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新憲法の日本語訳(9)

2006年01月10日 | ミャンマー新憲法
(第4章の続き)
管区議会または州議会
管区議会または州議会の構成
161 管区または州議会を以下の通り構成する。
(ア)各管区または各州において各郡区から2人ずつ選出された管区または州を代表する代議員。
(イ)各管区において自治権を得られた管区や自治区以外の少数民族について、国家の総人口のうち勘案するべき人口割合である0.1%以上の人口があると当局が認めた少数民族に関しては、その民族毎に1人ずつ選出された管区代議員。
(ウ)各州において自治権を得られた州や自治区以外の少数民族について、国家の総人口のうち勘案するべき人口割合である0.1%以上の人口があると当局が認めた少数民族に関しては、その民族毎に1人ずつ選出された州代議員。
(エ)上記の(ア)(イ)項または(ア)(ウ)項により、選出された総代議員数の3分の1に相当する国軍最高司令官が法律に従って提出した名簿による国軍を代表する管区または州の代議員。

管区議会または州議会の議事進行役(ダバーパティー)の選出
162 管区議会または州議会の議事進行役の選出については第110条の国民議会の議事進行役の選出に関する規定の通りである。

管区議会または州議会の議長と副議長の選出
163 管区議会または州議会の議長と副議長の選出は第111条の国民議会の議長と副議長の選出に関する規定の通りである。

管区議会または州議会の議長の職務
164 管区または州議会の議長は
(ア)管区議会または州議会の会議を管理、運営する。
(イ)管区議会または州議会の会議に大統領が出席して演説を行ないたいと要請があった場合は大統領を招待すること。
(ウ)管区議会または州議会の知事が演説を行ないたいと要請があった場合は必要に応じて手配し執り行なうこと。
(エ)管区議会または州議会の会議において審議中に、ある事項について必要であれば、憲法に従って組織された管区または州レベルの組織を代表する委員または個人を管区議会または州議会に出席するように召喚することができる。
(オ)憲法により、または法律の規定により、指定されたその他の職務を遂行する権利を有する。
管区議会または州議会の議長と副議長の就任と任務の終了
165 管区議会または州議会の議長の就任と任務の終了は第113条の国民議会の議長と副議長の就任と任務の終了の規定の通りに従う。
166 管区議会または州議会の議長と副議長の職務と職権、権利については法律に規定する。 
管区議会または州議会の委員会と組織を設置すること
167
(ア)管区議会または州議会は憲法に基づいて、委任された立法権、民族の事項を調査、発表する必要があれば、委員会や組織を管区議会または州議会の代議員で設置することができる。
(イ)管区議会または州議会は上記の委員会や組織の中に適当な国民を参加させることができる。
(ウ)管区議会または州議会は委員会や組織を設置するとき、その委員会や組織の定員、職務、職権、権利、任期を定めること。
管区議会または州議会の任期
168 管区議会または州議会の任期は国民議会の任期と同じである。国民議会の任期が終了したときは管区議会または州議会の任期も終了する。
管区議会または州議会の代議員になるための資格条件
169 管区議会または州議会の代議員の資格条件は
(ア)第120条に掲げた国民議会の代議員として選出される資格条件を満たすこと。
(イ)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される資格を持たない者の規定にも従う。
国軍代表者が管区議会または州議会の代議員になるための資格条件
170 国軍代表の管区議会または州議会の代議員になるためには、国軍最高司令官が法律に従って、名簿に登録された者で管区議会または州議会の代議員として規定された資格条件を満たしていること。
管区議会または州議会の会議を開催すること
171
(ア)管区議会または州議会の任期の開始日は国民議会の任期が開始する日である。
(イ)管区議会または州議会の第1回目の通常会議は上記の任期開始日から15日以内に開催すること。
172
(ア)憲法が発効した後の管区議会または州議会の第1回目の通常会議は国家平和開発委員会が招集する。
(イ)管区議会または州議会の残りの任期中、第1回目の通常会議を憲法の規定の通り、職務を引き続き担当する管区議会または州議会の議長が招集し開催する。
173
(ア)第1回目の管区議会または州議会の通常会議において管区議会または州議会の代議員は管区議会または州議会の議事進行役の目前において別表4に掲げてある通り宣誓する。
(イ)宣誓を行なっていない管区議会または州議会の代議員は最初に出席する管区議会または州議会の会議において議長の目前において宣誓する。
174 管区議会または州議会の通常会議は管区議会または州議会の議長が最低1年に1回招集し開催する。閉会期間は12ヶ月を超えてはならない。
175 管区議会または州議会の会議においては、以下の事項について執り行なう。
(ア)大統領が演説した内容を記録する。
(イ)大統領が送ってきた書簡、議長が許可したその他の書簡を発表し記録すること。
(ウ)管区または州の知事が演説した内容を記録すること。
(エ)法律案を提出すること。協議すること。議決すること。
(オ)憲法の規定に従ってであれ、現行の法律の規定に従ってであれ、管区議会または州議会が執り行なうべき事項に関して審議し、議決すること。
(カ)管区議会または州議会に提出された報告書について協議し議決すること。
(キ)動議を提出し審議し、議決すること。
(ク)質疑、応答すること。
(ケ)管区議会または州議会が許可した事項に関して執り行なうこと。
176 管区議会または州議会の議決を得るべき事項、同意するべき事項、確定するべき事項を以下の通り執り行なうこと。
(ア)管区議会または州議会の会議が開催中の場合は、その会議において協議し議決すること。
(イ)管区議会または州議会の会議が開催中ではない場合、最初に開催される管区議会または州議会の会議において協議し議決すること。
(ウ)市民の利益のために、早急に行なうべき事項については、特別会議または緊急会議を招集し審議し、議決すること。
177 管区議会または州議会において特別会議または緊急会議の開催が必要な場合は、関係する管区議会または州議会の議長が招集し開催する。
178 管区議会または州議会の会議を招集し開催するように管区または州の知事から要請があった場合は、管区議会または州議会の議長が特別議会または緊急会議を早急に招集し開催すること。
179 管区議会または州議会の会議を招集し開催するように管区議会または州議会の代議 員の総数の4分の1から要請があった場合、管区議会または州議会の議長は特別議会を早急に招集し開催すること。
180 
(ア)管区議会または州議会の第1日目の会議において、出席する権利のある総代議員数の過半数以上が出席した場合は会議は成立する。もし成立しなかった場合は会議を延期して開催する。
(イ)上記の(ア)項の通り、成立しないため延期されて開催する会議と、成立後の次回の会議については、出席する権利のある総代議員数の3分の1が出席すれば会議は成立する。
181
(ア)管区議会または州議会において投票により議決する場合は、憲法やその他の手続き法に規定がない限り、管区議会または州議会の会議に出席して投票した代議員の総数の多数決により決定する。
(イ)管区議会または州議会の会議において、投票により議決する場合、管区議会または州議会の議長または議長の職務に就いている副議長は投票に参加しない。賛成票と反対票が同数のときのみ決定票を投じる。
182 管区議会または州議会の代議員が管区議会または州議会の会議に管区議会または州議会の許可を得ずに連続して15日間欠席した場合は、定められた手続きにより、関係する管区議会または州議会の代議員のポストが空席になったことを管区議会または州議会は宣言できる。許可なく欠席した15日を算定するとき、会議が延期された期間は含まない。
183 管区議会または州議会は代議員のポストに空席がある場合でも、管区議会または州議会が扱うべきことを行なうことができる。また、管区議会または州議会に出席できる権利がない者が会議に出席したり、投票したり、または作業に参加したことが後に判明した場合も、管区議会または州議会の議決に影響を与えることはない。
184 管区議会または州議会が行なったこと、記録を国民に広く知らせるために公表する。しかし、法律により、または管区議会または州議会の決定により、公表することを  禁止された行ないや記録は公表しない。
185 
(ア)管区議会または州議会の代議員は憲法の規定または管区議会または州議会に関する法律の規定に反しなければ、管区議会または州議会やその委員会において自由に意見を述べて、投票する権利を有する。そのように管区議会または州議会またはその委員会において協議、行動したことについて、代議員は管区議会または州議会の法律以外の法律によって処分されることはない。
(イ)管区議会または州議会の会議であれ、管区議会または州議会の委員会であれ、出席を許可された、または招待された、憲法に基づいて組織された管区または州レベルの組織を代表する委員または個人は、憲法の規定または管区議会または州議会に関する法律に反しない限り、管区議会または州議会やその委員会において自由に意見を述べることができる。管区議会または州議会やその委員会において述べた意見について、その組織の委員や個人は管区議会または州議会に関する法律以外の法律により処分されることはない。
(ウ)上記の(ア)項、(イ)項に掲げた者が上記の権利を行使するとき、明らかな違反があった場合、その者は管区議会または州議会の規則、手続きにより、または現行の法律により、処分される。
186 
(ア)管区議会または州議会の会議に出席中の管区議会または州議会の代議員であれ、議会の議長の許可または招待により会議に出席中の個人であれ、逮捕する必要があれば、十分な証拠を管区議会または州議会の議長に提出すること。管区議会または州議会の議長の事前の許可なしに逮捕することはできない。
(イ)管区議会または州議会の委員会の会議であれ、管区議会または州議会が組織した小委員会または組織の会議に出席中の当委員会、小委員会、組織に参加する個人を逮捕する必要があれば、十分な証拠を関係する委員会、小委員会、組織の長を通じて管区議会または州議会の議長に提出すること。管区議会または州議会の議長の事前の許可なしに逮捕することはできない。
(ウ)管区議会または州議会またはその委員会または管区議会または州議会が組織した小委員会、組織の会議が開催中でないとき管区議会または州議会の代議員を逮捕した場合は、その逮捕に関して十分な証拠を管区議会または州議会の議長に早急に提出すること。
187 管区議会または州議会であれ、管区議会または州議会の職権であれ、発布した報告書、書類、議会の議事録に関して裁判を提訴されることはない。
立法権
188 別表1に掲げてある管区法律または州法律のリストにある事項について、管区議会または州議会は管区または州全体に関わることであれ、管区または州の一部に関わることであれ、効力を及ぼす法律を制定することができる。
189
(ア)管区議会または州議会は法律を制定するとき、
(1)憲法に基づいて組織された管区または州レベルの組織に対して、その法律に関係する手続き法、規則、規律を起草する権利を委任することができる。
(2)関係する組織または当局に対してその法律に関係する命令書、命令、指導、ならわし法などを起草する権利を委任することができる。
(イ)法律に従って委任された職権により作成された手続き法、規則、規律、命令書、命令、指導及びならわし法は憲法の規定や関係する法律の規定に整合性があること。
(ウ)管区議会または州議会が規定した法律により作成された手続き法、規則、規律、 命令書、命令、指導及びならわし法などを発布する場合、関係する組織は自分が発布する手続き法、規則、規律を一番最初に開催される管区議会または州議会の通常会議に議長が許可した手続きにより代議員に配布、提出される。
(エ)手続き法、規則、規律などが関係する法律の規定と整合性がないことが発見された場合、その手続き法、規則、規律などを破棄または修正するために、それが配布、提出された日から90日以内に議会の代議員が管区議会または州議会に動議を提出することができる。
(オ)手続き法、規則、規律などを破棄または修正することを管区議会または州議会が決定した場合は、その破棄や修正の前になされた事項に関して影響を与えない。
法案の提出
190
(ア)憲法に基づいて設置された管区または州レベルの組織は別表2に掲げてある管区または州法律に関するリストにある事項の中で、自分が管理する事項について法律案を定められた方法に従って、管区議会または州議会に提出することができる。
(イ)管区または州の行政府のみに提出権がある管区または州の地方行政計画、予算、税金に関する法律案を行政府は定められた方法に従って、管区議会または州議会に提出することができる。
191 管区議会または州議会の代議員は別表2に掲げてある管区または州法律に関するリストにある中から管区または州政府のみ法律案を提出することが認められていると憲法に規定されている事項の他の事項について、法律案を定められた方法に従って管区議会または州議会に提出することができる。
192
(ア)憲法に基づいて設置された管区または州レベルの組織を代表する委員の中で、管区議会または州議会の代議員は議会の会議において自分の組織に関係する法律案または事項について発言したり、協議したり、投票したりする権利を有する。
(イ)憲法に基づいて設置された管区または州レベルの組織を代表する委員の中で、管区議会または州議会の代議員でない者は議会の議長の許可を得て、議会の会議に出席して、自分の組織に関係する法律案または事項について発言したり、協議する権利を有する。
管区または州の予算に関する法律案の提出
193
(ア)管区または州の行政府のみに提出権がある管区または州の予算に関する法律案は定められた方法に従って、管区議会または州議会に提出する。
(イ)上記の(イ)項の法律案に関して、連邦国の予算に関する法律または国庫からの交付金に関する法律によって各管区または各州に配分された交付金を含む管区または州の予算を、関係する大臣の承認を得て、管区議会または州議会において協議、同意、承認、否決、減額を条件に承認などの議決を多数決により行なう。
その内容として
(1)憲法に従って設置された管区または州レベルの組織の長または委員の給料、経費、とその組織の経費。
(2)憲法に従って設置された自治組織の長または委員の給料、経費とその組織の経費。
(3)管区または州が返済するべき借金、その借金に関連する経費、管区または州に返済されるべき借金額とその経費。
(4)裁判所または法廷における判決、命令、学位の授与などの経費。
(5)管区議会または州議会が定めた法律によって、かかるその他の経費に関して、管区議会または州議会において協議する権利がある。しかし、否決、減額し承認する権利はない。
194 管区議会または州議会は管区または州の行政府が管区または州の予算案を定められた方法に従って提出した場合は、議決しなければならない。
法律として発布すること
195
(ア)管区または州の知事は
(1)管区議会または州議会が承認し成立した法律を受け取った日の翌日から7日以内に定められた方法により署名し、法律として発布する。
(2)自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部が可決、成立した法律案を受け取った日の翌日から14日以内に署名し、法律として発布する。
(イ)管区または州の知事が署名し法律として発布するための定められた期間内に知事が法律案に署名し法律として発布しない場合、定められた期間が満了した日にその法律案は知事の署名を得たものとして法律として確定する。
(ウ)管区または州の知事が署名した法律や、管区または州の知事が署名したとみなされる法律は国家の官報に記載され公表される。その法律に特別の規定がない限り、その法律は官報に記載され公表された日から施行となる。
自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部
196 自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部に対して、自分の管区または地域のために、別表3の立法のためのリストに掲げてある事項について立法権を委任する。
国民議会、民族議会、管区議会、州議会の代議員の職務、職権と権利
197 国民議会、民族議会、管区議会、州議会の代議員の職務、職権と権利は法律に別に定める。
法律の効果
198 各レベルの議会、自治権を得た管区、地域が制定した法律の効果は以下の通りであ  る。
(ア)連邦議会、管区議会、州議会、自治権を得た管区の執行部、または自治権を得た 地域の執行部が制定した法律の規定であれ、現行の法律の規定であれ、憲法に反する事項があれば、憲法の規定が優先されその規定に従う。
(イ)管区議会または州議会が制定した法律の規定が連邦議会の制定した法律の規定に反する事項があれば、連邦議会の法律が優先されその規定に従う。
(ウ)自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部が制定した法律の規定が連邦議会の制定した法律の規定に反する事項があれば、連邦議会の法律が優先されその規定に従う。
(エ)自治権を得た管区または自治権を得た地域の執行部が制定した法律の規定が関係する管区議会または州議会の制定した法律の規定に反する事項があれば、関係する管区議会または州議会の制定した法律が優先されその規定に従う。

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