請があった場合は、管区議会または州議会の議長が特別議会または緊急会議を早急に招集し開催すること。
179 管区議会または州議会の会議を招集し開催するように管区議会または州議会の代議 員の総数の4分の1から要請があった場合、管区議会または州議会の議長は特別議会を早急に招集し開催すること。
180 
(ア)管区議会または州議会の第1日目の会議において、出席する権利のある総代議員数の過半数以上が出席した場合は会議は成立する。もし成立しなかった場合は会議を延期して開催する。
(イ)上記の(ア)項の通り、成立しないため延期されて開催する会議と、成立後の次回の会議については、出席する権利のある総代議員数の3分の1が出席すれば会議は成立する。
181
(ア)管区議会または州議会において投票により議決する場合は、憲法やその他の手続き法に規定がない限り、管区議会または州議会の会議に出席して投票した代議員の総数の多数決により決定する。
(イ)管区議会または州議会の会議において、投票により議決する場合、管区議会または州議会の議長または議長の職務に就いている副議長は投票に参加しない。賛成票と反対票が同数のときのみ決定票を投じる。
182 管区議会または州議会の代議員が管区議会または州議会の会議に管区議会または州議会の許可を得ずに連続して15日間欠席した場合は、定められた手続きにより、関係する管区議会または州議会の代議員のポストが空席になったことを管区議会または州議会は宣言できる。許可なく欠席した15日を算定するとき、会議が延期された期間は含まない。
183 管区議会または州議会は代議員のポストに空席がある場合でも、管区議会または州議会が扱うべきことを行なうことができる。また、管区議会または州議会に出席できる権利がない者が会議に出席したり、投票したり、または作業に参加したことが後に判明した場合も、管区議会または州議会の議決に影響を与えることはない。
184 管区議会または州議会が行なったこと、記録を国民に広く知らせるために公表する。しかし、法律により、または管区議会または州議会の決定により、公表することを  禁止された行ないや記録は公表しない。
185 
(ア)管区議会または州議会の代議員は憲法の規定または管区議会または州議会に関する法律の規定に反しなければ、管区議会または州議会やその委員会において自由に意見を述べて、投票する権利を有する。そのように管区議会または州議会またはその委員会において協議、行動したことについて、代議員は管区議会または州議会の法律以外の法律によって処分されることはない。
(イ)管区議会または州議会の会議であれ、管区議会または州議会の委員会であれ、出席を許可された、または招待された、憲法に基づいて組織された管区または州レベルの組織を代表する委員または個人は、憲法の規定または管区議会または州議会に関する法律に反しない限り、管区議会または州議会やその委員会において自由に意見を述べることができる。管区議会または州議会やその委員会において述べた意見について、その組織の委員や個人は管区議会または州議会に関する法律以外の法律により処分されることはない。
(ウ)上記の(ア)項、(イ)項に掲げた者が上記の権利を行使するとき、明らかな違反があった場合、その者は管区議会または州議会の規則、手続きにより、または現行の法律により、処分される。
186 
(ア)管区議会または州議会の会議に出席中の管区議会または州議会の代議員であれ、議会の議長の許可または招待により会議に出席中の個人であれ、逮捕する必要があれば、十分な証拠を管区議会または州議会の議長に提出すること。管区議会または州議会の議長の事前の許可なしに逮捕することはできない。
(イ)管区議会または州議会の委員会の会議であれ、管区議会または州議会が組織した小委員会または組織の会議に出席中の当委員会、小委員会、組織に参加する個人を逮捕する必要があれば、十分な証拠を関係する委員会、小委員会、組織の長を通じて管区議会または州議会の議長に提出すること。管区議会または州議会の議長の事前の許可なしに逮捕することはできない。
(ウ)管区議会または州議会またはその委員会または管区議会または州議会が組織した小委員会、組織の会議が開催中でないとき管区議会または州議会の代議員を逮捕した場合は、その逮捕に関して十分な証拠を管区議会または州議会の議長に早急に提出すること。
187 管区議会または州議会であれ、管区議会または州議会の職権であれ、発布した報告書、書類、議会の議事録に関して裁判を提訴されることはない。
立法権
188 別表1に掲げてある管区法律または州法律のリストにある事項について、管区議会または州議会は管区または州全体に関わることであれ、管区または州の一部に関わることであれ、効力を及ぼす法律を制定することができる。
189
(ア)管区議会または州議会は法律を制定するとき、
(1)憲法に基づいて組織された管区または州レベルの組織に対して、その法律に関係する手続き法、規則、規律を起草する権利を委任することができる。
(2)関係する組織または当局に対してその法律に関係する命令書、命令、指導、ならわし法などを起草する権利を委任することができる。
(イ)法律に従って委任された職権により作成された手続き法、規則、規律、命令書、命令、指導及びならわし法は憲法の規定や関係する法律の規定に整合性があること。
(ウ)管区議会または州議会が規定した法律により作成された手続き法、規則、規律、 命令書、命令、指導及びならわし法などを発布する場合、関係する組織は自分が発布する手続き法、規則、規律を一番最初に開催される管区議会または州議会の通常会議に議長が許可した手続きにより代議員に配布、提出される。
(エ)手続き法、規則、規律などが関係する法律の規定と整合性がないことが発見された場合、その手続き法、規則、規律などを破棄または修正するために、それが配布、提出された日から90日以内に議会の代議員が管区議会または州議会に動議を提出することができる。
(オ)手続き法、規則、規律などを破棄または修正することを管区議会または州議会が決定した場合は、その破棄や修正の前になされた事項に関して影響を与えない。
法案の提出
190
(ア)憲法に基づいて設置された管区または州レベルの組織は別表2に掲げてある管区または州法律に関するリストにある事項の中で、自分が管理する事項について法律案を定められた方法に従って、管区議会または州議会に提出することができる。
(イ)管区または州の行政府のみに提出権がある管区または州の地方行政計画、予算、税金に関する法律案を行政府は定められた方法に従って、管区議会または州議会に提出することができる。
191 管区議会または州議会の代議員は別表2に掲げてある管区または州法律に関するリストにある中から管区または州政府のみ法律案を提出することが認められていると憲法に規定されている事項の他の事項について、法律案を定められた方法に従って管区議会または州議会に提出することができる。
192
(ア)憲法に基づいて設置された管区または州レベルの組織を代表する委員の中で、管区議会または州議会の代議員は議会の会議において自分の組織に関係する法律案または事項について発言したり、協議したり、投票したりする権利を有する。
(イ)憲法に基づいて設置された管区または州レベルの組織を代表する委員の中で、管区議会または州議会の代議員でない者は議会の議長の許可を得て、議会の会議に出席して、自分の組織に関係する法律案または事項について発言したり、協議する権利を有する。
管区または州の予算に関する法律案の提出
193
(ア)管区または州の行政府のみに提出権がある管区または州の予算に関する法律案は定められた方法に従って、管区議会または州議会に提出する。
(イ)上記の(イ)項の法律案に関して、連邦国の予算に関する法律または国庫からの交付金に関する法律によって各管区または各州に配分された交付金を含む管区または州の予算を、関係する大臣の承認を得て、管区議会または州議会において協議、同意、承認、否決、減額を条件に承認などの議決を多数決により行なう。
その内容として
(1)憲法に従って設置された管区または州レベルの組織の長または委員の給料、経費、とその組織の経費。
(2)憲法に従って設置された自治組織の長または委員の給料、経費とその組織の経費。
(3)管区または州が返済するべき借金、その借金に関連する経費、管区または州に返済されるべき借金額とその経費。
(4)裁判所または法廷における判決、命令、学位の授与などの経費。
(5)管区議会または州議会が定めた法律によって、かかるその他の経費に関して、管区議会または州議会において協議する権利がある。しかし、否決、減額し承認する権利はない。
194 管区議会または州議会は管区または州の行政府が管区または州の予算案を定められた方法に従って提出した場合は、議決しなければならない。
法律として発布すること
195
(ア)管区または州の知事は
(1)管区議会または州議会が承認し成立した法律を受け取った日の翌日から7日以内に定められた方法により署名し、法律として発布する。
(2)自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部が可決、成立した法律案を受け取った日の翌日から14日以内に署名し、法律として発布する。
(イ)管区または州の知事が署名し法律として発布するための定められた期間内に知事が法律案に署名し法律として発布しない場合、定められた期間が満了した日にその法律案は知事の署名を得たものとして法律として確定する。
(ウ)管区または州の知事が署名した法律や、管区または州の知事が署名したとみなされる法律は国家の官報に記載され公表される。その法律に特別の規定がない限り、その法律は官報に記載され公表された日から施行となる。
自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部
196 自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部に対して、自分の管区または地域のために、別表3の立法のためのリストに掲げてある事項について立法権を委任する。
国民議会、民族議会、管区議会、州議会の代議員の職務、職権と権利
197 国民議会、民族議会、管区議会、州議会の代議員の職務、職権と権利は法律に別に定める。
法律の効果
198 各レベルの議会、自治権を得た管区、地域が制定した法律の効果は以下の通りであ  る。
(ア)連邦議会、管区議会、州議会、自治権を得た管区の執行部、または自治権を得た 地域の執行部が制定した法律の規定であれ、現行の法律の規定であれ、憲法に反する事項があれば、憲法の規定が優先されその規定に従う。
(イ)管区議会または州議会が制定した法律の規定が連邦議会の制定した法律の規定に反する事項があれば、連邦議会の法律が優先されその規定に従う。
(ウ)自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部が制定した法律の規定が連邦議会の制定した法律の規定に反する事項があれば、連邦議会の法律が優先されその規定に従う。
(エ)自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部が制定した法律の規定が関係する管区議会または州議会の制定した法律の規定に反する事項があれば、関係する管区議会または州議会の制定した法律が優先されその規定に従う。

新憲法の日本語訳(8)

2006年01月09日 | ミャンマー新憲法
(第4章の続き)
民族議会
民族議会の構成
141 民族議会は代議員の総数が最大224人で以下のように構成する。
(ア)自治権を得た管区または自治権を得た地域から選出した代議員を1名ずつ含む、各管区または各州から同人数の12人ずつ選出された民族議会の代議員168人。
(イ)各管区または各州から同人数の国軍最高司令官が提出した名簿による56人の国軍を代表する代議員。
(ウ)上記の(ア)項と(イ)項に掲げてある通り民族議会を構成するとき、関係する 連邦の領土という意味は、憲法によって規定された連邦の領土であれ、連邦議会が法律により制定した領土であれ、民族議会の代議員を選出するために上記の領土に含まれる州、または管区であれ、管区または州が含まれることを意味する。

民族議会の議事進行役(ダバーパティー)の選出
142 
民族議会の議事進行役の選出は第110条にある国民議会の議事進行役を選出するための規定の通り執り行なう。
民族会議の議長と副議長の選出
143 
民族議会の議長と副議長の選出については、第111条に掲げてある通り、国民議会の議長と副議長を選出する規定の通りに執り行なう。
民族議会の議長と副議長の職務
144
民族議会の議長の職務は第112条に掲げてある国民議会の議長の職務に関する規定の通りである。
民族議会の議長と副議長の就任と職務の終了について
145
民族議会の議長と副議長の就任と職務の終了については、第113条に掲げてある通り、国民議会の議長と副議長の就任と職務の終了の規定の通りに執り行なう。
146
民族議会の議長と副議長の職務、職権と権利については、法律により規定する。
147
(ア)民族議会において法律案委員会、会計委員会、議院機会委員会、政府の保証、約束、職務などを調査する委員会を民族議会の代議員によって組織する。
(イ)防衛や治安に関する事項について、国軍に関する事項について、調査する必要があれば、民族議会は防衛や治安に関する委員会を民族議会に参加する国軍代表代議員で期限を定めて組織する。その組織された防衛や治安に関する委員会は必要であれば、国軍の代議員ではない適当な民族議会の代議員を含めて組織できる。
(ウ)民族議会は法案の立法、行政、少数民族に関する事項、経済、金融、社会、外交やその他の事項について、調査、検討する必要があれば、期間を定めて委員会を民族議会の代議員で構成する。
(エ)民族議会は民族議会内の委員会の構成人数、職務、職権、権利や就任期間などを定める。
148 民族議会が国民議会と協議するべき事項が発生した場合は、民族議会と国民議会から同人数の代表者で構成する合同委員会を設置し、その合同委員会に参加する民族議会の代表者を選出し職務を委任する。合同委員会の活動期間は関係する議会に報告書を提出するまでとする。
149 民族議会と国民議会は第147条の(ア)(イ)項に含まれる事項の他に、両議会が調査、検討する事項があれば、両議会の議長が協議し、民族議会と国民議会から同人数の代表者で構成する合同委員会を設置し、その合同委員会に参加する民族議会の代表者を選出し職務を委任する。合同委員会の活動期間は関係する議会に報告書を提出するまでとする。
150 民族議会の小委員会と組織を設置することについては、第118条に掲げてある通り、国民会議の小委員会と組織を設置する規定の通りに執り行なう。
民族議会の任期
151 民族議会の任期は国民議会の任期と同じである。国民議会の任期が終了すれば、民族議会の任期も終了する。
民族議会の代議員の資格
152 民族議会の代議員は
(ア)年齢が30歳以上の者。 
(イ)年齢制限の他の事項については、第120条に掲げてある国民議会の代議員の資格と同等の条件を満たしていること。
(ウ)第121条に掲げてある国民議会の代議員として被選挙権のない者の規定も適用する。
国軍代表者が民族議会の代議員になるための資格条件
153 国軍代表の民族議会の代議員になるために、国軍最高司令官が法律に従って、名簿に登録された者で民族議会の代議員として規定された資格条件を満たしていること。
民族議会の会議を開催すること
154 
(ア)民族議会の任期の開始日は国民議会の任期が開始する日である。
(イ)民族議会の第1回目の通常会議はこの議会の任期が開始した日の7日以内に行なう。
155 民族議会の会議の開催については、第124条、第135条に掲げてある国民議会の開催に関する規定の通りに執り行なう。

法律案の提出
156 連邦法律のリストにある事項について、連邦議会にのみ法律案を提出して議決するという規定が憲法にある場合を除いて、それ以外の事項については、定められた手続きに従い、民族議会に法律案を提出することができる。
157
(ア)連邦議会が法律に従って可決した手続き法、規則、または規律などを発布した後、関係する組織は自ら発布した手続き法、規則、規律を次の一番早く開催される民族議会の通常会議において、民族議会の議長が許可したやり方で民族議会の代議員に配布する。
(イ)手続き法、規則、または規律などの規定が関係する法律と整合性がないことが判明した場合、その手続き法、規則または規律を破棄するかまたは修正するように、手続き法、規則または規律の文書が配布された日から90日以内に、民族議会の代議員が民族議会において動議を提出することができる。
(ウ)手続き法、規則または規律について破棄または修正するかについて、民族議会と国民議会の意見が異なる場合は、連邦議会に上程される。
158 
(ア)憲法に従って組織された連邦レベルの組織が提出した法律案を連邦議会が規定さ れた方法により送ってきた場合は、民族議会に提出された法律案としてみなし、民族議会において審議し議決する。
(イ)民族議会の代議員は連邦法律のリストに掲げてある事項の中から、連邦議会にのみ法律案を提出して議決するという規定が憲法にある場合を除いて、それ以外の事項については、定められた手続きに従い、民族議会に法律案を提出することができる。その法律案は規定された方法に従い、民族議会において審議し議決する。
(ウ)民族議会が可決した法律案は国民議会に送られる。
159
(ア)民族議会は国民議会から送られた法律案を受け取ったとき、国民議会が議決した通り賛成または反対または修正条件付きで賛成の議決を行なうことができる。その法律案は議決と共に、国民議会に再度送られる。
(イ)民族議会が送った法律案を国民議会が修正して再度送ってきた場合は、民族議会は国民議会の修正を受け入れる場合、その議決と共に連邦議会の総裁に送る。
(ウ)民族議会が国民議会に送った法律案に関して、国民議会と異なる議決をした場合は、連邦議会の議決を得ること。
160 憲法に従って、組織された連邦レベルの組織を代表する委員は、
(ア)民族議会の議長の許可を得て、民族議会の会議に出席する場合、自分の組織に関連する法律案または事項に関して、事情を説明したり協議することができる。
(イ)民族議会の委員会、小委員会、組織の会議に、その委員会、小委員会、組織の長から許可を得て、出席する場合、自分の組織に関連する法律案、または事項について事情を説明したり協議することができる。

新憲法の日本語訳(7)

2006年01月06日 | ミャンマー新憲法
(第4章の続き)
国民議会
国民議会の構成
109 国民議会は代議員の総数が最大440人で以下のように構成する。
(ア)各郡区に基づいて、または人口比率に基づいて、郡区数が330より多くなった場合は、新郡区に接する郡区と合同とするかまたは法律により選挙区を定めて、選出された330人の代議員。
(イ)国軍最高司令官が法律に従って提出した名簿による110人の国軍を代表する代議員。
国民議会の議事進行役(ダバーパティー)の選出
110 
(ア)国民議会の第1回の会議の開催日において国民議会の代議員の中から一人を議事進行役(ダバーパティー)として選出する。
(イ)議事進行役は国民議会の議事場の前に出て宣誓を行なう。
(ウ)議事進行役は国民議会の議長と副議長が選出されるまで国民議会を管理運営する。
国民議会の議長と副議長を選出
111
(ア)
(1)国民議会の代議員は国民議会の議長と副議長を国民議会の代議員の中から選出する。
(2)国民議会の議長または副議長のポストが空席になった場合、次の国民議会の会議において選出する。
(3)国民議会の議長が議長の職務を遂行できない場合は、副議長が議長の職務を臨時代行する。
(イ)国民議会の議長と副議長の選出方法は法律を定めて規定する。
国民議会の議長の職務内容
112 国民議会の議長は
(ア)国民議会の会議を管理運営する。
(イ)国民議会に出席して演説をしたいと大統領が申し入れた場合、大統領を招待する。
(ウ)国民議会の会議において審議中の事項について、必要であれば、憲法に基づいて組織された連邦レベルの組織を代表する委員または個人を国民議会の会議に出席させ事情を説明させるために召喚することができる。
(エ)この憲法または法律に基づいて、規定されたその他の職務を遂行する権利を有する。
国民議会の議長と副議長の就任と解任
113
(ア)国民議会の議長と副議長は次回の国民会議の会議が始まるまで、議長と副議長の職務を担当する。
(イ)国民議会の議長または副議長は辞職した場合であれ、国民議会の代議員を辞職した場合であれ、国民議会の代議員の資格を失った場合であれ、国民議会から議長または副議長の職を解かれた場合であれ、死亡した場合であれ、議長または副議長の職を解任される。
114
国民議会の議長と副議長の職務、職権と権利は法律により規定される。
国民議会に設ける委員会、小委員会、組織を設立すること。
115 
(ア)国民議会において法律案委員会、会計委員会、議院機会委員会、政府の保証、約 束、職務などを調査する委員会を国民議会の代議員によって組織する。
(イ)防衛や治安に関する事項について、国軍に関する事項について、調査する必要があれば、国民議会は防衛や治安に関する委員会を国民議会に参加する国軍代表、代議員で期限を定めて組織する。その組織された防衛や治安に関する委員会は必要であれば、国軍の代議員ではない適当な国民議会の代議員を含めて組織できる。
(ウ)国民議会は法案の立法、行政、少数民族に関する事項、経済、金融、社会、外交やその他の事項について、調査、検討する必要があれば、期間を定めて委員会を国民議会の代議員で構成する。
(エ)国民議会は国民議会内の委員会の構成人数、職務、職権、権利や就任期間などを定める。
116 国民議会が民族議会と協議するべき事項が発生した場合は、国民議会と民族議会から同人数の代表者で構成する合同委員会を組織し、その合同委員会に参加する国民議会の代表者を選出し職務を委任する。合同委員会の活動期間は関係する議会に報告書を提出するまでとする。
117 国民議会と民族議会は第115条の(ア)(イ)項に含まれる事項の他に、両議会が調査、検討する事項があれば、両議会の議長が協議し、国民議会と民族議会から同人数の代表者で構成する合同委員会を組織し、その合同委員会に参加する国民議会の代表者を選出し職務を委任する。合同委員会の活動期間は関係する議会に報告書を提出するまでとする。
118 
(ア)国民議会の委員会が調査、検討する事項の他に、その他の事項について調査、検討する事項があれば、小委員会を国民議会の代議員または適当な国民代表者により組織することができる。
(イ)国民議会は上記の小委員会を設置するとき、その小委員会の構成人数、職務、職権、権利、活動期間を定める。
国民議会の会期
119 国民議会の任期はその議会の第1回目の会議の開催日から5年間である。
国民議会の代議員になるための資格条件
120 以下に掲げる条件を満たす者は国民議会の代議員として選挙される資格を持つ。
(ア)年齢が25歳以上であること。
(イ)ミャンマー国籍を持つ両親から生まれたミャンマー国籍を持つ者。 
(ウ)国民議会の代議員として選挙される時点以前に10年連続してミャンマー国に住んでいる者。
例外)国家の許可を得て公務により海外に居住している者はその期間は国内に居住しているとみなす。
(エ)選挙に関する法律の条件を満たす者。
国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者
121 以下の者は国民議会の代議員として選挙される資格を与えられない。
(ア)犯罪を犯し、裁判所から有罪となって投獄されている者。
(イ)憲法が発効する前であれ発効した後であれ、国民議会の代議員となる資格を失わせる違反行為や犯罪があり刑罰を科されているため、国民議会の代議員として選挙される権利を当局が剥奪しその指定した期間が満了していない者。
(ウ)関係法律の規定により、精神薄弱であると認められる者。
(エ)破産者であると関係する裁判所から宣告を受けている者。
(オ)外国政府の恩恵を受けていたり、または外国政府の影響下にある者。または外国籍を持っている者。
(カ)外国政府の影響下にある者であれ、外国国籍を持っている者であれ、外国政府から何らかの権利や恩恵を受けている者。
(キ)外国の政府または宗教団体またはその他の団体から金銭、土地、家、建物、車両、物品などを直接であれ、間接であれ援助を受けている者、またはその援助を受けている組織に属している者。
(ク)政治的な事項に関して、宗教を利用して投票させたり、投票を棄権するように説得し、演説を行ない、または宣言したり、そのような行為を助長した者。またはその組織に属する者。
(ケ)宗教者
(コ)公務員
(例外)憲法の規定に従って組織された議会や組織において選出された国軍代表者を含む公務員は除外される。
(サ)国家が所有する金銭、土地、家、建物、車両、物品などを直接であれ、間接であれ取得し使用している者。または取得し使用している組織に属する者。
(例外)
(1)国家が所有する金銭という意味は、退職年金、費用、金銭や国家の利益のために行なったことに対する正式に支出された給与、費用、金銭は含まない。
(2)国家が所有する土地、家、建物、車両、物品という意味は、法律に従い、または公務により国家が使用する権利を与えた、または国家から有償で借りている土地、家、建物、部屋、飛行機、汽車、船、車両、物品などは除外される。
(シ)憲法が発効する前であれ、発効した後であれ、国民議会の代議員の資格条件を喪失させるに足る選挙に関する法律の違反、または選挙に関する法律にある規定の不履行により、国民議会の代議員として選挙される権利を当局が剥奪しその指定した期間が満了していない者。
国軍代表者が代議員になるための資格条件
122 国軍代表の国民議会の代議員になるために、国軍最高司令官が法律に従って、名簿に登録された者で国民議会の代議員として規定された資格条件を満たしていること。
国民議会の会議を開催すること
123 国民議会の任期が始まる第1回目の通常会議は総選挙が始まった最初の日から90日以内に開催すること。
124 
(ア)憲法が発効した後、第1回目の通常会議は国家平和開発委員会が招集する。
(イ)国民議会の残りの任期については、第1回目の通常会議を憲法の規定に従って引き続き職務を継続する国民議会の議長が招集する。
125
(ア)第1回目の国民会議の通常会議において、国民議会の代議員は国民議会の議事進行役の目前において別表4に掲げてある通りに宣誓を行なう。
(イ)欠席して宣誓を行なわなかった代議員は最初に出席する国民議会の会議において議長の目前において宣誓を行なう。
126 国民議会の通常会議は最低1年に1度、議長により招集される。次の通常会議までの空白期間は12ヶ月を超えてはならない。
127 国民議会の会議では以下の事項を執り行なう。
(ア)大統領が演説したことを記録する。
(イ)大統領が送ってきた書簡と議長が許可したその他の書簡を発表し記録する。
(ウ)法律案を提出し審議し、議決すること。
(エ)憲法の規定に従って、国民議会が行なうべき事項について審議し議決すること。
(オ)国民議会に提出された報告書について審議し議決し、記録すること。
(カ)動議を提出、審議、議決すること。
(キ)質疑の応答。
(ク)国民議会の議長が許可した事項について執り行なうこと。
128 
(ア)国民議会の第一日目の会議において、国民議会に出席する権利がある代議員の総 数のうち過半数が出席すれば、その会議は成立する。もし成立しなければ、会議を延期する。
(イ)上記の(ア)項に従って、会議が成立しなかったために延期され行なわれる会議と成立した会議の後に引き続き行なわれる会議においては、国民議会に出席する権利がある代議員の総数のうち3分の1以上が出席すれば、その会議は成立する。
129 
(ア)国民議会において議決するべき事項について、投票により議決する場合、憲法に特別の規定がなければ、会議に出席した国民議会の代議員の過半数により議決する。
(イ)国民議会の会議において投票により議決する場合、議長または議長の職にある副議長は棄権票、賛成票、反対票が同数の場合に限り決定票を投じることができる。
130
(ア)国民議会の代議員が国民議会の会議において、国民議会の許可なしに最低15日間連続して欠席した場合は、定められた手続きに従い、その代議員のポストが空席になったことを国民議会が宣言できる。許可なく欠席した15日を算定するとき、会議が延期された期間は含まない。
(イ)連邦議会の会議に出席するべき国民議会の代議員が連邦議会の会議に議会の許可なく15日間連続して欠席したことを連邦議会の総裁が報告してきた場合は、その代議員に対して国民議会は定められた手続きにより処分する。
131 国民議会は代議員のポストに空席がある場合でも、国民議会が扱うべきことを行なうことができる。また、国民議会に出席できる権利がない者が会議に出席したり、投票したり、または作業に参加したことが後に判明した場合も、国民議会の議決に影響を与えることはない。
132 国民議会が行なったこと、記録を国民に広く知らせるために公表する。しかし、法律により、または国民議会の決定により、公表することを禁止された行ないや記録は公表しない。
133 
(ア)国民議会の代議員は憲法の規定または国民議会に関する法律の規定に反しなければ、国民議会や国民議会の委員会において自由に意見を述べて、投票する権利を有する。そのように国民議会または国民議会の委員会において協議、行動したことについて、代議員は国民議会の法律以外の法律によって処分されることはない。
(イ)国民議会の会議であれ、国民議会の委員会であれ、出席を許可された、または招待された、憲法に基づいて組織された連邦レベルの組織を代表する委員または個人は、憲法の規定または国民議会に関する法律に反しない限り、国民議会や国民議会の委員会において自由に意見を述べることができる。国民議会や国民議会の委員会において述べた意見について、その組織の委員や個人は国民議会に関する法律以外の法律により処分されることはない。
(ウ)上記の(ア)項、(イ)項に掲げた者が上記の権利を行使するとき、明らかな違 反があった場合、その者は国民議会の規則、手続きにより、または現行の法律により、処分される。
134 
(ア)国民議会の会議に出席中の国民議会の代議員であれ、議会の議長の許可または招待により会議に出席中の個人であれ、逮捕する必要があれば、十分な証拠を国民議会の議長に提出すること。国民議会の議長の事前の許可なしに逮捕することはできない。
(イ)国民議会の委員会の会議であれ、国民議会が組織した小委員会または組織の会議に出席中の当委員会、小委員会、組織に参加する個人を逮捕する必要があれば、十分な証拠を関係する委員会、小委員会、組織の長を通じて国民議会の議長に提出すること。国民議会の議長の事前の許可なしに逮捕することはできない。
(ウ)国民議会または国民議会の委員会または国民議会が組織した小委員会、組織の会議が開催中でないとき国民議会の代議員を逮捕した場合は、その逮捕に関して十分な証拠を国民会議の議長に早急に提出すること。
135 国民議会であれ、国民議会の職権であれ、発布した報告書、書類、議会の議事録に関して裁判を提訴されることはない。
法律案の提出
136 別表1に掲げてある連邦法律のリストにある事項について、連邦議会にのみ法律案を提出して議決するという規定が憲法にある場合を除いて、それ以外の事項については、定められた手続きに従い、国民議会に法律案を提出することができる。
137
(ア)国民議会が法律に従って可決した手続き法、規則、または規律などを発布した後、関係する組織は自ら発布した手続き法、規則、規律を次の一番早く開催される国民議会の通常会議において、国民議会の議長が許可したやり方で国民議会の代議員に配布する。
(イ)手続き法、規則、または規律などの規定が関係する法律と整合性がないことが判明した場合、その手続き法、規則または規律を破棄するかまたは修正するように、手続き法、規則または規律の文書が配布された日から90日以内に、国民議会の代議員が国民議会において動議を提出することができる。
(ウ)手続き法、規則または規律について破棄または修正するかについて、国民議会と民族議会の意見が異なる場合は、連邦議会に上程される。
138 
(ア)憲法に従って組織された連邦レベルの組織が提出した法律案を連邦議会が規定された方法により送ってきた場合は、国民議会に提出された法律案としてみなし、国民議会において審議し議決する。
(イ)国民議会の代議員は連邦法律のリストに掲げてある事項の中から、連邦議会にのみ法律案を提出して議決するという規定が憲法にある場合を除いて、それ以外の事項については、定められた手続きに従い、国民議会に法律案を提出することができる。その法律案は規定された方法に従い、国民議会において審議し議決する。
(ウ)国民議会が可決した法律案は民族議会に送られる。
139
(ア)国民議会は民族議会から送られた法律案を受け取ったとき、民族議会が議決した通り賛成または反対または修正条件付きで賛成の議決を行なうことができる。
その法律案は議決と共に、民族議会に再度送られる。
(イ)国民議会が送った法律案を民族議会が修正して再度送ってきた場合は、国民議会は民族議会の修正を受け入れる場合、その議決と共に連邦議会の総裁に送る。
(ウ)国民議会は民族議会に送った法律案に関して、民族議会と異なる議決をした場合は、連邦議会の議決を得ること。
140 憲法に従って、組織された連邦レベルの組織を代表する委員は、
(ア)国民議会の議長の許可を得て、国民議会の会議に出席する場合、自分の組織に関連する法律案または事項に関して、事情を説明したり協議することができる。
(イ)国民議会の委員会、小委員会、組織の会議に、その委員会、小委員会、組織の長から許可を得て、出席する場合、自分の組織に関連する法律案、または事項について事情を説明したり協議することができる。

新憲法の日本語訳(6)

2006年01月05日 | ミャンマー新憲法
第4章
立法権
連邦議会

連邦議会の構成

74 連邦議会は以下の通り2つの議院により構成する。
(ア)第109条の規定の通り、各郡区毎にまたは人口比率に応じて選出された代議員と国軍最高司令官が提出した名簿から参加する国軍代表者などで構成する国民議会。
(イ)第141条の規定の通り、各管区、各州から同等の人数が選出された代議員と軍最高司令官が提出した名簿から参加する国軍代表者などで構成する民族議会。
各議院の代表と副代表
75 各議院の代表と副代表に関して、各議会の会期毎に議会の初日に代議員が宣誓を行なうため、また議会の議長、副議長を選出するための会議を行なう際にそれらを執行する代表役を議事進行役(ダバーパティ)と呼び、連邦議会の代表および副代表を総裁(ナーヤカ)、副総裁(ドゥーティヤナーヤカ)と呼び、国民議会、民族議会、管区議会、州議会の代表または副代表を議長(ウカタ)と副議長(ドゥーティヤウカタ)と呼ぶ。
連邦議会の総裁と副総裁の就任
76 
(ア)国民議会の会期が始まった日から30ヶ月までは民族議会の議長と副議長が連邦議会の総裁と副総裁の職務を行ない、残りの期間は国民議会の議長と副議長が連邦議会の総裁と副総裁の職務を行なう。
(イ)連邦議会の総裁は総裁の職務を遂行できなくなった場合、副総裁が代行する。
連邦議会総裁の職務
77 連邦議会の総裁は
(ア)連邦議会の会議を監督する。
(イ)連邦議会に大統領が出席して演説を行なうことを希望し要求した場合は、大統領を連邦議会に招待する。
(ウ)連邦議会の会議が開催中にある事情について必要であれば、憲法の規定に従って組織される委員会または個人を連邦議会に召喚する権利を有する。
(エ)この憲法、または法律の規定に従って指定されたその他の職務を遂行する。
連邦議会の会議を開催すること
78 連邦議会の第1回目の通常会議を国民議会の第1回目の会議が始まって15日以内に開催すること。連邦議会の通常会議は連邦議会の総裁が招集し開催する。
79 連邦議会の通常会議は連邦議会の総裁が最低1年に1回招集し開催すること。通常会議の閉会期間は12ヶ月を超えてはならない。
80 連邦議会では以下の事項を取り扱う。
(ア)大統領の演説内容を記録する。
(イ)大統領から送られた書簡や総裁が許可したその他の書簡を発表し記録すること。
(ウ)法律の原案を提出すること。討議すること。記録すること。
(エ)連邦議会が議決した法律案に関して、大統領の意見や意向を受け、その内容について討議し議決すること。
(オ)憲法の規定により連邦議会が行なうべき事項に関して討議し、議決すること。
(カ)連邦議会に提出された報告書に関して討議し、議決し、記録すること。
(キ)動議について討議、議決すること。
(ク)質疑、答弁すること。
(ケ)連邦議会の総裁が許可した事項について実行すること。
81 連邦議会において議決するべき事項、承認を得るべき事項、可決するべき事項を以下の通り行なうこと。
(ア)連邦議会が開催中の場合、その会議において討議し、議決すること。
(イ)連邦議会が開催中ではない場合、次の一番早い連邦議会において討議、議決すること。
(ウ)国民全体の利益のために早急に行なうべき事項に関しては特別会議または緊急会議を招集し討議、議決する。
82 連邦議会の特別会議または緊急会議は開催する必要があれば、連邦議会の総裁が招集する。
83 大統領が連邦議会の特別会議または緊急会議を開催するように要求した場合は、連邦議会の総裁は早急に連邦議会の特別会議を招集する。
84 連邦議会の会議を招集するように連邦議会の代議員の4分の1が要求した場合は、連邦議会の総裁は特別会議を早急に招集する。
85 
(ア)連邦議会の初日の会議において、連邦会議に参加する権利がある代議員のうち過半数が出席した場合、会議は成立する。もし成立しなければ、会議を延期する。
(イ)上記の(ア)項により成立せず延期となった会議、または初日の会議が成立した後、引き続き開かれる会議においては連邦会議に参加する権利がある代議員のうち3分の1の出席で会議は成立する。
86 
(ア)連邦議会において議決するべき事項に関して採決する場合、この憲法で特別の規定がない限り、会議に出席し採決に参加した代議員の人数の多数決をもって議決する。
(イ)連邦議会のおいて採決により議決する場合、連邦議会の総裁または総裁の任務を行なう副総裁は棄権票、賛成票、棄権票が同数である場合に限り決定票を投じることができる。
87 連邦議会の代議員は連邦議会の総裁の許可を得ないで連邦議会の会議に15日間連続して欠席した場合、規定された方法により連邦議会の総裁は関係する議院に対して懲罰を与えるように通知する。連邦議会の会議に許可なく欠席した15日を計算する上で、会議が延期された期間は含まれない。
88 連邦議会は代議員の空席があっても、連邦議会を開催することができる。連邦議会に参加する権利がない人が会議に出席したり、議決に参加したり、または議会の運営に関与したことが後に判明した場合でも、連邦議会の議決は無効となることはない。
89 連邦議会で行なわれたことや記録は国民に公開する。しかし、法律上または連邦議会で決議上、公開を禁止された事項に関しては連邦議会で行なわれたことや記録は公開されない。
90 憲法に従って組織された連邦レベルでの組織を代表する者は総裁の許可を得て連邦議会に出席する場合は、自分の組織に関する法律案または事項について事情を説明することができる。
91 憲法により組織された連邦レベルの組織は連邦議会に提出するに値する自分の組織に関連する事項を総裁の許可を得て提出することができる。
92
(ア)連邦議会の代議員は憲法の規定上、または連邦議会に関する法律の規定に反しな ければ、連邦議会や連邦議会の合同委員会において自由に意見を述べたり、投票することができる。そのように連邦議会や連邦議会の合同委員会において意見を述べたり、行動したりすることにおいて、連邦議会の代議員は連邦議会に関する法律以外で処分されることはない。
(イ)連邦議会に出席するように召喚された憲法に従って組織された連邦レベルの組織 を代表する者または個人は憲法の規定に関してまたは連邦議会に関する法律の規定に反しない限り、連邦議会において自由に意見を述べることができる。連邦議会において述べたことについて、その組織の代表者または個人は連邦議会に関する法律以外で処分されることはない。
(ウ)上記の(ア)(イ)の各項に含まれる人物が上記の権利を行使するとき、明らかな違反事項があった場合、その人物は連邦議会の規則、規律、ならわし、現行法律などにより処分される。
93 連邦議会の会議に出席中の連邦議会の代議員または連邦議会の総裁の許可を得て出席している者または総裁から出席を召喚された者を逮捕する必要がある場合は、逮捕するに足る十分な証拠を連邦議会の総裁に提出する。連邦議会の総裁の事前の許可なしに逮捕することはできない。
94 連邦議会または連邦議会の職権により発表し公表した報告書、書類、記録に関して裁判を起こすことはできない。
立法
95 
(ア)国民議会においてであれ、民族議会においてであれ、どちらかの議院に先に提出された法律案は両議院において可決した場合、その法律案は連邦議会において可決成立したものとみなされる。
(イ)法律案が国民議会と民族議会で異なる議決をした場合は、連邦議会において審議、可決する。
96 連邦議会は別表1に表記した通りの事項に関して連邦国全体に対してまたは一部に対して拘束力を有する法律を作成することができる。
97 
(ア)連邦議会が法律の規定を作成する場合
(1)憲法の規定に従って組織された連邦レベルの組織に対して、その法律に関連した手続き法、規則、規律を発令する権利を委任する。
(2)関連する組織または当局に対してその法律に関連した布告、命令、指示、しきたり法を発令する権利を委任する。
(イ)法律の委任の下、作成された手続き法、規則、規律、布告、命令、指示、ならわし法などは憲法や法律の規定と整合性を持たせること。
(ウ)国民議会と民族議会の両院が手続き法、規則、規律などを廃止または修正するように議決した場合は、その手続き法、規則、規律は連邦議会において廃止または修正されたこととみなされる。
(エ)手続き法、規則または規律のどれか一つが廃止または修正することに国民議会と民族議会の議決が異なった場合は連邦議会において審議し議決する。
(オ)手続き法、規則または規律のうちどれか一つが廃止または修正するように(ウ)または(エ)項の通り議決した場合も、その廃止または修正の以前に手続き法、規   則、または規律によって行なわれた事項に影響してはならない。
その他の事項に関する立法
98 連邦、管区または州と自治権を得た管区または自治権を得た地域の立法権は別表に掲げていない他の事項に関しては立法権を連邦議会に委任する。
連邦の領土に関する法律の立法
99 管区議会または州議会であれ、自治権を得た管区または自治権を得た地域の代表であれ、法律を作成する権利を委任された事項に関して、連邦の領土のための法律を規定することが必要であれば、連邦議会が必要な法律を規定する。
法律案の提出
100 
(ア)憲法に基づいて組織された連邦レベルの組織は連邦法に関する別表に掲げてある事項の中から自分が企画、管理する事項についての法律案を指定された方法に従い、議会に提出する権利を有する。
(イ)連邦政府のみ提出する権利のある国家計画案、予算案、税金に関する法律案は指定された方法に従い、連邦議会において審議し議決される。
101 連邦議会のおいてのみ審議し議決するべきという憲法の規定がある法律案の他は、
憲法に基づいて組織された連邦レベルの組織が連邦議会に提出した法律案は指定された方法に従い、国民議会であれ、民族議会であれ、先に審議することができる。
102 連邦議会においてのみ審議し議決する法律案について連邦議会の会議において審議入りをする前に、詳細な検討事項が必要であれば国民議会の法案調査委員会と民族議会の法案調査委員会に対して合同で調査、検討させること、その合同委員会の調査検討結果を指定された方法に従い法案とともに連邦議会の会議に提出することを認めることができる。
連邦の国庫の収支に関する法律の提出
103
(ア)連邦政府を代表する大統領またはその職務を与えられている者は連邦の国庫の収支に関する法律を連邦議会に提出する。
(イ)連邦国の国庫の収支に関する法律案に含まれるのは.....
(1)憲法に従って組織された連邦レベルの組織の代表または委員の給与、経費とその組織の経費。
(2)連邦国が返済すべき借款、その借款に関連する経費、連邦国が持つ債権とその債権に関連するその他の経費。
(3)裁判所または法廷における判決、命令、学位の授与などに関わる経費。
(4)現行の法律によるものであれ、国際間の条約によるものであれ、かかる費用に関しては連邦議会において審議する権利がある。しかし、否決したり減額して、承認することはない。
(ウ)(イ)項に含まれる費用以外の費用については連邦議会が承認し成立すること、否決すること、減額して承認することなどを多数決により決定する。
(エ)連邦議会が規定する連邦議会の国庫の収支(予算)に関する法律の通り、連邦国政府が必要に応じてこれを行なう。
(オ)連邦議会が関係する会計年度のために規定する連邦国の国庫の収支(予算)に関する法律に含まれる収支計画の他に、新たに収支が見込まれる場合は補正予算に関する法律により上記の手続き通りに規定する。
(カ)連邦議会のおいて成立した補正予算に関する法律に従って連邦政府は必要に応じてこれを行なう。
法律に準ずる命令
104 大統領が連邦議会に対して法律に準ずる命令を発令し、その命令を連邦議会で承認、成立するように求めた場合は、
(ア)法律に準ずる命令を承認するかしないかを決議する。
(イ)承認することを決議した場合は、その命令が発効する期間を指定する。
(ウ)承認が得られない場合は、法律に準ずる命令は承認されなかった日から発効することは中止される。
成立した法律の発布
105 
(ア)大統領は連邦議会から送られた連邦議会が承認し、または連邦議会が承認したとみなされる法律案を受け取った日の翌日から起算して14日以内に署名し、法律として発布する。
(イ)大統領は法律案に署名して法律として発布する前の定められた期間内において、自分の意見や注釈を加えて、法律案を連邦議会に差し戻すことができる。
(ウ)大統領が署名し法律として発布する前の定められた期間内において、大統領が自分の意見や注釈を加えて、連邦議会に差し戻しをしない場合または法律案に署名して法律として発布しない場合で定められた期間を満了した場合は、その法律案は大統領が署名したものとして法律として成立する。
106 
(ア)大統領に送られた法律案を大統領が自分の意見や注釈を加えて連邦議会に差し戻した場合、連邦議会は大統領の意見や注釈について審議、検討し、大統領の意見や注釈を受け入れ法案の修正に応じるかまたは大統領の意見や注釈を受け入れないで、原案の通り可決成立させることができる。
(イ)大統領の意見と注釈に従って修正された法案または大統領の意見と注釈を受け入れないで、原案通り可決した法律案が連邦議会の決定として、再度大統領に送られた場合、大統領は法律案を受け取った日の翌日から7日以内に署名して法律として発布する。
(ウ)連邦議会が再度送った法律案について、大統領が定められた期間内に署名しない場合は、定められた期間が満了した日に法律案は大統領の署名を得たものとして法律となる。
107 大統領が署名した法律または大統領が署名したとみなされる法律は国の官報に記載され発布される。その法律は特別の規定がなければ発布された日から法律が発効される。
108 連邦議会は
(ア)大統領が提出する国際的または地域間または2国間の条約、契約を承認、破棄、脱退などを決定する。
(イ)国際的または地域間または2国間の条約、契約のいかなる条約、契約も連邦議会の承認なしに締結、破棄、脱退することを大統領にその権利を委任することができる。


新憲法の日本語訳(5)

2006年01月04日 | ミャンマー新憲法
第3章 国家の元首
大統領と副大統領

57 大統領と副大統領は国家を代表する。
58 大統領はミャンマー連邦共和国全体において全国民の最高位につく。
59 大統領と副大統領に必要な資格は以下の通りである。
(ア)国家と国民に対して忠誠心のある者
(イ)自身とその両親が国の領土内に生まれたミャンマー国民であること。
(ウ)45歳以上であること。
(エ)政治、行政、経済、軍事に関して見識があること。
(オ)大統領になる前に連続して20年以上ミャンマー国内に居住していること。
例外)国家の許可を得て公務により海外に居住している者はその期間は国内に居住しているとみなす。
(カ)自身であれ、両親の一方であれ、自身の配偶者であれ、自身の子どもであれ、その子どもの配偶者であれ、いずれかが外国政府の恩恵を受けていたり、または外国政府の影響下にあったりする者ではないこと。
(キ)議会選挙において被選挙権を持つための必要な条件を満たしている者であって、かつ大統領になるための必要な条件を満たしていること。
60 
(ア)大統領は大統領選出委員会によって任命される。
(イ)大統領選出委員会は連邦議会の代議員の中から以下の3つの小委員会により構成される。
(1)各管区および各州から同人数の代議員で構成される議会の代議員の中から選ばれた委員で構成する小委員会。
(2)各郡区または人口比率により選出された代議員で構成する議会の代議員の中から選ばれた委員で構成する小委員会。
(3)上記の2委員会のほかに、国軍最高司令官が提出した名簿から選ばれた委員で構成する小委員会。
(ウ)上記の各小委員会は副大統領1名ずつを議会の代議員からであれ、外部からであれ、任命する。
(エ)副大統領が大統領になるために定めた同等の資格があるかどうかを両議院の議長と副議長を含む委員会が審査する。
(オ)連邦議会の全代議員を含む大統領選出委員会が大統領候補者である副大統領3名の中から最も望ましいと思われる副大統領1名を大統領として選出する。
(カ)大統領と副大統領の選出方法については別に法律で定める。
61 
(ア)大統領と副大統領の任期は5年である。
(イ)任期が終了した場合でも、新大統領と新副大統領が選出されるまで大統領と副大統領はその職務を継続する。
(ウ)大統領と副大統領は二期を超えてその職務に就くことはできない。
(エ)暫定的に大統領または副大統領が職務に就いた場合は、暫定期間は任期に含まない。
(オ)何かの事情により、大統領または副大統領のポストが空席になった場合、補充された大統領または副大統領の任期は前任者の任期の残存期間に限られる。
62 大統領または副大統領はいかなる議会の議員ではなくなる。
63 大統領または副大統領はその人物が議会の代議員である場合や公務員の場合は大統領または副大統領になった日から辞職または退職したものとみなされる。
64 大統領または副大統領が政党の党員である場合は、大統領または副大統領になった日からその任期が終了するまでの期間は党活動から離れること。
65 大統領と副大統領は以下の通り、宣誓すること。
「私はミャンマー連邦共和国と全国民のために忠誠を誓い、連邦を崩壊させないこと、全民族の団結を維持させること、国家の主権を永遠のものとすることを常に念頭に置き職務を遂行することを誓います。
私はこの憲法を遵守し、国家の法律を守ることを誓います。
私は自分の職務を誠心誠意遂行し、その責務を果たします。
ミャンマー共和国連邦において法の下における公正、平等、自由の基本的原則がより発展するように努力します。
私はミャンマー連邦共和国の利益のために自分の心身を国家にゆだねることを高ら  かに宣言しここに宣誓します。」
66 大統領または副大統領はこの憲法とその他の法律に定められる職務と職権を執行する。
67 大統領と副大統領は給料、手当て、報酬など得られるいかなる他の職務を兼任してはならない。
68 大統領と副大統領は、自身とその家族が所有する土地、家、建物、経済事業、預金、その他高額の物品などのリストを評価額と共に作成し、連邦議会の議長に提出すること。
69 大統領と副大統領は法律に規定された給与、手当てと公邸が与えられる。また、相応な私邸も与えられる。
70 大統領と副大統領は弾劾され罷免されることを除いては任期が終了し退職する場合は法律に基づき退職金と相応な補助を受ける。
71 
(ア)大統領または副大統領に対して以下の事由により弾劾できる。
(1)国家から受ける恩恵や忠誠に背信した者。
(2)この憲法の定める規定に違反した者。
(3)相応しくない品格に欠けた行動をした者。
(4)この憲法に定める大統領または副大統領資格に欠ける者。
(5)法律により与えられた職務を果たさない者。
(イ)大統領または副大統領の誰か一人を弾劾したい場合は、連邦議会を構成する両院のうちどちらか一方の全代議員数の4分の1以上の署名を得て、弾劾理由を当該議院の議長に提出する。
(ウ)その弾劾理由が当該議院の全代議員数の3分の2以上の賛成を得た場合に限り、引き続き弾劾手続きを進める。
(エ)どちらかの議院が弾劾理由に賛成した場合、もう一つの議院がその弾劾理由に関して調査、検討するために小委員会を設置する。
(オ)弾劾理由について調査、検討しているとき、大統領または副大統領は自身であれ、代理人であれ、反論をすることができる。
(カ)調査、検討をした議院における総代議員数の3分の1がその弾劾理由について同意し、大統領または副大統領が引き続き職務を続行することを不適当と判断した場合、当該議院が連邦議会議長に対して罷免することを提案する。
(キ)連邦議会の議長は罷免する提案を受け取り次第、大統領または副大統領に対して罷免通知をする。
72 大統領または副大統領は任期中に自分の意志により辞職することを認める。
73 
(ア)大統領が任期中に辞職した場合であれ、死亡した場合であれ、職務を遂行できない場合であれ、その他の事情によるものであれ、大統領のポストが空席になった場合は、大統領の選出時に2番目に多い票を獲得した副大統領が臨時大統領となる。
(イ)大統領のポストが空席になったときで連邦議会が開催中の場合は、空席となった大統領のポストを7日以内に補充するように臨時大統領が連邦議会の議長に対して早急に提案する。
(ウ)臨時大統領から提案を受け取ったら、空席となった大統領を選出した当該議院の小委員会が新副大統領を選出するように議長が取り計らう。
(エ)その小委員会が新副大統領を選出したら、連邦議会の代議員の全員が参加する大統領選出委員会が副大統領3名のうち自分が望ましいと思う人物を大統領として指名する。
(オ)連邦議会が開催中でない場合は、連邦議会の議長は臨時大統領から提案を受けて21日以内に連邦議会を招集し、新大統領を選出するために以上の手続きにより進めること。
(カ)副大統領の一人が任期中に辞職した場合であれ、死亡した場合であれ、職務を遂行できない場合であれ、その他の事情によるものであれ、副大統領のポストが空席になったときで連邦議会が開催中の場合、その副大統領を選出した議院の小委員会が7日以内に新副大統領を選出するように、大統領が連邦議会の議長に対して通知する。
(キ)連邦議会が開催中でない場合は、連邦議会の議長は大統領から提案を受けて21日以内に連邦議会を招集し、当該議院の小委員会が副大統領を選出するように定められた手続きにより進める。

新憲法の日本語訳(4)

2006年01月03日 | ミャンマー新憲法
第2章
国家の構成形態

49 国家は以下のように7管区と7州と国境により連邦国を構成する。
(ア)カチン州 (イ)カヤー州
(ウ)カレン州 (エ)チン州
(オ)ザガイン州 (カ)タニンダリー管区
(キ)バゴー管区 (ク)マグエー管区
(ケ)マンダレー管区 (コ)モン州
(サ)ヤカイン州  (シ)ヤンゴン管区
(ス)シャン州  (セ)エヤワーディ管区
(ソ)連邦の領土
50 
(ア)国家の首都であるネーピードー市は大統領が直接管理する。
(イ)国家の防衛上、治安上、行政上、経済上、特別な事情がある地域に関しては法律を定めて大統領が直接管理することができる。
51 国家を以下の通りに構成する。
(ア)複数の小村を村落群として統合する。
(イ)複数の地区を町または郡区として統合する。
(ウ)村落群と地区または町を郡区として統合する。
(エ)複数の郡区を県として統合する。
(オ)複数の県を管区または州として統合する。
(カ)自治権が与えられた地域においてその地域内にある郡区を自治区として統合する。
(キ)自治権が与えられた管区においてその管区内にある郡区を県として統合し、その複数の県を自治管区として統合する。
(ク)一つの管区または一つの州において自治権を得た管区または自治権を得た地区が存在する場合は、自治権を得た管区、自治権を得た地区と県を管区として統合または州として統合する。
(ケ)管区、州と国境とを統合して国家をして統合する。
52
(ア)国家の国境を変更する必要がある場合は、大統領は連邦議会の議長に対して、国境の変更について連邦議会に諮ることを提案する。
(イ)国家の国境を変更することを大統領が諮問した場合は、連邦議会の議長は以下の通り連邦議会の代議員の意見を聞き採決する。
(1)管区または州から同等の代議員数が選挙された議員で構成する議会において全代議員数の過半数の賛成。
(2)各郡区または人口比率に従って選挙された議員で構成する議会において全代議員数の過半数の賛成。
(3)当該国境に属する管区または州の代議員数の過半数の賛成。
(ウ)以上の通りそれぞれ過半数の賛成を得た場合、国家の国境を必要に応じて修正するように連邦議会の議長が大統領に対して報告する。
(エ)以上の通りに定めた方法に従って、議会のいずれか一つであれ、二つの議会に参加する当該国境に属する管区または州の代議員であれ、国境の変更に関して賛成できないことを決定した場合は、連邦議会の意見を聞くこと。連邦議会の総代議員数の4分の3以上が賛成した場合、国家の国境を必要に応じて修正するように連邦議会の議長が大統領に対して報告する。
(エ)連邦議会の議決を得た後、国家の国境を修正することを、大統領は必要に応じて遂行する。
53
(ア)管区または州の境界線を修正する必要が生じた場合、当該境界線に属する郡区に居住する選挙権を有する選挙民の意見を最初に聞くこと。
(イ)選挙民の意見を聞いたとき、当該郡区に居住する選挙権を有する選挙民の全人口の過半数の賛成が得られない場合は、境界線の修正は一切認められない。
(ウ)当該郡区内に居住する選挙権を有する選挙民の全人口の過半数が境界線の修正について賛成した場合、当該境界線に属する管区または州の議会代議員の意見を聞く。
(エ)当該管区または州議会の代議員総数の4分の3以上が賛成した場合、連邦議会の同意を得て大統領が管区または州の境界線の修正を行なう。
(オ)当該管区または州議会が境界線の修正について同意しないことを議決した場合、連邦議会の議決をとること。
(カ)連邦議会の総代議員数の4分の3以上が境界線の修正について賛成した場合、大統領は管区または州の境界線を必要に応じて修正する。
54 管区または州、自治権を得た管区または自治権を得た地域に存在する小村、村落群、地区、町、郡区または県の境界線を修正する、合併する、または名称を変更する事情が生じた場合、当該管区または州の知事が大統領に提案し大統領は必要に応じて遂行する。
55 自治権を得た管区の名称であれ、自治権を得た地域の名称であれ、変更する場合は  管区や州の名称を変更をする方法により変更される。
56 自治権を得た管区と自治権を得た地域を以下の通り規定する。
(ア)ザガイン管区内のレーシー郡区、ラヘー郡区、ナンユン郡区を統合し、ナーガ自治区とする。
(イ)シャン州内のユワーガン郡区、ピンダヤ郡区を統合してダヌ自治区とする。
(ウ)シャン州内のホーポン郡区、シーサイン郡区、ピンライン郡区を統合してパオー自治区とする。
(エ)シャン州内のナンサン郡区、マントン郡区を統合してパラウン自治区とする。
(オ)シャン州内のコンジャン郡区、ラウカイン郡区を統合してコーカン自治区とする。
(カ)シャン州内のホーパン郡区、マインモー郡区、パンワイン郡区、ナーパン郡区、メッマン郡区、パンサン(パンカン)郡区を統合して2県にし、ワ自治管区とする。

  



新憲法の日本語訳(3)

2006年01月02日 | ミャンマー新憲法
第1章
国家の基本的原則

国家
1.ミャンマー国は国家の主権を持った完全に独立した国家である。
2.国家をミャンマー連邦共和国と呼ぶ。
3.国家は各民族が共存している国家である。
4.国家の主権は国民によって起因し、国の領土全てにその主権が及ぶ。
5.国家の領土、領海、領空を含む支配圏はこの憲法が確定する日の範囲の通りである。

基本原則
6.国家は
(ア)連邦が崩壊しないこと。
(イ)全民族の団結を維持すること。
(ウ)国家の主権を永久のものにすること。
(エ)真の秩序ある複数政党制民主主義を発展させること。
(オ)国内において法の下における公正、自由、平等を実現すること。
(カ)国内において国民政治を運営するに際して、国軍が参加主導すること。
7.国家は真の秩序ある複数政党制を行なうこと。
8.国家は連邦制により組織される。
9.
(ア)現存の7管区と7州は現行の境界線のまま維持され、それぞれの管区と州は平等に扱われる。
(イ)現存の7管区と7州は既存の名称のまま維持される。
(ウ)現存の7管区と7州の名称を変更する場合は、管区または州に住む住民による住民投票により決められ、法律により変更される。
10. 国家に所属する管区、州、連邦の領土、自治権などの国家に所属するもの全てはいかなるときにおいても国家から分離しない。
11.
(ア)国家の3権である立法権、行政権、司法権は可能である限り独立して存在し、お互いに影響を与える。
(イ)しかし、独立した3権は連邦を構成する管区、州、自治区などに委任される。
12
(ア)国家の立法権は連邦議会、管区議会、州議会に委任される。自治区に対してはこの憲法が規定する立法権を委任する。
(イ)連邦議会は、各郡区または人口に基づいて選挙された議会と、各管区、各州から同等の代議員数を選挙された議会の2院によって構成される。
13 7管区にはそれぞれの管区議会と、7州にはそれぞれの州議会を設ける。
14 連邦議会、管区議会、州議会の代議員には、この憲法が定める定員に従って、国軍最高司令官が提出する名簿により軍人が含まれる。
15 相応で一定の人口を持つ少数民族は関係する管区または州の立法に参加する権利がある。
16 国家の元首と国家主権の行使者は大統領である。
17 
(ア)国家の行政権を連邦、管区、州にそれぞれ委任する。自治権に関してはこの憲法が規定するとおりに委任する。
(イ)連邦、管区、州、国境、自治区および県における防衛、治安、国境警備などの職務を遂行する者には、国軍最高司令官が提出する名簿により軍人が含まれる。
(ウ)第15項により、関係する管区または州、自治区の立法権の行使に当たっては、議会に参加できる権利を持った少数民族であれば、その管区または州、自治区の行政権の行使に当たっては主に少数民族に関わる事項を行なうために少数民族の代表が参加する権利を認めなければならない。
18
(ア)国家の司法権については、連邦裁判所、管区裁判所、州裁判所、自治区裁判所の各裁判所に委任する。
(イ)連邦において連邦裁判所を設ける。連邦裁判所は国家において最高位の裁判所である。
(ウ)連邦裁判所は命令を発する権利を有する。
(エ)各管区には管区裁判所、各州には州裁判所を設ける。
19 以下は司法権の基本的原則である。
(ア)法律に従い自由に裁判を行なうこと。
(イ)法律に従い、制限される条件以外では国民に公開して裁判を行なうこと。
(ウ)裁判の判決に対して、異議申し立てや控訴する権利を与えること。
20 
(ア)国軍は勢力が強大で戦闘能力が整った近代的な唯一の愛国的な軍隊である。
(イ)国軍は軍事に関するあらゆる事項を自由に企画、実行する権利を有する。
(ウ)国軍最高司令官は兵器、武器を持つ全ての軍隊、兵士の総指揮官である。
(エ)国軍は国家の治安、防衛に関して国民全てが参加することを企画、実行する権利がある。
(オ)連邦を崩壊させないこと、各民族の団結を維持すること、国家の主権を永久のものとすること、などを守り遂行することに国軍は主な責任を持つ。
(カ)国軍は憲法を遵守することに主な責任を持つ。
21 
(ア)全ての国民はこの憲法に規定されている平等権、自由権、機会均等権を享受する権利がある。
(イ)裁判所の許可なしで国民を24時間以上拘束できない。
(ウ)国民の平和的生存と法の支配の実行は国民全ての責任である。
(エ)国民の自由権、権利、享受する権利、責任、禁止事項などは必要な法律により定   めること。
22 国家は、
(ア)国民の言語、文学、芸術、文化が発展するように支援する。
(イ)各民族同士の団結、友好、協力を増進するように支援する。
(ウ)遅れている各少数民族の教育、保健、経済、通信、交通などの社会的基盤の発展のために支援する。
23 国家は農民のために
(ア)農民の権利を保護するために必要な法律を定める。
(イ)収穫した作物が適正な価格になるように支援する。
24 国家は労働者の権利を保護するために必要な法律を定める。
25 国家は知識人、学者などの権利を保護するために支援する。
26 
(ア)国家公務員は政党政治に関与してはならない。
(イ)国家は国家公務員の職場における保証、衣食住の福利厚生、女性職員のために出産に際して便宜を与えること、退職した公務員の衣食住の福利厚生など必要な法律を定める。
27 国家は国民の文化が発展し強固なものになるように保護、支援する。
28 国家は
(ア)国民の教育と健康を増進させることを重点的に行なうこと。
(イ)国民の教育と健康を増進させることに際して、少数民族も参加できるように必要な法律を定める。
(ウ)無償による小学校の義務教育を実現させること。
(エ)国家を建設するために正しい思想と良い人格を養う、近代的教育制度を実現する。
29 国家は手作業による農業から機械化された農業へ転換するために技術、資金、機械、原料などを出来る限り補助する。
30 国家は工業が発展するように必要な技術、資金、機械、原料などを出来る限り補助  する。
31 国家は失業者を減らすために出来る限りの援助を行なう。
32 国家は
(ア)母子家庭、孤児、戦死した兵士の遺族、老人、障害者などを保護する。
(イ)障害者となった国軍の兵士に対して、適度な生活ができるように職業訓練を無償で行なう。
33 国家は子どもの愛国心を育み、正しい思想を持ち、知覚を発展させるように政策を行なう。
34 秩序の維持において、また国民性の維持において、また国民の健康において、この憲法やその他の規定に反しない限り、国民は自由に宗教を信じる権利を有する。
35 国家の経済制度は市場経済制度である。
36 国家は
(ア)国民の経済活動を発展向上させるために国家、各地域の組織、協同組合、合弁組織、民間などの経済活動団体全てが経済活動を行なう権利を与える。
(イ)経済活動を行なう際、公正な競争を妨げる個人であれ、組織であれ、独占または不当な価格の釣り上げなどを防止すること。
(ウ)国民の生活水準を向上すること及び民族資本を蓄積することを目指す。
(エ)経済活動事業を国家による国有化はしない。
(オ)正式に発行された紙幣を廃止しない。
37 国家は
(ア)国内の全ての土地、地上・地下、海上・海面下、空中に存在する天然資源全ての第一所有者である。
(イ)国家が所有する天然資源に関して、経済活動企業が掘り出し使用するに際して、管理するために必要な法律を規定する。
(ウ)国民に財産を所有する権利、財産を相続する権利、個人事業を行なう権利、開発する権利、特許の権利などを法律の規定により許可する。
38 
(ア)全ての国民は法律に従い、選挙権と被選挙権を有する。
(イ)選挙により選ばれた代議員を関係する選挙区の選挙民が憲法の規定に従い、罷免することができる。
39 国家は真の秩序正しい複数政党制を発展させるための政党を組織できるように必要な法律を定める。
40
(ア)管区、州または自治区において行政権を行使するにあたり、この憲法の定める規定を実行できない非常事態が発生した場合、大統領がその管区、州または自治区の行政権を行使できる。その際、必要であれば、その管区、州または自治区に関する立法権をこの憲法の規定に従って大統領が行使できる。
(イ)管区、州または自治区において国民の財産や幸福を脅かす非常事態が発生した場合、またはそれに足りる十分は事情があると認められた場合、この憲法の規定に従い、国軍がその危険から国民を保護し危険を排除する権利を有する。
(ウ)国家の主権を騒乱、騒擾や暴力的行為によって奪取すること、またはそれらを試みることにより、連邦の崩壊、全民族の団結の破壊、または国家の主権を脅かす非常事態が発生した場合、国軍最高司令官が国家の全権をこの憲法の規定に従って掌握する権利を有する。
41 国家は自由な立場で独立し、どの陣営にも属さない中立的な立場の外交路線をとる。世界平和と各国との友好を目指す。各国との平和的な共存を維持する。
42
(ア)国家はいかなる外国にも先制により侵略しない。
(イ)国内においていかなる外国の軍隊を駐留させない。
43 いかなる刑事法も過去にさかのぼって効力を及ぼす規定を設けない。
44 人間の尊厳を貶める刑事罰を定めることを禁止する。
45 国家は自然環境の保護に努めること。
46 この憲法に含まれる項目についての解釈、連邦議会、管区議会、州議会が定める法律、連邦、管区、州及び自治区の行政権の行使について、憲法の規定に合致するかしないかについて、連邦と管区の間、連邦と州との間、管区と管区との間、州と州の間、管区または州と自治区との間、自治区と自治区の間、などに起こったこの憲法の規定に関しての紛争は仲裁により、またこの憲法が委任するその他の規定を運用するにあたって憲法に関する聴聞会を組織する。

47 この章に含まれる基本的原則と第8章の国家と国民の基本的権利と義務に含まれる「国家」という言葉はこの憲法の立法権と行政権を行使する組織または人物を意味す  る。
48 国家の基本的原則の規定は国会が法律の定める際、またはこの憲法やその他の法律の規定を関係当局が解釈する場合に従うべきガイドラインである。

新憲法の日本語訳(2)

2006年01月01日 | ミャンマー新憲法

憲法の構成
前 文
第1章  国家の基本的原則
第2章  国家の構成形態
第3章  国家の元首
第4章  立法権
第5章  行政権
第6章  司法権
第7章  国軍
第8章  国籍と国民の権利、義務
第9章  選挙
第10章  政治政党
第11章  非常事態に関する規定
第12章  憲法の改正
第13章  国旗、国印、国歌と首都
第14章  移行期に関する規定
第15章  附則


前文
ミャンマー国は長い歴史を持った国である。我々すべての民族は共存、共栄して来た。そして国家たる主権を持った自由な独立国として立派にその地位を確立した。
植民地主義者による侵略によって1885年に国家の主権を失ってしまった。我々国民、民族は一致団結して反植民地主義に立ち上がり、独立を勝ち取るため果敢に戦った結果、1948年1月4日に独立を実現した。
 独立を早急に確定するために憲法を短期間で起草し1947年9月24日に国会が承認し施行した。独立を達成したとき上記の憲法を基に議会制民主主義を実現した。
しかし、議会制民主主義がうまく機能しないので、1974年一党独裁制の下、新憲法を起草し国民投票を実施して承認、施行された。そして社会主義体制の国家を樹立した。
1988年に起きた国内の政治状況により上記の憲法も停止された。
 その後、国家平和開発委員会が国民の希望に合うように、自国の状況に見合った複数政党制に基づく自由市場経済社会を実現するように努力してきた。
 将来の国家のために、長期的な国家の利益を考慮して、強固な新憲法が不可欠であるから、国家平和開発委員会は1993年から国民会議を招集して開催してきた。
国民会議においては国内政治、治安、行政、経済、社会および立法などの観点から経験豊富な学識者、国内の全ての郡区、地区そして各民族からの代議員も参加した。
国民会議を開催中には様々な障害があったが、2003年に策定した「国家が今後歩むべきロードマップ7段階」に従い、2004年に国民会議をたゆまぬ努力と忍耐によって再開し、強固な憲法を作成するために基本原則の事項と詳細事項を盛り込んだ草案が完成し2007年9月3日に国民会議が成功裡に終了した。
 我々、全国民や全民族は国民会議が作成、承認した基本原則と詳細事項を基に、ミャンマー共和国憲法を起草した。
 我々、全国民や全民族は連邦制を崩壊させないこと、全民族の団結を維持すること、国家の主権を永久のものとすること、などをしっかり守り抜くことを誓い、国内において法律の下での公正、自由、平等などの基本原則を守り抜くことを誓い、国内において各民族の平等、真の愛国心である連邦国への忠誠心を永遠のものにすることを誓い、世界平和と各国との友好に努め、平和的に共存することを誓い、このミャンマー共和国憲法は( )年( )月( )日に国民投票によって承認され確定された。