映画とライフデザイン

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映画「燈火(ネオン)は消えず」 シルビアチャン&サイモンヤム

2024-01-14 18:24:30 | 映画(アジア)
映画「燈火(ネオン)は消えず」を映画館で観てきました。


映画「燈火は消えず」は香港映画。シルヴィアチャンとサイモンヤムという香港のメジャー級の共演である。

民主化デモがあってから香港にはなかなか行けていない。残念だ。香港大好きの自分にとっては信じられないことだけど、香港のギラギラしたネオン付き大看板が消えつつあるという。建築の規制が強化されたという。予告編でなんとなく消えゆく香港のネオンについて触れた作品だとわかったけど、まだピンと来ない。たしかに、2011年ごろ香港に行った時も、ネイザンロードの看板群が変わっていたことに気づいていた。ともかく駆けつけてみる。

香港で娘と住むメイヒョン(シルヴィア・チャン)には今は亡き夫のビル(サイモン・ヤム)がいた。ビルはネオン職人で、2003年のSARS流行でも街のネオンを消さないように儲けのない商売をしていた。

ある時ビルのズボンを整理するとネオン製作の工房の鍵が出てきた。工房に行くと、死んだはずのビルが仕事をしている形跡がある。ある夜胸騒ぎがして工房に行ってみると、青年レオ(へニック・チャウ)に出くわす。ビルの弟子だという。そこで、師匠にはやりのこしたネオンがある、と聞かされ作業を始める。でも、夫には返済していない借金があり、レオも家賃滞納で追われる身であった。


映画としては普通、香港好きでなければ感慨もないだろう。
ただ、自分は90年代の香港の良き日を思い哀愁漂う気分となる。


黒社会を描いた映画に数多く出演するサイモンヤムもここでは普通の職人さんだ。奥さんのシルヴィアチャンにもやさしい。以前はカナダ移住が多かったけど、娘がオーストラリアに移住するなんて設定になっているのも、香港脱出を図ろうとする人が多い現状を示しているのかもしれない。


最後のエンディングロールで熟練ネオン職人がつくった看板が数多く映像で出てくる。そこには日本のブランドのネオン看板も多い。90年代には九龍側から香港島をヴィクトリア湾を隔てて見ると、日本企業の看板ばかりだった。昔を偲ぶように、メイン通りであるネイザンロードの往年のきらびやかな映像も出てくる。そこにも日本企業の名前がある。

初めて香港に行ったのは90年代になってすぐであった。親友が香港駐在員となったのがきっかけだ。啓徳空港に着陸する際は、欧米人の乗客から思わず拍手が出たものだ。タクシーで繁華街のチムサーチョイに行くと、派手なネオンサインの大看板がある猥雑な街の雰囲気に圧倒された。しかも、食べ物のおいしさに驚く。まだこの当時は買い物をしても、何を食べても安かった。まだ、中国返還前で、大陸から来ている人はいかにも貧しそうであった。今考えると信じられないことだ。そのあと何度も繰り返し香港を訪れる香港ファンとなる。


先週あたりは、観たい公開作もなく、おとなしくしていた。実は初めて香港に行った時訪ねて行った親友の命日だった。日本にある彼の墓に先日行った。香港で名を売り、現地でヘッドハンティングとなり上海に移った。でも、9年前上海から北に500キロ離れた日本人が一桁しかいない街で亡くなった。彼を偲ぶ気持ちもあったせいか、吸い寄せられるように映画館に向かった。そのあと、香港料理の店で食べた。なんかさみしい。

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