映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

マンデラの名もなき看守  ジョセフ・ファインズ

2009-07-21 06:28:34 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
中学高校と地理歴史の時間に、世界の中で人種差別政策を改めない非情な国がまだ残っていると教えられた。南アフリカのことである。そんな南アフリカが人種差別政策を改めるきっかけを作ったナショナリズムの指導者ネルソン・マンデラの刑務所生活と看守との逸話を描いた作品。難解な作品ではなく、人情味あふれる傑作である。

ジョセフ・ファインズは南アフリカの刑務所看守。1968年に孤島の監獄島であるロベン島に着任する。アフリカの現地語を知る彼は検閲部に所属する。そこには黒人反抗勢力のリーダーであるネルソン・マンデラがいた。配属の際、政府情報部より黒人たちの動きに注意して報告するように言われていた。たびたび検閲にて反抗勢力による武力闘争の動きを察知して、情報部に報告して昇格していた。しかし、子供のころ黒人の仲間とアフリカ風チャンバラで遊んだ彼は現地人に対する違う思いがあった。ジョセフはマンデラの味方もして、彼から妻へのクリスマスプレゼントのチョコを面談に訪れたマンデラの妻に密かに渡すが、それが知れて大きな問題に。。。。

このあと味方と敵が入り乱れる。ジョセフ看守は黒人寄りとされ立場が悪くなる。妻であるダイアン・クルーガーも村八分にされる。黒人反抗勢力と右翼勢力の対立に加えて、政府の体制変化に伴うマンデラへの待遇変化もあり、次々動きが変わっていく。それを急がず、主要な変化をじっくり語っていくので安心して飽きずにみていられた

ジョセフファインズは90年代最後に「エリザベス」「恋に落ちたシェイクスピア」というオスカー作品で有名になった。しかも兄は「イングリッシュペイシェント」のレイフファインズだ。しかし、彼は映画よりも舞台を選んだ。それが彼のすごいところ。実力派である。
ジョセフの妻役ダイアンクルーガーも存在感があった。夫の出世を願って、上司の妻たちに取り入ろうとする姿。その後黒人びいきと夫が村八分になって自分もまわりに無視される姿。その後も含めて非常によかった。顔がナタリーポートマンに似ている気がする。
マンデラ役デニス・ヘイスバードがよかった。おそらくアフリカ育ちで大学をでて弁護士になるというマンデラの存在は現地では超エリートだったと思う。大暴れするのではなく、どっしり構えて落ち着いて物事を判断する物腰である。そういう姿がわかるようにうまく演じていた。時の政府はアパルトヘイト政策は継続するが、マンデラについては彼を殺せば、周りの反抗勢力がもっと大暴れするであろうという推測の元に、生かさず殺さずの監獄生活を送らせていた。その政府の動きは、太平洋戦争後、天皇を戦犯として裁いたら日本中が大暴れするであろうというマッカーサーの推測の元に天皇を守ったという動きにだぶるものがあった。

南アフリカを映す映画では「ツォツイ」を見たことがある。今回世界遺産である監獄島ロベン島を中心に、美しい風景を映し出していた。特に山がきれいな国だという印象を受けた。大昔バスコ・ダ・ガマ喜望峰を通ってインドに航海したとき、あの美しい山を見て感動したのであろうなあと感じた。
見てよかった映画であった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 哀愁  ヴィヴィアンリー | トップ | ゴーギャン展 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(洋画 2006年以降主演男性)」カテゴリの最新記事