ミャンマー・日本語学校ブログ

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新憲法の日本語訳(6)

2006年01月05日 | ミャンマー新憲法
第4章
立法権
連邦議会

連邦議会の構成

74 連邦議会は以下の通り2つの議院により構成する。
(ア)第109条の規定の通り、各郡区毎にまたは人口比率に応じて選出された代議員と国軍最高司令官が提出した名簿から参加する国軍代表者などで構成する国民議会。
(イ)第141条の規定の通り、各管区、各州から同等の人数が選出された代議員と軍最高司令官が提出した名簿から参加する国軍代表者などで構成する民族議会。
各議院の代表と副代表
75 各議院の代表と副代表に関して、各議会の会期毎に議会の初日に代議員が宣誓を行なうため、また議会の議長、副議長を選出するための会議を行なう際にそれらを執行する代表役を議事進行役(ダバーパティ)と呼び、連邦議会の代表および副代表を総裁(ナーヤカ)、副総裁(ドゥーティヤナーヤカ)と呼び、国民議会、民族議会、管区議会、州議会の代表または副代表を議長(ウカタ)と副議長(ドゥーティヤウカタ)と呼ぶ。
連邦議会の総裁と副総裁の就任
76 
(ア)国民議会の会期が始まった日から30ヶ月までは民族議会の議長と副議長が連邦議会の総裁と副総裁の職務を行ない、残りの期間は国民議会の議長と副議長が連邦議会の総裁と副総裁の職務を行なう。
(イ)連邦議会の総裁は総裁の職務を遂行できなくなった場合、副総裁が代行する。
連邦議会総裁の職務
77 連邦議会の総裁は
(ア)連邦議会の会議を監督する。
(イ)連邦議会に大統領が出席して演説を行なうことを希望し要求した場合は、大統領を連邦議会に招待する。
(ウ)連邦議会の会議が開催中にある事情について必要であれば、憲法の規定に従って組織される委員会または個人を連邦議会に召喚する権利を有する。
(エ)この憲法、または法律の規定に従って指定されたその他の職務を遂行する。
連邦議会の会議を開催すること
78 連邦議会の第1回目の通常会議を国民議会の第1回目の会議が始まって15日以内に開催すること。連邦議会の通常会議は連邦議会の総裁が招集し開催する。
79 連邦議会の通常会議は連邦議会の総裁が最低1年に1回招集し開催すること。通常会議の閉会期間は12ヶ月を超えてはならない。
80 連邦議会では以下の事項を取り扱う。
(ア)大統領の演説内容を記録する。
(イ)大統領から送られた書簡や総裁が許可したその他の書簡を発表し記録すること。
(ウ)法律の原案を提出すること。討議すること。記録すること。
(エ)連邦議会が議決した法律案に関して、大統領の意見や意向を受け、その内容について討議し議決すること。
(オ)憲法の規定により連邦議会が行なうべき事項に関して討議し、議決すること。
(カ)連邦議会に提出された報告書に関して討議し、議決し、記録すること。
(キ)動議について討議、議決すること。
(ク)質疑、答弁すること。
(ケ)連邦議会の総裁が許可した事項について実行すること。
81 連邦議会において議決するべき事項、承認を得るべき事項、可決するべき事項を以下の通り行なうこと。
(ア)連邦議会が開催中の場合、その会議において討議し、議決すること。
(イ)連邦議会が開催中ではない場合、次の一番早い連邦議会において討議、議決すること。
(ウ)国民全体の利益のために早急に行なうべき事項に関しては特別会議または緊急会議を招集し討議、議決する。
82 連邦議会の特別会議または緊急会議は開催する必要があれば、連邦議会の総裁が招集する。
83 大統領が連邦議会の特別会議または緊急会議を開催するように要求した場合は、連邦議会の総裁は早急に連邦議会の特別会議を招集する。
84 連邦議会の会議を招集するように連邦議会の代議員の4分の1が要求した場合は、連邦議会の総裁は特別会議を早急に招集する。
85 
(ア)連邦議会の初日の会議において、連邦会議に参加する権利がある代議員のうち過半数が出席した場合、会議は成立する。もし成立しなければ、会議を延期する。
(イ)上記の(ア)項により成立せず延期となった会議、または初日の会議が成立した後、引き続き開かれる会議においては連邦会議に参加する権利がある代議員のうち3分の1の出席で会議は成立する。
86 
(ア)連邦議会において議決するべき事項に関して採決する場合、この憲法で特別の規定がない限り、会議に出席し採決に参加した代議員の人数の多数決をもって議決する。
(イ)連邦議会のおいて採決により議決する場合、連邦議会の総裁または総裁の任務を行なう副総裁は棄権票、賛成票、棄権票が同数である場合に限り決定票を投じることができる。
87 連邦議会の代議員は連邦議会の総裁の許可を得ないで連邦議会の会議に15日間連続して欠席した場合、規定された方法により連邦議会の総裁は関係する議院に対して懲罰を与えるように通知する。連邦議会の会議に許可なく欠席した15日を計算する上で、会議が延期された期間は含まれない。
88 連邦議会は代議員の空席があっても、連邦議会を開催することができる。連邦議会に参加する権利がない人が会議に出席したり、議決に参加したり、または議会の運営に関与したことが後に判明した場合でも、連邦議会の議決は無効となることはない。
89 連邦議会で行なわれたことや記録は国民に公開する。しかし、法律上または連邦議会で決議上、公開を禁止された事項に関しては連邦議会で行なわれたことや記録は公開されない。
90 憲法に従って組織された連邦レベルでの組織を代表する者は総裁の許可を得て連邦議会に出席する場合は、自分の組織に関する法律案または事項について事情を説明することができる。
91 憲法により組織された連邦レベルの組織は連邦議会に提出するに値する自分の組織に関連する事項を総裁の許可を得て提出することができる。
92
(ア)連邦議会の代議員は憲法の規定上、または連邦議会に関する法律の規定に反しな ければ、連邦議会や連邦議会の合同委員会において自由に意見を述べたり、投票することができる。そのように連邦議会や連邦議会の合同委員会において意見を述べたり、行動したりすることにおいて、連邦議会の代議員は連邦議会に関する法律以外で処分されることはない。
(イ)連邦議会に出席するように召喚された憲法に従って組織された連邦レベルの組織 を代表する者または個人は憲法の規定に関してまたは連邦議会に関する法律の規定に反しない限り、連邦議会において自由に意見を述べることができる。連邦議会において述べたことについて、その組織の代表者または個人は連邦議会に関する法律以外で処分されることはない。
(ウ)上記の(ア)(イ)の各項に含まれる人物が上記の権利を行使するとき、明らかな違反事項があった場合、その人物は連邦議会の規則、規律、ならわし、現行法律などにより処分される。
93 連邦議会の会議に出席中の連邦議会の代議員または連邦議会の総裁の許可を得て出席している者または総裁から出席を召喚された者を逮捕する必要がある場合は、逮捕するに足る十分な証拠を連邦議会の総裁に提出する。連邦議会の総裁の事前の許可なしに逮捕することはできない。
94 連邦議会または連邦議会の職権により発表し公表した報告書、書類、記録に関して裁判を起こすことはできない。
立法
95 
(ア)国民議会においてであれ、民族議会においてであれ、どちらかの議院に先に提出された法律案は両議院において可決した場合、その法律案は連邦議会において可決成立したものとみなされる。
(イ)法律案が国民議会と民族議会で異なる議決をした場合は、連邦議会において審議、可決する。
96 連邦議会は別表1に表記した通りの事項に関して連邦国全体に対してまたは一部に対して拘束力を有する法律を作成することができる。
97 
(ア)連邦議会が法律の規定を作成する場合
(1)憲法の規定に従って組織された連邦レベルの組織に対して、その法律に関連した手続き法、規則、規律を発令する権利を委任する。
(2)関連する組織または当局に対してその法律に関連した布告、命令、指示、しきたり法を発令する権利を委任する。
(イ)法律の委任の下、作成された手続き法、規則、規律、布告、命令、指示、ならわし法などは憲法や法律の規定と整合性を持たせること。
(ウ)国民議会と民族議会の両院が手続き法、規則、規律などを廃止または修正するように議決した場合は、その手続き法、規則、規律は連邦議会において廃止または修正されたこととみなされる。
(エ)手続き法、規則または規律のどれか一つが廃止または修正することに国民議会と民族議会の議決が異なった場合は連邦議会において審議し議決する。
(オ)手続き法、規則または規律のうちどれか一つが廃止または修正するように(ウ)または(エ)項の通り議決した場合も、その廃止または修正の以前に手続き法、規   則、または規律によって行なわれた事項に影響してはならない。
その他の事項に関する立法
98 連邦、管区または州と自治権を得た管区または自治権を得た地域の立法権は別表に掲げていない他の事項に関しては立法権を連邦議会に委任する。
連邦の領土に関する法律の立法
99 管区議会または州議会であれ、自治権を得た管区または自治権を得た地域の代表であれ、法律を作成する権利を委任された事項に関して、連邦の領土のための法律を規定することが必要であれば、連邦議会が必要な法律を規定する。
法律案の提出
100 
(ア)憲法に基づいて組織された連邦レベルの組織は連邦法に関する別表に掲げてある事項の中から自分が企画、管理する事項についての法律案を指定された方法に従い、議会に提出する権利を有する。
(イ)連邦政府のみ提出する権利のある国家計画案、予算案、税金に関する法律案は指定された方法に従い、連邦議会において審議し議決される。
101 連邦議会のおいてのみ審議し議決するべきという憲法の規定がある法律案の他は、
憲法に基づいて組織された連邦レベルの組織が連邦議会に提出した法律案は指定された方法に従い、国民議会であれ、民族議会であれ、先に審議することができる。
102 連邦議会においてのみ審議し議決する法律案について連邦議会の会議において審議入りをする前に、詳細な検討事項が必要であれば国民議会の法案調査委員会と民族議会の法案調査委員会に対して合同で調査、検討させること、その合同委員会の調査検討結果を指定された方法に従い法案とともに連邦議会の会議に提出することを認めることができる。
連邦の国庫の収支に関する法律の提出
103
(ア)連邦政府を代表する大統領またはその職務を与えられている者は連邦の国庫の収支に関する法律を連邦議会に提出する。
(イ)連邦国の国庫の収支に関する法律案に含まれるのは.....
(1)憲法に従って組織された連邦レベルの組織の代表または委員の給与、経費とその組織の経費。
(2)連邦国が返済すべき借款、その借款に関連する経費、連邦国が持つ債権とその債権に関連するその他の経費。
(3)裁判所または法廷における判決、命令、学位の授与などに関わる経費。
(4)現行の法律によるものであれ、国際間の条約によるものであれ、かかる費用に関しては連邦議会において審議する権利がある。しかし、否決したり減額して、承認することはない。
(ウ)(イ)項に含まれる費用以外の費用については連邦議会が承認し成立すること、否決すること、減額して承認することなどを多数決により決定する。
(エ)連邦議会が規定する連邦議会の国庫の収支(予算)に関する法律の通り、連邦国政府が必要に応じてこれを行なう。
(オ)連邦議会が関係する会計年度のために規定する連邦国の国庫の収支(予算)に関する法律に含まれる収支計画の他に、新たに収支が見込まれる場合は補正予算に関する法律により上記の手続き通りに規定する。
(カ)連邦議会のおいて成立した補正予算に関する法律に従って連邦政府は必要に応じてこれを行なう。
法律に準ずる命令
104 大統領が連邦議会に対して法律に準ずる命令を発令し、その命令を連邦議会で承認、成立するように求めた場合は、
(ア)法律に準ずる命令を承認するかしないかを決議する。
(イ)承認することを決議した場合は、その命令が発効する期間を指定する。
(ウ)承認が得られない場合は、法律に準ずる命令は承認されなかった日から発効することは中止される。
成立した法律の発布
105 
(ア)大統領は連邦議会から送られた連邦議会が承認し、または連邦議会が承認したとみなされる法律案を受け取った日の翌日から起算して14日以内に署名し、法律として発布する。
(イ)大統領は法律案に署名して法律として発布する前の定められた期間内において、自分の意見や注釈を加えて、法律案を連邦議会に差し戻すことができる。
(ウ)大統領が署名し法律として発布する前の定められた期間内において、大統領が自分の意見や注釈を加えて、連邦議会に差し戻しをしない場合または法律案に署名して法律として発布しない場合で定められた期間を満了した場合は、その法律案は大統領が署名したものとして法律として成立する。
106 
(ア)大統領に送られた法律案を大統領が自分の意見や注釈を加えて連邦議会に差し戻した場合、連邦議会は大統領の意見や注釈について審議、検討し、大統領の意見や注釈を受け入れ法案の修正に応じるかまたは大統領の意見や注釈を受け入れないで、原案の通り可決成立させることができる。
(イ)大統領の意見と注釈に従って修正された法案または大統領の意見と注釈を受け入れないで、原案通り可決した法律案が連邦議会の決定として、再度大統領に送られた場合、大統領は法律案を受け取った日の翌日から7日以内に署名して法律として発布する。
(ウ)連邦議会が再度送った法律案について、大統領が定められた期間内に署名しない場合は、定められた期間が満了した日に法律案は大統領の署名を得たものとして法律となる。
107 大統領が署名した法律または大統領が署名したとみなされる法律は国の官報に記載され発布される。その法律は特別の規定がなければ発布された日から法律が発効される。
108 連邦議会は
(ア)大統領が提出する国際的または地域間または2国間の条約、契約を承認、破棄、脱退などを決定する。
(イ)国際的または地域間または2国間の条約、契約のいかなる条約、契約も連邦議会の承認なしに締結、破棄、脱退することを大統領にその権利を委任することができる。