今回、日光に来た目的はやはり温泉、特に硫黄泉に入りたかったからだった。
1泊した中禅寺湖畔の「湖上苑」は湯元から引いている硫黄泉だからと選んだ宿だった。
やっぱり硫黄臭のする成分の濃い温泉は最高で、「これぞ温泉!」といった感じがする。
日光方面はもう観光する場所もないほど何度も来ている。
だから観光よりも温泉巡りを楽しみたいと思い、宿を出てからは日光、塩原、那須と濃い硫黄泉の「共同湯」だけを選んで入ってきた。
最初は日光湯元温泉の温泉寺から。
温泉寺は湯元温泉の源泉地のすぐそばにあるお寺で、「輪王寺(りんのうじ)」の別院になっている。
そこではお寺の中に温泉があって、日帰り入浴ができる。
周囲は緑の森、灯籠の並ぶ参道はとても雰囲気が良かった。
参道を進むとお風呂がある建物があり、その隣に本堂があった。
入り口のチャイムを鳴らし、入浴料金(500円)を支払い、お風呂へ。
2つ並んで左が男性用、右が女性用で両方とも同じ造りのお風呂だった。
[薬師湯]
女性用は「薬師湯」と名付けられていた。
4~5人入ると満員になってしまうようなお風呂だったが、他には誰もいなく貸切状態だった。
お湯は硫黄臭が強く乳白色、温度はかなり熱く、加水して温度調節をしなければとても入れなかった。
成分表によると、ナトリウム、炭酸水素を多く含み、カリウムなど金属類も含まれている。
そのためか、お湯の色がグリーンから白へと変化していた。
入る前に、成分が濃いのであまり長湯はしないようにと言われた。
入浴後は広間で休めるようになっていたのだが、この日は改装しているのか作業中だったため、すぐに外に出て、ほてった体を鎮めるためにお寺のすぐ隣にある源泉の木道を歩いた。
次に向かったのは塩原。
塩原には100ヶ所以上の源泉があり、泉質の種類は6種類もあるらしい。
その中で硫黄泉と言ったら何といっても「新湯(あらゆ)温泉」。
そこで、新湯の共同浴場を目指した。
塩原の温泉街から少し離れ、モクモクと噴煙を上げている硫黄山が見えたらそのすぐ下に「新湯」がある。
宿が数軒の小さな「新湯」だが、共同場は3ヶ所もある。
中でも岩の割れ目からお湯が湧き出している「むじなの湯」は人気になっていた。
ところが、せっかく行ったのに「むじなの湯」は閉鎖中。
何でも、お湯が湧いてこないということだった。
それならばと、あと2ヶ所あるうちの「寺の湯」は混浴なので遠慮して、もう一つの方の「中の湯」に入った。
「中の湯」は新湯温泉神社へ向かう途中にある小さな共同湯で、こちらは男女別のお風呂。
入り口にあるお金を入れる箱のようなものに300円入れれば、誰でも入れる。
脱衣所と湯船があるだけの簡単な造りの小屋で、湯船は2~3人も入れば満員になってしまうほどの小さなもの。
それでも立派な硫黄泉になっていて、この源泉はこの辺りの宿が引いているものと同じらしい。
ここでも貸切状態だった。
入り口のドアはいつでも開いている。
いつ、誰が入って来るか分からないけれど、これが共同湯の醍醐味なのかもしれない。
新湯の次は那須に向かった。
最近のニュースで、「那須の殺生石が真っ二つに割れてしまった」と聞いた。
それならばと、殺生石を見に行ったらさすがに人が多かった。
でも、石は確かに割れていたのが見えた。
きっと九尾の狐が出てきたんでしょうね、そしてその狐今はどこに?
というわけで、那須の温泉は殺生石のすぐ下にある「鹿の湯」、ここも濃い硫黄泉になっている。
ただ、この共同湯はあまりにも有名なので、次から次へと人が入ってきてお風呂の様子などとても撮ることはできない。
それで雰囲気だけ。
[鹿の湯入り口]
おしゃれな、味わいのある文字の看板、中に入ると歴史を感じる造りになっていた。
ここはちゃんと受付があった。
500円を支払い、廊下を進むと左が女性用、右が男性用に分かれていた。
途中にコインロッカーがあり、その先の廊下には待ち合わせしているのか、風呂上がりの体を冷ましているのか大勢の人が窓辺に座っていた。
早速女性用の方の暖簾をくぐってみた。
脱衣所は広く、お風呂は2階建てのようになっていて、入った場所が2階で、そこには同じ大きさの湯船が4つもあり、41℃、42℃、44℃、46℃とそれぞれに書いてあった。
この湯船でも大きいと思ったのに階段を数段下りたところにもう一つ、もっと大きな42.5℃の湯船があった。
白濁した、硫黄臭のする温泉、素晴らしい!の一言しかなかった。
建物も昔の湯治場をそのまま残してあるようで雰囲気は最高だった。
[写真左側が温泉棟]
これだけの素晴らしい温泉なんだから、人が多いのはしょうがない。
ただ、常連さんらしき人が多いようで、日帰り客は何となく遠慮がちだったような気がした。
今後も那須に来ることがあったらまた是非とも来てみたい温泉になった。