写真は何をしている風景でしょうか?
売っているものは、国営新聞やスポーツ新聞、ジャーナル誌などである。
実はここはただの新聞売りではない。
印刷工場で仕上がったばかりの(まだインクが乾いていない)新聞やジャーナル誌などがここに運ばれてきて、ここから新聞の売り子さんに売られるのだ。
いわば、新聞の問屋さんなのである。
例えば、7 DAYS JOURNALという雑誌は出版社から問屋への価格は380チャットで、売り子が一般に販売する価格は500チャット(約50円)である。
その差額120チャットがマージンになる。
問屋の利益はそのうち40チャット位だと思われる。
問屋は1日に500冊はさばいているので、500X40=20,000チャット。
それを1ヶ月(30日)で掛ければ、60万チャットにもなる。
問屋が商売しているのは朝の5時から8時くらいまでのわずか3時間だから、かなりおいしい仕事だといえる。
一方、売り子はジャーナル1冊売れば、80チャットの利益が得られる。
ダウンタウンの繁華街の路上でよく売っているが、1日に100冊は売れるそうである。
ということは、単純に1日80チャットX100=8,000チャット
市当局に払う税金(みかじめ料のようなもの)は1日200チャット~500チャット。
仮に500チャットとしても、1日の利益は7,500チャットにもなる。
これを1ヶ月(30日)で掛ければ、225,000チャットになる。
諸経費(交通費など)2万チャットを引いても20万チャットは残る。
そう考えると、なかなか良い商売ではないか。
(売れ残るというリスクはあるが、腐るものでもないし、最悪の場合でもリサイクル業者に売れば大損することもないらしい。)
それに引きかえ、ミャンマーの一般企業の従業員の給料は5万から10万チャットである。
こんなに給料が安いのは労働力が企業側の圧倒的な買い手市場であるからだ。
日系企業の方はよくこの点を勘違いしている。
例えば、「うちの会社は他の会社より40%給料が高い。他の会社は5万チャットのところをうちは7万チャット出している。にもかかわらず、なぜ従業員は次々と辞めていくのだろう。理解できない。」
実は今のミャンマーの物価では7万チャットで生活できないのだ。
4人家族なら、最低20万チャット必要なのである。
辞めていった従業員はたぶんシンガポールかマレーシアなど外国に働きに出るのか、またはこのような路上の商売を始めるかのいずれかである。
うちの日本語学校も従業員に対して十分な給料は出していない。
だから、2~3年で辞めていくし、私はそれは当然だと思っている。
ただ、辞めた後、日本に留学する子が圧倒的に多いという点は他と異なっているが....
もし、日系企業の方が従業員を長続きさせたいのであれば、給料は最低20万チャットは出さなければならない。
そういえば、この間路上でりんごを買ったのだが、そのりんご売りのお姉さんは腕に何重ものゴールドのブレスレットをしていた。あれを現金にすれば500万円くらいになりそうな量で本当にびっくりした。
今は路上の物売りから金持ちが続出している。
そのうち、ミャンマーの会社にはまともな従業員がいなくなるだろう。