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新憲法の日本語訳(12)

2006年01月12日 | ミャンマー新憲法
249 憲法の規定に含まれる事項に反しない限り、管区または州政府の行政権は管区または州の議会が制定する法律の事項に反映される。
また、連邦の制定した法律により、管区または州政府に対して執行権を与えた事項に関して行政権が反映される。
250 管区または州政府は連邦政府が国家の安定、全地域の平和、法の支配を維持することに協力する責任がある。
251 管区または州政府は連邦政府が定めた基本方針や連邦の法律に反しなければ、管区または州内で実行するべき事業に関しての事業計画を関係する管区または州の議会の承認を得て、企画実行すること。
252 管区または州政府は憲法の規定に従がい、連邦の年度別予算に基づいて、管区または州の予算案を作成するために関係する管区または州の議会に提出する。
253 管区または州政府は自分が提出した管区または州の予算案を予算年度が終了する前に、関係する管区または州の議会が議決できなければ、管区または州の議会が一番最後に議決した管区または州の予算に関する法律において規定された一般支出として許可された金額内で支出する権利がある。
管区政府または州政府が徴収する税金
254 
(ア)管区または州が徴収する税金は別表5に掲げてある税金を法律に従って徴収し、管区または州の予算に繰り入れる。
(イ)管区または州は管区または州の予算を法律に従って支出する権利がある。
255 管区または州政府は憲法の規定に基づいて別表2に掲げてある管区または州が制定できる法律の事項に関して、必要な法律案を管区または州の議会に提出できる。
256 管区または州政府は、
(ア)管区または州の省庁とその傘下になる局、政府機関の行政活動を、憲法の規定に従わせたり、法律の規定に従わせるように、管理、指導、監督、検査などを行なう。
(イ)管区または州内で職務を執行している地方公務員の組織の行政活動を法律に従い、監督、検査、協議などを行なうことができる。
257 管区または州政府は国家公務員に関する連邦の法律に基づき、または連邦政府との事前協議に基づき、それぞれの管区または州が実行するべき事業を行なうために、
(ア)管区または州の地方公務員の組織を設置できる。
(イ)必要な地方公務員を任命できる。
258 管区または州政府は
(ア)関係する管区または州の議会が適宜、制定した行政権に関わる決定事項を実行すること。管区または州政府が行なった事項は管区または州の議会で報告すること。
 (イ)それぞれの管区または州の状況についての報告書を連邦政府と関係する管区または州の議会に提出すること。
259 管区または州政府は、連邦政府から適宜与えられた課題を果たすこと。
管区政府庁舎または州政府庁舎
260 管区または州の総務関係の長の職位は、関係する管区または州政府の書記である。
また、管区または州の総務関係統括局は関係する管区または州の政府庁舎である。

管区または州の知事
管区または州の知事を任命すること
261 
(ア)管区または州の知事は以下の資格条件を満たすこと。
(1)年齢が35歳以上であること。
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)国家と国民に対して忠誠心がある者。
(イ)大統領は管区または州の知事を任命するために、
(1)関係する管区または州の議会の代議員の中から定められた資格条件を満たす適当な代議員を1名選定する。
(2)選定した代議員の名前を関係する管区または州の議会に提出し、承認を得る。
(ウ)大統領は管区または州の議会の承認が得られた代議員に対して、関係する管区または州の知事として任命する。
(エ)管区または州の知事になるための資格条件を明らかに満たしていないという十分な理由がなければ管区または州の議会は大統領が管区または州の知事として名簿に記載した者を拒否することはできない。
(オ)大統領が管区または州の知事として指名した者が管区または州の議会で承認を得られない場合は、それに代わる者を名簿に記載して管区または州の議会に再提出することができる。
管区または州の大臣の任命
262
(ア)管区または州の知事は、
(1)関係する管区または州の議会の代議員の中からであれ、代議員ではない者からであれ、第261条(ア)項に掲げてある資格条件を満たす適当な人物を選定する。
(2)治安と国境政策を担当するために国軍最高司令官から得られた国軍に属する適当な人物の名簿を承認すること。
(3)関係する管区または州内に存在する自治管区または自治区の執行部から、それらの首長の名簿を入手すること。
(4)関係する管区または州内に居住する少数民族の政策を行なうために選出された代議員の名簿を関係する選挙管理委員会から入手すること。
(イ)管区または州の知事は自分自身により選定した人物と国軍最高司令官から入手した国軍に属する者の名簿をまとめて、関係する管区または州の議会に提出して議会の承認を得ること。 
(ウ)管区または州の大臣になるための資格条件を明らかに満たしていないという十分な理由がなければ管区または州の議会は管区または州の知事が管区または州の大臣として名簿に記載した者を拒否することはできない。
(エ)管区または州の知事が管区または州の大臣として指名した者が管区または州の議会で承認を得られない場合は、それに代わる者を名簿に記載して管区または州の議会に再提出することができる。
(オ)管区または州の知事は管区または州の議会の承認を得た人物であれ、自治権を得た管区の首長または自治権を得た地区の首長の名簿と、少数民族の政策を行なう   ために選ばれた議会の代議員の名簿に含まれる人物であれ、管区または州の大臣として任命するために大統領に提出する。
(カ)大統領は管区または州の知事が提出した人物に対して、関係する管区または州の大臣として任命する。任命するに際して、管区または州の大臣になる各人に対して、担当する省庁を関係する知事と協議して指定する。
(キ)大統領は、
(1)管区または州の大臣である自治権を得た管区の首長と自治権を得た地区の首長に対して、自治権を得た管区または自治権を得た地区の政策を行なう職務を与える。
(2)管区または州の大臣である、少数民族の政策を行なうために選ばれた議会の代議員に対して、関係する少数民族の政策を行なう職務を与える。
(ク)関係する自治権を得た管区の首長または自治権を得た地区の首長に対してであれ、
関係する管区または州に居住する少数民族の政策を行なうために選ばれた議会の代議員に対してであれ、管区または州の大臣として任命した場合、大統領は憲法の規定された年齢制限を緩和し考慮する。
(ケ)大統領は知事と協議し、自治権を得た管区または自治権を得た地区に関する大臣であれ、少数民族の政策を実行するために選ばれた大臣であれ、その他の省庁の大臣として職務を兼務させることができる。
(コ)管区または州の知事は治安や国境に関わる政策以外のその他の職務のために、国軍に属する人物の中から管区または州の大臣として任命したい場合は、国軍最高司令官に名簿を要請し、その名簿を関係する管区または州の議会の承認を得て大統領に提出する。
(サ)大統領は管区または州の知事や、管区または州の大臣の任命に関して、関係する管区または州の議会と連邦議会に報告する。
(シ)
(1)管区または州の知事は大統領に対して責任を負う。
(2)管区または州の大臣は関係する管区または州の知事に対して、また、知事を通して大統領に対して責任を負う。
(ス)管区または州の知事の任期は通常、大統領の任期と同一である。
(セ)
(1)管区または州の大臣が国家公務員の場合は、管区または州の大臣として任命された日から現行の公務員制度に関する法律に従い、国家公務員を退職したものとみなされる。
(2)管区または州政府の治安および国境に関する政策を担当する省庁において、管区または州の大臣に任命された国軍に属する者は国軍から退職することや辞職する必要はない。
263
(ア)管区または州の知事または大臣に対して以下の事由により弾劾できる。
(1)国家から受ける恩恵や忠誠に背信した者。
(2)この憲法の定める規定に違反した者。
(3)相応しくない品格に欠けた行動をした者。
(4)この憲法に定める管区または州の知事または大臣の資格条件に欠ける者。
(5)法律により与えられた職務を果たさない者。
(イ)管区または州の知事、または管区または州の大臣を上記に掲げた事由により弾劾する場合は、関係する管区または州の議会の総議員数の4分の1以上の署名を得て、弾劾理由を関係する議会の議長に提出する。
(ウ)関係する議会の議長は調査委員会を設置し、弾劾理由を調査させる。議長は調査する内容、調査規模によって調査を終了させるまでの期間を定める。
(エ)弾劾理由を調査している間、弾劾された管区または州の知事、または大臣に対して、自身であれ、代理人であれ、反論する機会を与える。
(オ)
(1)管区または州の知事、または大臣に対して関係する管区の議会または州の議会が弾劾することに関して、調査委員会が調査結果を報告してきた場合、議会の議長は関係する管区の議会または州の議会にその調査結果を報告する。関係する議会 の総議員数の3分の2以上が弾劾理由は正当なものとして、弾劾された者は管区ま たは州の知事、大臣の職務を引き続き遂行することが不適当であると議決した場 合、議会の議長はその議決を大統領に報告する。
(2)大統領は報告を受けた場合、弾劾を受けた管区または州の知事、大臣を罷免する。
(3)弾劾理由が不当なものとして関係する議会が否決した場合、議会の議長は大統領に対してその否決内容を報告する。

管区または州の知事、大臣の辞職、罷免、空席のポストを補充すること
264
(ア)管区または州の知事、大臣が任期途中で何らかの理由により自分の意志により辞職する場合は、辞職願いを大統領に提出して辞職できる。
(イ)大統領は、
(1)与えられた任務を遂行できない管区または州の知事、大臣を辞職するように勧告できる。勧告に従わない場合は罷免できる。
  (2)辞職するかまたは罷免される者が国軍に属する者で管区または州の大臣の場合、国軍最高司令官と協議し執り行なうこと。
(ウ)辞職した場合であれ、罷免された場合であれ、死亡した場合であれ、その他の理由であれ、管区または州の知事、大臣のポストが空席になった場合、大統領は憲法に含まれる管区または州の知事、大臣の任命に関する規定に従って、管区ま たは州の新知事、新大臣を任命できる。そのように任命された新知事または新大 臣の任期は大統領の残りの任期のみである。
(エ)管区または州の知事、大臣の職務と職権と権利については法律により定める。

管区法制局長、州法制局長
265 管区または州の法律の専門家を管区法制局長または州法制局長と呼ぶ。

管区法制局長、州法制局長の任命
266 
(ア)管区または州の知事は法律的な助言を得るため、また法律に関する職務を与えるために議会の代議員からであれ、代議員ではない者からであれ、以下に掲げる資格条件を満たす者を関係する議会の同意を得て管区法制局長、州法制局長として任命する管区または州の議会に提出し、大統領に報告する。
(1)年齢が40歳以上であること。
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)
(アア)管区または州レベル以上の裁判関係または法律関係の職務を5年以上の  勤務経験のある者。
または、県レベル以上の裁判関係または法律関係の職務を10年以上の勤務経験のある者。
(イイ)裁判所の弁護士として15年以上の勤務経験のある者。
(5)国家や国民に対して忠誠心のある者。
(イ)大統領は管区または州の法制局長として任命するために、管区または州の知事が関係する議会の承認を得て指名した人物を、管区または州の法制局長として任命する。
(ウ)管区法制局長、州法制局長になるための資格条件を明らかに満たしていないという十分な理由がなければ管区または州の議会は管区または州の知事が管区法制局長、州法制局長として名簿に記載した者を拒否することはできない。
(ウ)管区または州の知事が管区法制局長、州法制局長として指名した者が関係する管区または州の議会で承認を得られない場合は、それに代わる者を名簿に記載して管区または州の議会に再提出することができる。
(エ)管区法制局長、州法制局長は管区政府または州政府の執行部の一員である。
(オ)管区法制局長、州法制局長は、
(1)関係する管区または州の知事を通して、大統領に対して責任を負う。
(2)連邦国の法制局長に対して、また、関係する管区または州の知事に対して責任を負う。
管区法制局長、州法制局長を弾劾すること
267 管区法制局長、州法制局長を弾劾する場合は、管区または州の知事、大臣を弾劾することを定めた第263条の規定に従って行なうこと。

管区法制局長、州法制局長の任期、辞任、罷免、空席のポストを補充すること
268 辞任、罷免、空席のポストを補充すること、国家公務員の場合は退職したものとみなすこと、などに関して、管区または州の知事、または大臣のために規定した第262条(セ)項と第264条の規定は管区法制局長、州法制局長にも効力が及ぶ。
269 管区法制局長、州法制局長の職務、職権、権利などは法律に定める。

管区会計監査局長または州会計監査局長の任命
270 管区または州の会計を監査する長を「管区会計監査局長」または「州会計監査局長」と称する。
管区会計監査局長または州会計監査局長の任命
271
(ア)管区または州の知事は管区または州の歳入、歳出を監査し、管区または州の議会に提出するために議会の代議員からであれ、代議員ではない者からであれ、以下の資格条件を満たす人物を管区会計監査局長または州会計監査局長として任命するために関係する管区または州の議会に提出し承認を得て、大統領に提出する。
(1)年齢が45歳以上の者。
(2)年齢制限の他の条件は第120条に掲げた国民議会の代議員になるための資格条件を満たすこと。
(3)第121条に掲げた国民議会の代議員として選挙される権利を持たない者の規定にも抵触しないこと。
(4)
(アア)管区または州レベル以上の会計関係の職務を5年以上勤務経験のある者。
または、県レベル以上の会計関係の職務を10年以上の勤務経験のある者。
(イイ)登録された会計士または免許がある民間の会計士として15年以上の勤務 経験のある者。
(5)国家や国民に対して忠誠心のある者。
(イ)大統領は管区会計監査局長または州会計監査局長として任命するために、管区または州の知事が関係する議会の承認を得て指名した人物を、管区または州の管区会計監査局長または州会計監査局長として任命する。
(ウ)管区会計監査局長または州会計監査局長になるための資格条件を明らかに満たしていないという十分な理由がなければ管区または州の議会は管区または州の知事が管区会計監査局長または州会計監査局長として名簿に記載した者を拒否することはできない。
(エ)管区または州の知事が管区会計監査局長または州会計監査局長として指名した者が関係する管区または州の議会で承認を得られない場合は、それに代わる者を名簿に記載して管区または州の議会に再提出することができる。
(オ)管区会計監査局長または州会計監査局長は、
(1)関係する管区または州の知事を通して、大統領に対して責任を負う。
(2)連邦国の会計監査局長に対して、また、関係する管区または州の知事に対して責任を負う。
管区会計監査局長または州会計監査局長を弾劾すること
272 管区会計監査局長または州会計監査局長を弾劾する場合は、管区または州の知事、大臣を弾劾することを定めた第263条の規定に従って行なうこと。

管区会計監査局長または州会計監査局長の任期、辞任、罷免、空席のポストを補充すること
273 辞任、罷免、空席のポストを補充すること、国家公務員の場合は退職したものとみなすこと、などに関して、管区または州の知事、または大臣のために規定した第264条(セ)の規定は管区会計監査局長または州会計監査局長にも効力が及ぶ。
274 管区会計監査局長または州会計監査局長の職務、職権、権利などは法律に定める。