映画「buy a suit スーツを買う」:揺るがなかった世界を見つめる眼 2009年10月13日 20時40分34秒 | 映画(新作レヴュー) 「この世界は過酷で,生きていくことは大変な仕事だ」。 チラシには「市川準監督,最初で最後のプライベートフィルム」と書かれているが,この小さな作品に込められたそんな思いは「病院で死ぬということ」や「大阪物語」など,死を扱ってきた諸作に通底するものだった。街の喧噪に邪魔されて,おぼろげにしか聞こえてこない台詞に耳をそばだてているうちに,観客はいつの間にか小さな声だけが持つ真実の響きに共鳴していく。 . . . 本文を読む