ミャンマー・日本語学校ブログ

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ヤンゴン在住12年の作者がお届けします。

新憲法の日本語訳(5)

2006年01月04日 | ミャンマー新憲法
第3章 国家の元首
大統領と副大統領

57 大統領と副大統領は国家を代表する。
58 大統領はミャンマー連邦共和国全体において全国民の最高位につく。
59 大統領と副大統領に必要な資格は以下の通りである。
(ア)国家と国民に対して忠誠心のある者
(イ)自身とその両親が国の領土内に生まれたミャンマー国民であること。
(ウ)45歳以上であること。
(エ)政治、行政、経済、軍事に関して見識があること。
(オ)大統領になる前に連続して20年以上ミャンマー国内に居住していること。
例外)国家の許可を得て公務により海外に居住している者はその期間は国内に居住しているとみなす。
(カ)自身であれ、両親の一方であれ、自身の配偶者であれ、自身の子どもであれ、その子どもの配偶者であれ、いずれかが外国政府の恩恵を受けていたり、または外国政府の影響下にあったりする者ではないこと。
(キ)議会選挙において被選挙権を持つための必要な条件を満たしている者であって、かつ大統領になるための必要な条件を満たしていること。
60 
(ア)大統領は大統領選出委員会によって任命される。
(イ)大統領選出委員会は連邦議会の代議員の中から以下の3つの小委員会により構成される。
(1)各管区および各州から同人数の代議員で構成される議会の代議員の中から選ばれた委員で構成する小委員会。
(2)各郡区または人口比率により選出された代議員で構成する議会の代議員の中から選ばれた委員で構成する小委員会。
(3)上記の2委員会のほかに、国軍最高司令官が提出した名簿から選ばれた委員で構成する小委員会。
(ウ)上記の各小委員会は副大統領1名ずつを議会の代議員からであれ、外部からであれ、任命する。
(エ)副大統領が大統領になるために定めた同等の資格があるかどうかを両議院の議長と副議長を含む委員会が審査する。
(オ)連邦議会の全代議員を含む大統領選出委員会が大統領候補者である副大統領3名の中から最も望ましいと思われる副大統領1名を大統領として選出する。
(カ)大統領と副大統領の選出方法については別に法律で定める。
61 
(ア)大統領と副大統領の任期は5年である。
(イ)任期が終了した場合でも、新大統領と新副大統領が選出されるまで大統領と副大統領はその職務を継続する。
(ウ)大統領と副大統領は二期を超えてその職務に就くことはできない。
(エ)暫定的に大統領または副大統領が職務に就いた場合は、暫定期間は任期に含まない。
(オ)何かの事情により、大統領または副大統領のポストが空席になった場合、補充された大統領または副大統領の任期は前任者の任期の残存期間に限られる。
62 大統領または副大統領はいかなる議会の議員ではなくなる。
63 大統領または副大統領はその人物が議会の代議員である場合や公務員の場合は大統領または副大統領になった日から辞職または退職したものとみなされる。
64 大統領または副大統領が政党の党員である場合は、大統領または副大統領になった日からその任期が終了するまでの期間は党活動から離れること。
65 大統領と副大統領は以下の通り、宣誓すること。
「私はミャンマー連邦共和国と全国民のために忠誠を誓い、連邦を崩壊させないこと、全民族の団結を維持させること、国家の主権を永遠のものとすることを常に念頭に置き職務を遂行することを誓います。
私はこの憲法を遵守し、国家の法律を守ることを誓います。
私は自分の職務を誠心誠意遂行し、その責務を果たします。
ミャンマー共和国連邦において法の下における公正、平等、自由の基本的原則がより発展するように努力します。
私はミャンマー連邦共和国の利益のために自分の心身を国家にゆだねることを高ら  かに宣言しここに宣誓します。」
66 大統領または副大統領はこの憲法とその他の法律に定められる職務と職権を執行する。
67 大統領と副大統領は給料、手当て、報酬など得られるいかなる他の職務を兼任してはならない。
68 大統領と副大統領は、自身とその家族が所有する土地、家、建物、経済事業、預金、その他高額の物品などのリストを評価額と共に作成し、連邦議会の議長に提出すること。
69 大統領と副大統領は法律に規定された給与、手当てと公邸が与えられる。また、相応な私邸も与えられる。
70 大統領と副大統領は弾劾され罷免されることを除いては任期が終了し退職する場合は法律に基づき退職金と相応な補助を受ける。
71 
(ア)大統領または副大統領に対して以下の事由により弾劾できる。
(1)国家から受ける恩恵や忠誠に背信した者。
(2)この憲法の定める規定に違反した者。
(3)相応しくない品格に欠けた行動をした者。
(4)この憲法に定める大統領または副大統領資格に欠ける者。
(5)法律により与えられた職務を果たさない者。
(イ)大統領または副大統領の誰か一人を弾劾したい場合は、連邦議会を構成する両院のうちどちらか一方の全代議員数の4分の1以上の署名を得て、弾劾理由を当該議院の議長に提出する。
(ウ)その弾劾理由が当該議院の全代議員数の3分の2以上の賛成を得た場合に限り、引き続き弾劾手続きを進める。
(エ)どちらかの議院が弾劾理由に賛成した場合、もう一つの議院がその弾劾理由に関して調査、検討するために小委員会を設置する。
(オ)弾劾理由について調査、検討しているとき、大統領または副大統領は自身であれ、代理人であれ、反論をすることができる。
(カ)調査、検討をした議院における総代議員数の3分の1がその弾劾理由について同意し、大統領または副大統領が引き続き職務を続行することを不適当と判断した場合、当該議院が連邦議会議長に対して罷免することを提案する。
(キ)連邦議会の議長は罷免する提案を受け取り次第、大統領または副大統領に対して罷免通知をする。
72 大統領または副大統領は任期中に自分の意志により辞職することを認める。
73 
(ア)大統領が任期中に辞職した場合であれ、死亡した場合であれ、職務を遂行できない場合であれ、その他の事情によるものであれ、大統領のポストが空席になった場合は、大統領の選出時に2番目に多い票を獲得した副大統領が臨時大統領となる。
(イ)大統領のポストが空席になったときで連邦議会が開催中の場合は、空席となった大統領のポストを7日以内に補充するように臨時大統領が連邦議会の議長に対して早急に提案する。
(ウ)臨時大統領から提案を受け取ったら、空席となった大統領を選出した当該議院の小委員会が新副大統領を選出するように議長が取り計らう。
(エ)その小委員会が新副大統領を選出したら、連邦議会の代議員の全員が参加する大統領選出委員会が副大統領3名のうち自分が望ましいと思う人物を大統領として指名する。
(オ)連邦議会が開催中でない場合は、連邦議会の議長は臨時大統領から提案を受けて21日以内に連邦議会を招集し、新大統領を選出するために以上の手続きにより進めること。
(カ)副大統領の一人が任期中に辞職した場合であれ、死亡した場合であれ、職務を遂行できない場合であれ、その他の事情によるものであれ、副大統領のポストが空席になったときで連邦議会が開催中の場合、その副大統領を選出した議院の小委員会が7日以内に新副大統領を選出するように、大統領が連邦議会の議長に対して通知する。
(キ)連邦議会が開催中でない場合は、連邦議会の議長は大統領から提案を受けて21日以内に連邦議会を招集し、当該議院の小委員会が副大統領を選出するように定められた手続きにより進める。