映画とライフデザイン

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映画「パピチャ 未来のランウェイ」リナ・クードリ

2020-11-03 22:29:53 | 映画(フランス映画 )
映画「パピチャ 未来のランウェイ」を映画館で観てきました。


「パピチャ」はアルジェリアで暮らしたことのあるムニア・メドゥール監督が自身の体験も踏まえて製作した映画である。90年代イスラム教国アルジェリアで、政府とイスラムの急進派との争いが激化する中で、女性の服装が制約を受けることに反発をしてファッションショーを開催しようと奔走する女子学生にスポットをあてる。

もともと女性主導の映画でフェミニストが好きそうな印象があった。でも、アルジェリアでのロケということで、往年の名作「望郷」に映るカスバの街並みが急に頭に浮かび今のアルジェの町を見たいという欲求に気がつくと映画館に足を運ぶ。テロ的な場面が予想よりも多く、アルジェの景色はさほど楽しめない。景色を楽しんでいる場合じゃないだろということかも。

考えてみるとイスラム国家はコーランの教義に忠実なわけで、女性進出とは両立がむずかしい。その中でのへそ曲がり女子大生に焦点を当てるわけだから本国で公開されるはずはないだろう。無宗教の日本で日本の女性もみんなよかったねと思わせる映画だ。

1990年代、アルジェリアの首都アルジェ、学生寮で生活する大学生ネジュマ(リナ・クードリ)はファッションデザインが好きで授業中もデッサンを描いている。夜になると同室のワシラ(シリン・ブティラ)と寮を抜け出し、郊外のナイトクラブに行き遊びまくって自作の服も注文を受けている。だが武装した過激派のイスラム主義勢力の台頭によりテロが頻発する首都アルジェでは、ヒジャブの着用を強制するポスターがいたるところに貼られている。それにはネジュマは強く反発していた。


そんな時、ネジュマの仲の良い姉が急進派の女性にいきなり殺されてしまう事件が起きる。ネジュマは落胆するが、なんとか立ち直ろうと、伝統的な衣装布である5m四方のハイクをつかってファッションショーを企画する。黒いヒジャブをかぶった保守的なイスラム教徒の女性の妨害をうけながらも開催に持ち込もうとするのであるが。。。

⒈アルジェリア内戦と宗教の恐ろしさ
そのもののアルジェリア独立戦争のことは知っていても、同時代だったにもかかわらず“暗黒の10年”と呼ばれる90年代のアルジェリア内戦のことはよくわからない。反政府の急進イスラム勢力が台頭して内戦を起こし、相当数のアルジェリア国民が亡くなったという。この映画の中でも、悲劇的結末を迎えた人が多い。宗教は恐ろしい。


⒉イスラム教の女性蔑視
イスラム教の聖典コーランでは女性は男性より劣位にあり、保護される存在だとされる。資力がなければ成立しないが、一夫多妻もありうる。これをもってイスラム教は女性蔑視の宗教とされるが、世のフェミニストはこれをどのように思っているのであろうか?

一夫多妻というのは医療事情のレベルが低いことで、男子を残すために長い歴史を通じて究極の提案だったのであろう。日本だって明治の初期は医療事情が悪く、明治天皇は多数の女官と床をともにして大勢生まれたのにもかかわらず、まともに育った男子は女官柳原愛子が生んだ大正天皇くらいなものだった。発展途上にある国々の医療事情は一昔前の日本レベルの可能性だってある。


この映画でも女性の服装や行動は強制されている。髪を黒いヒジャブで包むことを強要する。コーランでは男女それぞれの立場にそってというその記載は科学が進んでいない時にはある意味合理的な部分もあると思う。今われわれが普通に代数をつかっている数学はファーリズミーによるものでイスラム諸国で生まれているし、本来はもっと現代的になってもいいのに毎回コーラン原理主義に押し戻された可能性もある。

3.ネジュマの恋と矛盾
主人公ネジュマは、理解してくれる若者メディに恋をした。フランスへ行く彼から求婚を受けているシーンがある。もうこの国にいても仕方ないから一緒について行ってくれと言われる。でもネジュマは拒絶する。「自分はこの国が好きだし、知らない国には行きたくない」といってその場を去る。

でも、これって監督矛盾していない??と感じる。だって、アルジェリアはほとんどイスラム教徒である。その教義に沿って生きていくのが自然で逆らうならイスラムを棄てて行くしかないのだ。そもそもネジュマがおかしいし、そのくせ結局監督はアルジェリア逃げ出しているんでしょ。なんかこれって変だと思う。


最後に向けてはこういうシーンが用意されているとは思わなかった。単純に終わらせないところはお見事だ。


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