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ヤンゴン在住12年の作者がお届けします。

新憲法の日本語訳(10)

2006年01月10日 | ミャンマー新憲法
第5章
行政権
連邦政府内閣
199
(ア)国家の行政権の長は大統領である。
(イ)
(1)国家の行政権を連邦および管区と州に分割委任する。
(2)自治権を得た管区や州に対して、自治権を憲法に基づいて分割委任する。
連邦政府内閣
200 国家において連邦政府内閣を以下の人物により構成する。
(ア)大統領 (イ)副大統領 (ウ)連邦政府大臣 (エ)連邦政府法制局長
防衛と治安に関する委員会の設置
201 憲法の規定に基づいてであれ、法律の規定に基づいてであれ、職務を遂行するために大統領を長とする防衛と治安に関する委員会を以下の人物により構成する。
(ア)大統領
(イ)副大統領
(ウ)副大統領
(エ)国民議会の議長
(オ)民族議会の議長
(カ)国軍最高司令官
(キ)国軍最高副司令官
(ク)防衛省大臣
(ケ)外務大臣
(コ)内務省大臣
(サ)国境省大臣
大統領の職務と職権
202 大統領は連邦議会の承認を得て、
(ア)連邦政府の省庁を必要に応じて設置できる。また省庁の組織変更や補足などを行なうことができる。
(イ)連邦政府の大臣の人数を必要に応じて決めることができる。また、決めた人数の増減を行なうことができる。
203 大統領は連邦議会に対して責任を負う。副大臣は大統領に対して、または大統領を通して連邦議会に対して責任を負う。
204 大統領は、
(ア)恩赦を与える権限を有する。
(イ)防衛と治安に関する委員会の推薦に基づき、特赦を与える権限を有する。
205 大統領は法律に基づいて
(ア)褒章、勲章を授与する。
(イ)授与された褒章、勲章を没収することができる。
206 大統領は連邦議会の同意を得て、外国政府との外交関係を結んだり、断絶したりすることができる。しかし、緊急に執り行う必要があれば、大統領は防衛と治安に関する委員会で協議し、外国政府との外交関係を断絶することができる。大統領は自らの行為に関して連邦議会の承認を得る必要がある。
207 大統領は法律に基づいて、
(ア)自国の外交使節員を任命したり、召還することができる。
(イ)外国の外交使節員を承認したり、外国の外交使節員に対して召還することを通知 する。
(ウ)外国の外交使節員の信任状を受け取ること。
208 大統領は法律に基づいて上級公務員を任命したり、免職したりすることができる。
209 大統領は法律に基づいて、
(ア)連邦議会の同意を得て、国際的な条約、地域間または2カ国間の条約を締結し、施行すること、破棄すること、条約から脱退することなどを行なう。
(イ)連邦議会の同意を得ないで、国際的な条約、地域間または2カ国間の条約を締結し、施行すること、破棄すること、条約から脱退することなどを行なう。
210 大統領は国家の基本原則と国家の情勢を連邦議会の会議であれ、国民議会または民族議会の会議であれ、国内全域に対してであれ、適宜演説を行なったり、書簡を送る権利を有する。
211 大統領は必要であれば、連邦議会の緊急会議または特別会議を招集するように連邦議会の総裁に要請することができる。
212 
(ア)大統領は連邦議会の閉会中に、国家の予算に関する事項以外の事項について、緊急に対処するべき行政に関する事項について、法律に準ずる命令を発することができる。
(イ)大統領は上記の(ア)項に基づいて発した法律に準ずる命令を撤回しなければ、その命令を発した日から60日以内に開催する連邦議会の会議に提出して、議会の承認を得ること。60日以内に会議を開催することがない場合は、連邦議会の特別会議を開催するように招集して承認を得ること。
(ウ)連邦議会の承認を得られなかった命令は、承認を得られなかった日から効力を失う。
(エ)大統領は連邦議会の承認を得て、その法律に準ずる命令を必要な期間延長し効力を維持することがでいる。
(オ)法律に準ずる命令を発した日から60日以内に撤回した場合でも、その法律に準ずる命令は一番早く開催する連邦議会の会議において提出すること。
(カ)法律に準ずる命令において、憲法の規定により連邦議会が議決することができない事項が含まれていれば、その事項は無効となる。
213 大統領は、
(ア)国家に対して他国からの侵略があった場合は、憲法の規定に基づいて設置した防衛と治安に関する委員会に諮り、軍事的に必要な行動を取る権利を有する。
(イ)上記の行動に関して、連邦議会の会議が開催中であれば、その会議に提出して、承認を得ること。連邦議会の会議が開催中ではない場合は、緊急会議を招集して、提出し承認を得ること。
(ウ)連邦議会の承認を得てのみ、戦争を宣言したり、終戦を宣言できる。
214 大統領は連邦議会が可決成立した法律を憲法の規定に基づいて署名する。その署名した法律は国家の官報に記載すること。
215 大統領は憲法に基づいてであれ、法律に基づいてであれ、委任された職務や職権を行使することについて、いかなる議会、いかなる裁判所に対しても責任を負うことはない。しかし、憲法の規定にある大統領の弾劾規定とは関係ない。
連邦政府の行政権
216 憲法の規定に反しなければ、連邦政府の行政権は、連邦議会が制定する行政に関する法律の事項にも影響を与える。
217 憲法の規定に反しない限り連邦の行政権を統括するのは大統領である。この文言により連邦議会が一定の権限を与えた組織や個人の職務や職権が失われることを意味するのではない。また、この文言により、現行の法律によって一定の権限を与えられた組織や個人の職務や職権を大統領に委任することを意味するのではない。
218
(ア)連邦政府の行政権に関して執行する事項は全て大統領の名において執行する。
(イ)大統領は自分の意志で行なうことが憲法に規定されている場合を除いて、連邦政府が執り行なうことができる事項のためにであれ、上記の事項を連邦政府の各大臣に職務を割り当てるためにであれ、法律の執行のために担当する者に職務を与えるためにであれ、大統領は手続き法を制定する権利を有する。
(ウ)大統領の名で発布した命令や締結した条約は大統領が制定した手続き法に示された方法に従うこと。そのような命令や条約は大統領の命令や条約でなく根拠がないと否定する権利を有しない。
(エ)大統領は(ア)(イ)項及び(ウ)項に掲げた規定の一般的意味を損なわない限り、大統領の職務を各地方別であれ、各省庁の事業別であれ、委任することができる。
219 連邦政府は国家の安定、国中の平穏、平和と、法の支配を維持することに努力する。
220 連邦政府は憲法の規定に基づき、連邦政府の基本的原則を定める。その基本的原則に基づいて必要な国家計画を策定し、連邦議会の承認を得て、具体的に実現させる。
221 連邦政府は政府財政委員会と協議し作成した連邦政府の年度毎の予算案を策定し、その予算案に基づいて予算案に関する法律を策定し、憲法の規定に従って、連邦議会に提出し承認を得ること。
222 連邦政府が自ら提出した連邦政府の予算案に関する法律案を会計年度末までに連邦議会が可決成立できない場合は、連邦議会が直近に可決成立した連邦政府の予算案に関する法律のうち、その一般会計予算の枠内でのみ支出する権限が与えられる。
223 連邦政府は憲法の規定に基づいて、連邦議会が法律を作成ことができる事項に関して、必要な法律案を連邦議会に提出できる。
224 連邦政府内閣の省庁はその傘下にある政府部局、政府組織などが職務を遂行するとき、憲法の規定に従わせるためであれ、現行の法律の規定に従わせるためであれ、それらを指揮監督及び検査すること。
225 連邦政府は管区政府、州政府、自治権を得た管区の行政執行部、自治権を得た地域の行政執行部などと行政計画の円滑な推進のために合同で協議する。
226 連邦政府は憲法の規定に関する紛争、境界線の設定に関する紛争以外の、
(ア)管区と州、管区同士、州同士、管区または州と自治区、自治区同士、などの間に起こった行政権に関わる紛争について、合同で協議し、必要であれば解決する。
(イ)管区または州と連邦間、自治区と連邦間に起こった行政権に関わる紛争について、合同で協議し、必要であれば解決する。
227 連邦政府は法律に基づいて、
(ア)連邦レベルの公務員による組織を設置することができる。その設置にあたっては、職務と職権を定める。
(イ)必要な公務員のスタッフを任命する。
228 連邦政府は
(ア)連邦議会が適宜策定した行政権に関わる決定事項を実際に具体化し行なうこと。連邦政府が行なった行動については、連邦議会に報告すること。
(イ)国家を取り巻く情勢、状態について連邦議会に適宜報告すること。
政府財政委員会の設置
229
(ア)政府財政委員会は以下のメンバーにより構成される。
(1)大統領 (議長) (2)副大統領 (副議長)
(3)連邦政府法制局長 (委員) (4)連邦政府会計局長 (委員)
(5)管区、州の知事 (委員) (6)ネーピードー評議会議長 (委員)
(7)連邦政府財務大臣 (書記)
(イ)
(1)政府財政委員会を設置する際、何らかの事情により委員の空席がある場合は、大統領はその空席を適当な人物により補充することができる。
(2)政府財政委員会を設置したことを大統領が宣言すること。また、政府財政委員会のために必要な命令、指導などを大統領または大統領が委任した人物が発布することができる。
政府財政委員会の職務と職権
230
(ア)連邦政府の各省庁の予算案と連邦レベルの各組織の予算案を大統領が職務を委任した副大統領が主導して審査し、連邦政府の各省庁、連邦レベルの各組織の予算案を政府財政委員会に提出する。
(イ)各管区と各州の予算案を大統領が職務を委任した、もう一人の副大臣が主導して審査し、各管区と各州の予算案を政府財政委員会に提出する。
(ウ)政府財政委員会は、
(1)連邦国内の支出を含む連邦国の予算、管区または州のために、連邦国の国庫から資金を適正に配分すること。特別な補助金を交付すること、貸付金の許可を与えることなどを含む、連邦国の予算案または予算の配分に関する法律を連邦議会に提出すること。
(2)金融政策について行なうべき事項を実施すること。
(3)強固な金融制度が確立するように、連邦議会が法律を制定して職務を委任した事項について実施すること。
(エ)政府財政委員会は連邦国の予算、管区または州に対する連邦国の国庫から資金を配分すること、特別な補助金を交付すること、貸付金を出すことなどを含む連邦国の予算案を連邦議会に提出できるように、大統領に提出する。
(オ)政府財政委員会は必要であれば金融専門家の助言を得ることができる。
連邦国の国庫に収めるべき税金の種類
231 
(ア)連邦国は管区または州が独自に徴収する別表5に掲げる税金の以外のその他の税金を法律に従って徴収し、連邦国の国庫に収める。
(イ)管区または州が徴収すると規定してある税金の種類を、連邦国のために徴収する場合は、連邦国が法律に従って徴収し、連邦国の国庫に収める。
(ウ)連邦国は連邦国の国庫にある資金を法律に従って使用することができる。

新憲法の日本語訳(9)

2006年01月10日 | ミャンマー新憲法
(第4章の続き)
管区議会または州議会
管区議会または州議会の構成
161 管区または州議会を以下の通り構成する。
(ア)各管区または各州において各郡区から2人ずつ選出された管区または州を代表する代議員。
(イ)各管区において自治権を得られた管区や自治区以外の少数民族について、国家の総人口のうち勘案するべき人口割合である0.1%以上の人口があると当局が認めた少数民族に関しては、その民族毎に1人ずつ選出された管区代議員。
(ウ)各州において自治権を得られた州や自治区以外の少数民族について、国家の総人口のうち勘案するべき人口割合である0.1%以上の人口があると当局が認めた少数民族に関しては、その民族毎に1人ずつ選出された州代議員。
(エ)上記の(ア)(イ)項または(ア)(ウ)項により、選出された総代議員数の3分の1に相当する国軍最高司令官が法律に従って提出した名簿による国軍を代表する管区または州の代議員。

管区議会または州議会の議事進行役(ダバーパティー)の選出
162 管区議会または州議会の議事進行役の選出については第110条の国民議会の議事進行役の選出に関する規定の通りである。

管区議会または州議会の議長と副議長の選出
163 管区議会または州議会の議長と副議長の選出は第111条の国民議会の議長と副議長の選出に関する規定の通りである。

管区議会または州議会の議長の職務
164 管区または州議会の議長は
(ア)管区議会または州議会の会議を管理、運営する。
(イ)管区議会または州議会の会議に大統領が出席して演説を行ないたいと要請があった場合は大統領を招待すること。
(ウ)管区議会または州議会の知事が演説を行ないたいと要請があった場合は必要に応じて手配し執り行なうこと。
(エ)管区議会または州議会の会議において審議中に、ある事項について必要であれば、憲法に従って組織された管区または州レベルの組織を代表する委員または個人を管区議会または州議会に出席するように召喚することができる。
(オ)憲法により、または法律の規定により、指定されたその他の職務を遂行する権利を有する。
管区議会または州議会の議長と副議長の就任と任務の終了
165 管区議会または州議会の議長の就任と任務の終了は第113条の国民議会の議長と副議長の就任と任務の終了の規定の通りに従う。
166 管区議会または州議会の議長と副議長の職務と職権、権利については法律に規定する。 
管区議会または州議会の委員会と組織を設置すること
167
(ア)管区議会または州議会は憲法に基づいて、委任された立法権、民族の事項を調査、発表する必要があれば、委員会や組織を管区議会または州議会の代議員で設置することができる。
(イ)管区議会または州議会は上記の委員会や組織の中に適当な国民を参加させることができる。
(ウ)管区議会または州議会は委員会や組織を設置するとき、その委員会や組織の定員、職務、職権、権利、任期を定めること。
管区議会または州議会の任期
168 管区議会または州議会の任期は国民議会の任期と同じである。国民議会の任期が終了したときは管区議会または州議会の任期も終了する。
管区議会または州議会の代議員になるための資格条件
169 管区議会または州議会の代議員の資格条件は
(ア)第120条に掲げた国民議会の代議員として選出される資格条件を満たすこと。
(イ)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される資格を持たない者の規定にも従う。
国軍代表者が管区議会または州議会の代議員になるための資格条件
170 国軍代表の管区議会または州議会の代議員になるためには、国軍最高司令官が法律に従って、名簿に登録された者で管区議会または州議会の代議員として規定された資格条件を満たしていること。
管区議会または州議会の会議を開催すること
171
(ア)管区議会または州議会の任期の開始日は国民議会の任期が開始する日である。
(イ)管区議会または州議会の第1回目の通常会議は上記の任期開始日から15日以内に開催すること。
172
(ア)憲法が発効した後の管区議会または州議会の第1回目の通常会議は国家平和開発委員会が招集する。
(イ)管区議会または州議会の残りの任期中、第1回目の通常会議を憲法の規定の通り、職務を引き続き担当する管区議会または州議会の議長が招集し開催する。
173
(ア)第1回目の管区議会または州議会の通常会議において管区議会または州議会の代議員は管区議会または州議会の議事進行役の目前において別表4に掲げてある通り宣誓する。
(イ)宣誓を行なっていない管区議会または州議会の代議員は最初に出席する管区議会または州議会の会議において議長の目前において宣誓する。
174 管区議会または州議会の通常会議は管区議会または州議会の議長が最低1年に1回招集し開催する。閉会期間は12ヶ月を超えてはならない。
175 管区議会または州議会の会議においては、以下の事項について執り行なう。
(ア)大統領が演説した内容を記録する。
(イ)大統領が送ってきた書簡、議長が許可したその他の書簡を発表し記録すること。
(ウ)管区または州の知事が演説した内容を記録すること。
(エ)法律案を提出すること。協議すること。議決すること。
(オ)憲法の規定に従ってであれ、現行の法律の規定に従ってであれ、管区議会または州議会が執り行なうべき事項に関して審議し、議決すること。
(カ)管区議会または州議会に提出された報告書について協議し議決すること。
(キ)動議を提出し審議し、議決すること。
(ク)質疑、応答すること。
(ケ)管区議会または州議会が許可した事項に関して執り行なうこと。
176 管区議会または州議会の議決を得るべき事項、同意するべき事項、確定するべき事項を以下の通り執り行なうこと。
(ア)管区議会または州議会の会議が開催中の場合は、その会議において協議し議決すること。
(イ)管区議会または州議会の会議が開催中ではない場合、最初に開催される管区議会または州議会の会議において協議し議決すること。
(ウ)市民の利益のために、早急に行なうべき事項については、特別会議または緊急会議を招集し審議し、議決すること。
177 管区議会または州議会において特別会議または緊急会議の開催が必要な場合は、関係する管区議会または州議会の議長が招集し開催する。
178 管区議会または州議会の会議を招集し開催するように管区または州の知事から要請があった場合は、管区議会または州議会の議長が特別議会または緊急会議を早急に招集し開催すること。
179 管区議会または州議会の会議を招集し開催するように管区議会または州議会の代議 員の総数の4分の1から要請があった場合、管区議会または州議会の議長は特別議会を早急に招集し開催すること。
180 
(ア)管区議会または州議会の第1日目の会議において、出席する権利のある総代議員数の過半数以上が出席した場合は会議は成立する。もし成立しなかった場合は会議を延期して開催する。
(イ)上記の(ア)項の通り、成立しないため延期されて開催する会議と、成立後の次回の会議については、出席する権利のある総代議員数の3分の1が出席すれば会議は成立する。
181
(ア)管区議会または州議会において投票により議決する場合は、憲法やその他の手続き法に規定がない限り、管区議会または州議会の会議に出席して投票した代議員の総数の多数決により決定する。
(イ)管区議会または州議会の会議において、投票により議決する場合、管区議会または州議会の議長または議長の職務に就いている副議長は投票に参加しない。賛成票と反対票が同数のときのみ決定票を投じる。
182 管区議会または州議会の代議員が管区議会または州議会の会議に管区議会または州議会の許可を得ずに連続して15日間欠席した場合は、定められた手続きにより、関係する管区議会または州議会の代議員のポストが空席になったことを管区議会または州議会は宣言できる。許可なく欠席した15日を算定するとき、会議が延期された期間は含まない。
183 管区議会または州議会は代議員のポストに空席がある場合でも、管区議会または州議会が扱うべきことを行なうことができる。また、管区議会または州議会に出席できる権利がない者が会議に出席したり、投票したり、または作業に参加したことが後に判明した場合も、管区議会または州議会の議決に影響を与えることはない。
184 管区議会または州議会が行なったこと、記録を国民に広く知らせるために公表する。しかし、法律により、または管区議会または州議会の決定により、公表することを  禁止された行ないや記録は公表しない。
185 
(ア)管区議会または州議会の代議員は憲法の規定または管区議会または州議会に関する法律の規定に反しなければ、管区議会または州議会やその委員会において自由に意見を述べて、投票する権利を有する。そのように管区議会または州議会またはその委員会において協議、行動したことについて、代議員は管区議会または州議会の法律以外の法律によって処分されることはない。
(イ)管区議会または州議会の会議であれ、管区議会または州議会の委員会であれ、出席を許可された、または招待された、憲法に基づいて組織された管区または州レベルの組織を代表する委員または個人は、憲法の規定または管区議会または州議会に関する法律に反しない限り、管区議会または州議会やその委員会において自由に意見を述べることができる。管区議会または州議会やその委員会において述べた意見について、その組織の委員や個人は管区議会または州議会に関する法律以外の法律により処分されることはない。
(ウ)上記の(ア)項、(イ)項に掲げた者が上記の権利を行使するとき、明らかな違反があった場合、その者は管区議会または州議会の規則、手続きにより、または現行の法律により、処分される。
186 
(ア)管区議会または州議会の会議に出席中の管区議会または州議会の代議員であれ、議会の議長の許可または招待により会議に出席中の個人であれ、逮捕する必要があれば、十分な証拠を管区議会または州議会の議長に提出すること。管区議会または州議会の議長の事前の許可なしに逮捕することはできない。
(イ)管区議会または州議会の委員会の会議であれ、管区議会または州議会が組織した小委員会または組織の会議に出席中の当委員会、小委員会、組織に参加する個人を逮捕する必要があれば、十分な証拠を関係する委員会、小委員会、組織の長を通じて管区議会または州議会の議長に提出すること。管区議会または州議会の議長の事前の許可なしに逮捕することはできない。
(ウ)管区議会または州議会またはその委員会または管区議会または州議会が組織した小委員会、組織の会議が開催中でないとき管区議会または州議会の代議員を逮捕した場合は、その逮捕に関して十分な証拠を管区議会または州議会の議長に早急に提出すること。
187 管区議会または州議会であれ、管区議会または州議会の職権であれ、発布した報告書、書類、議会の議事録に関して裁判を提訴されることはない。
立法権
188 別表1に掲げてある管区法律または州法律のリストにある事項について、管区議会または州議会は管区または州全体に関わることであれ、管区または州の一部に関わることであれ、効力を及ぼす法律を制定することができる。
189
(ア)管区議会または州議会は法律を制定するとき、
(1)憲法に基づいて組織された管区または州レベルの組織に対して、その法律に関係する手続き法、規則、規律を起草する権利を委任することができる。
(2)関係する組織または当局に対してその法律に関係する命令書、命令、指導、ならわし法などを起草する権利を委任することができる。
(イ)法律に従って委任された職権により作成された手続き法、規則、規律、命令書、命令、指導及びならわし法は憲法の規定や関係する法律の規定に整合性があること。
(ウ)管区議会または州議会が規定した法律により作成された手続き法、規則、規律、 命令書、命令、指導及びならわし法などを発布する場合、関係する組織は自分が発布する手続き法、規則、規律を一番最初に開催される管区議会または州議会の通常会議に議長が許可した手続きにより代議員に配布、提出される。
(エ)手続き法、規則、規律などが関係する法律の規定と整合性がないことが発見された場合、その手続き法、規則、規律などを破棄または修正するために、それが配布、提出された日から90日以内に議会の代議員が管区議会または州議会に動議を提出することができる。
(オ)手続き法、規則、規律などを破棄または修正することを管区議会または州議会が決定した場合は、その破棄や修正の前になされた事項に関して影響を与えない。
法案の提出
190
(ア)憲法に基づいて設置された管区または州レベルの組織は別表2に掲げてある管区または州法律に関するリストにある事項の中で、自分が管理する事項について法律案を定められた方法に従って、管区議会または州議会に提出することができる。
(イ)管区または州の行政府のみに提出権がある管区または州の地方行政計画、予算、税金に関する法律案を行政府は定められた方法に従って、管区議会または州議会に提出することができる。
191 管区議会または州議会の代議員は別表2に掲げてある管区または州法律に関するリストにある中から管区または州政府のみ法律案を提出することが認められていると憲法に規定されている事項の他の事項について、法律案を定められた方法に従って管区議会または州議会に提出することができる。
192
(ア)憲法に基づいて設置された管区または州レベルの組織を代表する委員の中で、管区議会または州議会の代議員は議会の会議において自分の組織に関係する法律案または事項について発言したり、協議したり、投票したりする権利を有する。
(イ)憲法に基づいて設置された管区または州レベルの組織を代表する委員の中で、管区議会または州議会の代議員でない者は議会の議長の許可を得て、議会の会議に出席して、自分の組織に関係する法律案または事項について発言したり、協議する権利を有する。
管区または州の予算に関する法律案の提出
193
(ア)管区または州の行政府のみに提出権がある管区または州の予算に関する法律案は定められた方法に従って、管区議会または州議会に提出する。
(イ)上記の(イ)項の法律案に関して、連邦国の予算に関する法律または国庫からの交付金に関する法律によって各管区または各州に配分された交付金を含む管区または州の予算を、関係する大臣の承認を得て、管区議会または州議会において協議、同意、承認、否決、減額を条件に承認などの議決を多数決により行なう。
その内容として
(1)憲法に従って設置された管区または州レベルの組織の長または委員の給料、経費、とその組織の経費。
(2)憲法に従って設置された自治組織の長または委員の給料、経費とその組織の経費。
(3)管区または州が返済するべき借金、その借金に関連する経費、管区または州に返済されるべき借金額とその経費。
(4)裁判所または法廷における判決、命令、学位の授与などの経費。
(5)管区議会または州議会が定めた法律によって、かかるその他の経費に関して、管区議会または州議会において協議する権利がある。しかし、否決、減額し承認する権利はない。
194 管区議会または州議会は管区または州の行政府が管区または州の予算案を定められた方法に従って提出した場合は、議決しなければならない。
法律として発布すること
195
(ア)管区または州の知事は
(1)管区議会または州議会が承認し成立した法律を受け取った日の翌日から7日以内に定められた方法により署名し、法律として発布する。
(2)自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部が可決、成立した法律案を受け取った日の翌日から14日以内に署名し、法律として発布する。
(イ)管区または州の知事が署名し法律として発布するための定められた期間内に知事が法律案に署名し法律として発布しない場合、定められた期間が満了した日にその法律案は知事の署名を得たものとして法律として確定する。
(ウ)管区または州の知事が署名した法律や、管区または州の知事が署名したとみなされる法律は国家の官報に記載され公表される。その法律に特別の規定がない限り、その法律は官報に記載され公表された日から施行となる。
自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部
196 自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部に対して、自分の管区または地域のために、別表3の立法のためのリストに掲げてある事項について立法権を委任する。
国民議会、民族議会、管区議会、州議会の代議員の職務、職権と権利
197 国民議会、民族議会、管区議会、州議会の代議員の職務、職権と権利は法律に別に定める。
法律の効果
198 各レベルの議会、自治権を得た管区、地域が制定した法律の効果は以下の通りであ  る。
(ア)連邦議会、管区議会、州議会、自治権を得た管区の執行部、または自治権を得た 地域の執行部が制定した法律の規定であれ、現行の法律の規定であれ、憲法に反する事項があれば、憲法の規定が優先されその規定に従う。
(イ)管区議会または州議会が制定した法律の規定が連邦議会の制定した法律の規定に反する事項があれば、連邦議会の法律が優先されその規定に従う。
(ウ)自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部が制定した法律の規定が連邦議会の制定した法律の規定に反する事項があれば、連邦議会の法律が優先されその規定に従う。
(エ)自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部が制定した法律の規定が関係する管区議会または州議会の制定した法律の規定に反する事項があれば、関係する管区議会または州議会の制定した法律が優先されその規定に従う。