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映画「最後まで行く」岡田准一&綾野剛

2023-05-20 07:59:46 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「最後まで行く」を映画館で観てきました。

映画「最後まで行く」は韓国の名作サスペンス「最後まで行く(ブログ記事)」の日本版リメイクである。監督は話題作を次々と生む藤井道人だ。韓国得意のクライムサスペンス映画の中でも,波状攻撃のようにハラハラドキドキさせられた作品であった。5分ごとに何かが起こり、窮地にさらされる。さすが韓国のサスペンスだと思った。どのようにリメイクされているか気になるので,公開早々に観に行く。

雨の中、亡くなった母親の病院に車で向かう刑事の工藤(岡田准一)は飲酒運転で運転している。警察署の課長から「暴力団との癒着のカネの問題で県警本部から監査が入る」という知らせが来て慌てているその時に人を轢き殺してしまうのだ。死体を自分の車のトランクに入れて移動すると、警察の検問がある。飲酒運転の工藤はそこで一悶着あるが、たまたま通りかかった県警本部の矢崎(綾野剛)が後で事情を聞くということで見過ごされて病院に向かう。

その後も工藤はひき殺した死体の処置や暴力団との癒着の話の問題で窮地にさらされながら、目撃者からのお前が殺したなという連絡が入りあわてる



登場人物を増やして内容を広げたリメイクであった。
直近で2015年に観た韓国の「最後まで行く」をとりあえず再見した。「パラサイト」の邸宅の主人役やシリーズもの「マイディアミスター」の主役で活躍したイソンギュンが刑事役で、得体の知れない警察官役をチョ・ジヌンが演じた。何せチョ・ジヌンが強烈に気味悪かったし、不死身で圧倒的に強い男だった。さすがにここまでは綾野剛は無理だろうと思ったが、設定を若干変えてそれなりには追いつく。岡田准一はそつなくこなした。

流れの基調は同じである。
飲酒運転中に何者かをひいてしまうこと。母親が亡くなったこと。裏金で監査が入ること。死体を母親の棺桶に入れてしまうことなどなど。5分ごとにハラハラさせる細かいネタは再現されている。日本では死体をそのまま土の中に埋めるなんてことはない。当然火葬する。そのあたりに変更は生じざるをえない。ただ、それだけでなくいくつか設定を変更している。


設定の変更
⒈主人公には妻がいない。妹とその家族の設定だった。離婚寸前の広末涼子の妻と娘がいる設定に変更
⒉裏金をプールという設定では変わらない。暴力団に情報を与えることでカネをもらってそれをプールしていることとした。そこで、柄本明の暴力団組長という設定をつくり強い存在感を与える。
⒊得体のしれない警察官が県警本部の本部長の娘と結婚することにして、本部長から政治家がらみの裏金を回収する特命を与えられていることにする。

話はかなり広がっている。特に政治家がらみの裏金がお寺にストックされている話は全くない。その金に暴力団組長や警察の本部長が目をつけるカネの問題をクローズアップする。ただ、どうしても話が不自然になってしまう気がする。前作にないカネの問題を取り上げてもその決着の仕方には疑問が残る。割とよくできていた「ヤクザと家族」を監督した藤井道人も少しやりすぎかも知れない。


あとはちょっとワルの警察本部長を登場させる。でも、警察本部長ってほぼエリート警察官僚で次々と全国を転勤する人たちだし、のちの天下り先までしっかり用意されている人だ。黒いカネには手を出さないだろう。ヤクザにことを頼ませるなんてことは昭和の昔ならともかく今はありえない。しかも、その地に家庭があって娘と地元の警察官と結婚させるなんてことはまずありえない。良かれと思って広げた話には欠点が多い。脚本家に世間常識の欠如を感じる。この本部長と結婚相手の話に伏線の回収がなされない。

話を広げてうまくいったつもりだろうけど、まとめ方は残念ながら原作の方がスッキリする。原作は得体の知れない警察官をしばらく映像に登場させないでわれわれの恐怖感をあおった。映画を観ている時に感じるハラハラ感は若干劣る気がする。でも、そんなことは考えずに初見の人はそれなりに楽しめるだろう。

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