春先の芽吹きの頃、川沿いや空き地、道路わきなどで大きな葉っぱで中央付近が赤くなっている木が多く見られた。
これは「アカメガシワ(赤芽柏)」で、そしてその名の通り、新芽だけが赤くなっている木だった。
面白いことに、赤く見えているのは細い赤い毛が密生しているだけで、この毛を落とすと本来の緑色の葉っぱになる。
でも、今はもう赤い葉っぱもほとんど見られなくなり、その代わりに淡い黄色の花が目立ってきている。
何だか今年はあちこちで見られ、特に多いように感じる。
いつもはこんなに目立っていないと思っていたけど・・・
「アカメガシワ」は雌雄異株で、枝先に長さ10~20cmくらいの花序を出す。
これは雄花。
雄花には花弁はなく、丸い蕾が開くと淡黄色の雄しべだけが伸びてくる。
これが雌花。
雌花は雌しべだけしかないため華やかさがなく、目立たない。
雌花にできた実。
8月頃になると熟し、裂けて黒色の種子が顔を出す。
学名:Mallotus japonicus
英名:Japanese Mallotus
別名:ヒサギ(久木)、サイモリバ、ゴサイバ
科名・属名:トウダイグサ科 アカメガシワ属
原産地:日本、台湾、中国南部
葉が大きいので、葉にご飯を盛ったことからサイモリバ(菜盛葉)、ゴサイバ(五菜葉)とも呼ばれている
かつて中大兄皇子の陰謀で罠にかかり、謀反の罪で絞首刑となった「有間皇子」の辞世の句とされていて、万葉集に残されている有名な歌、
『家にあれば 笥に盛る飯を 草枕 旅にしあれば 椎の葉に盛る』
この『椎の葉』が「アカメガシワ」なのではないか、という説もあるがどうだろうか?
多分、それは「アカメガシワ」じゃなくて、椎の葉そのものなんじゃないかな。
その理由は、万葉集の時代からアカメガシワは「ヒサギ」とも呼ばれていたので、そのまま「ヒサギ」とすればいいだけで、「椎」を使う必要がないんじゃないのかと・・・