ミャンマー・日本語学校ブログ

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新憲法の日本語訳(15)

2006年01月15日 | ミャンマー新憲法
第6章 司法権
裁判所の構成
293 国家の司法権に関する裁判所を以下の通り設置する。
(ア)連邦最高裁判所、管区裁判所、州裁判所、自治管区裁判所、自治区裁判所、県裁判所、郡区裁判所と法律に従って設置されたその他の裁判所。
(イ)軍事裁判所
(ウ)憲法裁判所
連邦最高裁判所
294 国家において連邦最高裁判所を設置する。軍事裁判所と憲法裁判所の司法権を侵害せず、連邦最高裁判所は国家の最上級の裁判所である。
連邦最高裁判所の基本的な司法権
295 
(ア)連邦最高裁判所のみに以下の基本的な司法権を与える。
(1)連邦国家が締結した条約などに関して起こった事項。
(2)連邦政府と管区政府または州政府の間に起こった紛争(憲法関係の問題は除外)
(3)管区同士、州同士、管区と州、国土と管区または州、などの間に起こった紛争
(憲法関係の問題は除外)
(イ)連邦最高裁判所は国家の最上級の裁判所であることから、控訴上告できる最後の裁判所である。
(ウ)連邦最高裁判所の判決は最終判決であり、控訴できない。
(エ)連邦最高裁判所は憲法の規定は法律の規定に反しない限り、管区裁判所または州裁判所の判決の上告審を行なうことができる権利を有する。
また、その他の裁判所の判決の法律に従い、上告審を行なうことができる権利を有する。
(オ)連邦最高裁判所は法律に従って、修正判決を下すことができる。
296 連邦最高裁判所は
(ア)以下の命令を発令する権利を有する。
(1)進言する命令
(2)権限を与える命令
(3)禁止する命令
(4)関係当局に質問する命令
(5)召還命令
(イ)国内に異常事態が宣言された地域内においては、命令を発令するための申請は停止すること。
司法権に関する予算
297 連邦最高裁判所は司法権に関する歳出、歳入の予算案を憲法の規定に従って、各年度毎に作成する国家の年度予算に繰り入れるために連邦政府に対して提出する。
司法権に関する事項の報告
298 連邦最高裁判所の長官は連邦議会であれ、国民議会であれ、民族議会であれ、国家または国民に関係する重要事項の司法判断の状況について時宜、報告すること。
連邦最高裁判所の長官、連邦最高裁判所の裁判官の任命
299
(ア)連邦最高裁判所の長を連邦最高裁判所の長官と称する。
(イ)連邦最高裁判所において連邦最高裁判所の長官を含む連邦最高裁判所の裁判官の人数は7名から11名まで任命できる。
(ウ)
(1)大統領は連邦最高裁判所の長官として相応しい人物の名簿を連邦議会に提出し承認を得ること。
(2)第300条に定める連邦最高裁判所の長官及び連邦最高裁判所の裁判官になるための資格条件を満たさない明らかな理由がない限り、連邦議会は大統領が連邦最高裁判所の長官として任命するための名簿に記載された人物を拒否することはできない。
(3)大統領は連邦最高裁判所の長官として任命するために連邦議会に提出した人物が承認を得られなかった場合、新名簿を連邦議会に提出できる。
(4)大統領は連邦議会で承認が得られた人物を連邦最高裁判所の長官として任命する。
(エ)
(1)大統領は連邦最高裁判所の長官と協議し、連邦最高裁判所の裁判官として相応しい人物の名簿を連邦議会に提出し承認を得ること。
(2)第300条に定める連邦最高裁判所の長官及び連邦最高裁判所の裁判官になるための資格条件を満たさない明らかな理由がない限り、連邦議会は大統領が連邦最高裁判所の裁判官として任命するための名簿に記載された人物を拒否することはできない。
(3)大統領は連邦最高裁判所の裁判官として任命するために連邦議会に提出した人物が承認を得られなかった場合、新名簿を連邦議会に提出できる。
(4)大統領は連邦議会で承認が得られた人物を連邦最高裁判所の裁判官として任命する。
300
(ア)連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官は政党政治活動に関わってはならない。
(イ)連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官が国家公務員の場合は、連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官として任命された日から現行の公務員制度に関する規則に従って退職したものとみなされる。
連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官の資格条件
301 連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官は以下の資格条件を満たしていること。
(ア)年齢が50歳以上、70歳以下であること。
(イ)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(ウ)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(エ)
(1)管区または州の裁判所の裁判官として最低5年間の職務経験があること。
(2)管区または州レベル以上の司法関係の職務または法律関係の職務を最低10年間の勤務経験があること。
(3)裁判所の弁護士として最低20年間の職務経験があること。
(3)顕著で立派な功績のある法律専門家であると大統領が認めた者。
(オ)国家と国民に対して忠誠心のある者。
(カ)政治政党員でない者。
(キ)議会の代議員でない者。
連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官の弾劾について
302
(ア)大統領または国民議会または民族議会の代議員は連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官に対して以下の事由により弾劾できる。
(1)国家から受ける恩恵や忠誠に背信した者。
(2)この憲法の定める規定に違反した者。
(3)相応しくない品格に欠けた行動をした者。
(4)第301条に掲げてある連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官になるための資格条件を満たさない者。
(5)法律により与えられた職務を果たさない者。
(イ)大統領は弾劾が必要な場合は、
(1)弾劾する内容を連邦議会の総裁に提出すること。
(2)連邦議会の総裁は弾劾調査委員会を設置し、法律に従って調査すること。
(3)調査委員会を設置する場合、国民議会と民族議会から同数の代議員を選出し、その中から相応しい者を調査委員会の議長とする。
(4)調査する内容や仕事量を考慮の上、調査を終了させるまでの期間を設定すること。
(5)大統領は自らであれ、代理人を通してであれ、調査委員会において自身が弾劾する内容を説明することができる。関係する資料や証拠を提出する権利も有する。
(6)弾劾内容を調査しているとき、弾劾を受けた者に対して、自身であれ、代理人を通してであれ、反論する機会を与えること。
(7)弾劾内容に関して、調査委員会が調査結果を報告してきた場合、連邦議会の総裁は連邦議会に提出すること。
(8)連邦議会の代議員の総数の3分の1が弾劾内容は妥当なものとして、弾劾を受けた連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官がその職務を続けることが不適当であると議決した場合、連邦議会の総裁はその議決内容を大統領に報告すること。
(9)そのように報告を受けた場合、大統領は弾劾を受けた連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官を罷免する。
(10)弾劾内容は不当なものとして連邦議会が議決した場合、連邦議会の総裁はその議決内容を大統領に報告すること。
(ウ)国民議会または民族議会の代議員が弾劾する場合、
(1)大統領または副大統領を弾劾することに関する第71条の規定に従って行なうこと。
(2)連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官の誰か一人に対する弾劾内容が正しいものとして、連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官が職務を続けることが不適当であると議決した場合、大統領は弾劾を受けた連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官を罷免する。
(3)弾劾内容は不当なものとして議会が議決した場合、議会の議長はその議決内容を大統領に報告すること。
連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官の任期
303 連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官は以下の事項に該当しなければ、70歳まで職務を続けることができる。
(1)自分自身の意志で退職した場合。
(2)憲法の規定に従って弾劾を受けて罷免された場合。
(3)法律に従って設置された医療チームの健康診断により、健康上または精神上のどちらかに長期的な支障があり、職務を続ける能力がないと判断された場合。
(4)死亡した場合。
304 連邦最高裁判所の長官または連邦最高裁判所の裁判官の職務、職権、権利などは法律に定める。