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新憲法の日本語訳(10)

2006年01月10日 | ミャンマー新憲法
第5章
行政権
連邦政府内閣
199
(ア)国家の行政権の長は大統領である。
(イ)
(1)国家の行政権を連邦および管区と州に分割委任する。
(2)自治権を得た管区や州に対して、自治権を憲法に基づいて分割委任する。
連邦政府内閣
200 国家において連邦政府内閣を以下の人物により構成する。
(ア)大統領 (イ)副大統領 (ウ)連邦政府大臣 (エ)連邦政府法制局長
防衛と治安に関する委員会の設置
201 憲法の規定に基づいてであれ、法律の規定に基づいてであれ、職務を遂行するために大統領を長とする防衛と治安に関する委員会を以下の人物により構成する。
(ア)大統領
(イ)副大統領
(ウ)副大統領
(エ)国民議会の議長
(オ)民族議会の議長
(カ)国軍最高司令官
(キ)国軍最高副司令官
(ク)防衛省大臣
(ケ)外務大臣
(コ)内務省大臣
(サ)国境省大臣
大統領の職務と職権
202 大統領は連邦議会の承認を得て、
(ア)連邦政府の省庁を必要に応じて設置できる。また省庁の組織変更や補足などを行なうことができる。
(イ)連邦政府の大臣の人数を必要に応じて決めることができる。また、決めた人数の増減を行なうことができる。
203 大統領は連邦議会に対して責任を負う。副大臣は大統領に対して、または大統領を通して連邦議会に対して責任を負う。
204 大統領は、
(ア)恩赦を与える権限を有する。
(イ)防衛と治安に関する委員会の推薦に基づき、特赦を与える権限を有する。
205 大統領は法律に基づいて
(ア)褒章、勲章を授与する。
(イ)授与された褒章、勲章を没収することができる。
206 大統領は連邦議会の同意を得て、外国政府との外交関係を結んだり、断絶したりすることができる。しかし、緊急に執り行う必要があれば、大統領は防衛と治安に関する委員会で協議し、外国政府との外交関係を断絶することができる。大統領は自らの行為に関して連邦議会の承認を得る必要がある。
207 大統領は法律に基づいて、
(ア)自国の外交使節員を任命したり、召還することができる。
(イ)外国の外交使節員を承認したり、外国の外交使節員に対して召還することを通知 する。
(ウ)外国の外交使節員の信任状を受け取ること。
208 大統領は法律に基づいて上級公務員を任命したり、免職したりすることができる。
209 大統領は法律に基づいて、
(ア)連邦議会の同意を得て、国際的な条約、地域間または2カ国間の条約を締結し、施行すること、破棄すること、条約から脱退することなどを行なう。
(イ)連邦議会の同意を得ないで、国際的な条約、地域間または2カ国間の条約を締結し、施行すること、破棄すること、条約から脱退することなどを行なう。
210 大統領は国家の基本原則と国家の情勢を連邦議会の会議であれ、国民議会または民族議会の会議であれ、国内全域に対してであれ、適宜演説を行なったり、書簡を送る権利を有する。
211 大統領は必要であれば、連邦議会の緊急会議または特別会議を招集するように連邦議会の総裁に要請することができる。
212 
(ア)大統領は連邦議会の閉会中に、国家の予算に関する事項以外の事項について、緊急に対処するべき行政に関する事項について、法律に準ずる命令を発することができる。
(イ)大統領は上記の(ア)項に基づいて発した法律に準ずる命令を撤回しなければ、その命令を発した日から60日以内に開催する連邦議会の会議に提出して、議会の承認を得ること。60日以内に会議を開催することがない場合は、連邦議会の特別会議を開催するように招集して承認を得ること。
(ウ)連邦議会の承認を得られなかった命令は、承認を得られなかった日から効力を失う。
(エ)大統領は連邦議会の承認を得て、その法律に準ずる命令を必要な期間延長し効力を維持することがでいる。
(オ)法律に準ずる命令を発した日から60日以内に撤回した場合でも、その法律に準ずる命令は一番早く開催する連邦議会の会議において提出すること。
(カ)法律に準ずる命令において、憲法の規定により連邦議会が議決することができない事項が含まれていれば、その事項は無効となる。
213 大統領は、
(ア)国家に対して他国からの侵略があった場合は、憲法の規定に基づいて設置した防衛と治安に関する委員会に諮り、軍事的に必要な行動を取る権利を有する。
(イ)上記の行動に関して、連邦議会の会議が開催中であれば、その会議に提出して、承認を得ること。連邦議会の会議が開催中ではない場合は、緊急会議を招集して、提出し承認を得ること。
(ウ)連邦議会の承認を得てのみ、戦争を宣言したり、終戦を宣言できる。
214 大統領は連邦議会が可決成立した法律を憲法の規定に基づいて署名する。その署名した法律は国家の官報に記載すること。
215 大統領は憲法に基づいてであれ、法律に基づいてであれ、委任された職務や職権を行使することについて、いかなる議会、いかなる裁判所に対しても責任を負うことはない。しかし、憲法の規定にある大統領の弾劾規定とは関係ない。
連邦政府の行政権
216 憲法の規定に反しなければ、連邦政府の行政権は、連邦議会が制定する行政に関する法律の事項にも影響を与える。
217 憲法の規定に反しない限り連邦の行政権を統括するのは大統領である。この文言により連邦議会が一定の権限を与えた組織や個人の職務や職権が失われることを意味するのではない。また、この文言により、現行の法律によって一定の権限を与えられた組織や個人の職務や職権を大統領に委任することを意味するのではない。
218
(ア)連邦政府の行政権に関して執行する事項は全て大統領の名において執行する。
(イ)大統領は自分の意志で行なうことが憲法に規定されている場合を除いて、連邦政府が執り行なうことができる事項のためにであれ、上記の事項を連邦政府の各大臣に職務を割り当てるためにであれ、法律の執行のために担当する者に職務を与えるためにであれ、大統領は手続き法を制定する権利を有する。
(ウ)大統領の名で発布した命令や締結した条約は大統領が制定した手続き法に示された方法に従うこと。そのような命令や条約は大統領の命令や条約でなく根拠がないと否定する権利を有しない。
(エ)大統領は(ア)(イ)項及び(ウ)項に掲げた規定の一般的意味を損なわない限り、大統領の職務を各地方別であれ、各省庁の事業別であれ、委任することができる。
219 連邦政府は国家の安定、国中の平穏、平和と、法の支配を維持することに努力する。
220 連邦政府は憲法の規定に基づき、連邦政府の基本的原則を定める。その基本的原則に基づいて必要な国家計画を策定し、連邦議会の承認を得て、具体的に実現させる。
221 連邦政府は政府財政委員会と協議し作成した連邦政府の年度毎の予算案を策定し、その予算案に基づいて予算案に関する法律を策定し、憲法の規定に従って、連邦議会に提出し承認を得ること。
222 連邦政府が自ら提出した連邦政府の予算案に関する法律案を会計年度末までに連邦議会が可決成立できない場合は、連邦議会が直近に可決成立した連邦政府の予算案に関する法律のうち、その一般会計予算の枠内でのみ支出する権限が与えられる。
223 連邦政府は憲法の規定に基づいて、連邦議会が法律を作成ことができる事項に関して、必要な法律案を連邦議会に提出できる。
224 連邦政府内閣の省庁はその傘下にある政府部局、政府組織などが職務を遂行するとき、憲法の規定に従わせるためであれ、現行の法律の規定に従わせるためであれ、それらを指揮監督及び検査すること。
225 連邦政府は管区政府、州政府、自治権を得た管区の行政執行部、自治権を得た地域の行政執行部などと行政計画の円滑な推進のために合同で協議する。
226 連邦政府は憲法の規定に関する紛争、境界線の設定に関する紛争以外の、
(ア)管区と州、管区同士、州同士、管区または州と自治区、自治区同士、などの間に起こった行政権に関わる紛争について、合同で協議し、必要であれば解決する。
(イ)管区または州と連邦間、自治区と連邦間に起こった行政権に関わる紛争について、合同で協議し、必要であれば解決する。
227 連邦政府は法律に基づいて、
(ア)連邦レベルの公務員による組織を設置することができる。その設置にあたっては、職務と職権を定める。
(イ)必要な公務員のスタッフを任命する。
228 連邦政府は
(ア)連邦議会が適宜策定した行政権に関わる決定事項を実際に具体化し行なうこと。連邦政府が行なった行動については、連邦議会に報告すること。
(イ)国家を取り巻く情勢、状態について連邦議会に適宜報告すること。
政府財政委員会の設置
229
(ア)政府財政委員会は以下のメンバーにより構成される。
(1)大統領 (議長) (2)副大統領 (副議長)
(3)連邦政府法制局長 (委員) (4)連邦政府会計局長 (委員)
(5)管区、州の知事 (委員) (6)ネーピードー評議会議長 (委員)
(7)連邦政府財務大臣 (書記)
(イ)
(1)政府財政委員会を設置する際、何らかの事情により委員の空席がある場合は、大統領はその空席を適当な人物により補充することができる。
(2)政府財政委員会を設置したことを大統領が宣言すること。また、政府財政委員会のために必要な命令、指導などを大統領または大統領が委任した人物が発布することができる。
政府財政委員会の職務と職権
230
(ア)連邦政府の各省庁の予算案と連邦レベルの各組織の予算案を大統領が職務を委任した副大統領が主導して審査し、連邦政府の各省庁、連邦レベルの各組織の予算案を政府財政委員会に提出する。
(イ)各管区と各州の予算案を大統領が職務を委任した、もう一人の副大臣が主導して審査し、各管区と各州の予算案を政府財政委員会に提出する。
(ウ)政府財政委員会は、
(1)連邦国内の支出を含む連邦国の予算、管区または州のために、連邦国の国庫から資金を適正に配分すること。特別な補助金を交付すること、貸付金の許可を与えることなどを含む、連邦国の予算案または予算の配分に関する法律を連邦議会に提出すること。
(2)金融政策について行なうべき事項を実施すること。
(3)強固な金融制度が確立するように、連邦議会が法律を制定して職務を委任した事項について実施すること。
(エ)政府財政委員会は連邦国の予算、管区または州に対する連邦国の国庫から資金を配分すること、特別な補助金を交付すること、貸付金を出すことなどを含む連邦国の予算案を連邦議会に提出できるように、大統領に提出する。
(オ)政府財政委員会は必要であれば金融専門家の助言を得ることができる。
連邦国の国庫に収めるべき税金の種類
231 
(ア)連邦国は管区または州が独自に徴収する別表5に掲げる税金の以外のその他の税金を法律に従って徴収し、連邦国の国庫に収める。
(イ)管区または州が徴収すると規定してある税金の種類を、連邦国のために徴収する場合は、連邦国が法律に従って徴収し、連邦国の国庫に収める。
(ウ)連邦国は連邦国の国庫にある資金を法律に従って使用することができる。

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