映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

甘苦上海  高樹のぶ子

2009-11-16 07:18:55 | 
週末は何かと忙しくなり、昨日もイベントごとで出社した。
映画も数日ご無沙汰で、移動時間に本を読んだ。日経新聞の連載を先ごろ終えた「甘苦上海」である。日経新聞では、私の履歴書は必ず見ているが、これは読んだり読まなかったりであった。細切れになるとどうしてもわからなくなる。ただ、こうやって連載でなく一冊の本になるとまとまりがついている。
同じ日経連載の「失楽園」や「愛の流刑地」のようなかなり過激な性表現ではないが、51歳の独身社長の年下男になびく女心と上海在住日本人の偶像を上手に描いている。

都内でエステチェーン展開に成功して、3年前から上海に来ている紅子は、ひょんなきっかけで京という新聞記者上がりで上海に来ている39歳の男性と知り合う。危険人物と知りながら、京の大胆な女性の扱いに惹かれていき、はまっていった。そこに絡むのが京の中国人の恋人24歳の周さん、紅子のお抱え運転手の姪の中国人カラオケ嬢と彼女に惹かれる日本人商社マン石井と男女関係がからんでいく。

上海はすべての街路に名前がついている。それに味がある。南京東路、福州路、長楽路など響きが良い。特に旧フランス租界の街並みは非常にきれいだ。蒋介石や孫文に嫁いだことで有名な宋姉妹の旧家などもある。香港だけにコロニアル文化があるわけでなく、魔都上海のもつ雰囲気はある意味、香港を大きくしのぐ。文化大革命のときはあの洋風邸宅はどう扱われたのか、それだけが疑問に残る。賛否両論あるが、この小説は上海の街をよく知っている人には読みやすいのではないか?街路の名前や現代的なスポットを取り混ぜながら、登場人物を自由自在に作者は操っている。

上海に日本人は5万人程度いるといわれる。駐在の日本人男性は日本と比較すれば安い価格で女の子と遊んでいる。彼らは中国の田舎から来ている女性たちの低賃金に驚き、妙な同情心をもちながら若い子たちにはまっていく。登場人物の商社マンもその一人である。不思議なことに、こういう同情心は、日本の飲み屋にいる中国人女性たちにはそんなには抱かないものである。なぜなのであろうか?
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